著者
勝田, 長清
出版者
桂彦右衛門
巻号頁・発行日
vol.[17], 1665
著者
二宮 くみ子
出版者
広島大学
巻号頁・発行日
2010

'だし'は、動植物性食品の呈味成分を水に溶出させた液体で、和洋中の各種料理では、料理やその食材に甘味、酸味、塩味、苦味及びうま味を付与し、食べ物の味を向上させる目的で使用されている。特に、'だし'は、各種の汁物やスープ類の調理に欠かすことができないものであり、'だし'の品質が料理の味の質を決定するといっても過言ではない。'だし'の調製に使用される素材は、それぞれの地域の食文化や食習慣の違いがあるため多種多様である。日本料理で使用される'だし'の素材としては、昆布とかつお節が最も多く用いられ、昆布に含まれるGluとカツオ節に含まれるIMPが'だし'の主要な呈味成分である。京都の高級料亭では、主に利尻昆布が'だし'の調製に使われている。また、昆布だしの調理温度と加熱時間の違いによる'だし'中のGlu濃度変動について検討し、これらの結果をもとに利尻昆布を60℃で1時間加熱するという新しい調理方法を取り入れている。これらの調理方法に関する知見のほとんどが、料理人の経験にもとづくものであり、科学的解析はほとんどなされていない。一方、西洋料理の代表的な'だし'であるブイヨンは、新鮮な牛肉や鶏肉、玉ねぎ、人参、セロリ等の香りのある香味野菜や香辛料を加えて、水から長時間煮込んで調理する。また、品質の良い'だし'を作るためには、素材の違いだけではなく、'だし'を調製する時の加熱温度や加熱時間が極めて重要である。これらは、いずれも長年の経験から確立されたものである。これまでのブイヨンに関する研究は、調理に使われる鶏肉、鶏ガラや牛肉に着目し、各種呈味成分の抽出性や肉の部位の違いによる味への影響を調べたものが多く、シェフが通常行っている調理条件で解析した研究はほとんどないのが現状である。そこで、本論文では、日本及び西洋料理の代表的な'だし'として、昆布だしとブイヨンを取り上げ、昆布の等級及び部位の違いが各種呈味成分に与える影響、異なる温度条件がブイヨンの呈味成分に及ぼす影響、ならびに加熱に伴う成分変動のメカニズムを解明することを目的に、以下の実験を行った。1.昆布の等級及び部位の相違と昆布だし中の呈味成分との関連性昆布は生育する環境、すなわち海水温や海流によって食品としての品質が左右され、同じ年に収穫した昆布でも取れ浜や漁場によって、その品質が異なることが知られている。本研究では、京都の高級料亭で使用されている天然1等利尻昆布と対照として養殖3等及び4等利尻昆布を用い、昆布だしの品質を決定する遊離アミノ酸、糖アルコール(マンニット)及び無機塩類を、また、昆布だしの品質に関与すると考えられる乾燥昆布の膨張率、昆布だしのBrix及びpHを検討した。材料に用いた昆布は天然物(1等)及び養殖物(3等、4等)ともに、平成16年7月に収穫された利尻昆布で、入蔵後6ヶ月を経過したものについて、昆布全長(葉先から根元まで)を三等分し、先端、中央、根の3部位に分け、それぞれを縦に二等分したものの重量を測り、昆布の割合が水に対して3%(w/v)になるよう調整し、60℃で1時間加熱後昆布を取り出したものを昆布だしとし各種分析を行った。いずれの昆布だしにおいても主要な遊離アミノ酸はGluとAspであった。昆布だし中のGlu濃度は、等級による差は認められず、1,3,4等の昆布で、それぞれ56.0、63.5、53.6mg/100mlであった。また、同じ昆布では、葉先よりも根のほうが濃度が高かった。一方、Aspは、1等昆布で濃度が高く、1、3、4等の昆布で、それぞれ56.0、24.1、24.3mg/100mlであり、1等昆布では3、4等に比べ、Gluに対するAspの比率が高い傾向にあった。部位別では、Asp濃度は、Gluと同様に、根の方で高かった。無機イオンではNaとKが主要なものであった。Na濃度は、等級間で差は認められなかったが、先端での濃度は、中央部や根よりも高かった。1等の先端、中央部、根での濃度は、それぞれ50.0、48.1、48.0mg/100m1であった。また、K濃度は、1等昆布で低い傾向にあり、1等、3等、4等で、それぞれ53.8、89.2、75.9mg/100mlであった。1等昆布の'だし'のマンニット濃度及びBrixは他のものより低い値を示した。また、1等昆布のpHは他のものより高い値を示した。膨張率は等級が高いほど低く、等級の低い昆布では、加熱中に大きく膨張することによって、昆布の切断面から粘性多糖類であるアルギン酸やフコイダンが'だし'中に溶出し、呈味性を変化させ、'だし'の品質を損ねる可能性があると思われる。天然1等利尻昆布を、入蔵後2年間一定条件下の蔵で保存したものは「蔵囲い昆布」として、昆布市場では最高級品とされている。そこで、2年間の保存によって呈味や品質に関与する各種成分が変動するかどうかについて検討した。その結果、各種呈味成分、Brix、pH並びに膨張率は、2年間の保存期間を経過しても変動しなかった。蔵の環境は年間を通じて5~25℃、湿度は50~65%に保たれており、このような環境下であれば、昆布は極めて保存安定性が良いことが明かとなった。2.ブイヨンの調理条件の違いが呈味成分に及ぼす影響西洋料理の代表的な'だし'であるブイヨンを異なる温度で調理したとき、各ブイヨン中の遊離アミノ酸、有機酸、糖、無機イオンを測定し、加熱温度の違いがブイヨンの呈味成分に及ぼす影響を調べた。ブイヨン調製のための最適加熱温度が95℃(適温)であることを確認したうえで、この温度よりも高い98℃(高温)、より低い温度80℃(低温)でブイヨン調製を行った。冷水に牛肉、鶏肉を投入し強火で25分間加熱し沸騰させ、灰汁を除去した。次に、野菜を投入し、再び加熱し設定温度に到達した時点を加熱0時間とし、適温と低温は加熱5時間まで、高温は加熱2時間までの1時間ごとに、ブイヨンを取り出し、呈味成分の変動を調べた。適温、高温、低温のいずれのブイヨンにおいてもGluの抽出量が最も高く、適温及び低温5時間で2164及び2013mg,高温2時間で2164mgで、いずれの温度においても全遊離アミノ酸の約20%を占めた。次いで、Ala、Arg、Ser、Lysの順に抽出量が多かった。各ブイヨン中のIMPとGluの濃度から算出したうま味強度(IMPをGluに置き換えたと想定し算出した各ブイヨン中のGlu濃度)は、0.07(低温)、0.13(適温)、0.11(高温)であり、適温調理が最もうま味が強いことが確認された。有機酸は、いずれの温度においても乳酸の抽出量が最も多かったが、温度による抽出量の差は見られなかった。各種呈味成分において最も抽出量が多かったのは糖類であったが、温度の違いによる抽出量の差は認められなかった。無機イオンではKの抽出量が最も多かった。各加熱温度で調製したブイヨンの加熱1時間ごとのサンプルについて、ブイヨン調理に関わったシェフによる味の評価結果では、低温、適温、高温でそれぞれ4,2,1時間後にうま味が感じられたが、高温ではうま味とともに苦味、酸味も感じられた。適温では加熱3時間以降、うま味に加えて厚みやまろやかさが感じられたが、低温では5時間においても厚みやまろやかさは感じられなかった。加熱温度による各種呈味成分の抽出量に差はみられなかったが、加熱温度の違いによる液体の蒸発量の違いが、ブイヨンの味に影響を与えていること、更に、シェフによる味の評価においてうま味に加えて、厚み、まろやかさがブイヨンの仕上がりの判断の要素となっていることが示唆された。加熱に伴いGlnのみが減少することが確認されたが、通常のブイヨンの調製方法とは異なる、低温蒸らし調理ではGlnが残存していることを確認した。低温蒸らし調理では鍋中の温度は常に60℃前後に保たれており、Glnの減少は加熱温度が関係している可能性が示唆された。また、PCAは増加していた。PCAは素材中に含まれる成分ではないため、加熱中に抽出されたGlnから形成されると推察された。3.ブイヨン中に存在するグルタミン(Gln)の加熱による変動ブイヨンの加熱調理工程において、加熱に伴いGlnが減少すること、そして、この現象は温度に関係していることが見出された。Glnの減少のメカニズムを解明するため、Gln水溶液を異なる温度条件で加熱し、生成される化合物をODSカラムを用いて調べた。1mMGln水溶液(pH6.8)を37~98℃の5つの異なる温度帯で1時間から5時間加熱処理した。37℃及び50℃の加熱では、Glnの減少は認められなかった。70℃以上の加熱により、Glnは経時的に減少した。また、それぞれの加熱条件でのPCAの生成量を調べた結果、Glnの減少量とほぼ同量のPCAが生成されることが判明した。さらに、加熱温度が高くなるにつれて、Gln並びにPCAとは異なる溶出位置に新しい化合物の生成が認められた。この化合物をODSカラムによるHPLCで単離し、物質の同定を行った。構造決定にはLC/MS/MSを用いた。その結果、PCA以外に、分子量258を有する化合物が認められた。MS/MS分析によって、この化合物がジケトピペラジン構造持つ可能性があると推定された。本研究では日本料理及び西洋料理で使われる代表的な'だし'として、昆布だし及びブイヨンを取り上げた。前者では、最良の品質を有する利尻昆布の特徴を明らかにすることができた。ブイヨンにおいては、最適条件で調理したブイヨンの呈味成分に関する特徴と加熱により変動するグルタミン誘導体の生成メカニズムを推察した。これらの成果は、より調理の実践に近いプロの料理人の知識や調理工程を科学的に解明すること、さらに調理法の発展や高品質の食品を提供することに資することができたと言えよう。
著者
越河 六郎 藤井 亀
出版者
労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.p229-246, 1987-05
被引用文献数
40
著者
上原 賢祐 齊藤 俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.18-00218, (Released:2018-08-01)
参考文献数
13

Electroencephalogram (EEG) which has a chaotic fluctuation is difficult to analyze. However, quantitative analysis is sufficiently possible since EEG behavior is deterministic dynamics. Our method identifies EEG model parameters experimentally in consideration of chaotic dynamics of EEG. The purpose of this study is to examine the specific characteristics of model parameters. Validation of the method and investigation of characteristics of model parameters were conducted based on alpha frequency EEG data in the relax state and stress state. The results of the parameter identification with the time sliding window for 1 second, the nonlinear mathematical model is shown to produce outputs that can closely match the complicated experimental EEG data. Further, the results showed that the existence of nonlinear term in the EEG analysis is important and the linearity parameter shows a certain tendency as the nonlinearity increases. Furthermore, the activities of EEG become linear on the mathematical model when suddenly changing from the relax state to the stress state. Therefore, it is the effective analysis method that can calculate the degree of concentrate from the dynamics of EEG signal directly. The results suggest that our method may provide useful information in various field including the quantification of human mental or psychological state, diagnosis of brain disease such as epilepsy and design of brain machine interface.

1 0 0 0 OA 康富記

著者
中原康富
出版者
巻号頁・発行日
vol.[20]紙背,
著者
西村 佳奈子
雑誌
崇城大学芸術学部研究紀要 (ISSN:18839568)
巻号頁・発行日
no.9, pp.193-203, 2016

我が国における陶を用いた造形は、古代の呪術や地母神信仰用の土偶に端を発し、続いて古墳時代における葬送儀礼用の生き物や器財を象った埴輪や、中世の信仰主題の狛犬等を経て、近世では仏教主題の陶作品や、香炉や置物へと展開、発展していった。さらに、近代における西洋の美術教育制度や美術・芸術の諸概念、諸技法の導入によるあらゆる面での急速な革新、展開期を経て、現代では窯芸家が陶土を用いて立体の具象作品やオブジェを制作したり、彫刻家が、作品の素材として陶土を用いたりすることは珍しいことではなくなった。つまり、陶工と呼ばれる職人だけでなく、芸術家がジャンルを超えて表現の1素材として陶土を使用するようになったと言える。それは、生き物の生と死の還元を象徴する「土」を用いて作品を制作するという行為や、人間の技術だけでなく、「火」という自然の要素が加わることによって作品が完成される過程に意義を見出しているからである。そして現在、陶土の特性や特質が活かされた優れた立体作品は数多く存在し、日々生み出されてもいる。また、そうした状況と併行して、現在の日本の窯芸界や美術界では、陶土を素材として制作された彫刻作品やオブジェを指す言葉として、「陶彫」という用語を当てることが一般化していると言える。筆者は、彫刻制作者として陶彫制作を幾度か経験する中で、素焼きされた陶土が呈する茜色や紅樺色、炭化した煤色等の多様な色調や、施釉された作品のガラス質の表面がもつ独特の柔らかな肌合いに魅了された。また、それと同時に、窯芸技法や素材に関する深い知識なしには、自身の完成予想像に近づけるのが困難であることにも、逆に醍醐味を感じた。そして、現代作家の陶彫や陶土を素材としたインスタレーション作品を数多く観る中で、作品の素材としての陶土の可能性は極めて大きいと確信するようになった。以上のような自身の経験から、筆者は「陶彫」に興味を覚え、長い歴史的展開を見せた「陶」が、「窯芸」において、呪術や信仰、葬礼、茶道、装飾といった目的から離れて純粋に作品の素材として使用され始める時期や、その転換が何に起因しているのかについて、また、「陶彫」という用語がいつ誰によって使用され始めたのかについて次第に疑問を持つようになった。しかし、それらの問題は未解明であるどころか、「陶彫」に関する研究自体が皆無に近いことが分かった。そこで筆者は、本論文において、以下の構成に従って、未解明の「陶彫」の創始者が誰であり、何故、またいつ陶彫が創始されたのかを解明するとともに、現在幅広く使用されている「陶彫」という用語の定義を試み、さらに開始期から現在に至るまでの展開を寺内と沼田の弟子や孫弟子、日本陶彫会会員の作品の概観を中心に跡付けることで、今後の彫刻制作者、研究者として筆者がとるべき方向性を見極めることにした。
著者
惟村 光宣 富田 和男
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.479-484, 1962
被引用文献数
2

&alpha;-Chloro-&beta;-nitrostyrene誘導体の合成はフェニルアセチレン誘導体を四塩化炭素に溶解して冷却し,これに-10&deg;以下の温度で同じ溶媒に溶解した塩化ニトワシルを加えて防湿下-10&deg;に保ち,数日後に室温としてさらに4~5日放置した後揮発性物質および溶剤を減圧で除き,残留物を減圧蒸留することによって得た.<br> また&alpha;-thiocpano-&beta;-nitrostyrene誘導体は上記&alpha;-chloro-&beta;-nitrostyrene誘導体のアルコール溶液をロダンカリで処理して得た.寒天平板希釈法による上記化合物の植物病原菌に対する抗菌力は, &beta;-ニトロスチレン誘導体のそれに比べていずれも強かった.そして薬害は100&gamma;/mlの濃度でわずかにみとめられる程度である.<br> イネゴマハガレ病菌分生胞子発芽試験では&alpha;-thiocyano-&beta;-nitrostyreneの効力がすぐれていた.しかし種子消毒試験の結果20&gamma;/mlの薬ではほとんどの化合物も効果なく,わずかに1-(<i>p</i>-chlorophenyl)-1-thiocyano-2-nitroetheneが消毒率22.4%を示したのみであった.そして前の寒天平板希釈法による抗菌力と種子消毒効力をみれば, &alpha;-位置換&beta;-ニトロスチレン誘導体の抗菌力は使用濃度では静菌的であることがうかがわれる.<br> また殺虫効力はイエバエ,モモアカアブラムシなどにはほとんど効力なく,特に前者に対しては&beta;-ニトロスチレン, &alpha;-phenyl-&beta;-nitropropene誘導体などよりも劣っていた.しかしキイロショウジョウパエ,ミカンハダニなどに対してはやや効果的であった.

1 0 0 0 OA 甲陽軍鑑

出版者
巻号頁・発行日
vol.巻第二,
著者
岡村 秀昭
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.630, pp.83-86, 2011-07-25

合計はSUM関数で求める/エアコン不使用はG5セルで判断/条件付き書式で文字色を変更/VLOOKUPで達成度を自動表示
著者
宮崎 賢太郎
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
純心人文研究 (ISSN:13412027)
巻号頁・発行日
pp.103-121, 1995-03-10

This paper follows the transitions of an outlook on the other world of Christianity in Japan from the introduction of Kirisitan, by examing the underground era of two and half centuries to modern Kakure-Kirishitan era, and tries to find out how the outlook on the other world of Christianity was accepted in Japan and has been transformed under the complicated Japanese religious soil. This will give one of the clues to clarify the figure of indigenization of Christianity in Japan and will serve to aid in better understanding the present situations in the other world of these people in Japan.
著者
Kakui Keiichi Katoh Toru Hiruta Shimpei F. Kobayashi Norio Kajihara Hiroshi
雑誌
Zoological Science (ISSN:02890003)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.749-757, 2011
被引用文献数
34

Phylogenetic relationships within Tanaidacea were analyzed based on sequence data for the 18S rRNA gene. Our results strongly supported a monophyletic group composed of Neotanaidae, Tanaoidea, and Paratanaoidea, with the first two taxa forming a clade. These results contradict three previously suggested hypotheses of relationships. Based on the molecular results, and considering morphological similarities/differences between Neotanaidomorpha and Tanaidomorpha, we demoted Suborder Neotanaidomorpha to Superfamily Neotanaoidea within Tanaidomorpha; with this change, the classification of extant tanaidaceans becomes a two-suborder, four-superfamily system. This revision required revision of the diagnoses for Tanaidomorpha and its three superfamilies. The results for Apseudomorpha were ambiguous: this taxon was monophyletic in the maximum likelihood and Bayesian analyses, but paraphyletic in the maximum parsimony and minimum evolution analyses.
著者
泉 岳樹 岡部 篤行 貞広 幸雄 花木 啓祐 一ノ瀬 俊明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.171-178, 1999-10-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This paper predicts the effects of the capital relocation on a thermal environment using a meso-scale meteorological model. Five candidate cities, Tomakomai, Nasu, Hamamatsu, Toki and Ueno, are chosen for study areas.The simulation results show that temperature will rise in all the candidate cities after the relocation. The temperature rise averaged over a day is from 0.5 to 1.0 degree centigrade in each candidate city. In the coastal candidate cities, Tomakomai and Hamamatsu, the temperature will rise not only in new capital regions but also in the leeward regions because of the sea breeze.Relative contribution of land cover changes and anthropogenic heat to the temperature rise are also compared. The temperature rise in the daytime is brought mostly by land cover changes. At night the influence of anthropogenic heat becomes large, and in some candidate cities it becomes greater than that of land cover changes. These results imply the energy-saving at night is effective for controllingthe temperature rise in a new capital.