著者
Hui Zhu Dong Zeng Qiang Wang Ning Wang Bo Zeng Lili Niu Xueqin Ni
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology · The Japanese Society of Soil Microbiology
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
pp.ME17163, (Released:2018-07-25)
被引用文献数
14

Diarrhea is often associated with marked alterations in the intestinal microbiota, termed dysbiosis; however, limited information is currently available on the intestinal microbiota in captive golden snub-nosed monkeys (Rhinopithecus roxellana) with diarrhea. We herein characterized the fecal microbiota in diarrhea and healthy monkeys using the Illumina MiSeq platform. The concentrations of fecal short-chain fatty acids (SCFAs) and copy numbers of virulence factor genes were also assessed using gas chromatography and quantitative PCR (qPCR), respectively. The results obtained showed that diarrhea monkeys harbored a distinctive microbiota from that of healthy monkeys and had 45% fewer Bacteroidetes. Among healthy subjects, old monkeys had the lowest relative abundance of Bacteroidetes. Linear discriminant analysis coupled with the effect size (LEfSe) and canonical correlation analysis (CCA) identified significant differences in microbial taxa between diarrhea and healthy monkeys. A PICRUSt analysis revealed that several pathogenic genes were enriched in diarrhea monkeys, while glycan metabolism genes were overrepresented in healthy monkeys. A positive correlation was observed between the abundance of nutrition metabolism-related genes and the individual digestive capacities of healthy monkeys. Consequently, the abundance of genes encoding heat stable enterotoxin was significantly higher in diarrhea monkeys than in healthy monkeys (P<0.05). In healthy subjects, adult monkeys had significant higher concentrations of butyrate and total SCFAs than old monkeys (P<0.05). In conclusion, the present study demonstrated that diarrhea had a microbial component and changes in the microbial structure were accompanied by altered systemic metabolic states. These results suggest that pathogens and malabsorption are the two main causes of diarrhea, which are closely related to the microbial structure and functions.
著者
永迫 俊郎 箕田 友和 髙山 正教
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>はじめに </b>「種子島・海の学校」は2016年7月で8回目となる短期集中型のサイエンスキャンプである.本研究は,野外教育の有する多角的な効果について,海の学校を事例に明らかにしようとする試みで,子どもたちがどのように成長したか,種子島という地理的条件を踏まえつつ考察していく.全貌の理解が困難といえる野外教育に対して,環境地理学の視点から独自にアプローチできればと意図された研究である.<br><br><b>3</b><b>回の参与観察 </b> このサマーキャンプを総括する教頭先生のH氏の勧めにより,髙山は2014,2015,2016年7月の三度,箕田は2015,2016年7月の二度,海の学校のスタッフを務める好機を得た.子どもたちは教室から離れて日常生活とは異なった自然環境の中で生活することによって,はだで自然に触れ,大自然の懐の中に入ることによって全体として自然についての理解を深め,生物相互の依存関係や人間と自然との関係についての理解をも深めることができる(江橋,1987)という野外教育の最大の特色に注目しながら,4泊5日,3泊4日で行われた活動全般について参与観察を行った.<br><br><b>海の学校の活動内容 </b>種子島・海の学校は,浦田海水浴場でのキャンプを基軸に島中をくまなくまわるメニューが用意されている.参加者は理科実験を取り入れたサイエンス塾にふだん通っており,多彩なプログラムの中から種子島を選んだ子どもたちを塾のスタッフが大阪や広島から引率してくる.塾の先生も同行するものの,サイエンスキャンプ中は現地スタッフが主導権を握る.大阪と広島の子どもが一緒になることはなく,参加者数(10~30名)およびこれに連動する予算規模に応じてメニューや現地スタッフの人数が調整される.<br> スタッフは子どもから先生と呼ばれ,様々な野外活動を共に行い健康・安全管理,食事の準備等をする.活動内容の計画や遂行はH氏が統括し,必要時には助っ人が合流する.内容は,犬城海岸での古第三紀の化石採集から宇宙科学技術の最先端である種子島宇宙センター見学まで多岐にわたり,エリア的にも最北端の喜志鹿﨑灯台から南東部の宇宙センターまで種子島を縦断するものである.拠点は島の北端近くにある浦田海水浴場で,西之表市街地から多少離れた場所に位置し,砂浜と隣接する浦田キャンプ場は自然豊かである.<br> <br><b>子どもたちの成長</b> 子どもたちは観察や採集を通して自然環境の諸事象に興味・関心を抱き,とくに採集時には工夫を凝らし積極的に行動していた.自然の美しさに対する感動や面白さを出発点とし,主体的に行動を起こし創意工夫に至る一連のプロセスの中で,子どもたち同士が互いに働きかけ成長する場面もあった.遊びの体験,自然とのふれあい,生活体験・労働体験と大人側は分類してメニューを提供するが,子どもの側にとってそうした類型化は意味をなさずそれらは融合し独自の色合いを帯びてくる.子ども特有のこうした化学反応が促進されるのは,直接体験という五感を駆使した本物の経験があってこそである.ダイビング体験は,海の学校が用意している子ども成長反応の触媒の一つである.<br> &nbsp;教室における学習と違って野外教育は計画通りに催行されるとは限らず,変更を余儀なくされることも少なくない.海の学校2014は台風接近のため1日旅程が短縮され,帰路の高速船での船酔い体験もできれば避けたかったが,予期せざる学習場面としては非常に好例である.台風と波浪も成長反応の触媒となりうる.また,自然や環境を総体としてシームレスに理解する手がかりは,体系化された個々の教科教育の中にはなく,子どもたちが五感を使った直接体験にこそ潜んでいる.多感な子どもの成長にとって,実際の現場に身を置いてこそ得られる自然の豊かさや美しさに対する感動,心を揺り動かされる経験が鍵を握っている.野外教育の多角的な効果のお陰で,子どもたちは確かに成長して帰って行った.<br><br><b>まとめ</b> 教育は指導者と子ども,子ども同士の相互作用の結果と痛感させられる.野外教育について,裾野の広がりと多彩な教育的効果をある程度明示できたのは,個々の活動に焦点を絞らず全体を通した解釈を試みたためと考える.個体進化は系統進化の過程をたどるというが,海で誕生した生命の一枝である我々人間は母胎の思い出も影響してか海に親近感をおぼえる.前半2泊は,波の音が子守歌になる浦田浜でのキャンプである.海水浴やダイビング体験はまさに海に入る.海での遊びの体験で起こし,自然とのふれあい(解説)さらに生活体験・労働体験を盛り込み,フィールドも種子島一円に広げていく.「野外のための」,「野外についての」,「野外による」の三要素をカバーし,種子島ならではのロケットセンターでサイエンス塾の子どもたちに未来像を描かせる.一連の活動に常に寄り添うのは種子島の美しい海である.
著者
兒玉 幹夫
出版者
関東学院大学人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.102, pp.41-59, 2004

フランス革命のスローガンであった「自由,平等,友愛」は、広く近代社会の普遍的価値として認められている。自由と平等については、これまでしばしば論じられてきたが、友愛に関する議論は極めて少ない。そこで、まずフランス革命期に友愛思想がどのようにして登場してきたかを追究する。次いで、革命後にサン-シモンが博愛思想を展開するに至る思考過程をたどる。続いてコントによる愛他主義の社会学理論としての性格づけをおこなった。これらの思想をふまえた上で、友愛,博愛,愛他主義の社会学史上の意義を検討して、主観主義と客観主義の両面から研究する必要を主張した。最後に、友愛思想の現代的意義を探り、災害、福祉、国際協力などにおける組織的ボランティア活動に実践としての友愛を認めた。
著者
内海 麻利
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.535-540, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
22

近年、日本では、地方分権を背景として、地域の実情に即して、資源、人材や組織を活かしながら観光政策や都市マネジメントを推進していくことが重要になってきている。とりわけ、基礎自治体を重視した公共団体間の役割分担の明確化や、公共団体と民間主体が協調し、民間が力を発揮できるために、各主体の法制度上の位置づけが課題とされている。一方、フランスでは、1980年代以降の地方分権改革に伴い、制度・機構改革が行われてきており、これまで地域振興や観光政策を担ってきた非営利団体等やその活動を、基礎自治体が公認する「公定化」の仕組みが制度上整えられてきている。そこで、本研究では、フランスの観光政策の主体に着目し、観光政策にかかわる法制と政策主体の活動実態を「地方分権」「公定化」という観点から考察することで、各主体の役割や制度上の位置づけを明らかにし、都市マネジメント主体のあり方を示唆する。
著者
田中 正之 松永 雅之 長尾 充徳
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第25回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.91, 2009 (Released:2010-06-17)

食べた物を吐き戻し,その吐しゃ物を再び食べるという吐き戻し行動は飼育下のゴリラでよく見られる異常行動の一種である。京都市動物園に飼育されているニシゴリラ1個体(ゲンキ,女,観察開始時22歳)も,幼時から常習的に給餌後の吐き戻し行動が見られていた。 本研究では,屋内での夕食給餌時に見られた吐き戻し行動を観察,記録し,吐き戻しの様態を分析した。観察は屋内居室に入ってからの45分間おこない,この間に起こった吐き戻しについて入室してからの経過時間を記録した。30日間分の記録を分析した結果,1日あたりの平均吐き戻し回数は23回であり,観察時間の間中,約1分間隔で吐き戻してはその吐しゃ物を食べるという行動を繰り返した。 吐き戻しの過程を観察したところ,やわらかく水分の多い果物や葉もの野菜などを一気に食べては吐き戻す一方で,水分の少ないイモやカシの葉を食べると吐こうとして失敗する場合が見られた。一度吐いた後は吐しゃ物を再び食べてはまた吐くという行為を繰り返した。対策として給餌品目の変更を試みた。 水分が多く,量も多かった白菜を草食獣用の青草やクローバーに変更して与えたところ,青草やクローバーを食べた後の吐き戻しはほとんど見られなくなった。これに加えて,居室に藁を入れ,給餌食物を藁の中に混ぜ込んで採食時間の延長を試みた結果,夕食時の吐き戻しはほとんど消失した。 吐き戻し防止の対策としては,居室内に藁を敷くことで防止効果があることは先行研究で報告されていたが,今回の試みにより,吐きにくい食物を与えることも効果的であることがわかった。給餌品目に青草などを導入することで吐き戻しを防止する試みは,日本モンキーセンターでもおこなわれており,その効果が報告されている。吐き戻し防止の有効な方法のひとつとして考えられる。 今後は,屋内だけでなく,屋外運動場でもおこなわれている吐き戻しにも対策を検討したい。

1 0 0 0 交通技術

著者
交通協力会
出版者
交通協力会
巻号頁・発行日
vol.26(13), no.322, 1971-12
著者
Yoon Byung-Il Jung Su-Youn Hur Kwon LEE Jae-Hyun JOO Kyung-Hwan LEE Yong-Soon KIM Dae-Yong
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1303-1310, 2000-12-25
参考文献数
27
被引用文献数
12

卵円形細胞ovall cellは肝障害後に現れ, 肝細胞と胆管細胞の母細胞と考えられている.ジエチルニトロサミンと2-アセチルアミノフルオレンを投与して肝吸虫(Clonorchis sinensis; CS)を感染させたハムスターから分離した卵円形細胞を2週間培養し, その分化と可塑性について電顕と免疫染色で調べることによって評価した.CSを感染させていない細胞の2週間培養で, グリコーゲン顆粒とぺルオキシソームがみられた.免疫組織化学的に培養1週間後からのサイトケラチン19に対する明瞭な反応が増加し, アルファフェト蛋白に対しては徐々に減少した.このことはCSに感染していないハムスターより分離した卵円形細胞は肝細胞系に分化したことを意味した.しかし, CS感染グループからの培養細胞は, 多くの粗面小胞体を有し, CS感染細胞からのものと相対的に逆の反応を示した.このことはCS感染からの分離細胞はCSに最初に刺激されて胆管系の方向へ分化したことを意味した.この研究の結果, 卵円形細胞は実際には肝細胞と胆管細胞の両極性の母細胞で, 最初に刺激する要素によってどちらかの方向へ分化可能であることを示唆している.