著者
池谷 文夫
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

(1) 期皇帝権時代(おおよそ950-1150年), (2) 後期皇帝権時代(おおよそ1150-1350年), (3) 晩期皇帝権時代(おおよそ1350-1550年)の皇帝及び皇后の機能・権力を, 皇帝夫婦の巡幸や両者による文書発給事例に即し具体的に検証した。特に, 「皇帝」と行動をともにした「皇后」について, 国王・皇帝証書等の発給文書への関与や, 自己の固有財産(寡婦資産)の寄進等に関して, そして「皇后戴冠」後の「后」の帝国における位置・立場に関して, (1), (2), (3)期における具体例を史資料の読解・分析を通じて解明した。これらの研究成果をまとめて約18万字に及ぶ「研究成果報告書」である『神聖ローマ帝国史の研究神聖ローマ帝国皇后列伝-共治者, 皇后・王后から妃へ-」』を完成させた。
著者
黒川 正剛 小林 繁子 楠 義彦
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.225-235, 2018 (Released:2018-04-02)

本稿は,科研費の助成を受けた公開シンポジウム「魔女とマス・メディア―ヨーロッパ近世の他者のイメージをさぐる」(2017年11月19日・太成学院大学)の報告である。シンポジウムでは,ヨーロッパ近世社会における他者として魔女と犯罪者を取り上げ,それらと当時のマス・メディア(ビラ,パンフレット,木版画等の図像)の関係について報告した。全体は,黒川正剛「魔女はなぜ信じられるようになったのか?」と小林繁子「犯罪者と悪魔―近世ドイツの印刷メディアから―」の二つの研究報告と楠のコメント「魔女とマス・メディア」から構成される。
著者
Hiroaki Kurahashi Masami Watanabe Morito Sugimoto Yuichi Ariyoshi Sabina Mahmood Motoo Araki Kazushi Ishii Yasutomo Nasu Atsushi Nagai Hiromi Kumon
出版者
The Japan Endocrine Society
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1321-1327, 2013 (Released:2013-12-27)
参考文献数
23
被引用文献数
4 42

Gender identity disorder (GID) results from a disagreement between a person’s biological sex and the gender to which he or she identifies. With respect to the treatment of female to male GID, testosterone replacement therapy (TRT) is available. The uric acid (UA) level can be influenced by testosterone; however, the early effects and dose-dependency of TRT on the serum UA concentration have not been evaluated in this population. We herein conducted a dose-response analysis of TRT in 160 patients with female to male GID. The TRT consisted of three treatment groups who received intramuscular injections of testosterone enanthate: 125 mg every two weeks, 250 mg every three weeks and 250 mg every two weeks. Consequently, serum UA elevation was observed after three months of TRT and there was a tendency toward testosterone dose-dependency. The onset of hyperuricemia was more prevalent in the group who received the higher dose. We also demonstrated a positive correlation between increased levels of serum UA and serum creatinine. Since the level of serum creatinine represents an individual’s muscle volume and the muscle is a major source of purine, which induces UA upregulation, the serum UA elevation observed during TRT is at least partially attributed to an increase in muscle mass. This is the first study showing an association between serum UA elevation and a TRT-induced increase in muscle mass. The current study provides important information regarding TRT for the follow-up and management of the serum UA levels in GID patients.
著者
Tatsuro MATSUBARA Yukihiro MATSUBARA Shigekazu ISHIHARA Seiji INOKUCHI
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-128, 2010 (Released:2016-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Along with recent developments of industrial finishing of plastics, simulating surfaces is much desired in industries. This research attempts to build a virtual prototyping system for surface finishing. Simulating surfaces will accelerate to Kansei-oriented product development without large cost of making real prototypes. Since the developed system renders bumpy and glossy surfaces in real-time, evaluator can accurately examine surfaces. As an application of the system, leather grain patterns of car dashboard were simulated. At first, surface details of car dashboards were measured with a laser 3D range finder device. Then, Kansei evaluation was done with 30 virtual prototypes those have variations on cars, intensity of roughness and with or without gloss. The evaluation result was analyzed with PCA and 3-factor ANOVA. Expression capacity of the system was validated with ANOVA results, those show significant effects of virtual prototype parameters on Kansei evaluation.
著者
山岸 靖明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.2, pp.2_128-2_140, 2007-08-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
48

放送通信融合の進展により,複数のネットワークを介して様々なコンテンツ配信サービスが提供されるようになると,それらを利用するホームネットワーク上のコンテンツを再生するデバイスや,配信経路のネットワーク環境が不均一となる.与えられた環境の中で,ユーザの望むコンテンツを効率良く利用させるには,サービス,アプリケーション,及び,デバイス,ネットワークの中から最適なものを選択する必要がある.このマッチングのためのパラメータがそれぞれのメタデータである.本論文では,コンテンツ配信に関連するメタデータ標準についての最近の動向,それらのメタデータを放送通信融合環境で利用する場合の技術課題について解説する.

1 0 0 0 OA 曲亭馬琴書簡

著者
滝沢馬琴
出版者
巻号頁・発行日
vol.[5],
著者
南浦, 紹明
出版者
宗興
巻号頁・発行日
vol.[2], 1372
著者
小出 博志 竹内 嘉江
出版者
長野県林業総合センター
雑誌
長野県林業総合センター研究報告 (ISSN:1342775X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.35-61, 1994-03

この数年、長野県では農林業複合経営或いはきのこ複合経営の中で菌床シイタケを導入する動きが顕著となっているが、栽培歴が短く栽培技術の面で不明な部分が多く残されている。このため、最適培地の開発、防カビ剤の利用開発、栽培容器の検討、環境調節法の検討、その他安定栽培技術の検討等について試験を行い、より効率的かつ安定的な栽培法の解明を図ってきたが、この主な結果については次のとおりである。(1) 最適培地の検討のうち、栄養添加材についてはコメヌカ、フスマ、コーンブラン、スーパーブラン、キノゲン、タイロン、バイデルを検討したが、いずれの材料でも良好な子実発生が得られており特別な材料は要しなかった。しかし、材料によっては多用すると発生不良になる場合があり、使用品種、栽培法を勘案して配合量を調整することが必要と認められた。(2) 培地基材については、ブナオガコを標準に用いたが、他にコーンコブミール、モミガラ粉砕物、シラカンバオガコ、コナラのドリル屑を検討した。この結果、コーンコブミールは菌床シイタケに不適と認められた。モミガラ粉砕物では発生量が増加したが、個数が増え個量の下がる傾向であった。シラカンバオガコでは子実体の品質低下を来していた。ドリル屑を使用し粒子を粗めに調整すると子実体個重の増加などが認められた。(3) 微量添加材については、フスマに消石灰を添加したところ極端な発生量の減少に陥った。ナメコ栽培では効果のみられた組合せであるが、シイタケでは不適と認められた。(4) 菌床シイタケ用品種としては、北研600号を標準に用いたが、この他に明治製菓9K3号、9K4号、森MM1号、塚越系、中国系を供試した。この結果、培地組成や培養法によって子実発生量、形状に大きな差が生じ、品種間の特性に幅があることが認められた。(5) 菌床シイタケ栽培における防カビ剤の利用開発としては、パンマッシュ、ビオガード、ベンレートを検討した。これらは所定の濃度で培地に混和して使用したが、いずれも培地上におけるヒポクレア菌の繁殖を阻止していた。また、シイタケの発生量に対しては影響がなかった。(6) 菌床シイタケ用容器の開発については、4種類のビン、5種類の袋、7種類の栓、さらに培地重量などについて検討した。この結果、通気性のよい容器を使用して培養後に5%以上培地重量が減少する状態が子実体発生量の向上に結び付いていた。培地重量を大きくすると子実体発生率(発生量/培地重量)は下がるものの、個重は増加して規格の向上が認められた。(7) 環境調節法のうち、培養温度については20℃定温としたものが最も子実体発生量が伸びた。25℃の温度は発生量の低下に結び付いていた。10、15℃では培養不足の傾向となっていた。収穫中の水分管理においては、培地水分によって発生個数や子実体水分の状態に差が認められた。(8) 短期栽培において生じた子実体発生不良や奇形形成について検討したところ、北研600号においては種菌の熟度が若くかつ栄養添加材の多い培地組成を用いるとこの症状のでやすいことが判明した。若い種菌を使用した場合には、培養期間を伸ばすことで子実発生量が回復することも判明した。(9) 培養中に形成される子実体原基数を調べたところ、初期には多数形成されるもののある時期を過ぎると数の絞られることが認められた。そして、培養中に形成された原基数が後の発生個数を強く支配するものと考えられた。
著者
轟 朝幸 居駒 知樹 江守 央 川崎 智也 兵頭 知 桐島 弘之
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本において水上飛行機による航空運送事業が2016年に半世紀ぶりに再開された.しかし,水上機が離発着する水域を利用している船舶や漁業などから水上機の離発着への懸念が示されている.そこで,水上機運航が活発なカナダ,アメリカ等の先進事例調査を実施した.その結果,水上機離発着場が数多く整備され, AIP(航空路誌)にて公表していた.水上機の離発着数が多いバンクーバー等では,航空管制などによる運航支援システムが整備され,狭あいな入江のヴィクトリアでは,水上機と船舶の利用エリアを区分した運用ルールを整備していた.これらのように,水上機と船舶などがともに安全に運航できる環境整備が進められていた.