著者
山口 秀夫 有本 正生 中島 淳二 田之口 眞理子 深田 能成
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.2056-2060, 1986-05-25

Epipodophyllotoxin (EPT) and podophyllotoxin (PT) were prepared from desoxypodophyllotoxin (DPT), obtained from the seeds of Hernandia ovigera L. (Hernandiaceae) EPT was obtaind together with dehydrodesoxypodophyllotoxin (I) by a radical bromination of DPT with N-bromosuccinimide (NBS) followed by hydrolysis of the resultant 1-bromo-DPT, which was confirmed to be a mixture of 1α- and 1β-bromo compounds (7 : 3). EPT was oxidized with pyridinium chlorochromate to give podophyllotoxone (IV). The stereoselective reduction of IV to afford PT was examined with a variety of reagents, and borane-tert-butylamine complex was found to be effective.
著者
落合 正仁 藤田 榮一 有本 正生 山口 秀夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.989-997, 1985-03-25

Oxidative cyclization of hydroxy allylsilanes utilizing the combination of a hypervalent organoiodine compound and a Lewis acid was studied. The allylsilanes 4,prepared from the γ-lactones 1 via conversion to the bis (trimethylsilylmethyl) carbinols 3,on treatment with iodosyl-benzene in the presence of boron trifluoride-etherate in an ethereal solution, afforded the 6-membered β-methylene cyclic ethers 13a and 13b in good yields. Similar treatment of the allylsilanes 8a and 8b gave the 5-membered cyclic ethers 13a and 13b. On the other hand, oxidative cyclization of the carboxylic acid 12 gave a poor yield of the lactone 21 and the major product was found to be the rearranged γ-keto acid 22. Regioselectivity in the iodine (III)-mediated cyclization of 8a is discussed.
著者
澤田 佳代 平林 大介 榎田 洋一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.583, 2012 (Released:2013-07-08)

有機合成に用いられたウラン触媒は,ウランとアンチモンの複合酸化物をシリカに担持したものであり、鉱酸による浸出が不可能な程、非常に化学的に安定な触媒である。これまでに,ウラン触媒を塩化揮発処理することで,複合酸化物からアンチモンを分離し,ウランを酸溶解が可能な酸化ウランとして回収できることを示した。本報では,ウラン触媒の塩化揮発処理で用いる塩化水素および酸素の濃度が塩化揮発処理に及ぼす影響について検討した結果を報告する。 塩化水素濃度が高いほど,アンチモンの塩化揮発速度が大きいが、一方で,塩化水素濃度が高い条件では試料中のウランの一部がUO2となってしまった.生成物を酸により溶解しやすいU3O8に留めるためには,系内に酸素を加えることが有効であり、 6 vol%塩化水素-0.1 vol%酸素とすることで,処理速度を低減せずに触媒中のウランをU3O8とすることが可能であった.
著者
山口 秀夫 有本 正生 田之口 真理子 沼田 敦
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.485-488, 1981
被引用文献数
7

Two kinds of reactions were carried out on the components of the seeds of Hernandia ovigera L. The reaction of lead tetraacetate on desoxypodophyllotoxin (I) and its analogous compounds caused the cleavage of methylenedioxyl group, affording the corresponding diphenols. In the case of 3, 4-methylenedioxypropylbenzene (XII), an intermediate acetoxyl compound (XIII) was isolated. The reactions of 2, 3-dichloro-5, 6-dicyano-1, 4-benzoquinone (DDQ) on I and its analogous compounds afforded smoothly aromatized compounds. By the same reaction on bursehernin (III), cyclization and aromatization occurred simultaneously affording chinensin (XVIII) which was confirmed by direct comparison with authentic speciemen. The results of the cleavage reaction on I and XII by use of borontrichloride were also described.
著者
山口 秀夫 有本 正生 山本 起巳子 沼田 敦
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.p674-677, 1979-06
被引用文献数
1

Four kinds of lignans were isolated from the seeds of Hernandia ovigera L. collected in Okinawa besides the previously reported desoxypodophyllotoxin (I). Oily substance II, named bursehernin, C_<21>H_<22>O_6,was confirmed to be lignan-2 isolated from Bursera schlechtendalii. III, mp 171-173°, and IV, mp 125-126°, were determined as desoxypicropodophyllin and podorhizol obtained from Podophyllum emodi WALL. respectively. V, mp 270-275°, could not be clarified due to its small amount.
著者
水川 瞳 広渡 俊哉 坂本 佳子 橋本 里志
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.241-255, 2010-12-30

スイコバネガ科Eriocraniidaeはほとんどの種がカバノキ科とブナ科の植物を寄主として利用しており,カバノキ科植物に注目すると,日本ではオオスイコバネEriocrania semipurpurellaなどがシラカバBetula platyphylla,ハンノキスイコバネE.sakhalinellaがケヤマハンノキAlnus hirsutaを寄主とすることが知られている.最近の著者らの研究により,カバノキ科のアカシデCarpinus laxifloraを利用するスイコバネガが東海地方と紀伊半島に生息することが明らかとなった.成虫の形態を比較した結果,アカシデを利用するスイコバネガは,後翅の鱗粉が細長いなどの派生形質をオオスイコバネと共有し,オオスイコバネにもっとも近縁であるが,明らかに小型で,♀交尾器のバジナルスクレライトの形態にも差が認められることからEriocrania属の未記載種であろうと考えられた.さらに,大阪府和泉葛城山でアカシデの他にイヌシデC.tschonoskiiから,愛知県段戸高原でサワシバC.cordataといった同属のシデ類からも,スイコバネガ科の幼虫が採集された.これらの幼虫と成虫の対応やオオスイコバネとの関係を明らかにするために,ミトコンドリアDNAの解析(COIおよびND5領域)を行った.その結果,イヌシデ,サワシバなどのシデ類を利用するスイコバネガ類はアカシデを寄主とするものと同一種であり,シラカバを利用するオオスイコバネとは姉妹群関係にある可能性が高いことが推定された.また,両種の分岐点までの遺伝的距離(D)は,ND5およびCOI領域でそれぞれD=0.028,D=0.036であった.Eriocrania carpinella Mizukawa,Hirowatari&Hashimoto sp.nov.アカシデスイコバネ(新称)寄主植物:アカシデ,イヌシデ,サワシバ分布:本州(愛知県,三重県,奈良県,大阪府)成虫は日本産スイコバネガ科の中でも小型(開張6-8mm)で,オオスイコバネ(開張10-14mm)と比較すると前翅の青みが強い.成虫は4月中〜下旬に出現し,幼虫は5月上旬にアカシデ等のシデ類の葉に潜孔する.幼虫は成熟すると葉から脱出して地表へ落下し土繭を作ってほぼ1年を通じて翌春まで地中で過ごす.そのため,一般的にはスイコバネガ類では飼育による幼虫と成虫の対応が困難である.しかし,一部の幼虫については飼育によってアカシデを寄主とすることが明らかになり,さらに分子データによる解析からサワシバとイヌシデを寄主植物として利用しているものと同一種と考えられた。シデ属Carpinusの植物を寄主とする種としてはヨーロッパ産のEriocrania chrysolepidellaが知られているが,極東地域においてシデ属植物を利用する種が見つかったのは初めてである.本種は,カバノキ類を寄主とするオオスイコバネの極東における分布南限である中部山岳地帯のさらに南部の限られた地域(東海地方と紀伊半島)に,オオスイコバネとは異所的に分布している.形態と分子データから両者は姉妹群関係にある可能性が高いことと遺伝的距離に基づく年代推定から,鮮新世の寒冷な時期に共通祖先から寄主転換によって分化し,その後,東海地方や紀伊半島に分布が限定されたと想定された.この仮説については,今後ヨーロッパやロシア沿海州などの材料を含めてさらに検証する必要がある.
著者
加島 竜彦 田ノ口 真理子 有本 正生 山口 秀夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.192-194, 1991-01-25

(±)-Desoxypodophyllotoxin (2), a chief component of the seeds of Hernandia ovigera L., and (±)-β-peltatin-A methyl ether (3), an analogous phenyltetralin lignan, which have 2,3-trans, 3,4-cis configuration were synthesized according to the method developed for the synthesis of hernandin (1). The syntheses were pursued using the corresponding 4-phenyl-1,2-dihydronaphthalene lactones (9 and 10) followed by cleavage of the lactone moiety to give the unsaturated hydroxy acids (11 and 12). Subsequent hydrogenation and ring closure by means of p-toluenesulfonic acid afforded both 2,3-trans, 3,4-cis and 2,3-cis, 3,4-cis ligans (2 and 13 or 3 and 14), which were isolated by preparative thin layer chromatography.
著者
水川 瞳 広渡 俊哉 橋本 里志
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.149-155, 2006-06-30
被引用文献数
1

1989年と2002年の4月下旬に,大阪府和泉葛城山において特異な斑紋をもつスイコバネガ科の成虫が採集された.翅脈の特徴から,この種がスイコバネガEricrania属に含まれること,また,雌雄交尾器などから新種であることが明らかになったので記載した. Eriocrania komaii sp. nov. ムラサキマダラスイコバネ(新称) 本種は,前翅に金色の条線が融合し網目状となる(暗紫色の小斑点を多数もつ)こと,ビンクルムから前方に伸びる一組の突起が幅広いこと,雌交尾器の産卵管が幅広いことなどで同属の他種と区別できる.また,本種成虫の採集からおよそ3週間後,採集地点付近でバラ科のウラジロノキに潜葉しているスイコバネガ科の幼虫が採集された.筆者らは和泉葛城山には本種の他にアカシデに潜る種(Eriocrania sp.)とブナに潜る種(イッシキスイコバネIssikiocrania japonicella Moriuti)が同所的に生息することを確認しているが,これら2種の成虫は4月上中旬に出現するのに対して,本種成虫は4月下旬にミドリヒゲナガやムラサキツヤマガリガなどとともにコナラの花に果ていたところを採集されており,幼虫の出現時期もずれていた.これらのことから,ウラジロノキに潜る本科の幼虫は本種の可能性が高いと推測された.スイコバネガ科はブナ科とカバノキ科の植物を主に利用することが知られている.これまでにもDavis (1987)と黒子(1990)がバラ科植物に潜るスイコバネガ科の幼虫について報告しているが成虫の記録はない.本種成虫と潜葉していた幼虫の関連が明らかになれば,スイコバネガ科の寄主植物について重要な情報となる.
著者
若原 俊彦 松本 充司 安野 貴之 榎本 孝 渡部 保日児 石橋 聡 倉橋 利幸 櫻本 高雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFS, オフィスシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.438, pp.15-20, 2000-11-10
被引用文献数
1

本論文は, 3地点以上の多地点で講師と受講生の間で講義空間を形成し, 参加者が一体となって受講するオンライン電子講義システムに関して、その構成法について述べたものである.本電子講義システムでは, 遠隔の受講生間で臨場感を向上させ一体感による講義空間を実現するため、複数の地点の映像をクロマキー合成するとともに, コンピュータグラフィクスにより背景を3次元合成する.具体的に、麻布、横須賀、早稲田の3地点間をディジタル回線で接続し, サイバースタジオを用いて各地点の映像のクロマキー合成を行うとともにコンピュータグラフィクスを用いて背景合成を行って遠隔講義実験を行い、受講者のアンケート結果から良好な特性が得られた。

1 0 0 0 OA 日本古建築史

著者
服部勝吉 著
出版者
田中平安堂
巻号頁・発行日
vol.第3冊 鎌倉之卷(武家様式史第一), 1926
著者
RINNE J. O.
雑誌
Brain
巻号頁・発行日
vol.117, pp.1183-1196, 1994
被引用文献数
24 298
著者
長谷川 孝治 浦 光博 前田 和寛 浦 光博 前田 和寛
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.53-63, 2009-03-15

本研究では,低自尊心者における下方螺旋過程に対する友人関係の進展段階の調整効果が検討された。長谷川(2008)は,低自尊心者の下方螺旋過程の存在について明らかにした。すなわち,低自尊心者は,友人が本当に自分のことを大切に思ってくれているかどうかを繰り返し確認するという安心さがし行動をとり,その結果,その友人から拒絶されているという認知が高まる(肯定的に評価されているという認知が低下する)ことが示された。本研究では,このような不適応な相互作用プロセスは,低自尊心者が二者関係の進展段階を考慮していないために生じると予測し,検討を行った。パス解析による検討の結果,低自尊心者は,つきあいの浅い友人に対して安心さがしを行うほど,友人からの反映的自己評価が低下することが示された。また,親しい友人に対して,低自尊心者が安心さがしを行っても,反映的自己評価の低下は見られなかった。高自尊心者は,友人の親しさに関わらず,安心さがしを行うことが反映的自己評価を下げることはなかった。これらの結果について,アイデンティティー交渉の観点から考察された。