著者
復興局 編
出版者
復興局
巻号頁・発行日
vol.第1号, 1926
著者
高久 史麿 小林 幸夫 石川 冬木 平井 久丸
出版者
東京大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1988

骨髄異型性症候群(Myelodysplastic syndrome,以下MDS)は主に高令者をおかし,血液学的に末梢血の汎血球減少と骨髄の異型を伴う正〜過形成像を主徴とする予後不良な疾患である。我々は既に,本症患者骨髄細胞DNAをNIH3T3細胞に遺伝子導入した後,悪性形質転換をヌードマウスにおける腫瘤形成能により検定し,本症患者骨髄中に,N-rasがん遺伝子コドン13における点突然変異がしばしば観察されることを報告した。このin vivo selection assayは活性化がん遺伝子を非常に高い感度で検出するが,操作が非常に煩雑で時間を要するため,多数の検体を調べることは困難であった。そのため,本年度は、ポリメレース・チェーン・リアクション(PCR)とオリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーションを組みあわせて,MDS症例の骨髄細胞中におけるN-rasの点突然変異の有無を検討した。N-rasがん遺伝子はそのコドン12,13,61における点突然変異により活性化を受けることが知られているので,上記の領域を含むような範囲の両端のプライマーを用意し,患者骨髄DNAに加えて,Taq ポリメレースによりPCR法で,当該領域を選択的にin vitroで遺伝子増幅した。これをフィルターにドット・ブロットし,それぞれのコドンの点突然変異を出しうるようなオリゴヌクレオチド・プローブでハイブリダイゼーションした。本法により,患者骨髄細胞中に1%の点突然変異をもつ細胞が存在すれば,それを同定することができた。19例,のべ21検体のMDSについて検討した所,RA(refractory anemia)の一例,RAEB in T(refractory anemia in transformation)の一例そして,MDSより急性白血病へ進行した一例において,それぞれコドン61,12,61における点突然変異が同定された。以上より,点突然変異のおこる位置とMDS,急性白血病の間には何ら相関がないことが推定され,また,本法はその簡便性と高い検出感度により,前白血病状態の患者の経過観察に有用であると考えられた。
著者
高久 史麿 間野 博行 石川 冬木 平井 久丸
出版者
東京大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1989

ヒト白血病細胞における癌遺伝子の機能、相互連関を明らかにする目的で、これまでにPCRを用いてNーRAS、ABLなどの既知の癌遺伝子の活性化の有無を検討した。更に、白血病細胞に特異的に発現している新しいタンパク質チロシンキナーゼ遺伝子であるヒト1+K遺伝子のcDNAをクローニングし、その構造、発現、機能について検討した。1.PCRによる活性化癌遺伝子の検出種々のヒト白血病、前白血病よりDNAもしくはRNAを抽出し、ヒトNーRASをPCRもしくはRTーPCRにより遺伝子増幅した。急性白血病18例中5例、慢性白血病12例中0例、前白血病状態23例中3例にNーRASコドン12、13、61における点突然変異を検出した。この検出感度は全細胞の1%に点突然変異が存在すれば、これを検出できた。更に、RTーPCRによりBCR/ABL再配列mRNAの有無を検討した。慢性骨髄性白血病、Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病の全例に再配列mRNAが検出された。この検出感度は10^6細胞に1つの突然変異細胞を検出できた。このように、PCRを用いると非常に高感度、簡便に突然変異を検出でき、患者の経過を観察する上で、有意義であった。II.新しいチロシンキナーゼ遺伝子1+Kヒト白血病に関与していると思われる新しい癌(関連)遺伝子を同定する目的で、ヒト白血病細胞株であるK562のcDNAライブラリーをcーfmsプローブで低ストリンジェンシーで、スクリーニングしクローニングを得た。構造解析により、これはマウスで報告された1+Kのヒトホモログであることが分かった。この遺伝子は膜貫通部位とチロシンキナーゼドメインを持ち、ROS遺伝子と強いホモロジーを示すいわゆるレセプタータイプのチロシンキナーゼである。18例の血液悪性腫瘍細胞(株)と17例の非血液悪性腫瘍株についてトザンハイブリダイゼーションにより発現を検討した。10例の血液悪性腫瘍(株)発現が見られたが、他の非血液腫瘍に見られなかった。
著者
笹月 健彦 石川 冬木 野田 哲生 鎌滝 哲也 伊東 恭悟 丹羽 太貫 中村 祐輔
出版者
国立国際医療センター(研究所)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本領域は、発がんの分子機構の解明を第一の目標とし、第二に細胞のがん化防御およびがん化した細胞の排除機構の解明を目指し、併せてがん研究の最終目標であるがん克服のための道を拓くことを目的とした。発がんの分子機能の解明のために、研究対象を分子・細胞レベル、臓器・個体レベル、家系・集団レベルにそれぞれ設定し、遺伝子および染色体の構造の安定性と機能発現のダイナミクスに関する恒常性維持機構、内的外的発がん要因によるこれらのゲノム維持機構の破綻と細胞のがん化の関連、新しい発がん関連遺伝子の同定および既知遺伝子も含めたこれら遺伝子群の変異に引き続く多段階発がんの分子細胞生物学的機構、を解明することを目指した。一方、発がん防御の分子機構の解明に当たっては、生体が備え持つ数々の恒常性維持機構によるがん化の防御、免疫系によるがん細胞の排除機構を分子レベルで解明することを目指した。DNA二本鎖切断によるチェックポイントの活性化、二本鎖切断の相同組換え機構と、それらの破綻と発がんの関係が明らかにされた。ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんとの関係が確立され、そのがん化機構の鍵となる分子が発見された。動物個体を用いてのがん関連遺伝子の機能解析により、Wntシグナル、Shhシグナル、PI3-Akt経路といったシグナル伝達系が生体内において果たしている役割と発がんにおけるこれらの活性化の重要性も明らかとなった。胃がん発症に関与する遺伝子の候補領域が同定され、21番染色体候補領域から胃がん感受性遺伝子が同定された。多数の癌関連抗原を同定すると同時に、NK細胞活性制御に関与する分子同定の分野やTヘルパー細胞の癌排除における役割、NK細胞やマクロファージなどの自然免疫系の特異免疫誘導における役割の分子レベルの解明も行われ、これら基礎研究成果の臨床応用のための探索的臨床研究の進展もみられた。
著者
中内 啓光 丹羽 仁史 横田 崇 須田 年生 岡野 栄之 石川 冬木
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本特定領域研究では1)細胞の初期化の機構の解明、2)幹細胞の未分化性維持機構、3)幹細胞の多様性と可塑性の三つの柱を中心に5年間にわたり研究を進めた。ES細胞、組織幹細胞のそれぞれにおいて研究が大きく進展したが、最近2年間に本特定領域研究の分担研究者である山中伸弥教授らによって遺伝子導入によって体細胞を多能性幹細胞に変換する技術が開発され、再生医療・幹細胞研究に大きな転換を迎える事態となったことは特筆すべきことである。厳しいガイドラインのため本邦においてはヒトES細胞研究が諸外国と比して進展に遅れていたが、倫理的問題を含まないiPS細胞技術の登場により、多能性幹細胞の分野にも今後大きな研究の進展が見込まれる。そこで昨年度は新しく開発されたiPS細胞産生技術を中心に「幹細胞研究を支える新しいテクノロジー」というテーマのもとでシンポジウムを開催した。産業界を含む300名近い研究者が参加し意見を交換することにより、本研究領域における研究で得られた知見を速やかに共有することができた。また、総括班メンバーを中心に今後の幹細胞研究の進め方などについても討議がなされた。
著者
鷲尾倭文
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園短期大学紀要 (ISSN:02874164)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.A13-A24, 1988-03 (Released:2009-12-24)
著者
鷲尾倭文
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園短期大学紀要 (ISSN:02874164)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.A1-A13, 1983-03 (Released:2009-12-24)
著者
He Huanhuan
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部インド哲学仏教学研究室
雑誌
インド哲学仏教学研究 (ISSN:09197907)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-37, 2011-03-31

『思択炎論』Tarkajvālā を構成する全11章の中で、第7章「ヴァイシェーシカ派の真実[説]の確定」に関しては、従来、比較的研究が乏しかった。その主な理由は、同論が注釈対象とする根本偈、すなわち『中観心論』Madhyamakahṛdayakārikā のサンスクリット写本が、同章のほぼ全体を収める第18フォリオ(葉)を欠いているからである。総計で29偈からなる同章の中では、最後の2偈のみは第19フォリオの第1行目に置かれるため、サンスクリット語で入手可能であるが、それ以前の27偈は、残念ながらチベット語訳のみに拠らざるを得ないのが現況である。// 『思択炎論』の第7章における著者バヴィヤの主要な意図は、初期ヴァイシェーシカ派の典籍で主張されるアートマンおよび六原理(padārtha、句義)に対する批判的な分析を通して、ヴァイシェーシカ派の解脱論を考察、批判することにあった。バヴィヤは、序説および第1偈においてヴァイシェーシカ派の解脱論を紹介し、その前主張、とくに第1偈にとりまとめた解脱論を、第2偈以降に置かれた後主張の中の第23偈から第28偈において、句(pāda)ごとに批判を加える。バヴィヤによるヴァイシェーシカ派の解脱論の紹介と批判は、初期ヴァーシェーシカ派の主要な思想を伝えるばかりでなく、ヴァイシェーシカ派の解脱論に対する当時の仏教徒による批判の一端を示している点できわめて興味深く、貴重な資料である。// バヴィヤは、ヴァイシェーシカ派の解脱論をいかに理解したのか。かれによるヴァイシェーシカ派の解脱論の紹介は、はたして『ヴァイシェーシカ・スートラ』のみに依拠したのであろうか。あるいは、プラシャスタパーダ作の『パダールタダルマサングラハ(諸原理と法の綱要)』(Padārthadharmasaṃgraha)等のヴァイシェーシカ派の他の著作の影響があったのであろうか。さらにまた、かれは議論に際して、意図して仏教の教理を援用し、結果としてヴァイシェーシカ学説を歪曲するようなことはなかったと言えるであろうか。// 本論文では、とくにバヴィヤに伝えられたヴァイシェーシカ学説の典拠を探り、かれの批判の内容に分析を加えながら、以上のような関連する複数の問いに対する基礎的な回答を提示したい。
著者
真野 祥子
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学童期のADHD児を持つ母親を対象とし,マターナルアタッチメント形成プロセスの特徴について検討した。12人の母親に半構成的面接を実施し,児の行動と養育について母親自身の情動体験を含めて聞き取りを行った。ADHDの症状は母親のネガティブな感情を引出し,問題行動に直面するとネガティブな感情が生起し養育態度も厳格になりがちであったが,その一方で可愛いと思える様子の時にはポジティブな気持ちとなっていたように,アンビバレントな状態が特徴的であった。マターナルアタッチメントの状態は,ルールに沿った行動が求められる学校生活が開始されると悪化していた。この時期のマターナルアタッチメントは母子の生活史の中で最も悪い状態となるのであろう。ADHD児の母親は診断を肯定的に受け止めていた。診断後,母親は自責の念から解放され,本を読んだり親の会に参加し,疾患に関する知識を得ていた。その結果,問題行動が起こった時はその原因を冷静に考えることができ,行動の見方と養育態度も変化したと実感していた。また,診断後,ポジティブなエピソードは顕著に増加し,小学校入学後に大幅に増加したネガティブなエピソードは診断後に減少しており,小学校入学と診断は母親にとって転機であると言える。しかし,将来への不安は依然として大きなままであり,最終的には学校教育終了後,就職や結婚等の社会的自立について将来の見通しが持てず不安を抱いていた。
著者
荒井 歩 植田 寛
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.307-314, 2010-03-15
被引用文献数
1

茶は時代により異なる社会需要に応じて,産地を変化させ,茶の栽培・製茶技術をつくりだしてきた。また,茶の生産に適した自然環境が,茶産地の形成に深く関わっている。そこで本研究では,日本における茶産地の発祥状況や形成過程を整理すると共に,地形・水系を把握した上で,茶産地における景観構造を明らかにすることを目的とした。研究対象地として,茶の生産に適した自然環境状態により栽培地が選定されていた近代以前からの産地25地区を選定した。調査分析の結果,茶産地の発祥要因は,発祥の祖の相違により4タイプに分類された。また,茶産地の形成過程は,主導者や生産・流通体制などの茶産業のあり方の相違により5タイプに分類された。茶産地の地形構造は,茶産地と河川の立地関係により4タイプに,茶産地と傾斜分布関係から3タイプに整理された。最後に景観構造のタイプ分類を行い,茶産地の景観構造は発祥時期や発祥要因によって特徴づけられると共に,これらの要因が茶産地としての選定にも影響を及ぼしていることが明らかとなった。
著者
小池 源吾 志々田 まなみ
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第三部, 教育人間科学関連領域 (ISSN:13465562)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-19, 2005-03-28

The purpose of this paper is to clarify the actual conditions of "perspective transformation" brought about by study, and to consider the state of study supports. We observed the learning activities of adults over one year, and analyzed the aspects of their study in detail. Consequently, the four followings became clear. 1) The pattern of "perspective transformaion" can be classified into four. 2) Those who reached "discourse dilemma" stage have checked only 7.9% among all students. It is very difficult to enter "discourse dilemma" by study. 3) When student comes into "discourse dilemma" stage, the mental support by facilitator is indispensable. 4) Activity of self-expression such as writing or talking, affect "reflective learning" and "perspective learning."
著者
筒見 拓也 野々垣 嘉晃 田辺 瑠偉 牧田 大佑 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2014-CSEC-65, no.16, pp.1-6, 2014-05-15

近年,DNS リフレクション攻撃に代表される分散型サービス不能攻撃,通称 DRDoS 攻撃 (Distributed Reflection Denial-of-Service attack) が脅威となっている.DRDoS 攻撃は,インターネット上における様々な種類のサービスを悪用するため,攻撃の傾向を分析するためには単一のサービスでなく,複数のサービスを用いて攻撃を観測することが重要である.本稿では,DRDoS 攻撃に悪用される恐れのある複数種類のネットワークサービスを模擬するハニーポットを用意し,DRDoS 攻撃を観測する手法を提案する.

1 0 0 0 OA 水産法令集

著者
渡会三郎 編
出版者
尾参水産会
巻号頁・発行日
1905
著者
大木 知彦 森田 寿郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.804, pp.2758-2768, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
32

Wheels have high movement efficiency, simple structures and low cost. So various wheeled mechanisms are used in the living space. However, wheels have low traveling performance. Therefore, there are areas that wheeled mechanism can't move in. In order to solve this problem, various movement mechanisms are developed. Yet, they have many problems. For example, complicate, heavy, large, expensive, and so on. Because of these reasons, the spread of these movement mechanisms are blocked. Then, we propose TFW that have high performance of driving on level surface and traveling over a single step. Movement mechanisms that are equipped with TFW can travel over steps that conventional wheeled vehicle can't travel over. Consequently, we showed that TFW have high performance movement mechanism of level running and traveling over steps by experiments with a vehicle “SRIDER-II”.