著者
郭 暁艶 上西 寛司 川井 泰 安田 成美 春日 元気 竹澤 志織 瀬戸 泰幸 西村 順子 北澤 春樹 齋藤 忠夫
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.129-135, 2014

ガセリシン T (GT)は,ヒト腸管より検出される乳酸桿菌 <i>Lactobacillus gasseri</i> により生産される二成分性バクテリオシンである。また,当研究室で分離したヒト乳児由来の GT 生産 LA158株を含む <i>L. gasseri</i> は,改良乳培地で良好に生育するものの,乳中に豊富に存在する二価金属イオンにより LA158株の GT 生産は抑制されることが知られている。本研究により,GT 生産株として最初に見出された,抗肥満効果を有する <i>L. gasseri</i> SBT2055は,MRS 培地にて二価金属イオン(Mg<sup>2+</sup>,Ca<sup>2+</sup>, Mn<sup>2+</sup>, Fe<sup>2+</sup> および Zn<sup>2+</sup>)の添加により濃度依存的に GT 生産が抑制されることが判ったが,LA158株における抑制濃度(Mg<sup>2+</sup> および Ca<sup>2+</sup>)とは異なっていた。また,200 mM の二価金属イオン添加では,良好に生育するにもかかわらず,GTの生産は完全に消失した。さらに,二価金属イオンのキレート剤で食品添加物であるクエン酸三ナトリウム(TSC)の添加によりGT 生産は回復した。以上の結果から,ヨーグルト製造においてスターターの生育を阻害せずに,GT 生産性のプロバイオティック <i>L. gasseri</i> 株を効果的に添加・利用出来るものと考えられた。
著者
平石 恒男
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.E0989-E0989, 2006

【目的】<BR>脳卒中片麻痺患者にとって、床上での立ち座りは困難な動作の一つである。文献には立ち上がり方法についての記載は多いが、一人で立ち座りができるかどうかを予測する方法を述べているも見当たらない。そこで、今回、片麻痺患者の床上での立ち座りと立位、歩行能力の関連から立ち上がり能力を簡便に判定する方法を検討した。<BR>【方法】<BR>対象は当院に入院中の脳卒中片麻痺患者54名、男34名、女20名、平均年令65.4才、ブルンストローム下肢ステージI,II―5名 III,IV―34名 V,VI―15名 <BR>方法は立位能力を、立位から床への上肢リーチ動作を5段階、歩行能力も5段階に分け、床上での立ち座り動作の可否から関連を検討した。立ち座りについては口頭指示、台の使用を可とした。<BR>【結果と考察】<BR>1.立位姿勢から床への上肢リーチ動作と床上での立ち座りについて、<BR> 立位から手掌が床に着けられたものは37名中32名が自力で立ち座りができた。一方、それができなかった17名は、一人が台を使用してできただけだった。また、床への立ち上がりと下り動作の難易度で、前者は37名中26名が可能であったのに対して、後者が35名と、下り動作の難易度は、ほぼ、床へ手掌が着けられる動作と同じと云えたが、立ち上がり動作は、それに比較して、難しい動作であることが分かった。しかし、立ち上がりに台を使用することにより37名中32が可能となった。したがって、片麻痺患者の立位から床へ手掌が着けられる上肢のリーチ動作能力は床からの立ち上がり、床への下り動作が自力で可能か否かの指標になると考えられた。<BR>2.歩行能力と床上での立ち座りについて<BR> 室内自立歩行群19名中18名が床からの立ち座りが一人で出来、台の使用者は1名のみであった。しかし、監視歩行群では一人で立ち座れたものは半数に止まっていた。このことから、歩行の自立は台などの立ち上がり時の補助用具なしでの、自力での立ち座りの可能性が指摘された。一方、車椅子使用者でも監視歩行ができることにより、一人で床への乗り降りができるものがあることが分かった。<BR>【まとめ】<BR> 今回の研究から片麻痺患者の立位姿勢からの床へのリーチ動作と歩行能力は床上での立ち上がり動作に関連があることがわかった。特に立位姿勢から床への手掌の接地の可否は一人で床上で立ち上がりが出来るか否かの目安になると思われた。
著者
根岸 千悠 ネギシ チハル NEGISHI Chiharu
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.249, pp.7-14, 2012-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第249集「社会とつながる教員養成に関する実践的研究」藤川大祐編"Practical Research on the Teacher Training Connected with Society" Report on Research Project No.249今日、学校に求められるもの、教員に求められるものは非常に多様化している。教員養成系大学・学部では、学校だけでなく社会と積極的につながり、幅広い見識や視点を持った教員を養成することがより一層求められる。このような状況の中、本報告書の執筆者である教育学部学生らは、大学を基盤としつつも、学校を飛び越え、社会とつながる様々な取り組みをおこなっている。そこで本稿では、「社会とつながる教員養成」の各事例を「1.大学による授業科目の受講」、「2.学生による研究としての授業づくり」、「3.越境型の研究会への参加」の3つに分類した。そして「社会とつながる教員養成」の持つ可能性と課題を整理し、今後のあり方を検討した。
著者
加藤 宏和 村田 佳洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.275, pp.1-6, 2012-10-25

近年,パーソナルナビゲーションシステムに関する研究が数多くなされており,観光スケジュール立案のためのナビゲーションシステムも研究されている.観光スケジュールは天候の影響を受ける.しかし,天候を完璧に予測することは不可能である.そのため,天候に応じたスケジュール群立案手法が必要となる.そこで我々は,この手法のための天候変化パターンを生成するアルゴリズムを提案した.このアルゴリズムは,時間帯に応じた降水確率を与えることで,その時間に起こりうる天候をシミュレートするものである.シミュレートして得られた天候変化パターンから確率通りの降水の割合が得られているかを調査するため,与えた降水確率と比較した.その結果,最大1.4%の誤差があるものの,ほぼ元の降水確率通りの割合が得られることがわかった.
著者
和泉 謙二 川上 勇一 法月 香代 冨田 昌夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P2071-A3P2071, 2009

【目的】<BR> 私たちは重力を知覚し基礎的定位をし,視覚情報その他から得られる空間的定位と一致させ行為している.身体内部の非対称性は身体軸の傾きやバランス戦略等動作時の傾向性として表出される.脳血管障害者における治療用ベッド上に斜めに寝るという現象は,その一つの代表例として考えられる.<BR>今回,我々は健常人における軸の傾きやズレに対し,揺すり手技を用いた介入により修正できるか検討し,若干の知見を得たので報告する.<BR>【対象】<BR> 研究の趣旨を説明し同意の得られた健常成人15例(男:9,女:6),平均年齢29.5±5.0歳,視覚認知に問題なく神経疾患の既往がないものを対象とした.尚,本研究は当院倫理委員会の承認を受けて実施した.<BR>【方法】<BR> 頸部の軸を計測するために眉間,下顎中央に,体幹の軸を計測するために胸骨上切痕,臍にマーキングし,それぞれを結ぶ直線をベッド端まで延長した点の頭側および尾側の差とベッド長軸の長さから三角関数により傾き角度および頸部・体幹軸のズレを算出した.測定はそれぞれ安静臥位,視覚導入後,頸部からの揺すりによる介入後において行った.統計手法は求められた平均値より対応のないt検定(有意水準5%)にて比較検討した.<BR>【結果】<BR>1) 頚部の傾きは安静臥位3.2±1.6°,視覚導入後2.4±1.4°,揺すり介入後1.2±1.3°となった.体幹の傾きは安静臥位2.5±1.6°,視覚導入後2.5±1.6°,揺すり介入後1.4±1.2°となり,平均値の差の検定では頸部・体幹とも揺すり介入後が安静臥位ならびに視覚導入後よりも傾きが減少する傾向を認めた(p<0.05). <BR>2) 頸部・体幹の軸のズレは安静臥位3.3±2.2°,視覚導入後2.0±2.1°,揺すり介入後2.2±2.0°と安静臥位より視覚導入後および揺すり介入後において軸のズレが減少したが,優位な差を認めなかった.<BR>【考察およびまとめ】<BR> 私達は無意識下に重力を知覚し,自身の姿勢や行為を決定している.人間が重力に抗して活動するためには正中を知り,振れ幅の少ない左右均衡した中で動くことが,経済的である.<BR>しかし,実際に自分の正中がどこなのか明示するものはなく動くことによりボディイメージが形成され,視覚情報と一致するという知覚循環のもとに自分の位置,構えを知覚している.筋活動の不均衡や可動性の制限が生じると「動かせない」「知覚できない」身体部位ができ,知覚循環により空間との関係性を知ることが困難になると考える.<BR>今回の測定結果より,頸部からの揺すり介入は,過活動な表在筋群の緊張を抑制し,Parking FunctionあるいはDynamic Stabilizationの状態に近づけることで知覚しやすい身体づくりが可能となることで身体軸の修正,基礎的定位と空間的定位の一致させる上で有用な介入であることが示唆されたものと考えられる.

1 0 0 0 OA 徳川家康

著者
山路愛山 著
出版者
改造社
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1941
著者
谷 喬夫
出版者
新潟大学
雑誌
法政理論 (ISSN:02861577)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.26-80, 2012-03-30
著者
今井 仙一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.24-55, 1954-03-20

論説

1 0 0 0 刀剣史料

著者
南人社
出版者
南人社
巻号頁・発行日
no.22, 1960-10
出版者
南満洲鉄道
巻号頁・発行日
vol.第44編 沿海・アムール地方誌, 1942
著者
萩森 学 尾島 一史 長坂 幸吉 安部 順一朗 亀野 貞
出版者
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
雑誌
近畿中国四国農業研究センター研究報告 (ISSN:13471244)
巻号頁・発行日
no.6, pp.113-123, 2007-03
被引用文献数
2

有機物由来成分100%の肥料を用い,施肥畝立て後,夏期に約1カ月の太陽熱利用土壌消毒を行い,その後播種・定植し直ちに0.6mm目合いの防虫ネットでトンネル被覆し,原則として収穫までトンネル被覆を維持し,ヨトウムシ等チョウ目昆虫の害虫が発生した場合はBT剤散布で対処する,キャベツ等アブラナ科野菜の露地栽培体系を構築した。本体系に則ってキャベツ,ハクサイ,ダイコン,カブを栽培し,農薬はBT剤であるゼンターリ顆粒水和剤を2回散布するのみで,可販株率が,キャベツでは96%以上,ハクサイでは84%以上,ダイコンでは約90%,カブでは93%以上という結果を得た。ハクサイでは処理区で対照区に比べべと病発生がやや多かった。処理区では対照区に比べ,雑草の発生と地上部及び地下部の虫害が顕著に抑制された。また処理区では対照区に比べ,供試した4種の作物全てが顕著に旺盛な生育を示した。
著者
ニャダワ モーリス 小葉竹 重機 江崎 一博
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.93-100, 1995

ケニアは大きく5個の流域に分けられ,その第3番目の流域はAthi川流域で流域面積約7万km2で,そのうち65%がAthi川本川である。残り35%は直接インド洋に注ぐそれぞれ独立したいくつかの河川から構成される。Athi川本川の上流域は3月~5月と10月~11月にかけての2回の雨期をもつが,とくに3月~5月の雨期では雨のピークは4月にあるにもかかわらず,流量のピークは5月になってから現れる。この現象は流域面積が数十km2の小流域でも顕著に認められ,水文学的に大きな流域とみなすことができる。このような性質をもつ流域からの流出をタンクモデルによってシミュレートした。タンクは3段直列であるが,1段目のタンクの浸透孔を底部より高い位置に開口し,土壌に取り込まれ蒸発散のみで失われる土壌水分成分を表現した。蒸発散量は蒸発皿の値に一定の係数をかけた値を用いた。1960年~1988年の資料を用いてシミュレーションを行った結果,良好な結果が得られた。
著者
片山 俊之 土居内 龍 西山 雅人
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.12, pp.85-89, 2011-03

紀伊半島南西岸産のイサキについては,生殖腺の組織学的観察によると産卵期が5~8月であり,雌は1歳では成熟せず,2歳から全個体が成熟し,雄は1歳で全個体が成熟することがわかっている(土居内・吉本 2009)。今回の調査において,和歌山県でのGIのピークは雌雄ともに5月だった。ただし,産卵が活発化する時期はGIのピーク時ではなく,GIがピークを示した次の月であるものと推察されている(土居内・吉本 2009)。大分県では5月以前のデータがないものの,GIのピークが雌雄ともに6月であり,神奈川県ではイサキの産卵期は6~8月とされている(増沢1968)。これより,イサキの産卵期については調査各県沿岸海域において大きな差はみられないことが明らかとなった。イサキの年齢と成長については各県で調査されており,神奈川県では鱗による年齢査定から,lt=32.9[1-exp-O.31(t+0.496)](lt:t歳におけるFL,t:年齢)という成長式が得られている(増沢1967)。和歌山県では耳石横断切片による年齢査定から,lt=331[1-exp{-0.283(t+1.45,)],(r2=0.915),の成長式が得られており,年齢の範囲は雄で0~21歳,雌で0~15歳である(Doiuchi et al. 2007)。大分県では,豊後水道西武海域で漁獲された個体の耳石横断切片による年齢査定から,lt=319.7[1-exp{-0.672(t+0.183)}]という成長式が得られており,年齢の範囲は雄で0~23歳,雌で0~17歳であることが明らかとされている(山田・片山2007)。これを基にすると,神奈川県では2歳以下の個体を主に漁獲していることになる。和歌山県では2~4歳魚が漁獲の主体である。大分県では2~4歳魚が漁獲の主体である。なお,鱗による年齢査定は耳石横断切片よりも過小評価になる場合があるため,神奈川県の漁獲物を和歌山県と大分県で得られている成長式に当てはめると,やはり2歳以下が漁獲の主体と判断された。