著者
篠美紀
雑誌
耳喉頭頚
巻号頁・発行日
vol.75, pp.740-743, 2003
被引用文献数
2
著者
坂本 義峰 児玉 雄二 青木 啓成 村上 成道
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2255-CbPI2255, 2011

【目的】投球動作を全身の運動として捉えることは重要とされている。われわれは投球動作について運動軸を中心として考え、体幹機能の評価を主としたパフォーマンステスト(PF)を行っている。PFを用いたメディカルチェック(MC)を某長野県立高校野球部(高校野球部)に対して行ない、結果を第44回、45回日本理学療法学術大会、第7回肩の運動機能研究会において報告した。今回の目的は3年間に得られたデータよりMC毎のPF、関節可動域(ROM)と肘関節痛(肘痛)を有する選手の人数の推移から肘痛の予防と改善について考察することである。<BR>【方法】対象は平成20年に入部した高校野球部員25名のうち、外傷により長期離脱した2名を除いた23名とした。MCは 20年4月、8月、12月、21年4月、8月、12月、22年4月の計7回行ない、PFとROMを計測した。運動軸の評価のうち8種目をPFとして実施し合計12点を満点とした。ROMは肘関節屈曲、伸展、肩関節屈曲、外転90°での内外旋、屈曲90°での内旋、水平内転、股関節屈曲、伸展、内旋、外旋の11項目であり、肘関節、股関節は左右差なしを1点、肩関節は左右差10度以内を1点とし合計11点を満点とした。ここでの肘痛とは内側型、外側型等の分類はせず、投球動作において疼痛を有するものとした。MC毎のPF、ROM、肘痛を有する選手の人数の推移をそれぞれ比較検討した。検定にはWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。有意確率は5%未満とした。<BR>【説明と同意】MCは同校の依頼で実施し、事前に指導者と選手にはMCについての説明を行ない、同意を得た。<BR>【結果】MC毎の肘痛を有する選手数はのべ20名で20年の8月から20年12月にかけて増加し、さらに21年の4月に最も多く認め、その後減少した。肘痛により長期離脱した選手は20年12月に約2週間十分に投球できなかった選手1名のみであった。<BR>PFの平均点は、20年6.5±2.7点、21年8.8±2.5点、22年10.7±1.8点と徐々に増加する傾向にあり、20年4月と20年8月、21年4月と21年8月の間に有意な増加を認めた(P<0.05)。<BR>ROMの平均点は、20年6.4±1.4点、21年6.1±2.3点、22年4.2±2.8点と緩やかに減少する傾向にあり、20年12月と21年4月では優位な増加を、21年4月と21年8月では優位な減少を認めた(P<0.05)。<BR>【考察】20年12月から21年4月にかけてROMの点数は有意に増加し、ROMの改善を示しているにも関わらず、肘痛の選手数が増加したことは、ROMの改善のみでは肘痛を予防し得ないことが推察された。また、21年4月から21年8月にかけてROMの点数は有意に低下したにも関わらず、肘痛の選手数が減少していたことは、PFの点数が有意な増加を示したことが要因ではないかと推察された。PFが高い値を維持している21年8月以降も同様に肘痛の選手数は少ない値を推移している。これらのことより、肘痛の予防においては、ROMの改善のみでは不十分であり、PFで高い点数を得られる身体機能にしていくことが重要であると推察された。同校にはMC以外にも、運動軸の改善を目的としたセルフケアやトレーニング方法をチーム全体や個別に指導しており、その結果肘痛の改善と予防に効果があったのではないかと考えている。<BR>【理学療法学研究としての意義】障害予防に対する意識が広がり専門的な知識を必要とする監督や選手が増えている中、野球の現場へストレッチや筋力強化などの知識を持った理学療法士が介入することは有用と考えられる。野球の現場に臨む際は、選手に対し短時間で良い反応を引き出すことが求められ、そのためには全身を簡便に評価する必要がある。MCに用いた評価方法は野球現場での障害の改善と予防に対して効率的な評価が行なえるとともに、点数化したことにより選手自身にも指標となりやすい基準であったのではないかと考える。現場に赴いて成長期の経時的な変化を追い、時期に応じたケアやトレーニングを調整することにより障害がなく練習を継続できる身体機能にすることは意義があると考える。<BR>
著者
申 鉄龍
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集 第54回システム制御情報学会研究発表講演会
巻号頁・発行日
pp.100, 2010 (Released:2010-08-19)

This lecture focuses on modeling and control design problems for internal combustion engines. First, in-cylinder engine model is introduced which describes the behavior of the dynamics of individual cylinders, and so-called mean-value model, which is much convenience for control design, is explained with demonstration of experimental validation. Then, several control design problems such as speed control and the cold-starting control will be introduced with the demonstration of experimental results.
著者
楠原 直樹
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.125-129, 1962 (Released:2010-10-29)
参考文献数
4

The postwar prosperity of the port of Misaki has much to do with the growth of the oversea fishery. The increase of the catch has been chiefly due to that of the tuna. At that time Japanese boats were excluded from the fishing grounds of Antarctic and Arctic Oceans, and the large companies like Taiyo Fishing Co., Nichiro Fishing Co. and etc., set their establishments in Misaki, and covered to tuna fishery. The number of medium and small companies and shipowners for thg oversea fishery also increased in this period. They started the tuna fishery in the South Pacific and the Indian Oceans as soon as the limitations of fishing-grounds were removed after the conclusion of the Peace Treaty in 1952.Since 1953, the increase of the number and the size of fishing boats has been accelerated, the trend was especially remarkable in Misaki and it has been so till now.In April in 1962, the number of the fishing boats belonging to Kanagawa Prefecture engaged in tuna fishery was 172, though that was 116 in 1953. Moreover the increase in size is remarkable and the total tonnage of ships for this prefecture was 69, 300 in 1962. It is 3.7 times larger than 18, 400 tons in 1953 and is 5.5 times larger than that in 1951. In 1960, the national average tonnage of ships was 193, and that of Kanagawa Prefecture was 363.The landing of the tuna at Misaki Port was increasing until 1955, but it has been decreasing since. Thus gradual increase in number and rapid increase in size of boats have been going on, but on the other hand, the landing of fish has been decreasing. In contrast to the decrease of the landing at Misaki Port, that landing in the national total has been increasing.We cannot explain the fact through the location of the port in relation to the market. Part of the reason will be the changes in the fishing grounds, while another part will be reduced to the difference of accommodations at various ports concerned.(1) The catch was increasing until 1955, owing mainly to the increasing number of larger ships.(2) Since 1956, operations in the Atlantic, the South Pacific and the Indian Oceans became prominent, and the landing at European countries and Samoa Islands has also been increasing rapidly.(3) The landing at the ports engaged in export, for instance, Shimizu, Kurihama and Yokohama has been increaing, while the landing at Misaki is decreasing.(4) More and more, the system of the tuna fishery has been organized and controled by fishing companies and trading firms with capitals.* In this paper, the word tuna stands for Japanese maguro, which includes various kinds of tuna as well as frigate mackerel and other fishes.
著者
市瀬 龍太郎 シャピロ ダニエル ラングリー パット
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.730-740, 2004-06-01

本論文では,エージェントが他のエージェントの行動を観察することによって,行動制御プログラムを学習する問題について取り扱う.特に,他のエージェントの観察から行動を説明し,そのエージェントの行動を再現できるような,階層的でリアクティブなプログラムをどのように学習するかについて述べる.本論文で観察する行動とは,複数のエージェント間で共有されている複数の選択肢をもつ行動である.本論文で提案する学習手法は,三つの段階を経てプログラムを構成する.最初に,順序性のないプロダクション規則を学習する.次に,それらの規則を分類階層として結合する.最後に,この分類階層を階層的でリアクティブなプログラムに変換する.この手法を使うと,結果として簡潔で分かりやすいプログラムを学習できる.
著者
安藤 剛寿
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 2001-11-01

コンピュータを用いたゲームは, 以前から学術的な研究の素材として取り上げられることが多く, 近年, チェス, オセロなどの完全情報ゲームのいくつかでは, コンピュータが人間のチャンピオンに勝つという成果を納めた.しかし, 不完全情報ゲームには, 特有の問題が数多く存在するため, 完全情報ゲームの手法をそのまま不完全情報ゲームに適用することは難しい.本研究では不完全情報ゲームの一つであるコントラクトブリッジのビッドを例題として, 仮説推論機能をもつエージェントを用いて, そのような問題の解決に挑戦した.本論文では, まず, 不完全情報ゲームの新しいモデルを提案した.このモデルでは, ゲームを行うプレイヤをエージェントとし, このエージェントはゲームに関する知識と, 隠された情報をアブダクションにより推論を行う能力, 推論した情報から行動を決定するための判断基準をもつものとした.次に, 提案したモデルに基づいて, コントラクトブリッジのビディングをマルチエージェントシステムとしてモデル化した.ここでは, 各エージェントは, パートナーと協力して利益を最大にし, 敵と競合して損失を最小にするように振る舞う.そして, 制約論理プログラムを用いて, このモデルの完全な実装を行った.商用のコンピュータブリッジとの対戦や, さまざまな条件下での実験を行い, 人間的な柔軟性と, 商用のシステムに勝るとも劣らない実力を確認し, モデルの有効性を示した.また, エージェント間の推論の入れ子構造や協調のための接近原理, 競合のための情報交換阻止など, ほかの不完全情報下でのマルチエージェントシステムにも有用と思われる知見を得ることができた.
著者
吉井 昌彦
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_51-2_57, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
14

中・東欧諸国における政府-企業間関係は,EU 加盟交渉の中で,EU の競争・産業政策に準拠することが求められたため,国家支援,投資優遇措置等はむしろ既加盟国を下回る水準にまで低下してきた.もちろん,政府と企業の間に汚職などの非公式な関係が残っていることは否定できないが,これらの非公式な関係は,欧州委員会の政策により矯正され,中・東欧諸国の政府-企業間関係は,旧ソ連諸国と比べて,希薄なものとなるであろう.
著者
村中 孝司 大谷 雅人
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.131-135, 2009-05-30
参考文献数
27

Recently, local governments in Japan have published Red Data Books as a baseline for regional biodiversity management. However, these books often lack explicit criteria for selecting endangered species and the detailed information required for implementation of effective conservation programs. Considering these problems, we compiled a Red Data Book of endangered vascular plant species for Ushiku City, Ibaraki Prefecture, based on an objective approach. We also tried to infer practical measures required for conservation of each species described in the new book.
著者
兼子 伸吾 太田 陽子 白川 勝信 井上 雅仁 堤 道生 渡邊 園子 佐久間 智子 高橋 佳孝
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.119-123, 2009-05-30
参考文献数
34
被引用文献数
1

The aim of this study was to evaluate the comparative importance of habitat types for the conservation of biodiversity. We determined the number of endangered vascular plant species for each habitat type using the regional Red Data Book that contains information for five prefectures in the Chugoku region, western Japan, together with data on the area covered by each habitat type obtained from the fifth national vegetation survey. The habitat types were classified as "forest", "agricultural field," "wetland," "rocky ground," "grassland," or "seaside." Although many of the listed endangered species belonged to forest habitats, at the regional level, the species/area ratios were higher in the grassland, wetland, and seaside habitats than in the forest and agricultural field habitats. However, the conservation priorities for the endangered plant species in relation to habitat type showed only a slight variation among the prefectures examined.
著者
山本 和子
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.57-75, 2008-03

蕭紅の後期の代表作とされる『胡蘭河伝』は1940年、香港で完成された。当時は日中戦争のさなかで、蕭紅の故郷東北は日本の占領下にあった。帰りたくとも帰れない状況のなか、蕭紅は遠く離れた故郷胡蘭での幼少期を振り返って、その「忘れがたい」光景を書き綴った。それが『胡蘭河伝』である。伝は物語の意。作品は全七章とエピローグから成り、各章はそれぞれ異なる物語で、短編としても十分に読み応えのあるものである。物語では、祖父と過ごした屈託ない日々のほのぼのとした情景が描かれる一方、因習や迷信に縛られた人々が元気な少女を死に追いやる残酷で哀しい情景も描かれている。作者は物語のなかで、愚昧な民衆が「無責任で無自覚な殺人集団」と化す深刻な問題を提起し、人間存在の不条理性を鮮明に描き出した。本稿では、『呼蘭河伝』の背景を探りながら、作者が意図したところ及び作品の魅力の所在に迫った。
著者
中生 勝美
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、GHQの下部組織であるcivil Information and Education section (CIE)に所属していた人類学者の分析から、戦後のアメリカの極東政策と人類学の利用について、公文書と聞き取りから研究を進めた。当時GHQが収集した資料はアメリカの公文書館に所蔵されている。特に、1990年代に日本への戦時賠償請求が時効にかからないという法令が採択された影響で、2000年以降、新たな資料が公開されている。本研究では、CIEの資料を中心に調査をしたが、かつてCIEに勤務していた日系人研究者へのインタビューより、アメリカの人類学が日系人強制キャンプでの調査から始まり、戦時情報局、CIAの前身のOSSと関係を持ち、それがGHQの調査に継承されていくプロセスを明らかにできた。CIEの調査部長であったH. Passinは、1946年8月に目本民族学協会主催の講演会で「現代アメリカ人類学の諸傾向」を講演しており、その後、当該学会はCIEからの依頼で『日本社会民俗辞典』の編纂に着手して、GHQの人類学を利用して日本社会の深い理解を目指したことが判明した。さらに、CIEは、農地改革などの改革政策について、日本各地に調査拠点を選定し、その調査に日本人の人類学者、民俗学者、社会学者を嘱託で採用して実態調査をさせている。この調査方法が起点となって、アメリカにおける日本研究の基礎となり、また日本におけるアメリカの方法論に基づく調査研究が発展している。しかし、アメリカの学界では、GHQ時代の日本研究について、全く知られていない。本研究は、GHQの人類学者たちの活動を、オラル・ヒストリーと公文書により、戦前から戦後にかけてのアメリカの人類学者の活動を明らかにし、戦後の日本の人類学・民族学・民俗学との関係を解き明かすことに一定の成果を挙げた。