著者
山崎 覚士
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-82, 2015-03-01

本稿は宋代都市における下層民を中心とした人口構成と、その都市内分布を考察した。そのために、従来十全に活用されなかった下層民に対する救済措置である賑済に関する史料をより詳細に分析し、賑済時における都市下層民の等級を明らかにした。その結果をふまえて明州城における都市下層民の人口割合をおよそ6割と概算した。さらに明州城内における下層民の分布状況を考察した。資産を有さない無産下層民は明州城の繁華な区域には比較的に少なく、むしろ月湖をたたえる西南区域に多かった。また零細な資産を有する微産下層民は城外区域に多かった。むしろ城外区域の発展は、そうした微産下層民の集住を起因とした。以上のような分析はこれまでの中国都市史研究に新たな成果をもたらすものである。
著者
楠見 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第7回大会
巻号頁・発行日
pp.12, 2009 (Released:2009-12-18)

本研究の目的は,ホワイトカラーの実践知と批判的思考の関係を明らかにするために29人のホワイトカラーに対して,質問紙調査をおこなった.評定結果に基づいて,仕事に関する実践知の構造を,テクニカルスキル,ヒューマンスキル,コンセプチュアルスキルに分けた.そして,それらのスキルの獲得は,省察と知識変換といった思考活動,批判的思考態度と柔軟性といった学習の態度が支えていることを明らかにした.さらに知識のリソースとして,自己経験,上司同僚の役割が大きいことを明らかにした.あわせて,対照群である教員と比較検討した.
著者
藤本 猛
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.261-293, 2015-09
著者
藤本 猛
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.261-293, 2015-09

It is said that the eunuchs dominated the latter half of the Huizong reign, but the actual situation is unclear. Some records claim that their ascendancy was related to government conducted through imperial edicts written by the emperor himself (御筆). I have therefore examined the eunuch posts associated with the Xuanhedian 宣和殿, or Ruisidian 睿思殿 within the imperial court (禁中) where imperial edicts were written by the emperor himself, and also the other eunuch posts, such as the Lianfangshizhe 廉訪使者 at local governments and the Chengshouguan 承受官, established at many central government offices. Firstly as the result of an examination of the Zhi-Ruisidian 直睿思殿 and Zhi-Xuanhedian 直宣和殿, to which many higher-ranking eunuchs were appointed, we see that the establishment of these posts was a part of the reorganization of military officers carried out in 1112, and thanks to these changes, higher-ranking eunuchs could enter the Imperial Court. And then the Wenzi-waiku 文字外庫 of the Ruisidian, which was the management office of Administrative Documents in the Imperial Court, received reports to the throne, and the Shichen 使臣 who were able to write official documents that were released by emperor were stationed there. Caozu 曹組, one of these Shichen, was a famous writer of ci 詞who was discovered by Emperor Huizong himself. Zouma-chengshou 走馬承受, the predecessor of the Lianfangshizhe, had been established in frontier areas and supervised warriors. Emperor Huizong expanded their right to audit accounts of local governments and changed the name of the office. The Lianfangshizhe later became one of the Jiansi 監司. The Chengshouguan 承受官 were liaison officers between government offices and the Imperial Court, and some of them dominated the offices they held. The appearance of this post made possible the concentration of information from government offices at the Imperial Court. All these eunuch posts were established during same period and improved the capacity of the Imperial Court to administer the government. They did not advance the interests of the eunuchs, but supported the system of direct administration by Emperor Huizong.
著者
花崎 憲子 志垣 瞳 辻 郁代 山本 山美 池内 ますみ 奥田 展子 川井 考子 瓦家 千代子 澤田 崇子 深蔵 紀子 升井 洋至 丸山 悦子 水野 千恵 山下 英代 川田 克子 横溝 佐衣子 四谷 美和子 冨岡 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.71-76, 2004

関西における煮る調理に関する実態を把握することを目的として,2000年10月に,関西の大学・短大の学生を通してその家雄の調理担当者を対象にアンケート調査を行い,煮ものを食べる頻度,家庭で作る頻度,購入する頻度,作る煮ものの種類と使用される調味料などについて検討した. 得られた結果は次の通りである.(1)調理に費やす時間は,朝食は短く,夕食には時間をかけていた.(2)煮ものを食べる頻度および家庭で作る頻度は,いずれも「週3~4回以上」が多く60%を占めた.また,夕食の調理時間が長いほど煮ものを作る頻度が高くなることが認められた(ρ<0.001).(3)煮ものを「食べる頻度」「家庭で作る頻度」と年代との関係は,10,20歳代の若い年代層はともに低く,親の年代層は高かった.(4)家庭で作る煮ものでは,「肉じゃが」「かぼちゃの煮もの」「煮魚」「ひじきの煮もの」「筑前煮」「だいこんの煮もの」が多く,購入する煮ものでは「ひじきの煮もの」「おからの煮もの」「だいずの煮もの」が多かった.(5)煮ものの調味料は「基本調味料」が71%,「市販混合調味料」が1 0 % , 「使い分ける」が1 9 % であった.(6)煮もののだしは,「だしをとる」より「だしの素を使う」人が多かった.(7)煮ものに使う醤油としてこいくちは「豚の角煮」「牛肉しぐれ煮」「煮魚」「ひじきの煮もの」「ぜんまいの煮もの」「なすの煮もの」など,うすくちは「高野豆腐の煮もの」「えんどうの煮もの」「おからの煮もの」「たけのこの煮もの」「さやいんげんの煮もの」などこいくちとうすくちは「肉じゃが」「筑前煮」「だいこんの煮もの」などに併用されていた.醤油の種類は食材によって使い分けがされていた.
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本のだしを中心とした薄味の和食には,健康維持とおいしさが両立できる世界でも希な食事体系である。さらに,和風だしを用いた食事を実践することは,生活習慣病のリスクを低減する一要因となると考えられている。そこで,本研究では和風だしの代表的素材である,かつお節とコンブを用いただしについて好ましく受容できることが重要と考え,それらの天然素材だしならびに風味調味料だしを用いた調理食品を調製し,識別ならびに嗜好性を調べることを目的とした。【方法】天然だしおよび風味だしを用いた調理食品の識別と嗜好性については,官能評価法(3点識別試験法,2点嗜好試験法,3点嗜好試験法)によって行った。評価者は年齢18~20歳の健康な女子学生27~32名である。試料として,だしを用いた調理食品7種(主食:醤油味飯,汁かけうどん,主菜・副菜:高野豆腐煮物,だし巻卵,サトイモの煮物,ゴボウの煮物,汁物:味噌汁)を調製した。データは,有意差の検定(2項検定)により解析した。【結果】① 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の「おいしさ」が異なることを有意に識別できた(p<0.01, p<0.05 )。 ② 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の嗜好性に有意差はみられなかった。しかしながら,7種のうち6種において,天然だし食品と比べ,風味だし食品を好む傾向がみられた。③ おいしさを評価する際の背景要因として食体験があげられるが,今回は食経験と官能評価の関係については明らかにできなかった。本研究の評価者は,これまでに,天然素材のだしではなく,日常的に風味調味料だしを調理のときに使用していたのかもしれない。
著者
松澤 俊雄
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.143-176, 2011-03-01

[概要] わが国大都市圏への人口・経済活動の集中にともなう通勤・通学需要の著しい増加に対して, 都市高速鉄道(郊外鉄道・地下鉄)網の拡大・改良による輸送力増強や道路整備が官民協力のもとなされてきた。高度成長期の鉄道輸送力増強投資に懸かる費用は, 総括原価方式により運賃に上乗せされたが, 右肩上がりのこの時代には増強投資は一層の輸送需要を鉄道にもたらしたため, 運賃値上げは, さしたる問題化には通じなかった。しかし, 今日社会経済構造の変化により, 通勤・通学人口は一般的には停滞・減少傾向にあり, また一部の大都市圏では都市鉄道を含む公共交通需要は大幅な減少をみせている。このような中, 昼間時トリップ需要(業務・私的)の公共交通利用を促進して都市(都心)の活性化や乗用車→公共交通への利用シフトを図るという都市交通政策のコンテキストのもとで運賃のあり方について考察したい。[Abstract] Urban railway systems in the Japanese metropolitan areas have long been constructed and improved in a way that they were able to transport as many passengers as they could to meet the increasing peak commuting demand. Today the transfer from car use to the public transport and revitalization of central city are also expected with the urban rail provision. In this paper, I would like to reconsider the more effective fare systems for enhancing the mobility of both central city and central area of the big cities.
著者
波床 正敏 塚本 直幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.599-608, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
22

本研究では、公共交通の輸送需要と運行頻度の関係に着目し、速度相当のパフォーマンス指標として期待サービス速度を定義した。この指標は輸送需要の増加にともない増大し、表定速度を漸近線とする。自動車交通についても輸送需要を人単位に換算し、公共交通と比較可能とした。次に、自動車交通と公共交通との両方が整備される場合、総合的に都市交通空間がどのようなパフォーマンスを示す可能性があるかについて考察した。その結果、公共交通の小規模な水準向上では道路渋滞が解消しないばかりか、乗客減少の可能性すらあること、車線増設で渋滞が発生する可能性があること、総需要減少で渋滞が発生する可能性があることなどがわかった。