著者
石橋 由子 桝田 秀夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.976-988, 2016-03-15

電子メールはインターネット上において手軽で最も利用されているコミュニケーションツールとして我々の生活において必要不可欠なものとなっている.メールは仕事や日常生活での情報交換だけにとどまらず,緊急時の連絡手段としても利用されている.しかしひとたび大規模な災害や重度の障害が発生すると,一定時間メールの送受信ができなくなり,非常に大きな混乱を招く恐れがある.そこで自組織のメールサービスを利用できなくなった場合でも,利用者が可能な限りメールの利用が可能となるシステムを提案する.本提案システムは,通常一体化しているケースが多いメールサーバのメールを受信する部分とスプール部分を分離し,これらを物理的に離れた場所に設置する.そして,複数箇所に設置されているスプール部分の同期を行う.スプール部分の同期を行うためにネットニュースプロトコルを利用する.メールサーバが受信したメール1通を1つのネットニュースプロトコルの記事に変換して宛先メールアドレスに対応したニュースグループに投稿する.投稿された記事はネットニュースの記事として同期を行う他のサーバに配送される.利用者はアクセス可能なネットニュースサーバにアクセスしてメールを読む.これにより,メールシステム障害時でも利用者はメールを受信することが可能となる.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1883年08月20日, 1883-08-20
著者
福山 和生 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.931-935, 2016-03-15

不正アクセスによる被害の増加,ネットワークセキュリティに関する知識,技能を持つ技術者の不足などを背景に,ネットワークセキュリティ教育の重要性および緊急性が高まっている.実践的なネットワークセキュリティ教育のためには演習が不可欠であるが,独立した演習環境を構築するための機材の準備コストなどが障壁となる.本研究では,仮想マシンを用いて1台のコンピュータ上に不正アクセス対策機器を導入した仮想ネットワークを構築することにより,安全かつ低コストにネットワークセキュリティに関する演習を実施できるシステムを実装した.評価実験の結果,本システムで実践的なネットワークセキュリティの学習環境を提供できることが分かった.

1 0 0 0 OA 鞞摩肅経 1卷

著者
求那致陀羅<Gunabhadra>//訳
出版者

巻首内題下に「神護寺」の朱方印があり「神護寺経」と通称されるものの1巻である。神護寺経は平安時代後期を代表する紺紙金字一切経で、紺色の料紙に金泥で経文を書写する。書写年代は付属の経帙に久安5年(1149)の墨書があることから、平安末と推定されている。鳥羽院の発願により後白河院が神護寺に寄進したと伝えられ、全部で5,400巻余あったが、現在神護寺に残るのは2,317巻、その他は民間に流出した。この本は和様の書風。界線は銀。表紙は宝相華唐草模様、見返しは釈迦説法図。軸は撥型鍍金魚子地四弁花文。経名の「【ビ】摩肅経」は「【ビ】摩肅」という人物を相手に説法していることより題されている。
著者
唐釋玄奘譯
巻号頁・発行日
1000

大乗仏教の基本的教義が書かれている長短様々な般若経典を集大成したもの。通称「大般若経」。本写経は平安末期写。河内国誉田(こんだ)八幡宮旧蔵の「大般若波羅蜜経」600巻のうちの8巻。誉田八幡宮の神宮寺は御冷泉天皇(在位1045~68)の信仰により建立されたもので、その当時の書写といわれる。表紙は渋引きの茶褐色。中央上部に書名と巻数を墨書し、左側下部に「誉田八幡宮」と同筆の墨書がある。
著者
(唐) 釋玄奘 譯
巻号頁・発行日
vol.卷第286, 0871

大乗仏教の基本的教義が書かれている長短様々な般若経典を集大成したもの。600巻。通称「大般若経」。奈良時代から、国家安泰・五穀豊穣・病気平癒を祈って多くの「大般若経」が作成された。本写経は貞観13年(871)3月3日、上毛の豪族・安部小水麿(こみずまろ)が檀主となり、除災招福のために書写供養した小水麿願経のうちの1巻。埼玉県比企郡の慈光寺に152巻が伝存、ほかに20数巻が伝わる。書風には奈良朝の写経風が遺り、併せて柔らかみを帯びた平安朝の筆致が認められる。巻首約50行を欠き、書名は末題に拠る。巻末に安部小水麿の願文がある。
著者
谷垣 悠介 濱中 将人 西野 祐輔 大和 義幸 秋田 求
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.160-162, 2014

ガス透過性フィルムを用いて作製した容器に液体を入れ高い酸素透過性を確かめた.ガス透過性フィルム製チューブの両端を封じた簡易な培養容器を用い,静置した液体培地中でヒメツリガネゴケ(<I>Physcomitrella patens</I>)が良好に生育することを確かめた.ガス透過性フィルムの有用性が再確認された.
著者
武田 尚子
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.7, pp.49-60, 1994-06-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
12

This paper examines the function of kin relationship, and in particular, where they relate to self-help activities progressing in poor urban areas of Manila. The residents utilize extended kin relationship in their daily lives, especially when involving themselves in the distribution of social resources which have been brought about through self-help activities. The people who use their kinship ties effectively can achieve a more favorable or higher social status for themselves and their kin groups. Therefore this paper also examines the social meaning of self-help activities as the origin of the societal heirarchy of power and rather than material wealth or resources.
著者
波田 重煕
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

2015年に開催されたユネスコ総会における決定に基づいて、ユネスコが支援してきた既存の地質科学国際研究計画(IGCP)とジオパークは緊密な連携のもとに、国際地質科学ジオパーク計画(IGGP)として新たにスタートすることとなった。これは、ある意味では、関係者の間では長年の懸案事項を解決する変革であったとみなすこともできる。 地質科学国際研究計画は、当初は国際対比計画(International Geological Correlation Programme)の名称のもとに、1972年に正式にスタートし、ユネスコと国際地質科学連合(IUGS)とが実施する傑出して特徴的な国際共同事業と見なされてきた。2012年には、創立40周年記念をパリのユネスコ本部で祝った。 演者は、1991年以来21年にわたって、日本IGCP国内委員会委員、3つのIGCPプロジェクトのリーダーあるいはコ・リーダーとしてIGCP活動に関わってきた。 「IGGPの将来」と題するセッションの講演では、その経験のもとにIGCPの歴史の概略、発展および発展の中に見る光と影について論じる。
著者
永瀬 伸子
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
no.50, pp.29-53, 2014-06-30

本稿は短時間オプションの義務化(3歳未満児のいる雇用者に1日原則6時間勤務の選択肢を提供すること)が,第1子出産,無子者の出産意欲,および第1子出産後の就業継続に与える効果を厚生労働省『21世紀成年者縦断調査』2002-2010を用いて計測した。法施行が101人以上企業に先行し義務化されたことを利用し,これ未満の企業勤務者との差の変化を測定したところ,政策実施企業において,法施行直後に,線形確率固定効果モデルを用いた推計において,第1子出産ハザードと出産意欲の上昇がそれぞれ有意に見出された。正社員の時間の自由度を拡大する政策は,大卒女性を中心に第1子出産確率を高め,無子者の出産意欲を高める効果を持つことが明らかとなった。他方,第1子出産後の就業継続のプロビット分析からは短時間オプションの有意な効果はみられなかったが,2007年以降就業継続確率の有意な上昇が見出された。2007年と2010年に育児休業給付が拡充されていることが背景にあるだろう。ただしこうした政策の対象となる正社員は,出産年齢にある無配偶女性の半数をしめるに過ぎない。非正規雇用者に対する保護の拡充がなされない限り保護の厚い正社員の女性の採用が削減されることが懸念される。さらに35-36歳の正社員女性や契約社員女性の無子割合は5割を超えているが,出産意欲は比較的高い。出産意欲が実現できる非正規雇用者を含めた雇用環境や保育環境の一層の整備が望まれる。