著者
大塚 淳史 関 洋平 神門 典子 佐藤 哲司
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.1-11, 2011-10-03

コミュニティ QA サイトでは,ユーザの疑問や知りたいことが自然言語で記述された質問記事として投稿されている.本論文では,Web 検索で必須な言語化された検索クエリの想起を,質問記事を提示することで支援する,クエリ拡張型 Web 検索システムを提案する.提案システムでは,検索者から入力されたキーワードと関連する質問記事を複数のカテゴリから抽出し,拡張するキーワードとともに提示するクエリ拡張を実現する.検索者は,提示された質問記事を閲覧することで,自身の情報要求を拡張の根拠として言語化された検索クエリとして確認することができる.潜在的意味インデキシングを用いてシステムを実装し,実運用されたコミュニティ QA サイトの質問記事を用いて評価を行い,提案システムによって多様なクエリ拡張と,根拠となる質問記事を提示できることを確認した.In community QA websites,huge number of questions written in natural language are posted by users. We propose a new query expansion system to support Web search users by using community QA resources. In our system, users can get diversified query candidates from questions in multiple Yahoo! chiebukuro (Yahoo! Answers) categories relevant to the search query, and will find queries relevant to their information needs by browsing question articles. We also report experimental results to extract diversified question articles with latent semantic indexing.
著者
山田 方敏 蜂谷 豊彦
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-61, 2012-05-01

資金制約と投資水準の理論および内部資本市場の理論に基づいて,個別事業部門および多角化企業全体の投資決定に関して理論的な考察を行い,財務的視点からその妥当性を実証的に検証した.多角化企業における資金供給曲線は部門内調達,部門間調達(内部資本市場)および外部調達から構成される.部門内調達による投資水準は部門自身が創出する内部資金と固定的投資支出に依存する.これに対し部門間調達による投資水準は内部資本市場の効率性に依存する.内部資本市場の効率性は内部資金として各事業部門から供給される資金の大きさと,部門間あるいは経営者と部門との情報の非対称性に依存して決定される.妥当性を検証した結果,内部で創出する資金が多い時および内部資本市場の効率性が高い時に投資水準は高くなること,内部資金の創出が豊富あるいは固定的投資支出が少なく内部資本市場に供出される資金が多い時に内部資本市場の効率性が高いこと,資金供給の多様性が高い時に内部資本市場の効率性が高いことが明らかになった.
著者
鈴木 宗男
出版者
K&Kプレス
雑誌
月刊日本
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.98-101, 2014-10
著者
荒木 一視
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.27-46, 2000-01-28
被引用文献数
2 5

本研究は地方都市に位置するスーパーマーケットの青果物調達戦略の検討から,青果物流動の全国体系に言及するものである。その際,愛媛県松山市のスーパーマーケットA社を中心とした検討を行った。同社の調達戦略では,通年での安定供給を目指した品目に関しては地場の卸売市場から多くが入荷した。その一方,高付加価値戦略品目の調達にあたっては,地場の卸売市場に依存しない独自の調達ルートが重要な役割を果たした。独自のルートとは,小規模の契約栽培,大都市や産地市場からの仲卸業者を使った調達などである。その背景には産地の出荷戦略とともに,現代の青果物流動の全国体系のもつ構造的な問題が存在する。すなわち,大口で高値のつく大都市市場へと農産物が集まり,他方,地方都市では潤沢な供給を確保する上で,取引量の少なさに起因する障害がある。こうした状況下,特に地方都市ゆえに小規模な需要しか見込めないという限界の中で,地方都市の卸売市場とスーパーによって,地方都市の安定して多様な青果物供給が維持されていることは評価できる。そこでは大都市の大規模需要を背景にした青果物の調達戦略とは異なる解釈が必要である。
著者
Richard J. Krickus
出版者
Rowman & Littlefield
巻号頁・発行日
2002
著者
原田 隆平
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.61-65, 2013-01-31 (Released:2014-01-31)
参考文献数
11

生体分子の生物学的機能や構造安定性を調べるうえで, それらを規定している生体分子の自由エネルギー地形を計算することは重要である. 本研究では, とくに蛋白質における自由エネルギー地形を効率的に計算するための計算手法を開発した. 蛋白質は, ヘテロな原子から構成された多自由度系であり, 周囲との相互作用が複雑である. このため, 自由エネルギー地形上には数多くのエネルギー極小状態が存在し, 通常の分子動力学シミュレーションを用いた構造探索では, これらの準安定状態に構造がトラップされてしまうため, 効率的に自由エネルギー地形を計算することは困難である. このような理由から, 新しい自由エネルギー地形計算手法として, 自由度の異なる2つのモデル (粗視化モデル・全原子モデル) を錬成したマルチスケールシミュレーションと, 超並列シミュレーション (互いに通信のない完全に独立なシミュレーション) を組み合わせた, Multi-Scale Free Energy Landscape calculation method (MSFEL法)を開発した.
著者
川場隆
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 文学部人間関係学科・音楽学部編 (ISSN:1347233X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.47-60, 2002-03-31

多数の学生へ向けて, 大量の電子メールを効率よく送信するためのシステムとして, KIDS(Kwassui Information Delivery System)を設計した.KIDSはWEBメールのインターフェースから利用でき, 専用のメールクライアントソフトを必要としないシステムである.KIDSは, 送信に際してデータベースを参照して対象とする学生グループを様々に抽出し, 選択的な送信が可能である.受け取り側である学生は, 情報の種別によって, 携帯電話・PHSへの追加的なメール送信を指定できる.例えば休講通知と就職情報だけは通常のインターネットメール以外に携帯電話・PHSでも受信するといった指定が可能である.ワープロの差込印刷と同様な方法で, 各学生固有の情報を織り込んだメールを大量一括送信する機能もある.データ作成にはKIDSで用意しているインターフェースの他, 表計算などのソフトウェアを利用できる.さらに, KIDSで送信するメールを, 送信時の指定により自動的にWEBにも掲示することが可能である.KIDSは本稿で示した設計にもとづいて, すでに実装作業がすすんでおり, 2002年6月から本学内で運用に供する予定である.

1 0 0 0 OA 3.HIV感染症

著者
今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2816-2822, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
12

HIV感染症の予後は,抗HIV薬による治療(ART)によって劇的に改善した.その一方で,近年は様々な長期合併症が問題となってきている.長期合併症の回避,ARTによる感染予防効果などによって,より早期の治療開始も推奨されるようになった.今後は,さらなる早期診断への努力や,長期療養へ向けた医療体制の整備なども求められている.
著者
立野 君子
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.257-270, 1944-09-30 (Released:2010-11-19)
参考文献数
4
著者
立野 君子
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.271-280, 1944-09-30 (Released:2010-11-19)
参考文献数
2
著者
後藤 勝正
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

老化に伴う筋力と骨塩量の低下を防止するための安全かつ効率的なストレス負荷で筋力増大をもたらす新しいトレーニング方法の開発に関して、筋力トレーニングを骨格筋に対するストレスと捉え、骨格筋に対する新しいストレスとして温熱刺激に着目した。そこで本研究では、温熱刺激による(1)骨格筋細胞の増量と増殖とその作用機序、(2)温熱刺激による筋トレーニング効果の促進、ならびに(3)温熱刺激による筋萎縮からの回復促進、について、新しいストレス負荷による骨格筋の肥大の可能性を探ることを目的とした。実験モデルとして培養骨格筋細胞ならびにWistar系雄性ラット(生後12週齢)を用い、実験的萎縮筋モデル(後肢懸垂モデル、前十字靭帯損傷モデル)を採用した。培養骨格筋細胞の実験ではL6(ラット)およびC2C12(マウス)を用いた。培養骨格筋細胞に対して温熱刺激(41℃、60分)、機械的伸展刺激ならびに両者を組み合わせて加えることで、骨格筋細胞の増殖や肥大に対する温熱刺激の効果が両細胞で確認された。したがって、温熱刺激による骨格筋細胞の増量は種に依存する現象ではないと考えられた。ラットを用いた実験では、温熱刺激のみにより骨格筋肥大が促進するか検討し、41℃の温熱環境に60分間暴露することで筋肥大が引き起こされた。また、後肢懸垂モデルを用いひらめ筋を萎縮させた後、後肢懸垂を解除し通常飼育をする前に温熱刺激を加えることで、萎縮からの回復過程が促進した。さらに、前十字靭帯損傷モデルでは、萎縮した筋ではストレスタンパク質の発現増加が認められ、温熱刺激による筋萎縮抑制の可能性が示唆された。以上より、温熱刺激が筋タンパク増量効果をもたらすことが明らかになった。また、温熱刺激による骨格筋の肥大は。(1)ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)/Artシグナル伝達系を活性化させることでもたらされることが明らかになった。