著者
赤井 容子 赤松 浩彦 李 秀萍 伊藤 明 Christos C. Zouboulis 朝田 康夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.647, 1994 (Released:2014-08-12)

リノール酸(C18:2cis9,12),パルミチン酸(C16)の皮脂腺の増殖に及ぼす影響を,ヒトの顔面より分離した皮脂腺を組織片培養して得られた培養脂腺細胞を用いて検討した.その結果,リノール酸は濃度依存性に培養脂腺細胞の増殖を促進し,一方,パルミチン酸は濃度依存性に増殖を抑制することがin virtoで判明した.面皰において,正常皮膚に比べてリノール酸の割合が減少し,パルミチン酸の割合が増加しているという事実より,この結果は,これらの遊離脂肪酸が面皰形成過程において,皮脂腺の増殖に影響を及ぼしている可能性を示唆するものと考えられた.
著者
山角 博
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.423-440, 1969

著者は思春期心性を離人症との関連において理解するために,知的に比較的正常ないし上位にあると思われる高校生915名に,CMI,クレペリンテスト,離人感に関するアンケートなどの心理テストをおこない,さらに問題があると思われる生徒には,面接,ロールシャッハテストをもおこない,その結果を検討するとともに,思春期離人症例との比較考察をおこなった。そして次の諸点を認めた。1)正常な思春期の過程にも,神経症的傾向を示すものがみられる。2)離人感は思春期においては,正常な人々にも,特に内省的な人にはしばしば体験される。3)調査した高校生のうちで,特に離人状態群として分類された生徒に,思春期に特有な心性と思われるものが顕著にみられた。4)離人症と思春期心性にな,密接な関係がみられた。5)思春期において,両親からの分離独立,自己同一性の確立の失敗により,自己不全感,自己同一性の混乱をもたらしたものが離人症を招く可能性があると考えられる。6)離入状態群に分類された生徒では,その離人感は流動的であり,葛藤の固定化にまで至っていないのに対し,思春期離人症者では,離人感はより深刻であり,自我機能の制限,さらに自我の分裂にまで至る場合がある。
著者
堀田 裕子 松崎 那奈子 萩原 孝泰 井上 康子 小川 博
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.64, 2017

<p>スマトラオランウータンはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定される希少動物である。また,国内個体数が少ないことから,種の保存のために動物園で計画的に飼育下繁殖を進めていくことは重要である。そのために園間同士での個体の移動は必要なことである。一方で,動物の輸送には身体的および精神的ストレスが伴う。動物はストレス因子が極度の場合生理学的機能が激しく損なわれ死亡することがある。コルチゾールはストレスの指標となりうるホルモンであることから,尿を用いて非侵襲的にそれを測定した。昨年スマトラオランウータンの園内での新獣舎への移動,および園間またいでの移動が行われた。この際のストレスについて検証すべく,スマトラオランウータン雌1頭雄1頭を対象として,尿中コルチゾール濃度をEIA法を用いて測定し,その動態を追った。またそれと同時に行動観察を行い,行動と生理の面からそのストレスについて調べた。雌雄また園内と園間それぞれ,コルチゾール濃度および行動に変化がみられた。その結果からストレス要因およびストレス軽減要因について考察し報告する。</p>
出版者
財界にいがた
雑誌
財界にいがた
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.40-43, 2006-04