著者
新開 省二 渡辺 修一郎 渡辺 孟
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.577-581, 1993-07-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10

基礎代謝量と関連が深い除脂肪量 (LBM) は加齢とともに減少する. しかし, 40歳代から60歳代の中高年者の基礎代謝量とその関連要因についての重回帰分析の結果からは, LBMの減少のみで加齢による基礎代謝量の減少は説明できなかった. そこで, 除脂肪組織成分 (EBM) と脂肪組織成分 (FTM) ごとの基礎代謝産熱量を性別, 年代別に推定した結果, 男女とも40歳代から60歳代にかけ, EBM単位重量当たりの基礎代謝産熱量が漸次減少していることが判明した. すなわち, 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 活性組織量の減少とともに活性組織単位重量当たりの基礎代謝量が減少していることも関与していることが示唆された.中高年肥満女性に15週間の有酸素運動トレーニングを処方した結果, 全身持久力が向上し, 体構成でEBMが増加し, さらにEBM単位重量当たりの基礎代謝産熱量が21%増加した. 他方, FTMの基礎代謝産熱量には変化を生じなかった. このことから, 中高年者の活性組織の代謝活性ひいては全身の基礎代謝を向上する上で, 有酸素運動トレーニングが有効であることが示された.さらに, 70歳代および80歳代の高齢者では個人差が大きいものの, 日常生活活動レベルが高いほど基礎代謝量が高く維持されているようであった. 身体的運動を継続する, あるいは活動的な生活を送ることによって加齢に伴う基礎代謝の低下を抑制し, 老人のエネルギー代謝を改善することが期待できる.
著者
菅野 正也 林 正和 村勢 則郎 網野 比佐子 北 潔
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.177-180, 2008-12-30 (Released:2017-06-19)
参考文献数
5

For the establishment of successful cryopreservation of Caenorhabditis elegans, freezing survival of the nematode was investigated in the presence of dimethylsulfoxide. When nematodes were cooled to -20 ℃ with the rate of 0.2 ℃/min after ice seeding treatment at -3 ℃, survival rate of the nematode increased with the time of exposure to the DMSO solution before freezing. The rate was above 80% irrespective of the cooling temperature between -20 to -75 ℃. However, the nematodes hardly survived when they were quenched by liquid nitrogen after the pre-freezing at -20 ℃, The rate of freezing survival became higher with the decrease in the pre-freezing temperature before plunging into LN_2. Heating rate also affected freezing survival. Slow heating probably prevented rapid rehydration of the nematode and increased survival rate after thawing.
著者
飯田 修一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.87-92, 1981-05-30 (Released:2017-02-10)

現在教育に使用されているMKSA系は,電気工学的には便利であるが,物理学の研究と教育には極めて不便であることから,MKS有理化対称単位系,略してMKSP系(PはPhysical)の併用が提起される,MKSA系とMKSP系の併用による教育を実行に移す場合,どのような手順で,MKSA系とMKSP系の導入を行うかが問題になる.小中学校段階ではMKSA系で記述して宜しいが,高等学校レベルになり,クーロン則の導入が行われる段階になると,MKSP系の記述を主体とし,MKSA系は単に併記する方式に切り換える.教育の体系化はMKSP系で行い,唯実際の数値と合せる際に,換算表によってMKSA系の量とつなぐことにするとよい.両者ともMKS系なので,式の換算も,数値の換算も極めて容易である.MKSP系の単位はMKSA系の単位にスーパーを左肩に附してそのように呼ぶ.たとえばB=H+M,D=E+Pなので,これらはすべて同一の単位・スーパー・テスラ,^sTで統一される.MKSP系,MKSA系,CGSG系の基本物理定数表と,電磁気量の数値換算表が与えられる.
著者
松江 寿記 大野 俊介 木村 浩 班目 春樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.11, 2005

日本の技術倫理教育では、倫理を知識として獲得する事に重点を置く傾向がある。しかし、倫理問題を解決するには、型にはまった技術倫理の知識だけでは不十分といえる。そこで、我々のグループが開発しているe-ラーニングソフトウェア『技術倫理討論会』は、「ケーススタディ」と「ディスカッション」を中心に据えて設計・構築されている。具体的には、倫理的判断が難しい事例を「ケーススタディ」としてFLASHムービーを用いて表示した。加えて、ケーススタディ別に電子掲示板を用意し、ユーザーがケーススタディの解決方法に関する「ディスカッション」を行う場を提供した。ここで討論することにより、ユーザーは自分自身では思いつかなかったような対処法や他人の価値観を知り、独り善がりな考え方に陥る事を予防する。本ソフトウェアをWWW上で公開し、その結果を検討・考察し、より効果的な教育プログラムの開発を進めていく。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[248],

1 0 0 0 OA 植物図説雑纂

著者
伊藤圭介 [編著]
巻号頁・発行日
vol.[139], 1800

1 0 0 0 OA 潮待ち草

著者
幸田露伴 著
出版者
東亜堂
巻号頁・発行日
1906
著者
小西 良昌 吉田 精作
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.375-380, 1987

有機リン農薬のマラチオンとフェニトロチオンの1日摂取量について; 30歳代の女性6名の1週間の全食事陰膳法により採取し測定した。マラチオンの検出率は26.2%, 1日摂取量は最大値7.72μg, 平均値0.88μgであった。フェニトロチオンの検出率は21.4%, 1日摂取量は最大値3.89μg, 平均値0.47μgであった。<BR>小学校給食からのマラチオンとフェニトロチオンの摂取量を23日間にわたって測定した。マラチオンの検出率は73.9%, 摂取量は最大値3.58μg, 平均値1.11μgであった。フェニトロチオンの検出率は47.8%, 摂取量は最大値2.92μg, 平均値0.51μgであった。<BR>マラチオンとフェニトロチオンの汚染源は, 小麦粉であり, 陰膳においてマラチオン, フェニトロチオン摂取量の多い日には, お好み焼き, うどん, マカロニグラタン, フライ, 天ぶら等小麦粉を多く喫食していた。小学校給食において, パン食の日からはつねにマラチオン, フェニトロチオンが検出されたのに対し, 米飯食8回のうち6回はどちらも検出されなかった。また, マラチオン, フェニトロチオンの高かった日にはパンの他にも小麦製品を喫食していた。<BR>玄小麦, 小麦粉, 小麦製品について実態調査を行ったところ, 輸入 (アフリカ産) 玄小麦4検体からは, マラチオンとフェニトロチオンの両方が検出された。小麦粉をはじめ, 麺類, ビスケット等の小麦製品にも汚染がおよんでいることがわかった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1051, pp.180-184, 2000-07-24

長野県JR茅野駅から車で20分。蓼科高原の入り口にある英国式庭園「蓼科高原バラクラ・イングリッシュ・ガーデン」に、愛好家が次々と訪れた。6月中旬のフラワーショーには、南は九州から北は東北までバスツアーが組まれるほどの人気ぶりだ。 オールドローズやブルーベルなど英国直輸入の草花が咲き乱れる庭園風景。ひたすら一眼レフのカメラで撮り続ける人。
著者
小杉 伊三夫
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.209-220, 2010-12-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
125
被引用文献数
2 3

ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV,HHV-5)はヘルペスウイルス科のサイトメガロウイルス属を代表する2本鎖DNAウイルスである.ゲノムサイズは235 kbで,予想されるORFは250に上りヒトヘルペスウイルス中で最大である.幼小児期に不顕性感染し,その後,潜伏・持続感染によって人体に終生寄生する.免疫が脆弱な胎児や臓器移植・AIDS患者などではウイルス増殖による細胞・臓器傷害で生命を脅かし,胎内感染では小頭症,難聴,精神発達遅滞を生ずる.ゲノムには多数のアクセサリー遺伝子が存在し,この多くが免疫回避や細胞死抑制作用に関り,ウイルスはこれらの遺伝子産物を用いて宿主と共生する.潜伏感染が確認されている細胞は骨髄球系前駆細胞である.潜伏感染と再活性化の機構は解明されつつあるが,その分子メカニズムの全貌は未だ明らかではない.本邦では母体の抗体保有率の低下による母子感染の増加が危惧され,経胎盤感染に対する予防策の確立が急務となっている.最近HCMV臨床株特有の血管内皮・上皮細胞への侵入機構が明らかとなり,これを阻止する中和抗体やワクチンの開発が期待されている.さらに,加齢に伴ったHCMV反応性T細胞の増大が,免疫の老化を進行させる最も大きな要因と考えられている.