著者
松岡 成明 久澄 太一 吉水 卓見 福井 仁 松本 一弥
出版者
医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
雑誌
昭和病院雑誌 (ISSN:18801528)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-11, 2004 (Released:2005-05-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

松果体は、メラトニンを産生し、睡眠に関係していると考えられています。しかし、手術による松果体切除が、睡眠障害を生ずるか否かについて今日迄はっきりとした記載はありません。私たちは、松果体嚢腫および松果体細胞腫(pineocytoma)の2例の全摘出例について、その影響を検討したので、松果体腫瘍を全摘出した患者のメラトニン分泌とactigraphと睡眠日誌からみた睡眠・覚醒リズムについて報告します。症例1の術後1ヵ月および症例2の術前・術後のメラトニン分泌量は、いずれも2.5pg/dl以下で、日内変動もみられなかった。症例1の術後におけるactigraphからみた睡眠・覚醒リズムの乱れは基本的にみられなかった。14日間における夜間時の各睡眠パラメーターの平均(標準偏差)についてみると、就床時間が406.3分(75.6)、全睡眠時間が369.2分(75.2)、睡眠効率が90.8%(5.4)、中途覚醒時間が37.1分(22.7)、入眠潜時が7.2分(3.1)および昼寝時間が45.1分(39.1)であった。日々の睡眠パラメーターの変動も比較的小さかった。活動量のコサイナー分析の結果、Acrophaseは15~18時の範囲にあり、14日間の平均では、15:32(1:55)、Amplitudeは106.5(19.2)、Mesorは162.9(42.3)であった。最大エントロピー法による解析の結果、第1周期はほぼ24時間、第2周期は12時間であった。睡眠日誌から求めた睡眠パラメータは、actigraphから判定したものより、良く眠れていたと報告していた。症例1でみたように、症候性松果体嚢腫の全摘出術を受けたにもかかわらず、睡眠・覚醒サイクルは、ほぼ正常なリズムを維持していたものと推測された。しかし、症例2のように、術前のメラトニンの分泌レベルは、症例1の術後と同じレベルで日内変動もみられなかった。先行研究では、術前の高メラトニン濃度が松果体腫瘍の診断基準となると言われているので、今後さらに症例を重ねて検討したい。
著者
古山 隆
出版者
東北公益文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

軽質ASRに含まれるプラスチックは主にウレタン、ポリプロピレン、ABS樹脂などの軽質プラスチックである。本研究では、これらのプラスチックに対して有機溶媒を用いた油化実験を行った。実験装置にはポータブルリアクター(容器サイズ:120ml)を用いた。実験は有機溶剤(エンジンオイル)49.75 gとプラスチック試料0.25gを混合し、撹拌羽根の回転数を600rpmに設定してバッチ式で行った。その結果、ウレタンとポリプロピレンはエンジンオイルの中で250℃で10分間加熱すると全て溶解することが分かった。なお、ABS樹脂は300℃で10分間加熱してもほとんど溶解しなかった。
著者
洲崎 雄
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

多くの生物の繁殖行動は、時計遺伝子によって生じた概日リズムによる時間制御を受けている。交尾を行うタイミングが慨日リズムに支配されていることが、いくつかの研究で示されているが、交尾に付随して起こるその他の繁殖行動と概日リズムの関係を調べた研究例はない。そこで、本研究では、繁殖行動の慨日変化が報告されているホソヘリカメムシRiptortus pedestrisを用いて、慨日リズムがオス間闘争に与える影響を調査する。24年度では、概日リズムの周期が短い個体と長い個体を選抜した系統を作出し、概日リズムに対する選抜が繁殖行動にどのような影響を与えるかを調べる予定であったが、選抜を行う際に、幼虫の死亡率が高かったため、系統の確立および実験を行うことができなかった。そこで、24年度から25年度にかけて、概日リズム選抜をかけていない個体を用いて、闘争行動の日周変化を調べた。その結果、本種のオス間闘争は明期後半に最もよく観察された。したがって、本種のオスの攻撃行動は、概日リズムの影響を受けていることが示唆された。本研究の結果は、国際誌『Entomological Science』に受理された。また、本種の性選択について、闘争行動以外にほとんど知見がないため、本種の配偶者選択についても実験を実施した。メスの配偶者選択で支持される形質と、配偶者選択によってメスがどのような利益やコストを受けているかを調査した。半きょうだい解析の結果、オスの魅力度は求愛率、武器形質サイズと正の遺伝相関を持っていた。また、オスの魅力度と求愛率、武器形質サイズは有意な遺伝分散を持っていた。したがって、魅力度の高いオスとの交尾は、メスにとって、繁殖成功度の高い息子を得るという間接的利益があることが判明した。本研究の結果は、国際誌『PLo SONE』に掲載された。さらに、本種の求愛率と体サイズ、武器サイズの関係を調べたところ、求愛率は体サイズ、武器サイズと負の相関を示していた。これは、闘争能力の低いオスはより求愛行動に投資するという代替繁殖性術を採っている可能性を示唆している。この結果は、国際誌『Entomological Science』に投稿され、改訂後受理という回答を得ている。
著者
岩瀬 信夫 岩瀬 貴子 山田 浩雅 中戸川 早苗 糟谷 久美子 三上 勇気
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

セルフケア行為について慢性統合失調症患者に面接を行った。精神症状が落ち着いても日常的な会話の意味をとらえる困難さや、認知機能の低下、現実感覚の歪み、辛さ、不安がみられ、いざ退院準備をしようとすると、さまざまな提案に困難さを覚える。入院を継続している今は、病気の説明を受けることで疾患を受容し、自分なりに気分転換し、できることをし、代替を考えることにより、病気との付き合いを行っていた。
著者
中内 道世 池本 重明 山西 妃早子 尾崎 嘉彦 築野 卓夫 野村 英作 細田 朝夫 谷口 久次
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.183-188, 2002-07-31
参考文献数
18
被引用文献数
1 7

合成したフェルラ酸誘導体31種類について, 細菌, カビ, 酵母に対する抗菌活性を評価した。供試した化合物のうち, 12種類の化合物がグラム陽性細菌, カビおよび酵母の増殖を抑制することを見い出した。それらのうちMICの測定に供した化合物のほとんどがフェルラ酸より抗菌力が向上した。フェルラ酸ブチルとフェルラ酸-2-メチル-1-ブチルは, <I>B. subtilis, S.aureus, S. cerevisiae</I>に対して顕著な増殖抑制を示した。フェルラ酸ヘキシルは, <I>B. subtilis, S.aureus</I>の増殖を顕著に抑制したが, カビ, 酵母に対してはその増殖に影響を与えなかった。一方, フェルラ酸メチル, フェルラ酸エチルはグラム陰性菌を除くいずれの供試菌に対しても増殖抑制作用を有し広い抗菌スペクトルを示した。フェルラ酸エステル類の抗菌活性は, アルキル基鎖の伸長に伴いグラム陽性細菌に対する抗菌力が向上し, 同時に細胞毒性も増すという傾向が認められた。フェルラ酸メチルおよびフェルラ酸-2-メチルー1-ブチルについては, 市販の食品保存料であるソルビン酸や安息香酸と同程度またはそれ以上の抗菌活性を有し, 細胞毒性試験でも100μMの濃度では, マウス由来線維芽細胞株Balb/c3T3A31-1-1の増殖にほとんど影響を与えず, 新たな食品用抗菌剤として検討できるレベルにあることが示唆された。
著者
吉野 博 持田 灯 松本 真一 長谷川 兼一
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は,平成15年度〜平成16年度までの継続研究である。研究目的は,建材や紙類など,これまで個々の部材レベルでしか検討されてこなかった住宅居室内に存在する様々な吸放湿物体の特性を室全体の総合的な吸放湿特性として把握する方法を開発するものである。最終年度である本年度の研究実績は,以下の通りである。1.単室模型を用いた実験昨年度に引き続き,居室の2分の1スケールの実験箱を使用し,居室における吸放湿特性の現場測定の方法に関する検討を行った。本年度は,室内容物として,コピー用紙,T-シャツ,羽毛布団,以上を組み合わせた場合について加湿実験を行い,室内容物が存在する場合における室の吸放湿特性について検討した。2.数値指標の提案と同定方法の検討1.の単室模型を用いた実験結果より,理論的に室内湿度の変動と湿度励振から室の吸放湿性能を評価するための数値指標とその同定方法について検討した。今回は,居室の吸放湿特性を表す数値指標として,1)積算加湿量と加湿開始時の湿度変化から算出する湿度変化速度,2)吸放湿の無い場合の室内湿度をバランス式から算出し,実際の室内湿度と比較してその差を評価する面積評価法,3)室内湿度のバランス式における吸放湿に関わる2つの係数KS,CWを実験結果から同定する係数同定法の3つについて提案し,それぞれの比較検討を行った。3.実大実験家屋を対象とした現場測定単室模型を用いた実験により得られた成果を基に,実際の居室における現場測定を想定し,屋外に設置された実大スケールの実験家屋の一室を用いた実験を行った。検討した室内容物等は,単室模型とほぼ同様であるが,特に本実験では,屋外条件の影響などについて検討し,(2)で提案した評価指標を同定した他,更に精度良く同定できる手法として,3つの係数KS,AW,BAを提案し,その精度について検討した。
著者
宮上 多加子 河内 康文 田中 眞希 辰巳 裕子 野村 脩 臼杵 百合子 佐々木 則枝 山崎 和子
出版者
高知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,福祉・医療分野における準専門職の経験学習プロセスを明らかにするとともに,準専門職の「仕事の信念」の構造および経験との関係を明らかにすることを目的とした.資格として,介護福祉士・准看護師・保育士を取り上げ,社会人学生および現場の職員に対する個別面接調査により得られたデータを質的記述的に分析した.準専門職の経験学習は,コルブ(Kolb,K)が示しているサイクルをらせん状に辿るプロセスとして確認できた.「仕事の信念」は,「自身の力量向上への志向」と「ケア対象者への志向」に類型化され,2つの志向性は3資格ともに学生時代から保持していた.
著者
寺山 由美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ダンス学習における表現について再検討してきた。体育授業におけるダンス教育においては、「意図して動くことがすなわち表現である」ということを学習内容として捉える必要があるだろう。ただ無意識のうちになんとなく動くのではなく、「私の気づき」「私のイメージ」を意図的に身体運動に反映させて動くことができる教育を促すべきであろう。
著者
中島 秀太
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、量子縮退が実現されている原子種の中で最も軽いアルカリ原子であるリチウム(Li)と、最も重い原子であるイッテルビウム(Yb)を、個別にあるいは同時に多様な光トラップに導入し、より広範な強相関系の「量子シミュレーション」を実現することである。本年度はまず、前年度に構築した1次元光超格子系の2波長光格子の相対位相と振幅を動的に制御することで、"電荷ポンプ"と呼ばれる(量子化された)原子の移動現象(ポンピング)を研究した。実験には相互作用が無視できる2成分フェルミオン171Yb原子を用い、ポンピングによる光格子中での原子の移動をCCDカメラ上の吸収像から直接観測した。この"量子化"は、量子ホール効果と同様に「チャーン数」と呼ばれるトポロジカル不変量と直接関係しており、移動量の測定からこのポンピングにおけるチャーン数を評価した。またポンピングの有無が、超格子パラメーターの時間変化の軌跡が特異点を囲むか否かという"トポロジー"の違いで決定されるというRice-Mele模型にもとづく予言を確認するため、実際にトポロジカルに異なる2通りのポンピングサイクルを構築し、この両者のポンプ量に明確な違いがあることを実験で明らかにした。また後半では、ETH Zurichの量子光学研究室に滞在し、冷却Li原子集団をこの系のフェルミ波長の精度で操作・観測出来る高分解能光学系の技術を習得するとともに、この実験系を利用した冷却Li原子を用いたメゾスコピック系の量子シミュレーションの研究を行なった。特に、デジタルミラーデバイス(DMD)を利用した冷却原子系に対する走査型ゲート顕微法を開発し、光トラップによる"量子ポイントコンタクト"ポテンシャル構造の実空間観測、およびトラップ中の冷却原子の量子コヒーレンスの直接観測に成功した。このDMD技術は今後の冷却原子系への応用が期待できるものである。
著者
奥田 泰子 棚﨑 由紀子 成 順月 讃内 真理 今坂 鈴江 加藤 重子 安藤 純子 河野 保子
出版者
四国大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

地域在住健常男性高齢者20名を対象に、安全とされる入浴条件(40℃の湯に5分間の浸漬)で、入浴による生理作用への影響を明らかにした。すでに獲得していた地域在住健常女性高齢者11名のデータを加え、入浴前のバイタルサインを用いて入浴中の循環変動を予測する重回帰式を高い説明率で得ることができた。各重回帰式を用いて入浴中の変動値を予測し、入浴可否を判断することが可能となった。また、地域在住健常高齢者約200名を対象とした入浴の現状調査から入浴事故との関連を明らかにした。
著者
奥村 直子
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.35-45, 2010-03-31

ピアノ技術の習得方法は,一般に教授-指導型のレッスン形式で行われ,学習者は家庭にあってピアノの練習に多くの時間をかけることが,演奏技術向上のためには絶対の条件である。しかし子どもにとってはこの練習が苦痛で,ピアノ嫌いになり途中で止めてしまう例も少なくない。ピアノ教師でもある筆者自身も,子ども時代にピアノの練習が苦痛だった経験を持つ。ピアノ技術習得に伴うこれらの問題を乗り越え,子ども自身がピアノを弾く楽しさを感じ,ピアノを弾きたいと自発的にピアノに向かう動機形成は,如何にしたら実現できるかが筆者の研究課題である。その解決方法を見いだすために,小川の「見てまねる学習」を基本理念に据え,9年間にわたり観察対象児家族への参与観察を行ってきた。この観察を通し,子どもたちが自発的にピアノを弾き,遊び行動としてピアノを楽しみ「音楽的コミュニケーション」が豊かに展開する経緯を観察することができた。レッスン室と家庭の観察を通して得た音楽的成長過程の事例を,LaveとWengerの「正統的周辺参加論」を援用し,読み解いた。分析にあたり,事例の音楽的表現の相互の関係性を,岩田の言う「ノリ」の視点で分析する。本稿では特にB男のピアノに対しての動機形成が如何にしてなされていくのかを中心に検証したい。
著者
木村 文信
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究は, 柔軟物に触れた際に感じる触感である硬軟感を, 装置使用者に対して再現提示するシステムを構築することを主題とした. このようなシステムを実現するにあたり, 次に示す2点を研究対象とし, 従来研究で想定および対応できていない点に対応させることを目的とした. (1)硬軟感を提示する触感提示装置の開発. (2)硬軟感情報を取得する触覚センサの開発.(1)に関しては, 再現される柔軟物体が弾性物質で構成される均一柔軟物体(単調な硬軟感)に限定されていたという点が従来研究の課題であった. 本研究ではこの課題を克服すべく, より多様な硬軟感の再現に取り組んだ. 柔軟物体例として, 「厚みが有限な柔軟物体」「しこりを含む柔軟物体」を想定し, それぞれの提示手法を実現することで硬軟感提示の多様化を検討した. 前年度で開発した, 張力制御された柔軟シートで指先を包み込む機構によって上記柔軟物の提示を行った. 厚みが有限な柔軟物に指先を押し込んだ際に得られる触感を「底着き感」と命名し, その提示法を提案した. 底に着いたと感じられる点からシートの張力制御によって指先の圧分布を変え, 底着き感を再現した. 提案手法によって表現される柔軟物の厚みが可変であることを確認できた. しこりを含む柔軟物に関しては, 前年度から検討してきた提示手法をさらに発展させ, 対象物をなぞっている際に感じられる触感が生成できることを確認した.(2)に関しては, 前年度で開発した光弾性触覚センサの計測値に対する情報処理手法の検討を行った. 情報処理によって対象物の特徴を抽出する手法を提案した. また, 提示装置と統合して遠隔提示を実現するため, 抽出された情報を提示装置駆動に必要な情報へ変換する手法を考案し, 遠隔提示システムの試作を行った. 以上によって, 硬軟感提示の応用先の一つである遠隔触診システム等の開発に必要になると考えられる知見を得ることができた.
著者
李 哲賢 津田 勉 岸田 欣増
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.242, pp.1-6, 2005-08-18
被引用文献数
17

パルス・プリポンプ方法(Pulse-PrePump)を用いた高分解能ブリルアン分布計測(BOTDA)の理論検討についてすでに発表し, その高距離分解能測定, 高歪/温度測定精度の可能性を示した.本論文は, その内容に基づいて高距離分解能(10cm)かつ高歪測定精度(±25με)で光ファイバの性能を測定することが可能なPPP-BOTDA (Pulse-PrePump Brillouin Optical Time Domain Analysis)を開発したことについて述べたものである.本論文では, まず理論検討の結果と実測データの結果とを比較し, PPP-BOTDAの利点を明らかにした.次にPPP-BOTDAの構成について述べ, 実現可能な距離分解能, ブリルアン周波数シフト測定精度, 測定範囲について明らかにする.最後に開発したポータブルタイプなPPP-BOTDAを使って, 実際に測定した10cm空間分解能, ±25μεひずみ測定精度の結果を報告し, PPP-BOTDAの実用性の高さを示した.
著者
椋平 淳
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、文化・芸術活動の‘公共性’が問い直されている時代情勢を受け、公共文化施設による一般市民に対する演劇的活動の提供事例(いわゆる「アウトリーチ」)を調査し、そうした事業がどのように社会の生涯活動推進に結びつくのかという点を考察するものである。活発な事業を展開している全国の公共文化施設を調査することによって、現代社会におけるアウトリーチ活動が踏まえるべき要点が抽出され、将来的に有効なプログラム・運営方法の骨格が提案できる段階に到達している。
著者
Kanami TSUNO Norito KAWAKAMI
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
pp.2014-0152, (Released:2014-11-08)
被引用文献数
1 21

This study investigated the prospective association between supervisor leadership styles and workplace bullying. Altogether 404 civil servants from a local government in Japan completed baseline and follow-up surveys. The leadership variables and exposure to bullying were measured by Multifactor Leadership Questionnaire and Negative Acts Questionnaire-Revised, respectively. The prevalence of workplace bullying was 14.8% at baseline and 15.1% at follow-up. Among respondents who did not experience bullying at baseline (n=216), those who worked under the supervisors as higher in passive laissez-faire leadership had a 4.3 times higher risk of new exposure to bullying. On the other hand, Respondents whose supervisors with highly considerate of the individual had a 70% lower risk of new exposure to bullying. In the entire sample (n=317), passive laissez-faire leadership was significantly and positively associated, while charisma/inspiration, individual consideration, and contingent reward were negatively associated both after adjusting for demographic and occupational characteristics at baseline, life events during follow-up, and exposure to workplace bullying at baseline. Results indicated that passive laissez-faire and low individual consideration leadership style at baseline were strong predictors of new exposure to bullying and high individual consideration leadership of supervisors/managers could be a preventive factor against bullying.