著者
朱 近康 佐々木 重信 丸林 元
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B-(0xF9C2) 通信 (0xF9C2) (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p207-214, 1991-05
被引用文献数
44

スペクトル拡散 (Spread Spectrum: SS) 通信方式における最も重要な課題の一つは周波数利用効率である.帯域制限のある伝送路にSS方式を適用する場合,データの高速化に伴って処理利得が低下し,SS方式のメリットが生かせなくなる.本論文では,これらの問題に対して有効な新しい並列組合せSS通信方式を提案する.本方式を用いれば,系列長NのN個の直交拡散系列(例えば直交Gold系列)を利用して,送信情報によりN個の系列からr個の系列を並列に組み合わせることにより,(r+log2(NCr)) ビットのデータを同時に送信でき,Nが大きい場合には,例えばr=N/4のとき,Nビットのデータを,またr=2N/3のとき,1.58Nビットのデータを伝送できる.本論文では,並列組合せSS通信方式について,基本原理,システム構成を示し,処理利得と周波数利用効率の関係,組み合わせたr個の系列の誤り率,ビット誤り率,耐振幅制限性,などの特性を解析し,その利点を明らかにする.
著者
甲村 浩之 長久 逸 原田 隆
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.51-59, 1994
被引用文献数
6 11

アスパラガス (<I>Asparagus officinalis</I> L.) 優良株の組織からの多芽集塊および多芽集塊からの不定胚形成を利用した大量増殖培養系の確立について検討し, その可能性を実証するとともに基礎的知見を得た.<BR>1.アスパラガスの品種'ヒロシマグリーン' (2n=30) の若茎の茎頂を, アンシミドール10mg•liter<SUP>-1</SUP>およびショ糖30g•liter<SUP>-1</SUP>を添加したMS液体培地を用いて, 回転培養法により培養するとコンパクトな多芽集塊を誘導することができた. この多芽集塊は,1か月ごとの継代培養により増殖を繰り返し2年間維持されており, この間カルス化および染色体数の変化は認められなかった. また, 多芽集塊は, 本実験に用いた他の品種•系統においても同様な方法により容易に誘導することができた.<BR>2.多芽集塊を直径約2mmの大きさに分割して2,4-D 10<SUP>-5</SUP>Mを添加したMS寒天培地に移植すると, 容易にカルスを形成し, 発達した不定胚を含む embryogenic callusも10~20%の率で誘導することができた. これらのembryogenic callusの頂端の部分を分離し, 同じ培地で2週間ごとに継代培養すると, 安定的に不定胚を形成するembryogenic cell lineが得られ, 現在までに約1年間 (24回以上の継代培養) 不定胚形成能力を維持し続けている.<BR>3.多芽集塊は継代培養を行わず3~6か月間同じ培地で回転培養を続けると表面に球状胚と考えられる集塊組織を多数形成し, これらを2,4-D 10<SUP>-5</SUP>Mを添加したMS寒天培地に移植すると, 30%以上の高率で容易にembryogenic caUusを誘導することができた.<BR>4.多芽集塊から不定胚を形成させる培養系において再生した植物体約2000株については, アルビノやわい化などの異常は認められず, 染色体数 (15株観察) の倍化変異も認められなかった.<BR>以上の結果から, アスパラガスの多芽集塊誘導とそれに続く不定胚形成を利用した大量増殖システムは, 育種や栽培などの促進と改善のための有効な手段になると考えられる.
著者
Hare Richard M. 川崎 修
出版者
岩波書店
雑誌
思想 (ISSN:03862755)
巻号頁・発行日
no.739, pp.p118-133, 1986-01
著者
内田 彰子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.1751-1753, 2011 (Released:2011-12-01)
被引用文献数
1

I am a team doctor of three competition groups including professional cycling team for ten years. The most troublesome issue as a sports doctor is the problem about doping. I cope thanks to a mobile telephone and an e-mail regardless of place and time, but introduce some examples because I still experience many doping “near miss” cases. In addition, there are problems in road competition spots as follows; 1) There are few team doctors. I am pressed by the consultation from plural teams, 2) An unexperienced doctor of the doping knowledge often prescribes prohibited drugs, 3) There are problems with no understanding of the medicine made in foreign countries, Chinese medicine, a generic drug, and supplements which obtained on the internet. I hope that anti-doping education in faculty of pharmaceutical sciences is made mandatory, sports pharmacists taken to the sports spot along increase, and a system and a database to teach local doctors and players quickly will be achieved in future.
著者
徳川 武定 鬼頭 史城 西山 哲男 丸尾 孟 田宮 真 谷 初蔵 木下 昌雄
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協會論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.94, pp.69-79, 232, 1954-02

As is only too well known, the quick diving is one of the essential qualities of the presentday submarines. In this paper, first of all, the authors have made an analytical study on the diving motion of a submarine. In the next, the question may be solved as to how much degree the trim angle of the vessel does alter, when the vessel submerges with constant speed Vo, along the specified course, into the given depth of immersion D, in the duration of time T, under the regulation by a pair of horizontal rudders with a certain rudder angle. Fortunate to say, we have still on hand the underwater-performance curves based on the experimental results of the several types of submarine-models, and using them, we obtained numerical values of both the trim and rudder angles of submarine when she performs the diving motion as mentioned above. In conclusion, it is shown that, if we try to make the time duration needed T, as short as possible, the allowance in inclination of hull matters more, rather than the addition of rudder angle.
著者
田中 愛子 岩本 晋
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-47, 1998-03
被引用文献数
1

Y看護学院保健婦科の学生に死生観に関する質問紙を作成してもらい,それを用いてY看護学院の学生全員(n=296)を対象に調査を行った。作成された質問紙と調査結果は以下の事を示している。1)死生観の質問項目は,「自分の死」「家族・身近な人の死」「死の教育」「生について」「臨床実習と生と死」の5つの視点があった。2)調査を実施する際のインフォームド・コンセントでは,死生観と看護を関連づけて,調査の意図が説明されていた。3)調査した結果は次のとおりである。97.6%の学生が死について考えたことがあり,81.3%が身近な人との死別体験を持っていた。またこの体験や死についての学習は,生や死について考えるきっかけになったと答えていた。脳死は人の死であるかや,人工呼吸機での延命についての考えは,「よくわからない」という答えが多かったが,生命の誕生については94.2%が尊いものであるととらえている。今回紹介した質問項目の範囲においては,死の学習やターミナルステージにある患者との関わりなどの具体的な経験を尋ねる項目では学年や教育課程で相違が見られたが,その他の殆どの質問項目において学年や教育課程による特徴の差は見られなかった。
著者
前田
出版者
神奈川大学
雑誌
神奈川大学言語研究 (ISSN:09153136)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.139-162, 2002

多くの日本に居住している外国人達がよく感じることは彼らが日本人からたびたびファースト・ネームで呼ばれることである。これは日本人同士がファースト・ネームで呼び合うケースと比べると比較にならないほど頻繁に行われている。日本人は外国人に対して自分たちをファミリー・ネーム+タイトル(-さん,Mr.またはMs.等)で呼ばれるように期待しているにもかかわらず、彼らは外国人に対してファースト・ネームで呼び返すことが多い。外国人にとってこれは次の二つの原理原則を破ることになる。一つ目は呼称の相関性、二つ目は民族にかかわらず同等の扱いがなされていないと言うことである。しかし多くの日本人にとって外国人はどんな場合でもファースト・ネームで呼ばれることを好んでいると信じ込まれている。筆者は各全国ネットのテレビ局で放送している番組を通じてこれらの現況を調べてみることにした。十八ヶ月かけて二百例を観察した結果、下記の二つの主な事例が判明した。外国人は自分たちの国の中で呼ばれるよりも多くファースト・ネームで呼ばれている。外国人女性のほうが外国人男性よりも頻繁にファースト・ネームで呼ばれている。
著者
Sarff John S.
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.800-803, 2008-11-25

RFP核融合炉にとってOscillating Field Current Drive (OFCD)を用いたプラズマ電流の定常維持は魅力的なシナリオである.OFCDは磁力線のストカスティシティを生じ得る磁気的自己組織化に依存する方法なので,核融合炉に要求される高い閉じ込め性能を達成できるかどうかは,閉じ込めスケーリングが磁気乱流(磁場揺動振幅)に対して望ましい依存性をもつかどうかによるが,このスケーリングは現在のところ確実性に欠ける.本稿では,定常電流維持とは異なる,「ほとんど定常的」な核融合炉のシナリオについて述べる.このシナリオではプラズマ電流の駆動にOFCDを用いるが,電流の定常維持ではなく自己相似的な減衰を適用して自己組織化を最低限に抑制し,高い閉じ込め性能への近接性を確保する.核融合出力パワーはパルス的であるが,プラズマ電流が途切れることはない.
著者
三品 隆嗣 木下 照弘 柴崎 年彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.95, no.371, pp.61-66, 1995-11-17
被引用文献数
2

方形導波管内に設けられた導体不連続の電磁波散乱問題において、特に任意形状の開口をもつ場合を取り扱っている。数値解析には、兵役傾斜法と高速フーリエ変換(CG-FFT法)を用いている。入射界は基本モードとし、任意形状の開口をもつ導体不連続の解析方法について議論した。本解法では開口上の等価磁流源についての混合境界値問題を解くことによって目的の散乱界を求めており、数値計算にCG-FFT法を用いる。このため本方法はモード整合法による数値解析と比較して、計算機による数値計算に有利な方法である。
著者
田中不二雄 著
出版者
春江堂
巻号頁・発行日
1919
著者
工藤 浩
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.13-24, 1995-10-15
著者
岩田 隆 杉浦 弘隆 白幡 啓一
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.224-230, 1982
被引用文献数
5 6 3

エダマメは収穫後の食味•外観の劣化が速いが, 莢を離さずに, 全値物体 (全株) をホリエチレン袋に密封する"葉付ぎ包装"によって品質が保持されることをさきに報告した. 本報はその効果を確認するとともに, 効果の発現に関係する諸要因を検討したものてある.<br>品種は'白山ダダチャマメ'を用い, 全株を0.03mmの低密度ポリエチレン袋に密封し, 20°Cに保持するのを葉付き包装の基本とした. 対照区は莢を有孔ポリエチレン袋に詰めた. 食味変化の目安としては全糖含量及び遊離アミノ酸指標 (ニンヒドリンに反応する80%アルコール抽出物) の変化を用いた.<br>莢の外観は, 対照区が20°C4~5日で変色し, 商品性が失われたのに対し, 0.03mmポリエチレン袋の葉付き包装では1週間以上よく緑色を保持した. 0.04mmでも同様であり, 0.06mmの袋では若干劣ったが対照区よりはるかに勝った. 全体を針孔包装したものは対照区より良好であったが, 密封包装に比べ劣化が速かった.25°Cにおいても葉付き包装の外観保持効果は明らかで, ライナー包装も有効であった.<br>対照区の糖及びアミノ酸は1~2日で急減したが, それらの減少は葉付き密封包装によって顕著に抑制された. また葉付き有孔包装によっても抑制されたが, 密封包装には及ばなかった. 根を切除した株, あるいは莢及び葉を付けた枝の密封は, 全植物体の密封に比べ効果が不確実であった. 葉身を全部切除した株ては著しく効果が減じ, 各葉身の1/2を切除した株ては効果が半減した. しおれた葉の株では, 葉付き包装による成分保持効果が減少した. 葉付き針孔包装もある程度の効果を示したが, 密封包装より劣った.<br>葉付き包装は豆の硬化抑制にもある程度有効であった. 袋内のガス濃度は, O<sub>2</sub>が12%, CO<sub>2</sub>が5%程度であり, 0.06mmの袋でもほぼ同水準であり, 温和なCA条件であった. このため, 莢のみを密封したときにみられるガス障害を回避できるものと思われた.