著者
菅野 孝彦
出版者
東海大学
雑誌
総合教育センター紀要 (ISSN:13473727)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.57-67, 2003-03-30

リルケは, 1915年に訪れたミュンヘン在住の作家ヘルタ・ケーニヒ夫人宅の一室に飾られていたピカソが描いた『軽業師の家族』(Famille de saltimbanques, ワシントンナショナルギャラリー,212.8×229.6cm,油彩)に深い感銘をうけ,かつてパリで見た軽業師たちの技の数々をも思い起こしつつ,後に1922年『ドゥイノの悲歌』の第五歌を書き上げた。われわれは,ここで,ピカソとリルケとの間に伝記的交流を見ることはできない。しかし,『軽業師の家族』という一枚の絵を通じたピカソとリルケの結びつきを,すなわち一人の画家と一人の詩人との間の真の交流をかいま見ることができるのではなかろうか。それはまた,『軽業師の家族』という絵画作品と『ドゥイノの悲歌』という詩作品との間に架橋される橋を現出させる試みとなるのではなかろうか。
出版者
時事新報社
巻号頁・発行日
1933
著者
竹中 和子 藤田 アヤ 尾前 優子
出版者
広島文化学園大学
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.24-30, 2004-03-27
被引用文献数
1

子どもの死の概念に関する多くの研究は,学童期以降を対象にしている。しかしながら,3歳児でも死について考えており,死の不安を言葉で表現したという報告もある。病気を持つ子どもへのインフォームド・コンセントやデス・エデュケーションの問題を考えるうえでも,幼児期からの死の概念の発達について明らかにしていくことが必要である。本研究では絵本を基に作成した紙芝居を用いることで,幼児期のうち簡単な質問なら答えることのできる3歳以上の健常幼児における死の概念について明らかにようとした。調査の結果,以下のことが明らかとなった。(1)死の不動性は,4歳7ヶ月から理解し始め,6歳前後でほとんどの幼児が理解していた。(2)の不可逆性は,3歳9ヶ月から理解し始め,6歳前後でほとんどの幼児が理解していた。(3)死の普遍性は,4歳3ヶ月から理解し始め,6歳2ヶ月以上でほとんどの幼児が理解していた。(4)幼児における死の概念の発達には身近な死の経験,アニミズム,マス・メディアなどの要素が関わっていることが予測された。(5)年少の子どもに対しても,生の問題として死を考えるデス・エデュケーションに取り組んでいく必要性が支持された。
著者
中原 英臣
出版者
文芸春秋
雑誌
週刊文春
巻号頁・発行日
vol.41, no.27, pp.46-49, 1999-07-15
著者
出原 千寛 石原 みさ子 北嶋 宏美 木村 友哉 秋山 隆一 四方 實彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CdPF2036, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 頸椎除圧術後に、新たに第5頸髄節領域を中心とした麻痺が5~30%の確率で生じる(以下C5麻痺)ことがある。C5麻痺について多数の研究報告があるが、発生機序や病態、効果的な治療方法などはまだ明らかにされていない。また、C5麻痺の発生から回復までの経過を追った報告は少ない。C5麻痺患者に対して適切な治療の選択や患者教育を行うために、麻痺の回復過程の理解は必須である。 我々は第21回京都府理学療法士学会においてC5麻痺患者の麻痺の回復が良好であった例と遅延した例を比較し、遅延例の特徴を回復遅延項目と定義し報告した。今回我々はC5麻痺患者の回復過程を詳細に示し、回復遅延項目を活用した予後予測が可能であるか検討した。【方法】 2009年1月から2010年9月までに当院にて頸椎除圧術を施行した208例のうち、15例が術後にC5麻痺症状を呈した(発生率7.2%)。そのうち第5頚髄節の支配筋の麻痺を呈した13例(男性10名、女性3名、年齢:67.9±7.3)を対象とした。 算定上限日数(150日)内にMMT3以上に至らない例を予後不良と定義した。回復遅延項目は、(1)頸椎後縦靱帯骨化症もしくは歩行障害(頸椎機能判定基準の下肢の項目が1.5点以下)を有している(2)術前の肩・肘関節のMMTが3以下(3)術前の自覚症状発生から手術までの期間が1年以上(4)C5麻痺が術後翌日に発生している(5)麻痺発生時の麻痺筋のMMTが1もしくは0とした。 対象者の麻痺発生から最終評価までの期間(平均116.0±5.0週)の三角筋前部のMMT、端座位での肩屈曲の自動関節可動域(以下、A-ROM)のデータを、カルテから後方視的に調査した。本研究は倫理審査委員会で了承された(2010-1)。【説明と同意】 頸椎除圧術の対象者に対して、術前に研究・学会発表等におけるデータの活用を書面にて説明し了承を得た。【結果】 C5麻痺患者のうち算定上限日数以上もしくはMMT3以上に至るまで経過を追えた症例は、13例中7例であった。7例中5例が予後良好、2例が予後不良であった。予後良好であった5例のうち4例は、回復遅延項目に該当せず3ヶ月以内にMMT4以上に回復した。残りの1例は2項目に該当し、麻痺発生から5ヵ月後にMMT3に至った。予後不良であった2例は3~4項目に該当し、算定上限日数を超過してもMMT3以上に至らなかった。 回復遅延項目数が2項目だった1例のA-ROMは、回復遅延項目に当てはまらなかった4例と比較して、麻痺発生時から算定上限日数まで緩やかな回復過程であった。予後不良であった2例のA-ROMは、麻痺発生時から最終評価時までほぼプラトーであった。【考察】 回復遅延項目数が少ないほどMMT3以上に回復するまでの期間が短く、項目数が多い症例ほど経過が長くなる傾向であった。 A-ROMの結果からC5麻痺の回復過程は以下の3つに分類できる。1~3ヶ月で回復が見込まれる群(以下、グループA)、回復するまでに長期間を要する群(以下、グループB)、回復の見込みが少ない群(以下、グループC)である。また、これらのグループの回復遅延項目数は、グループAが0個、グループBが2個、グループCが3~4個であり、回復遅延項目数を活用することでC5麻痺患者の予後予測が可能であることがわかった。 細野らはC5麻痺の予後は良好で数ヶ月で自然回復すると報告している。しかし、実際には経過が長くなる患者や予後不良な例を経験することがある。グループAに対しては、麻痺の回復に応じて筋力増強訓練や動作練習など機能的な訓練を積極的に行っていく必要があるが、グループBやグループCに対しては、理学療法を行う際に代償運動や筋の過用・廃用に注意を払う必要がある。そのため、麻痺筋に対して正しい運動方向での収縮を学習させたり、麻痺筋以外の筋群の二次的な筋力低下を防ぐ治療や関節可動域訓練を行ったりするなど二次障害を予防する治療が中心となってくる。 このようにC5麻痺発生直後にグループに分類し予後予測をすることで、患者の経過に合わせた適切な治療の選択が可能となり、患者に対するC5麻痺の説明や患者教育をより詳細に行うことができる。【理学療法学研究としての意義】 C5麻痺患者の回復過程を詳細に示した報告はなく、臨床において予後予測が困難であった。C5麻痺患者の回復過程を示し、回復過程を3つの群に分類することができた。回復遅延項目数によってC5麻痺患者の麻痺発生時点での予後予測が可能となった。これらは、理学療法を行う際のプログラムの立案やゴール設定の際の指標となる。さらに患者へのC5麻痺の情報提供がより的確に行える。
著者
渡辺 義郎 山本 康弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.89, 1963-09

この研究は、異形三角鉄筋を引張主筋として用いる場合の、重ね継手の長さと耐力および変形の関係を明らかにすることを目的として行ったもので、ここに報告するものはスパン長き約2mの梁を作成し、その引張主筋に16mmの異形三角鉄筋を使用し、中央部に設けた重ね継手の長さを種々変化し継手のないものと比較しながら亀裂の状況および鉄筋内部の応力状態などを調べた。
著者
中島 保彦
出版者
神戸製鋼所
雑誌
神戸製鋼技報
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.177-197, 1963-07
著者
川島 秀一
出版者
神奈川大学
雑誌
民具マンスリ- (ISSN:09123253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.6657-6668, 1997-08

1 0 0 0 自治農民

著者
農民自治會
出版者
自治農民発行所
巻号頁・発行日
1926
著者
前杢 英明
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.747-769, 1988
被引用文献数
5

プレート境界に沿って発生する巨大地震に伴う隆起地域として知られる室戸半島において,石灰質遺骸,海成段丘,離水波食地形を指標として,完新世における海水準の復元を試みた.これらの旧海水準指標は,垂直的に数10cm~数mの間隔を持った間欠的な分布を示し,I~VIの6つの旧海水準(レベル)が識別された.各レベルに対応する旧海水準指標は,<sup>14</sup>C年代から,それぞれ1:6,000~5,000y.B.P,,II:4,000~2,700y.B.P., III:2,600~2,200y. B. P., IV:2,000~1,100y.B.P.,V:1,000~800y.B.P., IV:700~200yB.P.に形成されたことが判った.認められた海水準の不連続的変化から,間欠的な地震隆起 (event 6~event 1)の存在を推定し,各eventについて隆起量の分布を復元したところ,内陸活断層の変位と重合した複雑なパターンを示す場合があることが明らかになった.本地域では,室戸岬における1回の地震による残留隆起量が0.2~0.3m程度の南海道地震(1946年,M=8.1)タイプの地震隆起が累積するような地殻変動が推定されてきたが,完新世においてはそのような地震隆起の累積はみられず,地震1回の残留隆起量がより大きな(最大数m)地震変位の累積が認められた.
著者
小池 清廉
出版者
龍谷大学
雑誌
佛教學研究 (ISSN:02870312)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.29-55, 2012-03-10