著者
伊藤 千尋 戸嶋 一郎 大脇 成広 清水 猛史
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 (ISSN:24357952)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-75, 2021 (Released:2021-08-31)
参考文献数
23

放線菌症は,Actinomyces属により腫瘤性病変を形成する疾患である。症例1は74歳男性。2ヵ月前からの嗄声,1ヵ月前からの嚥下困難と咽頭痛を主訴に紹介受診した。喉頭内視鏡検査で,右梨状窩に潰瘍を伴う腫瘤を認め,造影CTでは下咽頭,頸部リンパ節,肺,副腎に造影効果を伴う腫瘤があり,PET-CTで同部にFDG集積を認めた。下咽頭病変の生検から放線菌症と診断した。関節リウマチに対し使用していたメトトレキサート内服を中止し,アンピシリン点滴を6週間行い全ての病変は消失した。その後アモキシシリン,続いてクリンダマイシンを10ヵ月間内服した。症例2は64歳男性。10日前からの咽頭痛と口臭を主訴に紹介受診した。喉頭蓋に白苔を伴う腫瘤を認め,生検で放線菌症と診断した。生検1週間後には喉頭蓋病変は自潰し,縮小した。アモキシシリンを3ヵ月間内服した。2症例とも再発なく経過している。
著者
阿江 数通 小池 関也 川村 卓
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.431-452, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
43
被引用文献数
2 3

The purpose of this study was to clarify the kinetic features of the upper limbs at different hitting-point heights (high, middle, and low) during baseball tee-batting. Twenty-three collegiate male baseball players (age: 19.8±1.3 yr, height: 1.74±0.04 m, weight: 74.1±6.2 kg, athletic career: 12.0±2.1 yr) participated. Three-dimensional coordinate data were captured using a VICON-MX system (12-camera, 250 Hz), and kinetic data for each hand were collected using an instrumented bat equipped with 28 strain gauges (1000 Hz). Three tee-batting heights were set for each subject based on the upper and lower limits of the strike zone according to the rules of baseball. Kinetic variables for the upper limbs, such as joint torque, joint torque power, and mechanical work, were calculated. The period of forward swing motion was divided into down-swing and level-swing phases. The results are summarized as follows: 1) The extension torque and positive torque power at each individual shoulder joint were significantly greater at the low hitting-point height than at other heights. 2) The positive torque power for extension torque at each individual elbow joint in the last half of the down-swing phase was significantly greater at the low hitting-point height than at other heights. 3) Negative power for adduction/abduction torque at each individual shoulder joint in the level-swing phase was observed at the low hitting-point height. 4) The mechanical work done by joint torque about the flexion/extension and adduction/abduction axes at the shoulder, the flexion/extension axis at the elbow, and the palmar/dorsal flexion and radial/ulnar flexion axes at the wrist showed large and positive values, and differed significantly among hitting-point heights. These results indicate that 1) the flexion/extension torque at each individual shoulder joint contributes greatly to adjustment of the translational movement of the bat in the vertical direction during the down-swing phase, 2) the adduction/abduction torque at each individual shoulder joint exerts a larger proportion of the longitudinal force of the bat to withstand centrifugal force at a low hitting-point height than at other heights in the level swing phase, and 3) consequently, it tends to be more difficult to adjust the bat to the hitting-point at a low height in comparison with other heights.
著者
岡崎 善弘 大角 茂之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.485-491, 2022-09-10 (Released:2022-09-15)
参考文献数
20

本研究では,設計図の利用がプログラミング的思考の「分解」の理解に与える効果を検討した.小学4年生から小学6年生の児童が2日間のプログラミング体験講座に参加した.プログラミング体験講座は,設計図を示しながらプログラミングを教える設計図あり群と単にプログラミングを教える設計図なし群で実施された.プログラミングを終えた後,ゲームに必要な構成要素を考えさせた.構成要素の数を2群間で比較した結果,構成要素の数は設計図あり群の方が多かった.本研究の結果から,設計図の利用はプログラミング的思考の「分解」の理解を促進することが示唆された.
著者
平井 清子
出版者
学校法人 北里研究所 北里大学一般教育部
雑誌
北里大学一般教育紀要 (ISSN:13450166)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.81-103, 2015-03-31 (Released:2017-06-23)
参考文献数
18

日本の英語教育が、ディスカッション、ディベートなどを含むコミュニケーション重視の授業 に転換してから久しいが、日本の文化的背景から、このような学習者主体の授業の実践は容易で はなく、いまだ授業では、従来の暗記型の要素が強いことが否めない。文科省では小中高を通し ての論理的・批判的思考力の養成の奨励がなされ、英語においても、詰め込み教育、受け身の教 育では果たせない、自ら考える力、論理的・批判的思考力を育み、併せて四技能に配慮した統合 的なコミュニケーション能力の育成が促進されている。同時に、これらの能力を育成することで、 英語での発信力の養成が可能となる。このための新しいアプローチとして、 「内容重視の教授法」 (Content-based Instruction:以下CBI)の授業の提案がある。CBIには「年齢相応の思考力を伴う 言語発達の必要性」を説くバイリンガリズムの観点から「言語発達には思考力と言語力の両輪が 必要である」という基本概念がある。 「仕事で英語が使える」 人材育成の出口である大学英語教育の役割はますます重要となる。 とり わけ、専門課程に入る前の初年次英語教育では、CBIのように「数学」や「生物学」などの教科の 教育と言語教育を統合した英語教育が、 「英語」 の授業や選択制の専科の授業で取り入れられるこ とが必要となってくるであろう。 本研究は、CBI発祥の地であるアメリカの高等学校CBI-ESLの授業の参与観察から、日本での 応用を、特に大学での実践を考慮し提案するものである。米国の現地校の授業の参与観察により、 以下の点が日本でCBIの授業を導入する際に提案される。1)各課ごとに「教科(内容)目標」と 「言語目標」を定め、言語指導では教科学習に必要な語彙や表現と同時に、 「学習スキル」を養成 する。2)インプットとアウトプットのバランスを考慮し、四技能を統合的に取り入れる。3)「評 価の基準(ル―ブリック) 」の効果的使用。使われる発問は、自分の答えを証拠の裏付けをしなが ら論理的に述べる本質的な質問(essential questions)であること。4)これらを協働学習を通し て行う。
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.135-140, 2021 (Released:2021-10-24)

データ利用による教育効果向上への期待と個人データの収集や分析手法の開発が先行する一方で,利用目的の精査,データ分析の効果,プロファイリングや目的外の利用等の課題について十分な検討がおこなわれているとはいえない.この発表では,教育におけるデータのライフサイクル,種類,教育研究との関連等の問題について論じる.
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.48-55, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

「エビデンスに基づく教育」の推進において,明瞭なエビデンス概念や概念の共有は,実践・研究横断的なエビデンスを「つくる」「つたえる」「つかう」プロセスにおいて重要である.この論文でエビデンスに基づく医療について整理した上で,英米におけるエビデンスに基づく教育,特に仲介機関の役割を論じた上で,日本における受容およびその課題について述べる.
著者
佐藤 文彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.721-725, 2021 (Released:2021-08-01)
参考文献数
26

生薬オウレンは、Coptis japonica Makinoおよび同属植物の根茎であり、局方では乾燥物当たりベルベリン [BBR]4.2%以上が要求されている。生薬以外にBBR生産を目的として細胞培養が活発に研究されてきた。また、ベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)生合成系とBBR生合成系は共通することから、精力的な研究により、多くの遺伝子が単離同定され、代謝工学や合成生物学に展開されている。あわせて、生薬由来の新規な薬理活性探索(創薬)についても紹介する。
著者
堀田 祐紀
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.81-86, 2017 (Released:2017-01-28)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

透析シャント狭窄に対する血管内治療 (PTA) は第一選択の治療法とされるが高い再狭窄率が問題である. 今回PTA後の短期間に繰り返す透析シャント狭窄に対してpaclitaxelを塗布した薬剤溶出性バルーン (drug-coated balloon: DCB, SeQuent Please balloon) 治療を行った5症例6病変の成績を報告する. 対象は自己動静脈シャント狭窄4病変, 人工血管内狭窄1病変, 鎖骨下静脈ステント内再狭窄1病変であり, 繰り返すPTAの平均開存期間は3.4±1.9か月であった. 3~4.0mmのバルーンにて前拡張を行い, 3.5mmまたは4.0mm径DCBにて120秒間の拡張を行った. 2病変は7および16か月後に血流障害で再度PTAとなったがDCB拡張部位に再狭窄は認めず, 新規病変が原因であった. ほかの4病変は血流障害を認めていない. DCB後の開存期間は10.8±5.9か月であり, DCB前のPTA開存期間と比較し有意な延長を認めた (p<0.0001).
著者
松村 真宏 加藤 優 大澤 幸生 石塚 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.554-564, 2003-10-15 (Released:2017-05-29)
参考文献数
23
被引用文献数
7 12

議論の論点をすばやく発見し理解するためには、議論構造を可視化してユーザに提示することが有効である。そこで本稿では、議事録から話題の単位(セグメント)を同定し、さらに同定したセグメント間の関連を調べることにより、議論構造を構造化マップとして可視化するシステムを提案する。また、構造化された議論に影響の普及モデルIDMを適用することにより、議論の発展のトリガとなる話題を発見することを試みる。アンケートによる調査の結果、適度に議論が分割・構造化された構造化マップは、ユーザが議論の論点を直感的に捕らえるための手がかりを提供していることを示す。また、IDMにより同定された話題は、構造化マップにおける入次数、出次数に着目した結果よりもPrecisionが高いことを示す。
著者
佐藤 温子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.45, 2017 (Released:2018-07-01)

本稿は、フィンランドにおける放射性廃棄物処分政策形成を巡る歴史的背景を、ドイツとの比較の視座から分析することを目的とする。Högselius(2009)の挙げる、世界の使用済み核燃料処分政策の相違に関する5つの説明要因のうち、特に軍事的野心と核不拡散、政治的文化と市民社会、エネルギー政策を扱う。両国とも核兵器を所有しないが、ドイツにおいては冷戦を背景に一時核武装論へと傾斜、核不拡散条約を巡り公に国内で対立、核武装疑惑につながりうる再処理を1989 年まで追求した一方、フィンランドにおいては北欧非核兵器地帯(NWFZ)協定構想が提案され、1980 年頃に再処理の選択が放棄された。さらにフィンランドでは東西両陣営からの原発を有しており、反原発運動が分断された。フィンランドが世界で初めて高レベル放射性廃棄物処分場計画を決定した理由の一つに、冷戦の文脈で、強い反原発運動が不在だったことが指摘されうる。
著者
槌田 洋
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-80, 2006 (Released:2018-10-01)

スウェーデンで行われているリージョン(広域自治体) の設置をめぐる実験事業の経過は、今後の地域政策の主体となるのが主要都市を核としたネットワーク化か、それとも広域自治体への分権化かをめぐる議論として見ることが出来る。本稿ではヨーロッパ規模でのリージョン政策を踏まえて、スウェーデンの広域自治体改革の経過と背景を、地方統治システムの従来からの特徴と経済グローバル化への対応という二つの側面から整理する。 またリージョン政府の役割と地域内のコミューンや中央政府との相互関係について、 リージョン実験の事例を踏まえた検討を行う。最後に、リージョン改革をめぐる論点を、福祉国家のシステム転換という側面から捉え直すこととする。