著者
成清 修
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

ガラス的物質群の理解を目指して理論的研究を展開しているが、本年度は特に下記のことについての論文を出版することができた。ドープした半導体や希土類化合物(重い電子系)では金属スピングラスと呼ばれる新奇な状態が実現している。実験的には多くのデータの蓄積があるが、理論はほとんど未発達の状況にある。通常のスピングラスの理論は、絶縁体の局在スピンに対するものであるが、金属スピングラスの理論においては、遍歴するフェルミオン(電子)とスピングラスの秩序変数の共存を示さねばならない。2ないし3次元のスピングラスの議論はシミュレーションをしないと進まないが、理論的に確立しているのは無限大次元の解析的理論である。他方、フェルミオン系において確立した金属絶縁体転移(Mott転移)の理論は、やはり無限大次元の理論である。そこで我々は、スピン系とフェルミオン系の無限大次元の理論の統合を図った。具体的にはランダムなスピン・フェルミオン模型と呼ばれるモデルを無限大次元で厳密になる動的平均場近似を用いて調べた。過去、ミクロなモデルから出発して金属スピングラス状態を導出する試みは成功していなかったが、それはスピングラス系のダイナミクスを追跡できていなかったためである。我々はダイナミクスを正しく考慮し、金属スピングラス状態を導出することに成功した。同時にスピングラス相のなかで起こる金属絶縁体転移を導き、転移点を確定した。現在、本研究の一環としてクラスター描像にたって、大偏差解析およびマルチフラクタル解析を実行し、2ないし3次元での金属スピングラスの理論を構築しつつある。
著者
武田 好央 中込 恵一 新村 恵一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.62, no.599, pp.2887-2894, 1996-07-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
6
被引用文献数
5 8 8

There is a gradient of fuel concentration in the spray of conventional direct-injection diesel engines. Therefore, a region of stoichiometric mixture ratio exists in the injected spray and a high concentration of NOχ is produced. In this study, fuel injection timing was widely advanced to promote the mixing of fuel and air. Using this injection method, the engine could be driven with premixed lean diesel combustion (PREDIC), and NOχ emissions were greatly reduced. To avoid the fuel spray contacting the cylinder liner, the fuel was injected by two side injectors simultaneously. The two sprays from the side injectors collided with each other and remained in the center region of the cylinder. Thus mixing of fuel and air was promoted by a long ignition delay period. In the case of conventional injection methods, NOχ could not be reduced to under 400ppm (λ=2.7). In contrast, in the case of PREDIC, NOχ emissions were reduced to as low as 20ppm (λ=2.7).
著者
塩原 拓人 井上 智雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.20-28, 2014-08-20

近年1人で食事することを余儀なくされる「孤食」が問題となっている.孤食者支援のための従来研究では,参加者全員が食事をすることが想定されてきた.これに対して本研究では,これまでに考慮されていない,遠隔地間の一方だけが食事をする状況があることに着目した.そして,非食事者の代わりに食事行動をとるインタフェースエージェントによる疑似的な共食を実現した.Surrogate Dinerと呼ぶこのインタフェースエージェントの食事行動は,実際の共食場面の映像分析に基づいている.評価実験では,Surrogate Dinerを用いる共食条件,食事行動のないインタフェースエージェントを用いる会話エージェント条件,相手の実映像を用いる会話映像条件の3条件を比較し,質問紙とインタビューから,孤食者支援についてSurrogate Dinerの有効性が確認された."Eating alone" has been one of the serious problems in our society as more elderly people live alone, more people work and live separately, and people's rhythms of lives become more diverse. Although all the existing research assumed that every participant of social dining had a meal, we found the setting that only a part of the participant has a meal is probable and acceptable for solving the problem. Surrogate Diner, an interface agent that performs eating behavior as a surrogate for a non-eating participant, is introduced in this paper. The eating behavior of Surrogate Diner is based on the actual eating behavior from recorded videos of co-dining. Evaluation study was conducted with the Surrogate Diner condition, the conversational agent condition, and the conversational video condition. Effectiveness of the proposed Surrogate Diner was indicated regarding the alleviation of "eating alone" problem from a questionnaire and interview.
著者
長沼 毅
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

通常の表層海水試料に加えて、深部地下水ならびにトカラ列島や口永良部島などの火山域、サハラ・ゴビ砂漠、北極・南極等の極限環境試料から孔径0.2ミクロン(μm)通過菌(すなわちナノバクテリア)の単離・培養を試みた。上記試料液あるいは懸濁液を三連にした孔径0.2ミクロンSterivexフィルターで濾過し、その濾液を貧栄養の1/100LB液体培地に接種した後、濁りの生じた培地をさらに1/100LB寒天培地に塗布し、形成した単コロニーからの釣菌および画線を繰り返して、0.2ミクロン通過菌、(極微小菌)の単離を行い、6株を取得することができた。このうち好気・室温条件で増殖が比較的速い深部地下水由来の3株の分子系統を16S rRNA遺伝子で調べたところ、それぞれ既知の属(Acidovorax、Micrococcusおよび phaeospirillum)に帰属することが分かった。この深部地下水由来の3株について、一酸化炭素と二酸化炭素の変換および亜硫酸と硫酸の変換という地球化学的な機能を有する酵素の遺伝子を得ることができた。また、一本鎖DNAの分解、突然変異源である酸化ヌクレオチドの分解酵素、トレハロース生合成の最終段階、グルタミン酸の生成(synthetaseではなく、糖代謝とアミノ酸代謝を結ぶsynthase)など、種々の代謝に関わる酵素の遺伝子も得ることができ、極微小生物の生理に関する基礎知見を拡充することができた。
著者
桐原 健
出版者
信濃史学会
雑誌
信濃 〔第3次〕 (ISSN:02886987)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.547-560, 2001-08
著者
小松 和彦
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.50-55, 2005-03
著者
横道 萬里雄
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.42-47, 2005-11
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.28-32, 1950-05
著者
観世 華雪
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.36-40, 1950-05
著者
池田 弥三郎
出版者
芸能発行所
雑誌
芸能 (ISSN:09113282)
巻号頁・発行日
vol.2, no.12, pp.13-17, 1960-11
著者
安富 順
出版者
歌舞伎学会
雑誌
歌舞伎 (ISSN:09160086)
巻号頁・発行日
no.24, pp.76-89, 1999-12

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1928年12月03日, 1928-12-03
著者
篠崎 榮
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.19-32, 2000-03-20

この論文で考えることは、「神の像(imago Dei)」という聖書の表現が、「人間とは何か」を考えるうえで、今日どれほどの哲学的・人間学的な意義をもちうるか、ということである。
著者
MIZUMOTO Atsushi TAKEUCHI Osamu
出版者
外国語教育メディア学会 関西支部メソドロジー研究部会
雑誌
2010年度部会報告論集「より良い外国語教育のための方法」
巻号頁・発行日
pp.47-73, 2011-06-06

統計的検定は,標本から得たデータ分析結果を母集団にまで一般化させる目的で行われる。統計的検定では,サンプル・サイズ,有意水準,効果量,検定力の4つが検定結果の良し悪しを決定する重要な要素であるため,その基礎的概念の理解が検定を正しく使うためには重要である。そこで,本稿では,効果量と検定力分析の2つの概説を行い,統計的検定を用いている研究において,効果量報告と検定力分析の使用を推奨することを目的とする。