著者
中村 真理香
出版者
若手イメージ研究者のためのブラッシュアップセミナー運営委員会
雑誌
若手イメージ研究者のためのブラッシュアップセミナー予稿集
巻号頁・発行日
pp.62-67, 2013-03-14

若手イメージ研究者のためのブラッシュアップセミナー(Brush up seminar for young researchers on mental imagery).2013年3月16日(土)〜17日(日).北海道大学学術交流会館,札幌市.
著者
成田 和信
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
人文科学 (ISSN:09117210)
巻号頁・発行日
no.15, pp.29-53, 2000

我々が思慮deliberationに基づいて一定の信念beliefを獲得できるのは,理性の働きによると思われる。たとえば,「pならばq」という信念と「p」という信念を持っている時に,論理に従って考えれば,たいてい我々は「q」という信念を獲得できる。これは,我々の理性の働きによるのであろう。このような働きをする理性を「理論理性theoreticalreason」と呼ぼう。これと同じように,我々が思慮に基づいて一定の行為へと動機付けられる時に,その動機付けmotivationを生み出す働きをする理性があるとすれば,それを私は「実践理性practical reason」と呼ぶ。(1)たとえば,ある事柄Eを目的として定め,行為Aを行えばEが達成できることが分かった時に,たいてい我々はAを行おうと思うものであるが,こう思うことが(少なくとも部分的には)理性の働きによるとすれば,この理性は実践理性である。(2)本稿の目的は,最近の英語圏で展開されている議論を参考にしながら,実践理性とは何かを,目的の手段となる行為への動機付けの場合に限って,詳しく描くことにある。 私はいま「目的の手段となる行為への動機付けの場合に限って」と書いたが,「目的の手段となる行為への動機付け」を(英語圏の実践理性をめぐる議論の慣習に倣って)「道具的動機付けinstrumental motivation」と呼び,また,そのような動機付けにおいて働く実践理性を「道具的実践理性instrumental practical reason」と呼ぼう。本稿の目的は,実践理性とは何かを,道具的動機付けの場合に限って描くこと,つまり,道具的実践理性とは何かを描くことにある。 さて,本論に入る前に,実践理性をあぐる問題との関連で,いま述べた本稿の目的について補足しておきたいことがある。実践理性をめぐっては二っの大きな問題がある。第一の問題は,実践理性が果たして存在するかという問題である。たとえば,ヒュームは実践理性の存在を否定しているという解釈が成り立つ。(3)したがって,実践理性の存在を肯定するには,少なくともこのようなヒ3 ム解釈に基づく実践理性否定論を論駁することが必要となる。しかし,ここではこの問題には取り組まずに,実践理性が存在することを前提した上で,それがどのようなものなのかを明確にすることを目指す。その後に,稿を改めて,そのような実践理性が存在するかどうかを論じたいと思う。その意味で,本稿は実践理性の存在の問題に対する取り組みの準備作業の一つである。 第二の問題は,実践理性が働くためには(それが働く以前に行為者があらかじめ持っている)欲求が必要であるかという問題である。(4)トーマス・ネイゲル,クリスティン・コースガード,ジーン・ハンプトンなどのカント主義者は,必ずしも必要でないという立場を取る。(5)これに対して,アルフレッド・ミールなどの「合理的ヒューム主義者」と呼べるような論者は,必要であるという立場を取る。(6)本稿では,この問題に関しても特定の立場を取らずに議論を進あたい。この問題へのアプローチのためにも実践理性をできるだけ明確に規定することが必要であり,その意味でここでの作業は,この問題への取り組みの準備作業ともなる。 繰り返しになるが,本稿の目的は,実践理性(正確に言えば,私が「実践理性」と呼ぶもの)とはどのようなものなのかを,道具的動機付けの場合に限って,明らかにすることにある。さて,冒頭に述べたように,実践理性は,人が思慮に基づいて一定の行為へと動機付けられる時に,その動機付けを生み出す働きをする。(7)したがって,実践理性とは何かを詳しく示すためには,「思慮に基づいて」ということと「動機付けを生み出す働き」ということを明確にすることが重要となる。そこで,まず第1節と第2節では,「思慮に基づいて」の「思慮」の部分に焦点を当てる。第1節では,実践理性が働く際になされる思慮とはどのようなものなのかを説明する。第2節では,話を道具的動機付けの場合に絞って,そこでなされる思慮の特徴を細かく見る。次に第3節で,実践理性の「動機付けを生み出す働き」という点に焦点を当て,その働きを明確にする。最後に第4節では,「思慮に基づいて」の「基づいて」という部分に焦点を当て,その意味を明らかにすることによって,実践理性の輪郭をさらに鮮明する。
著者
杉浦 功一 SUGIURA Koichi
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-41, 2006-12

民主化支援が国際的関心を集める中で、日本による民主化支援活動に関する研究は乏しい。そこで本稿では、民主化支援の国際的な動向を踏まえながら、日本の民主化への関与を分析し、その特徴の一端を明らかにする。日本の民主化支援の歴史を概観すると、日本は優先順位は高くないもののODA 大綱などを通じて民主化への支援のコミットを明確にしつつ、民主化の基盤を作る経済社会協力と対話を通じたアプローチを民主化支援の方針としてきたことがわかる。次に、日本の実際の民主化支援活動について具体的に検証する。広い意味での民主化支援活動は、大きく、民主化に関する国際規範の形成、民主化の「促進」、民主化の「擁護」より構成される。日本の個々の活動を検証すると、上記の特徴がやはり現れている。その上で、民主化支援活動の制度の明確化と他の利益とのバランス、市民社会との協力が今後の課題である。There has been little literature on Japan's democratization activities although democratization support is recently attracting much international attention. This article examines Japan's involvement in democratization abroad in the international trend of democratization support, and attempts to show its characteristics. This article briefly looks at the history of Japan's democratization support, and then examines its actual activities of democratization support, focusing on three activities : helping foster democratic norms, promoting democratization, and defending democratization. It makes it clear that Japan has shown its strong commitment to support for democratization abroad although its priority in Japan's diplomacy is still low, and that its approach to democratization support has been based on dialogue and economic and social cooperation to establish a foundation for democratization. Japan needs to institutionalize democratization support more clearly, keep balance between democratization abroad and other national interests, and seek more cooperation with civil society in Japan.
著者
加藤浩介 安藤 四一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.121-126, 2002-05-18

建築音響と音楽音響の橋渡しの研究として、音源の時間的なファクターを定量的に評価し、音楽とホール音響の融合を試みる。聴者と演奏者に最適な音場条件が、音源の自己相関関数(ACF)の有効継続時間の最小値(te)minから求まるというAndoの理論[安藤四一著・酒井博之・佐藤伸一共訳,建築音響学?音楽演奏・音響空間と聴衆との融合,シュプリンガーフェアラーク東京,2000]に基づき、声楽の楽譜と演奏スタイルから歌声の(te)minを予測することを本研究の目的とした。特に本稿では、歌詞の違いと演奏テンポの違いがte(遅れ時間ごとの信号の繰り返し成分の減衰)にどの程度影響を及ぼすかに着目し、4人の被験者の歌声を無響室録音してACFの解析を行った実験結果を報告する。最も重要な発見は、1)歌詞の種類によってhumming > melisma singing > lyric singing >non-voiced singingの順に (te)minは短くなる;2)演奏のテンポが3倍になっても(te)minはほとんど変化しない;3)音の高さが変動しないモチーフは、音の高さが変動するモチーフと比べて(te)minが有意に長い(p < 0.05)という点である。Concert halls do not have ideal conditions for all music programs. It is well known that the most preferred conditions for both listener and performer are determined by the minimum value of the effective duration of the running autocorrelation function (ACF) of sound signals, (te)min [Y. Ando 1998 Architectural Acoustics-Blending Sound Sources, Sound Fields, and Listeners. AIP/Springer-Verlag, New York]. An attempt is made here to estimate (te)min of vocal music by rating various kinds of interpretation styles of singers. The present results showed that (te)min of the ACF of a voice source varies with lyrics and fluctuation of pitch but not music tempo. Significant findings are 1) Values of (te)min are relatively longer in order of: humming > melisma singing (singing with "la" syllables) > singing with lyrics > non-voiced (breath noise) singing; 2) Values of (te)min of fast vocal music may not be shorter than those of slow tempo music; 3) Values of (te)min of vocal music with pitch fluctuation is shorter than those of music with constant pitch (p < 0.05).
著者
小泉 孝之 安藤 四一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.52, no.478, pp.1787-1792, 1986-06-25

This paper proposes a method to estimate the radiational sound field from circular pipe structures which have vibration surface. Laplace transform and the Wiener-Hopf technique are used to analyze the sound propagation and radiation. After this analytical formulation, a computer simulation algorithm has been derived as a form of matrix equations. Experimental investigation has also been performed using model acoustic tubes to verify analytical results. Sufficient agreement has been found between the numerical calculation and the measured response, and this concludes that the method proposed here can be practically applied to estimate the acoustic behavior of some machine components, as mentioned above.
著者
吉川 元
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.53-77, 2004-03-19

冷戦の終結後,国際干渉を正当化する国際規範が確立された.そもそも冷戦期には,国際人権規範が確立されていたが,実際には,多くの国でその規範は履行されず,受容されなかった.それは,内政不干渉規範を優先するような国際政治状況があったからである.ところが冷戦が終結すると,国内統治の在り方を問い,途上国への民主化支援,予防外交,人道的干渉,紛争後平和構築,グッドガヴァナンス促進に向けた干渉など,国際干渉かにわかに始まる.その背景には,旧来の国際規範の変容または組み替え,それに新たな平和・安全保障観の形成がある.国連と欧州安全保障協力機構(OSCE)を中心に,民主主義および法の支配の実現を国際規範化する動きが生じて,またグッドガヴァナンスを国家基準とする動きが生じ,そして民主主義や人権尊重を国際平和・国際安全保障の条件とするような新しい国際平和・安全保障観が主として欧州で形成された.こうした国際規範および国際安全保障観に基づいて国際干渉が正当化されるようになる.
著者
松岡静雄 著
出版者
刀江書院
巻号頁・発行日
vol.[正] (語誌篇), 1937
著者
松岡静雄 著
出版者
刀江書院
巻号頁・発行日
1937
著者
林 健一郎 木村 知弘 影山 定司 原田 泰男 木曽田 晃 坂下 誠司
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.53, pp.55-60, 1996-10-17
被引用文献数
42

This paper proposes an adaptive equalization technique for OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) demodulation. This technique estimates a channel response with using pilot signals embedded in OFDM symbols. A two dimensional filter used for interpolating the response estimates the channel response accurately, and also improves the C/N by reducing noise bandwidth. The bit error rate performance of the system in various channels is calculated by computer simulation, and the relative C/N improvement to differential demodulation is about 2.5 dB. And the result shows that the optimum filter can be determined by the maximum path delay time and the maximum doppler frequency of the channel.
著者
海老 一郎
出版者
財団法人西成労働福祉センター
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.本研究では、「あいりん地域」の日雇労働市場の展開を中心として、労働市場の縮小が日雇労働者や職人層の労働・生活に与える影響を明らかにし、不安定就業層の生活保障政策において、雇用と福祉の交錯を視野に入れた施策のあり方を研究することが目的である。2.(1)リーマンショック以降の新規流入層の実態と従来の日雇労働者との相違点を明らかにするため、2008年に西成労働福祉センターが実施した「あいりん地域日雇労働者調査」のデータ再集計と分析を行った。(2)「あいりん地域」の日雇労働者を雇用する事業所の求人動向や雇用実態をとおして、1998年から2011年まで西成労働福祉センターで実施している「建設業作業員宿舎調査」の分析を行った。(3)不安定就労層(稼働層)の生活保障政策のあり方を明らかにするため生活保護受給者や労働災害被災者の就労支援策を展開している釧路市役所や宮崎県建設農林事業団への現地聞き取り調査を実施した。(4)建設労働や失業・貧困、社会的排除、ホームレス、生活保護(就労支援)に関する先行研究成果のレビューを行ない、学内外の研究会等で先行研究レビュー報告や意見交換を行った。3.(1)リーマンショック以降の新規流入層は、若年化しており、建設日雇に従事する労働者の就労経路の不明確化や社会保障の欠如が顕著となってきている。(2)90年代以降建設作業員宿舎に入る労働者の減少が続き、現場入場の手続きの厳格化(身元確認・健康管理・年齢制限など)が進み、雇用を抑制する事業所が増加している(3)就労支援プログラムでは労働条件の低位性や社会保障の欠如はあるが、当事者の社会的自立(適応)を促進するシステムが確立している。(4)本研究課題の成果をまとめて、2012年度に修士論文を執筆する。