著者
Ohbayashi Takashi Okochi Isamu Sato Hiroki ONO Tsuyoshi
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
Applied entomology and zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.609-614, 2005-11-25
被引用文献数
3 28

The distribution and food habit of the flatworm species Platydemus manokwari, which is known to be a predator of land snails, were examined on Chichijima Island of the Ogasawara (Bonin) Islands, Japan. P. manokwari was distributed over a wide area of the island. Few live land snails were found in the area where P. manokwari was distributed. Further, it was revealed that P. manokwari fed not only on live land snails including predatory species, but also on other food resources such as live flatworms or a land nemertean species and the carcasses of slugs and earthworms. Therefore, P. manokwari is expected to survive even if the populations of land snails are almost lost on Chichijima Island in the future, and so will affect the biodiversity of Chichijima Island.
著者
澤田 裕治
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究で明らかになったのは次の4点である。①ロンドンのシェリフと市長裁判所史料の喪失に留意する必要性、②イングランドは、12世紀末に西欧で初めて、国王裁判権を頂点とする「授権」体系を成立させ、裁判と立法により、全国的なコモン・ローを創出したこと、③コモン・ローは、ロンドン都市法等の地方慣習を敵対視せず、「授権」体系の枠組の中で柔軟にその特権享受を許したこと、④しかし、ロンドンの裁判所は占有アサイズ、土地明渡令状等のコモン・ローの革新にモデルを提供した可能性のあることである。
著者
杉原 儀昭
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一原子の硫黄供与体として働く硫化試薬の合成と硫化能につき,検討した.その結果,アルケンからチイランのワンポット合成において塩化メトキシカルボニルスルフェニルが有用であること, 3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン 1,1-ジオキシドとシリカゲルを用いたアルケンの固相チイラン化において孤立シラノールとヒドロキシ基と反応基質間の水素結合が反応に関与することを明らかにした.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 末松 孝子 有福 和紀 齋藤 剛 井原 俊英 吉田 雄一 久保田 領志 田原 麻衣子 清水 久美子 伊藤 澄夫 山崎 壮 河村 葉子 西村 哲治
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2010
被引用文献数
8 21

天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-<i>d</i><sub>6</sub>ナトリウム塩(DSS-<i>d</i><sub>6</sub>)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-<i>d</i><sub>6</sub>のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
著者
吉沢 茂弘 本多 宏子 漆原 誠 中村 仲
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.243-255, 1990-08-01
被引用文献数
1 1

5〜6歳の男児12名をE群とし、3〜4mmol・l^<-1>に相当するHRが少なくとも連続的に3〜4分間維持される約915mの持久走を1日1回(日曜日を除く)6ヶ月間実施したところ、水平に固定されたトレッドミル走行の漸増負荷の測定において次のような変化が見られた。200beats・min^<-1>を上回る最大努力時のV^^・o_2 max/TBWはトレーニング期間前の47.5ml・kg^<-1>・min^<-1>からトレーニング期間後の50.4ml・kg^<-1>・min^<-1>へ、またpeakLA5.41mmol・l^<-1>から6.39mmol・l^<-1>へとともに有意に(p &glt; 0.05)増加した。またVmaxも走行動作の改善も加わり190.0m・minl^<-1>から205.0m・min・l^<-1>へと有意に(p &glt; 0.001)増大した。しかし最大下の4mmol・l^<-1>及び3mmol・l^<-1>に相当するこれらの変量には全く有意差が認められなかった。他方、7名の同年齢男児のC群においては、最大努力時及び最大下負荷時のすべての変量においてトレーニング期間前後の間に有意差は認められなかった。このように、E群の最大努力時にみられた効果は、幼児においても呼吸循環系にTrainabilityが存在することを示唆している。また持久走トレーニングが走行動作の効率の改善に大きく関与していることがわかった。
著者
眞岸 克明 和泉 裕一 光部 啓治郎 中西 啓介 久保田 宏
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.83-85, 2003-03-15
被引用文献数
3

今回,われわれは,大動脈四尖弁に伴う大動脈弁閉鎖不全症の弁置換術を経験したので報告した.症例は,63歳男性で心原性ショック発症後の精査で大動脈弁閉鎖不全症の診断となり,経食道心エコーで大動脈四尖弁を認めた.手術所見では,大動脈弁左冠尖と無冠尖の間にやや小さなaccessory cuspを有する四尖弁を認めた.Hurwitzらの分類ではtype bに相当すると考えられた.手術は大動脈弁を切除し,Edward-MIRA21mm弁で置換した.術後経過に問題なく,元気に社会復帰した.大動脈四尖弁は希な疾患であるが閉認不全を伴うことが多く,文献的検討を加え報告した.
著者
唐沢 好男 篠澤 政宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.90-96, 2002-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
12

サブバンド信号処理型アダプティブアレー(SBAA)のメリットは分割したサブバンドことに並列信号処理ができることであり, トータルとしての計算量も大幅に軽減できることである.一方, その代償として遅延波の取込み能力などの性能面での低下が免れず, その問題解決が必要である.そこで, 本論文では, OFDM方式のなかで取り入れられているガードインターバル(サイクリックプレフィックス)付加の仕組みを, 通常のデータ伝送に取り入れ, 上記SBAAの性能を極限にまで引き出す方法を提案する.また, その性能を計算機シミュレーションによって評価する.
著者
森田 茂之 中村 博昭 河澄 響也 古田 幹雄 村上 順 秋田 利之 森吉 仁志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では,曲面の写像類群とリーマン面のモジュライ空間の構造の解明を中心課題とし,それに密接に関連する種々の問題についての研究を行った.具体的には,写像類群のコホモロジー群の研究,Floerホモトピー型の理論の展開,3次元多様体のゲージ理論に基づく位相不変量の研究,写像類群の調和的Magnus展開の理論の建設,Grothendieck-Teichm\"uller群の構造の研究,3次元多様体論における体積予想の研究,3・4次元における非可換幾何学の展開,写像類群の有限部分群と特性類の関係に関する研究,写像類群のJohes表現の研究,写像類群と4次元多様体論との関連,等である.このように代表者および各分担者はそれぞれのテーマを追究する一方で,相互啓発により一段高い観点からの研究を目指した.その中から,例えば写像類群の幾何学とシンプレティック幾何学との結びつきや,写像類群と自由群の外部自己同型群の構造の類似点および相違点の解明等の新しい研究の方向も見えてきた.
著者
河合 利修
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.13-20, 2005-03

国際人道法の一条約である第1追加議定書の第59条には戦時における無防備地区の設置が定められている。この条項をもとに、無防備地区宣言を行う条例を自治体に採択するよう働きかける「無防備地域宣言運動」が我が国では盛んになっている。第1追加議定書の解釈を検討すると、無防備地区の宣言を行える主体に地方自治体も含まれるが、地方自治体に関しては極めて例外的な主体であり、国際的に地方自治体が広く主体として受け入れられているかは疑問である。さらに、議定書が採択された1977年以降、無防備地区が宣言された例はない。「無防備地域宣言運動」は平和運動の一環として政治的な運動でもあるが、国際人道法は戦争という現実のなかでの犠牲者保護を定めた現実的かつ政治中立的な法である。また国際人道法は人道の原則と軍事的必要性の原則の均衡をとる役割を果たしており、平和運動の一環としての「無防備地域宣言運動」とは性格を異にする。
著者
坂本 牧葉 須藤 秀紹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-6, 2014-03-07

掃除用、ペット用など、職場や家庭でのロボットの利用が普及している。将来は生まれながらにロボットをと接する、ロボットネイティブ世代の出現も予想される。ロボットとは何かを理解し、それらと適切な関係を形成し、安全に利用するにはそのリテラシー教育が重要になると考えられる。そこで著者らはまずロボット・リテラシーの要素を整備した。本稿ではさらに学習者がより意欲的に学べるよう、それらをカードゲームなどへ展開することを試みる。Using of robots in an office or a home, such as an object for cleaning and an object for pets, has widely spread. Robot native generation's appearance which touches in a robot while being born in the future is also expected. However, influences which robots and robot natives have on our society are not clarified. This study aims to construct targeting these generations, methodology literacy required to coexist with home robots. First, by referring to the research model of media literacy, we figured out the research model of the robot literacy. Next, as a system to learn clearly the research model, we suggest a board game.
著者
日高 洋 米田 成一 安東 淳一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本年度は,前年度に引き続き,以下について行った。1、gas-rich隕石の分析:多量にガス成分を含んでいる隕石(Kapoeta,Cook101,NWA801,SaU290)について,Sm,Gd同位体,希ガス同位体,の分析を行い,これらの宇宙線照射履歴の詳細について解析した。これらの隕石は銀河宇宙線の他に,低エネルギーの宇宙線による照射の影響を著しく受けている可能性が示唆された。2.炭素質コンドライトのバリウム同位体分析:タイプの異なる6種類の炭素質コンドライト隙石(Orgueil,Mighei,Murray,Efremovka,Kainsaz,Karoonda)について酸による連続溶出実験を行い,得られた各々のフラクションのバリウム同位体分析を行った。特に,3種類のCM隕石から得られた同位体変動を総合的に解析し,原始太陽系の同位体不均一に影響を及ぼす要因としてs-過程,r-過程の原子核合成成分以外に消滅核種^<135>Csの存在の可能性を検証した。3.原始惑星における水質変成:水質変成を激しく受けている形跡のある狭山隕石(CM2)について,その組織からコンドリュールを採取し,個々のコンドリュール粒子についてバリウム同位体測定を行った結果,^<135>Cs-^<135>Ba壊変系の著しい乱れを示すデータを得た。本研究結果は同位体化学的見地から水質変成の存在を示唆する有意義な証拠となり得た。

1 0 0 0 IR 技術論の反省

著者
渡辺 雅男
出版者
一橋大学
雑誌
社會學研究 (ISSN:05597102)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.167-234, 1986-04-10
著者
ヴィゴ レジャン LAUNEY THOMAS 千村 崇彦 池田 時浩
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

我々は分子や粒子をイオン化・加速して特定の神経細胞に穿通させるナノ電子スプレー微小管を設計、2本の同心の表面疎水処理ガラス管内部の溶液を電子スプレーにして標的に局所的に到達させた。液滴の安定噴射には管配置と電圧波形が重要で、20-250nAのパルスピーク電流が得られた。しかし陰イオン色素と蛍光顕微鏡で観察すると粒子は管先端-培養液面境界のほか外管内壁にも急速に蓄積、終には管内部への引水と溶液流出が生じ、菅形状の調整を重ねたが不可避だった。静電的性質のシミュレーションによる改良型を提示する。
著者
小川 敦史 我彦 広悦 犬飼 義明 犬飼 義明
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,1)作物根系の大部分を占める側根原基ならびにその周辺組織における,浸透圧ストレス条件下での発現遺伝子ならびに代謝物質の変動の網羅的解析,2)冠根および側根数が著しく減少するイネ突然変異体の特徴の解明と,その原因遺伝子の単離および機能解析,3)糖代謝関連酵素の根系形成への関与の解明,4)オーキシンやサイトカイニンの働きを制御する腫瘍誘発遺伝子群の一つである6b遺伝子を導入した植物体での根系形成やホルモンの分配の解明を行った.
著者
東 幸代
出版者
滋賀県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、近畿三角地帯を対象とし、近世期に発生した地震の被害と人々の対応を解明するものである。対象地域を(A)福井県・滋賀県・京都府エリア、(B)三重県・岐阜県・愛知県エリア、(C)大阪府・奈良県・兵庫県エリアの3エリアに分割し、3ヶ年にわたって検討した。その結果、(A)~(C)のいずれのエリアでも有感地震の頻度は高く、地震の際の人々の対応には共通した行動パターンが確認されるが、災害教訓の伝承に関しては、被害地の立地などに基づく地域的差違が顕著であることが明らかになった。
著者
齋藤 ひろみ 森 篤嗣 橋本 ゆかり 岩田 一成 菅原 雅枝
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内でも外国人の児童生徒が増加しているが、日本生まれ日本育ちの子どもの言語発達支援・教育が新たな課題となっている。本研究では、こうした日本生育外国人児童生徒(日本籍の児童も含む)のリテラシーの発達について、作文を書く力に焦点化して調査を行った。外国児童生徒と日本人児童生徒から、出来事作文と意見文作文という2つのジャンルの作文データを収集し、産出量、表記、語彙、文法、内容構成等の観点で分析を行った。その結果、産出量、社会性の表出には日本人児童と同等の発達が見られたが、特殊音表記、文法適格性、結束性、陳述の適確さ・多様さ、論理性にやや遅れが見られ、これらを意識した指導が求められる。