著者
大庭 喜八郎 荒木 真之 糸賀 黎 大久保 達弘 永野 正造 須藤 昭二 前田 禎三
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本研究は下記の目次(分担)によって研究成果のとりまとめをした。1.研究目的:アイソザイムを利用したブナ天然林の集団遺伝学的解析、それらの林分の立地環境の評価を行い、天然下種更新、萌芽更新の実体を明らかにする。ブナ林の体鶴分析を行い、動植物の保護、生態遺伝学の見地から総合的にブナ林の保全と育成管理の条件を論究する。2.日本のブナ林の概況:ブナ属の種数、ブナ・イヌブナの分布、現存ブナ林面積、地史的なブナの分布と伝播の概要についてまとめた。3.ブナ林の既往の生態遺伝学的研究成果:葉の大きさが南から北へ大きくなり、個体の寿命が本州のブナに比べ北海道のブナに比べ北海道のブナの方が短い。4.ブナ天然林なアイソザイムによる遺伝解析1)調査林分の気象環境・土壌環境と現存量2)(1)ブナ天然林集団間の遺伝解析:11酵素種、14推定遺伝子座の総計47対立遺伝子の分析を行い、集団遺伝学的解析をした。ブナ自体のアイソザイム遺伝変異は他の樹種と比べると相対的に大きいが、林分間の差異は小さく、全変異のわずか1.4%で、残りの98.6%は林分内にあった。(2)ブナ林分内小集団内の遺伝解析:アイソザイムによる家系分析(3)ブナ天然林集団内の形態的変異:成葉、幹足部幹形、樹皮型、萌芽性5.ブナ天然林の維持機構1)ブナ天然林の種子による維持機構:植生と更新稚樹、ギヤップ更新2)ブナ林の萌芽による維持:ブナとイヌブナの萌芽更新の実態6.ブナ天然林の景観分析7.ブナ天然林の保全と育成管理の方策の総合検討1)ブナの遺伝資源保存:アイソザイム分析とブナ保護林の実態の検証2)ブナ林景観保存
著者
小浜 駿
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.283-293, 2014 (Released:2015-03-30)
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

本研究では, 先延ばしの際に生じやすい意識から先延ばしを3パターンに分け, 3パターンそれぞれの先延ばしを行いやすい者の学業遂行について検討することを目的とした。学業遂行に影響を与えると考えられる変数として, 3パターンの先延ばしを行いやすい者の仮想的有能感および達成目標についても検討が行われた。292名の4年制大学生を対象とした質問紙調査の結果, 以下の3点が明らかとなった。第1に, 否定的感情が一貫して生じる先延ばしは, 学業遂行に悪影響を与えないことが明らかとなった。ただし, 失敗を回避しようとする状況では学業遂行に悪影響が生じる可能性が示唆された。第2に, 状況の楽観視から生じる先延ばしは, 学業遂行に悪影響を与えることが明らかとなった。また, 低い学業遂行の帰結として生じる自己評価の低さを, 他者軽視に基づく仮想的有能感によって補償していることが推察された。第3に, 計画性をもって行われる先延ばしは, 学業成績に好影響を与えることが明らかとなった。計画性をもって行われる先延ばしは, 気晴らしの機能をもつ先延ばしによって課題遂行のための目標が明確化するために学業遂行に好影響を与えると推察された。
著者
野村 知子
出版者
西日本図書館学会大分県支部
雑誌
JUNTO CLUB (ISSN:18827004)
巻号頁・発行日
no.4, pp.15-26, 2002-03 (Released:2008-06-03)
著者
岡ノ谷 一夫
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

ヒトでは音声の産出と知覚に関して大脳の左半球が優位である。申請者のこれまでの研究で、鳴鳥類の一種であるジュウシマツでは、音声の産出において大脳の左半球が優位であることがわかっている。今回申請した研究では、知覚における大脳の優位半球を特定し、それが種に特有な音声に限るのかどうか、生物学的に無意味な音の知覚にも脳の左右差があるのかどうかを検討した。実験にはオスのジュウシマツ4羽を使った。まず、これらの被検体から「地鳴き」と「歌」とを録音し、その後、鳥類大脳における音声産出の最高中枢であるHVCの左右のどちらかを破壊した。この際、被検体を脳定位固定装置で3次元的に定位し、HVCの3次元座標にもとづきラジオ周波数を放射する電極によりHVCとその周辺の組織を熱電気破壊した。回復をまって、オペラント条件付けによりGO/NOGOパラダイムで音声を弁別するように被験体を訓練した。弁別訓練に用いた音声刺激は、3kHz、200ミリ砂の純音と、同じ長さの白色雑音である。これと同時に、定期的に音声を録音し、歌の産出への影響も調べた。歌の産出に関しては、左のHVCを破壊された個体では歌の構成と音声構造が大きく変化し、ノイズ状の歌に変化してしまった。右のHVCを破壊された個体では手術後しばらく歌が変化したが、変化の度合は左の場合に比べ軽微であった。この結果は、申請者の先行研究と一致する。人工音声の弁別に関しては、4個体とも10セッション前後で弁別を学習し、HVCの破壊側による差はなかった。これらの結果と、申請者の先行研究とを総合して考察すると、鳥類のHVCは自種の音声と他種の音声とを弁別する際には左が優位だが、人工的な音刺激を弁別するには左右差がない、または必要がない、と考えられる。このことは、鳥類の左HVDは、人間のブロカ領とウエルニケ領とを総合したような働きを持つことを示唆する。
著者
林 晋 橋本 雄太 加納 靖之 久木田 水生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

古文書のWEBを実現するにおいて、最も重要なことは古文書の翻刻、つまり、古文書のテキストを文字列にすることである。それにより、古文書のテキストの検索、リンクづけなど、WEBと呼ぶにふさわしい文書の集合体を作成することができる。その実現法の一つとして、市民のボランティア参加による翻刻方法、クラウド翻刻(Crowd transcription)が知られており、英国などでの成功例が知られている。しかし、日本の古文書に対しては、成功例がなかったが、地震関係の古文書を対象にして、ボランティアが崩し字の読みを学習できるようにした、「みんなで翻刻」システムを開発し、これを初めて成功させた。
著者
大久保 友幸 小林 一行 渡辺 嘉二郎 栗原 陽介
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.299-304, 2015 (Released:2015-04-30)
参考文献数
11

In this paper, we describe a new time-sharing, display-based, color-assisted vision system for individuals with color vision problems associated with aging. Most of the proposed type of existing color-assisted vision systems apply to only computer systems or car-navigation systems. Here, we propose a new system that may help even the elderly clearly perceive color signs and indicators. This system has an image-processing unit, a camera and HMD for elderly people which create the enhanced color image. For consistent evaluation and repeatability of experiments, wearing simulated eyeglasses is assumed to be the same as an aged person's vision. The effectiveness of the proposed method is evaluated by applying the SD method.
著者
梶山 朋子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.137, pp.181-185, 2013-07-11

本稿では,提案済みのリング状検索インタフェースを改良し,アプリ検索アプリケーション「Wonder Search」を実装した.本インタフェースは,星座早見盤のような形状で,多次元属性情報に対し柔軟な検索を提供する.検索対象は,iTunesストアが用意している23カテゴリに対する上位50件ずつである.検索の切り口として利用する属性には,カテゴリやユーザ評価などのストア登録情報に加え,アイコンの色彩に関する属性を用意した.本アプリケーションは,予想外のアプリケーションとの出会いを提供するだけでなく,紫のアイコンは少ないなど分析ツールとしても利用できることが分かった.
著者
福岡 義和 田中 啓一 野口 雅志 酒井 晃 萩中 隆博 中村 武夫 田近 栄司 神田 静人 加藤 正博 長谷川 真常
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.150-157, 1986

新しく開発された経口セフェム系抗生剤T-2588 (T-2525として100mg力価) を健常成人4例および種々の程度の腎機能障害者14例に経口投与し, その抗菌活性物質であるT-2525の体内動態を検討した。腎機能の指標としては24時間内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) を用い, 薬動力学的解析は吸収に遅れがあるとしたone-compartment open modelを用いた。<BR>T-2525の最高血清中濃度は腎機能に影響されることなく投与後4時間に得られたが, Ccr20~30ml/minの腎機能障害者では正常者に比べ高値を示す傾向がみられた。血清中濃度半減期 (t<SUB>1/2</SUB>) は腎機能正常者で0.83±0.02時間と計算され, 腎機能の低下に伴い延長した。排泄速度定数KelはCcrと良く相関し (r=0.739, p<0.005), 一次回帰式Kel=-0.053+0.0113Cer (Ccr: 20~80) が得られた。<BR>腎機能正常者におけるT-2525の投与後8時間までの尿中回収率は平均22.2±1.9%で, 腎機能の低下に伴い低値を示した。<BR>Ccr40~70ml/minの軽度腎障害者では本剤100mg1日3回の連続投与によってもほとんど体内蓄積の可能性はないが, Ccr20~30ml/minの腎障害者では連続投与によりC<SUB>max∞</SUB>およびC<SUB>min∞</SUB>が上昇することが推定された。

1 0 0 0 OA 勲位録

出版者
賞勲局
巻号頁・発行日
vol.明治24年1月1日改正, 1891
著者
小泉栄次郎 著
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
1943