著者
加藤 千香子 橋本 順光 松原 宏之 小玉 亮子
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、まず世紀転換期における特徴的な国民規範形成のプロセスの検証がなされた。日本における「青年」の構築と組織化、アメリカでの性にかかわる問題、ドイツにおける「少子化」問題、イギリスでの黄禍論や「武士道」概念といった焦点を浮かび上がらせ、それらが同時代の世界との緊密な関係のうえに登場したことが検証された。他方、国民規範が企図した社会秩序の安定化については、必ずしも果たされたわけではないことも明らかにされた。
著者
ゴチェフスキ ヘルマン 藤井 浩基 塚原 康子 酒井 健太郎 大角 欣矢
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

28年度の研究活動は28年3月12日から29年6月26日まで開催された駒場博物館の「フランツ・エッケルト没後100周年記念特別展「近代アジアの音楽指導者エッケルト--プロイセンの山奥から東京・ソウルへ」」展示中に行われた行事とその準備に集中した。5月28日には東京大学駒場キャンパスで「フランツ・エッケルトとその時代」というタイトルで国際シンポジウムと吹奏楽の演奏会を実施した。シンポジウムには研究代表者と研究分担者全員に加えて安田寛(元奈良教育大学、研究協力者)、李京粉(ソウル大学、研究協力者)、曺允榮(梨花女子大学、招待講演)と文景楠(東京大学、通訳)が参加し、主にこの研究で明らかになった新たな事実の解釈と意義について議論した。演奏会では小澤俊朗の指揮と神奈川大学吹奏楽部の演奏でエッケルトの作品を一次資料から再現した。その中の複数の作品がエッケルトの時代から一度も演奏されていないものであった。作品の性質と再現に当たっての問題点については楽譜作成に協力した都賀城太郎(藤村女子高等学校)から説明があった。6月23日には渡辺克也(オーボエ)と松山元・松山優香(ピアノ)によって、エッケルトのオーボエとピアノの作品を中心とする演奏会を行い、オーボエの専門家成澤良一に解説を依頼した。展示された資料によって成澤氏はアジアのオーボエ受容史について新たな発見をし、本研究企画にも貢献した。特別展は多くの観客を迎えるのみならず、数多くの専門家が(一部繰り返して)展示会を訪れ、その結果研究代表者を含む企画者は多くの刺激を受けることになった。展示が終わってから研究代表者は改めてヨーロッパに渡り、エッケルトがプロイセンやドイツで経験した軍楽隊文化とその時代背景についてさらに調査した。
著者
馬原 孝彦 秋元 治朗 羽生 春夫 清水 聰一郎 宮澤 啓介 橋本 孝朗 赫 寛雄 織田 順
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

筋萎縮性側索硬化症脊髄前角細胞での14-3-3白eta isoform発現を確認し、リン酸化TDP43との共局在も確認した。リン酸化TDP-43の細胞質移行と前角神経細胞死関与にeta isoformの関連を指摘。脳梗塞急性期虚血コア周辺神経細胞でのHMGB1の細胞質での局在を確認。新規脳梗塞治療法に寄与できる。対照例29例、アルツハイマー病例84例、パ-キンソン病例8例、DLB例25例の血液中HMGB1濃度をELISA法で測定。順に、5.4, 6.6, 10.7, 8.1ng/mlで有意に増加。オートファジ-関連物質Beclin1の頸動脈病変での発現を確認しオートファジ-の関与を指摘した。

1 0 0 0 OA 世界聖典全集

出版者
世界文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.後輯 第13巻, 1922
著者
高柳 栄子 中山 裕樹 石川 剛志 永石 一弥 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.237-240, 2010 (Released:2010-10-13)
参考文献数
14
被引用文献数
3

We present strontium (Sr) isotope data for island-surface dolomites at Kita-daito-jima, northern Philippine Sea. The 87Sr/86Sr ratios of 50 samples fall within a wide range from 0.709037 to 0.709079, corresponding to 4.9-2.1 Ma. This wide range in Sr ages reflects the fact that the island-surface dolomites comprise variable mixtures of geochemically distinct, diachronous, dolomite crystal phases. Our results indicate that the Sr isotope ages of multi-generational dolomites on carbonate islands such as Niue and Little Bahama Bank, as well as Kita-daito-jima, should be re-examined employing a new method that determines the Sr isotope ratio of individual crystal phases.
著者
太田 浩 芦沢 真五 渡部 由紀 野田 文香 新田 功 横田 雅弘 堀田 泰司 上別府 隆男 杉本 和弘
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

欧州で進行中の大学評価プロジェクトであるNufficのMINT、CHRのIMPI、IAUのISAS、ACAのAIMの開発者と利用した大学に聞き取り調査を行うと共に文献調査を行い、プロジェクト間の相違点、課題、利点などを明らかにした。そのうち、IMPIが開発した国際化評価の489指標を翻訳し、日本の文脈に照らして妥当と判断される152の指標を使い、質問紙調査を日本の228大学に対して行った。調査で収集したデータの分析結果に基づき、日本の大学国際化の評価に関する現状と今後の評価のあり方、及び日本の大学にとって最も有効性が高いと考えられる指標群、また有効性が高くないと考えられる指標群を明らかにした。
著者
羽石 秀昭
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

われわれはこれまでに交差プロファイル法と呼ぶ4D-MRIの再構成法を提案してきた.4D-MRIにより胸部の呼吸性移動を3次元空間と時間空間で可視化,定量化することができる.交差プロファイル法では,各データスライス(DS)あたり約20周期の呼吸の取得が必要となり,3次元情報を取得するのに20~30のDSの撮影を行う必要がある.結果として全データの収集に30分間程度要することになり,このことが実用化に向けて課題のひとつとなっていた.本研究では撮像時間の短縮とそれに伴う画質劣化への対策を研究目的とした.全体の収集時間を短くするために,1スライスあたりのエンコード数を減らし,複数スライスを高速に切り替えながらデータ収集を行うスライスインターリーブ撮像を導入することを前提とした.さらに,この際の画質劣化の問題に対して,スパースモデルを用いた高画質再構成を行う.エンコード数不足による劣化を抑制するため,L+S分解と呼ばれる,動画像を低ランク成分とスパース成分に分解するロバスト主成分分析の方法をMR再構成に適用して4次元再構成を行った.1/3の収集時間を想定したシミュレーション実験を実行した.得られた画像に対し,4次元画像でのRMSEや最大値投影法での視覚的評価など多面的な評価を行った.この結果,提案法によって,少ないデータ数からでも劣化の少ない再構成が行われることが確認された.
著者
伊東 達也
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.133-144, 2013-12-31

田中不二麿らによって伝えられた近代公共図書館思想の実践事例として東京書籍館から東京図書館までの時期があるとすれば,明治18年10月の無料制の廃止は日本における公共図書館のひとつの断絶といえる。そこで,なぜ明治8年という時期に無料公開図書館が設立され,それが10年間しか存続しなかったのかということに注目し,その原因について,田中文政期の政治的社会的状況を確認することによって検討した。大久保政権の成立過程で教育政策が田中らに委ねられるようになり,その中での学制施行の一環として書籍館についての施策が行われたことを明らかにした。そして,教育令の制定とその改正へと進んだ伊藤政権下において,教育政策が政権運営の全体構想の中に位置づけられるに及んで書籍館も大きな影響を受けたことが確認できた。このことによって,東京書籍館についても,新たな側面からの理解が可能となった。
著者
伊東 達也
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.133-144, 2013

田中不二麿らによって伝えられた近代公共図書館思想の実践事例として東京書籍館から東京図書館までの時期があるとすれば,明治18年10月の無料制の廃止は日本における公共図書館のひとつの断絶といえる。そこで,なぜ明治8年という時期に無料公開図書館が設立され,それが10年間しか存続しなかったのかということに注目し,その原因について,田中文政期の政治的社会的状況を確認することによって検討した。大久保政権の成立過程で教育政策が田中らに委ねられるようになり,その中での学制施行の一環として書籍館についての施策が行われたことを明らかにした。そして,教育令の制定とその改正へと進んだ伊藤政権下において,教育政策が政権運営の全体構想の中に位置づけられるに及んで書籍館も大きな影響を受けたことが確認できた。このことによって,東京書籍館についても,新たな側面からの理解が可能となった。
著者
川那部 和恵
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

日仏の中世末期とは、いずれにおいても、聖と俗の関係性がとりわけ強く人々の意識を捉えた時代であったが、当時の文学や演劇はその表出の一端を担っている。本研究の目的は、フランスと日本の中世末の聖俗をめぐる精神風土のありようを、アルヌール・グレバンの『受難の聖史劇』(15世紀中期初演)をはじめとするフランスの聖史劇と、世阿弥の一連の能楽論(『風姿花伝』『至花道』等)を対象として、とくに両者においてそれぞれに聖俗の観念に包括的に係わる根本的イメージとして提起されている「花」もモチーフに焦点を定め、双方の「花」の比較をとおし、相違と協応による相互対照の視点のもとに捉え直すことであった。その成果を総括すれば、これらフランスと日本の宗教家と能芸家の言説に現れた「花」は、まずは前者では「愛」を媒介とする聖と俗の交流の概念の表出であるとすれば、後者では「美」を軸とした俗から聖への超越性のイメージを担っており、この点において、各々のジャンルの根ざす文化的背景が起因の違いが認められるが、しかし視点を引いて、両者をそれぞれの内容に準じて、神の救済成就にみる予定調和の運行であれ、あるいは芸的求導行程であれ、いわば巨視的な時間の流れの中で眺めるならば、両者とも包括的には聖・俗の和合と調和の志向において照応しているのであり、聖と俗の間の遠大な循環運動に組み込まれた異次元空間の表象としての「花」というのが、協応点として確認された。
著者
森本 肇
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.91-97, 1956-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
13

一般にandrogenは優位性を高め, estrogenは攻撃性を弱めるか, または影響しないことが認められているようである (1) 。魚類での性ホルセンと行動についての研究はただツルギメダカXiphophorus helleriで行われているだけのようである (1) 。メダカOryzias latipesの行動については色々な実験が行われている (2, 6, 8, 9, 10, 11, 12, 13) が, その行動に及ぼすホルモンの効果の研究は, まだ行われていない。そこで筆者は, メダカの2個体社会の行動に及ぼす去勢の影響について実験的分析を企てた。
著者
神谷 庄司 林 高弘 徳田 豊
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

シリコンの長期疲労破壊確率の統計的評価・推測法を確立した。また、これを用いて上活性環境中の疲労寿命を予測し、それまでに提唱されていた表面の酸化反応とは異なる疲労機構の存在の可能性を明らかにした。さらにシリコン表面の機械的.傷の電子的検出に成功し、.傷の電子状態が環境中の水蒸気等のガス分子によって変化することを初めて明らかにするとともに、湿潤環境下における疲労寿命低下のメカニズムが表面現象以外にもあり得ることを指摘した。
著者
山元 大輔 木村 賢一 小金澤 雅之 鳥羽 岳太
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

動物は種によって独特の行動を示す。本研究では、求愛行動様式に歴然たる相違のあるショウジョウバエ2種、Drosophila melanosgaterとD. subobscuraに着目して、なぜ行動の違いが生まれるのかを解明した。あらゆる行動は、特定のニューロンが決まった順序で活動することによって生み出される。研究の結果、fruitlessという遺伝子のスイッチがどのニューロンでオンになるかが変わることによって、種ごとの行動の違いが生まれる可能性が示された。
著者
相澤 彰子 高須 淳宏 深川 大路 高久 雅生 安達 淳
出版者
国立情報学研究所
雑誌
Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-47, 2009-03

本研究では,学術情報に焦点をあて,2 層構造を持つ情報同定システムを提案する.まず,同一の事物や人物を参照する断片化した情報をつなぎあわせる情報同定の考え方について述べ,次に,特に書誌および研究者の同定機能を組み合わせた情報同定システムを提案する.応用例として,共著関係ネットワーク分析結果をあわせて示す.