著者
大塚 修
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.40-56, 2015

<p>This article discusses the flowering of Persian literature under the patronage of the local Iranian ruler of Luristan, Hazaraspid Nuṣrat al-Dīn (r. 1296-1331/2), in the late Ilkhanid period. It is generally accepted that Persian literature evolved dramatically under the patronage of Ilkhanid rulers and senior officials. However, there is almost no research that deals with the contribution of local rulers to this evolution during the period. In this article, I introduce the case of Hazaraspid Nuṣrat al-Dīn and explain his significant role in this evolution.</p><p>   Although the Hazaraspid dynasty lasted more than two centuries (1155/6-1424), because of the scarcity of historical chronicles, the details of the history of this dynasty remain unclear. However, through an investigation of literary works compiled in this dynasty, it is shown for the first time that Īdhaj, where the Hazaraspid court was located, was one of the cultural centers of the Ilkhanid domain, and attracted various scholars. They celebrated Nuṣrat al-Dīn in both prose and poetry, and the following five Persian literary works were compiled under his patronage: 1. Sharaf-i Qazwīnī's <i>al-Muʻjam fī Āthār Mulūk al-ʻAjam</i>, 2. Sharaf-i Qazwīnī's <i>al-Tarassul al-Nuṣratīya</i>, 3. Shams-i Fakhrī's <i>Miʻyār-i Nuṣratī</i>, 4. Hindū-shāh's <i>Tajārib al-Salaf</i>, and 5. the anonymous <i>Tajārib al-Umam fī Akhbār Mulūk al-ʻAjam wa al-ʻArab</i>. Most of them relate to the history of the ancient Persian dynasties or to the rhetoric of Persian prose and poetry.</p><p>   In these works, Nuṣrat al-Dīn, who identified himself as a descendant of the legendary Persian Kayanid kings, was celebrated as an ideal ruler who combined the characteristics of an Iranian ruler and an Islamic ruler. While Nuṣrat al-Dīn accepted the suzerainty of the Mongol Ilkhanid dynasty, he justified his local power by emphasizing his character as an Iranian ruler, and patronized cultural activities for this purpose. Thus, the local rulers' growing awareness of themselves as legitimate Iranian rulers under the Mongol domination contributed to the evolution of Persian literature.</p>
著者
若尾 勝 福光 英彦 田中 勇治 徳村 拓哉 星 虎男 関根 義夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.509-513, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
12

〔目的〕Diagnosis Procedure Combination (DPC)導入前後での入院期間,理学療法開始時および終了時のBarthel Index (BI)への効果を分析すること.〔対象〕入院中に理学療法を実施した患者171名とした.〔方法〕DPC導入前後の,理学療法開始までの日数,理学療法実施日数,理学療法開始時および終了時のBIを比較した.さらにDPC導入と理学療法,それぞれの前後におけるBIの変化を,退院先別に分析した.〔結果〕DPC導入により,理学療法開始までの日数と理学療法実施日数の短縮,高いBIでの退院がみられた.また退院先四群間とそれぞれのBIで有意差を認めた.〔結語〕DPCが早期理学療法開始,入院期間短縮,高いBIでの退院につながり,さらに高いBIで理学療法を開始できれば,早い在宅復帰を見込むことができる.
著者
小林 由実 川端 博子 薩本 弥生 斉藤 秀子 呑山 委佐子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

【目的】 伝統的・文化的な技術や習慣が伝承されにくく、関心も低くなっている中、2008年改訂の中学校学習指導要領の家庭・被服領域において「和服の基本的な着装を扱うこともできる」が明記された。しかし、教師自身の知識・技能が十分でない、教材の確保が困難といった理由から、和服に関する授業の実践例はまだ少ない。この様な現状をふまえ、ゆかたの着装を含む体験的学習を通してきもの文化を次世代に継承する家庭科の教育プログラムを開発し、その学習効果を検証することを目的とする。【授業実践】 本研究では、埼玉大学教育学部附属中学校(2年生4クラス173名)の協力を得て、2011年5月から4週にわたり50分授業を4回実施した。授業は、和服の基礎的内容の学習にはじまり、たたむ、帯を結ぶ、ゆかたを着装する体験学習へと、段階的に進めた。着装技能/ゆかた着装時の気持ち/ゆかたへの興味・関心の視点に関するアンケートと授業ごとの感想をもとに、授業の効果を考察した。【結果と考察】 着装技能の評価 ゆかたの着装技能について、「帯の結び方」等の3項目について8~9割の生徒が理解できたと感じていた。また、写真によるゆかた着装の生徒の自己評価では、「背中心がまっすぐである」等の全ての個別評価と、総合評価「外出できる出来ばえになっている」で有意な相関がみられた。「えり」「すそ」の評価項目では男女とも相関が比較的高い傾向となり、出来ばえに関連する要素とみなされる。男子においては「帯の形が整っている」の相関が最も高く、着付けにおいて帯結びの美しさが総合的な出来ばえに及ぼす影響は大きい。また、教師が同様の評価を行ったところ、5項目について自己評価と教師評価の間に有意な相関がみられた。特に帯に関する項目で、生徒と教師の評価基準が一致する傾向となった。 モデルのゆかた着装時における気持ち ゆかたの着付け体験は2~3人のグループ活動とし、そのうちの一人をモデルとした。授業の前後にモデルを対象にゆかた着装時の気持ちを評価させたところ、「うれしかった」等のゆかたのよさに関する5項目については、全てで高まった。「帯がきつかった」「歩きにくかった」の否定的な2項目においては授業後にはあまり変化せず、比較的低くとどまった。 ゆかたへの興味・関心 授業の前後に、ゆかたへの興味・関心(7項目)を評価させ比較したところ、男女ともに全ての項目で興味・関心が大きく向上した。事後調査においては、「和服について関心がもてた」等の項目で全体の約8割が「(やや)そう思う」と回答した。また、「家族と和服の話をした」の項目では全体の52%が「はい」と回答したことから、授業を通して生徒にきもの文化の継承に関わるきっかけを与えられたと考える。 自由記述の分析 授業後の感想を観点別に分析したところ、帯結びの体験では「帯の形」「長さ調節」「きつさ」が、着付け体験においては、「帯」「おはしょり」が困難な点として最も多く挙げられていた。これらの記述を参考に、要点をおさえた、より簡潔でわかりやすい指導につなげていくことが課題である。
著者
板倉 和裕
出版者
JAPANESE ASSOCIATION FOR SOUTH ASIAN STUDIES
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.26, pp.46-72, 2014

本稿は、社会的マイノリティに対して、留保議席のような政治的保障措置を世界に先駆けて導入したインドの経験に注目し、インド建国の指導者たちがなぜそのような措置を憲法の中に盛り込むことにしたのかを考察する。インドの制憲過程を扱った研究の多くがムスリムの処遇問題に関心を寄せてきた一方で、指定カーストの指導者たちによる、政治的権利獲得のための主体的な活動を考察に入れた政治過程の分析は十分に進められてこなかった。そこで、本稿では、指定カーストの中心的指導者であったB・R・アンベードカルに焦点を当て、制憲議会を取り巻く政治環境の変化に対するアンベードカルの適応過程と、それと同時に形成された会議派指導者との協力関係に注目し、インドの制憲政治を再検討することにより、指定カースト留保議席がインド憲法にいかにしてもたらされたのかを明らかにする。
著者
宮坂 賢一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.294, pp.13-19, 2009-03

人気ブランド「ローリーズファーム」と聞いてもピンと来る読者は少ないかもしれない。今、20代の女性に大人気の洋服のブランド名だ。東京都中央区に本社を置くポイントは、その製造小売り(SPA)を手掛け、「ユニクロ」のファーストリテイリングを上回る高利益率を実現している。 ポイントの会長、福田三千男の執務室は本社の中にはない。