著者
山田 理恵
出版者
Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.415-428, 2015
被引用文献数
1

The game of <i>dakyugi</i> (literally, "hitting-ball-game"), involving 3 components of play (hitting a ball, throwing a ball, and pushing of opponents), is a traditional stick game that has been passed down to the present in Kuwana City (Mie Prefecture).<br>   The purposes of this study were to examine the process of the game's revival and cultural features, and to clarify the significance of <i>dakyugi</i> as a traditional sport in regional development through sports. The materials used in this study were mainly collected through fieldwork at the Rikkyo Area Great Meeting and interviews with members of the preservation association, as well as investigation of historical sources.<br>   In the Meiji era, <i>dakyugi</i> had been played as a bravery game by boys in the Kuwana <i>gijyuku</i>, which inherited the idea of the Rikkyou-kan, a school in the fiefdom of Kuwana. Although <i>dakyugi</i> declined after World War II, it was revived to mark the 150th anniversary of Matsudaira Sadanobu's death in May 1978.<br>   Today, <i>dakyugi</i> is performed at the Kuwana Municipal Rikkyo Elementary School supported by the <i>Dakyugi</i> Preservation Association. Boys and girls of the school play the game at the athletic meeting held jointly by the school and Rikkyo area community. The game of <i>dakyugi</i> in Kuwana is noteworthy in promoting the behavior pattern and style of <i>samurai</i> culture that characterized the Edo era. In addition, <i>dakyugi</i> is considered to play an important role in the revitalization of provincial cities and in the establishment of local regional identity.<br>   The significance of traditional Japanese culture is emphasized in the present school education program. The current study indicates that traditional Japanese sport culture can play an important role in regional development in Japan.<br>
著者
安岡 寛道
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2009年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.58, 2009 (Released:2009-11-14)

企業が発行するポイントやマイレージのプログラムのビジネスモデルを分析・整理し、それらをグローバルに展開・活用する方法を提案する。まず、ポイント・マイレージの発行額は、2007年度に国内で6800億円を超え、顧客囲い込みや顧客情報の収集を目的として、航空会社や家電量販店のような民間企業だけでなく、公共サービス、行政機関、さらには教育機関にまで導入され始めている。これらに関連するビジネスは、顧客囲い込みによる本業の活性化のみならず、ポイント自体を販売したり、システム利用料を徴収するなど、いくつかのビジネスモデルに整理される。また、地域経済の活性化、カーボンオフセット(CO2排出量削減)などにまで実施・検討範囲が広がっており、これらを活用して、グローバルに展開する方法を提示する。
著者
白藤 徳夫 村上 直人 森岡 泰三 市川 卓 福永 恭平 安藤 忠
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.403-410, 2011-09-20 (Released:2012-10-08)
参考文献数
48

春季の沿岸海域におけるサケ稚魚とニシン仔魚の捕食-被食に関する実態解明のための基礎的知見を得ることを目的に,実験水槽内においてサケ稚魚によるニシン仔魚の捕食実験を行った。解凍した大型,小型ニシン仔魚および生きた仔魚をサケ稚魚に与えたところ,いずれの状態の仔魚も活発に捕食された。したがって両者が同所的に分布していればサケ稚魚はニシン仔魚の捕食者になることがわかった。また,ニシン仔魚を摂餌した際のサケ稚魚の飽食量は体重の4.7~7.4%であること,摂餌後2~4時間で胃内容物の50%が消化されること,捕食されたニシン仔魚は摂餌後3~6時間までは形態学的手法による同定が可能であることがわかった。今後,サケ稚魚の仔稚魚捕食の実態を理解するためには,サケの摂餌時間と消化速度を考慮に入れた採集時間帯設定や捕食量推定法の検討を行う必要がある。
著者
芳原 敬士 宮川 清
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.282-285, 2004-09

DNA損傷に対し,相同組換え修復においてRad51と協調しているRad51 paralogの1つであるXRCC3の機能解析を行った. 遺伝子ターゲティングによりヒト大腸癌細胞(HCT116)からXRCC3遺伝子欠損細胞を作製し,作製したXRCC3欠損細胞に,野生型XRCC3 cDNA,および乳癌や膀胱癌などの発症リスクに関与することが報告されている遺伝子多型(T241M)を有するXRCC3 cDNAを発現することによって相補性実験を行った. その結果,XRCC3は,Rad51依存性の相同組換え修復に重要な役割を果たすとともに,DNA複製にかかわるRPAの機能を制御することによって複製の開始点をも調節していることを証明した. 更に遺伝子多型は,修復能は正常であるが複製調節能には異常をきたしていることも明らかになった. これらは,相同組換え修復はDNA複製機構と密接に連関し,その異常は発癌のリスクに関与する可能性を示唆するものと考えた. この実験は被爆者に置き換えると,被爆後のDNA障害に対する細胞内応答現象の1つを説明する事が出来るモデルであり,原爆後遺症としての発癌に関係する染色体不安定性の分子機構の1つとして考えられた. ノックアウトの作製は従来はCHOあるいはDT40等の脊椎動物細胞での報告があるが,我々は,HCT116細胞を用い,機能解析を行った. この細胞は,ミスマッチ修復異常を有する欠点を持っているが,それゆえに相同組換え頻度が相対的に高くノックアウトが比較的容易であり,p53が正常であるために細胞周期の研究に有用であると思われた.
著者
澤田 久 山縣 健佑 張 仁彦 下平 修
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.125-151, 1996-06-30
被引用文献数
9

高速VTRシステムを用い, 顔面の運動経路を3次元解析した.画像処理装置によるオートトラッキングを行うための標点を作製し, 被検者顔面皮膚上に皮膚用粘着材で貼布した.被検者は, 上下顎無歯顎者3名, 被検音は, 短文「桜の花が咲きました」である.計測部位として, 鼻下点, 上口唇赤唇部上縁, 下口唇赤唇部下縁, モダイオラス部, オトガイおよび切歯点として下顎義歯の中切歯唇面からワイヤーを口腔外へ延長し, 標点を設けた.発音中の被検者の顔面正面と側貌を2台の高速テレビカメラ (nac社製) により高速ビデオカセットレコーダー (nac社製) で録画した.同時に, 音声を, 同一ビデオテープに録音した.得られた音声出力をDSP Sona-Graph (KAY社製Model 5500) に導入し, time-waveおよびスペクトログラム (3D Sonagram) から各音の発生および終了時点を求め, 解析対象区域を規定した.画像解析装置 (Image Data : ID-8000, nac社製) により解析対象区域間の各標点をオートトラッキングして自動解析し, 3次元座標を求め, コンピュータに転送し, 3次元運動解析ソフト (MOVIAS 3D, nac社製) を用いて立体構築した.解析項目は, (1) 空間的移動距離累計 (TL), (2) 計測区分開始点と終了点間直線距離 (SL), (3) TLとSLの比率 (TL/SL), (4) 立体移動範囲 (CR), (5) 方向変更角度 (TH) である.以上の結果, 下顎および各計測点の被検音全体の発音中の運動経路のTL, CR, THは, 無歯顎時 (A) より義歯装着時 (C) の方が小さいことが明らかになった.また, 被検音に含まれる他の母音および各子音の中で, /s/, /∫/, /m/発音中には, 特異の運動経路を示すことが認められた.