著者
黒川 朋広 中村 攻 木下 勇
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.245-248, 1996-03-29
参考文献数
3
被引用文献数
3

本研究では千葉県佐原市の山車祭りを事例に祭礼における都市空間の使われ方の変遷を見た。その結果以下の点が明らかになった。古い市街地の狭い道路も山車の通行の見せ所の舞台となっており,都市の変容とともに電線などの障害が生じてもそれを克服する工夫が見せ場ともなっていたように,都市の変容に合わせて祭礼の工夫がなされてきた。が,モータリゼーションや商業構造の変化といった大きな変化は祭礼における空間利用の意味をも変えつつある。祭礼における空間利用には歴史的にもまた人の関わりという面でも多義的な意味が内在している場合もあり,そのような場の意味を再評価しながら祭礼を都市空間の整備に活かしていくことが必要である。
著者
鈴木 昭平 宮本 定明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.70, 2011 (Released:2012-02-15)

テキストを単語の列として解析するためのファジィ近傍モデルを導入する。 従来の手法では単語の出現回数のみを考慮したモデルとなっていたが これによって出現位置を踏まえた文章構造を考慮したモデルとなる。 ファジィ近傍モデルが正定値カーネルを定義する条件について考察する。 カーネル関数を利用したクラスタリング手法を適用することで単語クラスタリングを行う。 テキストマイニングをTwitterを用いた実データに応用し考察を行う。その後、ファジィ近傍の尺度を変えた結果との比較を行う。
著者
野嶋 政和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.439-444, 1998-03-30
参考文献数
48

本稿では, 露伴を代表とする都市空間についての秩序認識と理想像についての包括的な言説群の歴史的背景を探る-環として, 公共オープンスペースの秩序形成を対象とし, 都市空間の変容を構造的に把握することを通じて, オープンスペースとしての道路における秩序形成のあり方を考察する。具体的には, 近代都市空間における交通・防災・衛生・美観などの道路の諸機能に抵触する諸行為の排除のプロセスを, 長屋・裏長屋=「スラム」の住民の代表的な職業であり, 道路などのオープンスペースを生業の空間としていた大道芸と「雑業」への取締を対象として明らかにすることを課題とする。
著者
DA GRACIA J. V.
雑誌
Annu. Rev. Phytopathol.
巻号頁・発行日
vol.29, pp.109-136, 1991
被引用文献数
3 251
著者
長谷川 尚史
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.143-154, 2000-08-15
参考文献数
27
被引用文献数
3

林分の地位格差が林業経営の収益性に与える影響について分析した。スギ人工林林分収穫予想表から3水準の地位(上,中,下)および2水準の植栽密度(3,000本/ha,6,000本/ha)の計6通りの仮想林分において,収穫表に沿った施業を行った場合の収益性に関して試算を行った。80年生時点の「密植」における「地位上」と「地位下」の格差は,利用材積で3.18倍であった。収入間伐を実施できるまでの年数は「地位上」で26〜27年生時点であるのに対し,「地位下」ではすべて保育間伐となった。主伐後の総収支は「地位上」では45年生以降の主伐で黒字となったが,「地位下」では80年生時点でも赤字となった。また賃金単価を変動させて分析したところ,賃金単価が高くなるにしたがって地位の低い林分における収益性が急激に悪化した。伐出費と間伐および主伐収入が均等になる年数を比較した場合,賃金単価が2,000円/人・日程度であれば地位格差はほとんど見られないが,賃金が上昇するにつれて地位格差は非常に大きくなった。以上の結果から林分の地位格差は収益性に大きな影響を与えており,これらをゾーニングして管理する必要があると思われた。
著者
平井 悠介
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.530-541, 2007-12

1990年代のアメリカ合衆国において、リベラル派の政治哲学者の間でシティズンシップ概念が注目を集めている。本稿の目的は、市民のアイデンティティや行為のあり方に焦点を当てる90年代のシティズンシップ論および市民教育論の展開の意義を、リベラル派の市民教育理論における「討議的転回」との関連のもと探究することである。探究に際し、本稿では討議的転回後のリベラル派の市民教育理論にみられる二つの立場からの議論(<討議を民主主義的意思決定の手段とみなす議論>と<討議を市民教育の手段とみなす議論>)の分析を行う。前者の立場のマセードおよびゴールストンの議論と、後者の立場のカランとガットマンの議論とを対比し、後者の議論で重視されている、批判的かつ自律的に思考する能力の育成と相互尊重という市民的徳の涵養が、人々のアイデンティティの多様性を尊重する国家的統合にとって必要とされることを示していく。
著者
小山 靖人
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

光学活性な有機化合物と無機化合物とを合理的に複合化することで、有用な機能性素子・素材が創出される。不斉有機金属触媒、分離分割材料、円偏光発光性材料などがこれらの代表的な例である。不斉場と無機物の合理的な複合化は、今後の革新的な素子・素材創製において重要なコンセプトであると言える。らせんポリマーは、その繰り返し構造間で生じる「空孔」や「溝」といった光学活性低分子には存在しない特異な不斉場を有する。そのためラセン高分子を機能性材料の土台として活用する研究が近年盛んに研究されている。こうした背景の下、我々は①高次構造が完全に片方巻きで、②様々な無機化合物と容易に複合化でき、③多彩な用途に利用することができ、さらに④ラセンの高次空間を外部刺激によって自在にコントロールできるような、「元素ブロックのラセン集積ツール」の開発を目的に研究を推進している。本研究では(i)元素ブロック材料を簡便に合成する新しい高分子合成法と(ii)汎用性・信頼性の高いラセン集積場の創製に分類して研究を実施しており、本年度は(i)、(ii)についてそれぞれ成果を得、発表した。結果として、(i)高分子ニトリルオキシド反応剤を用いる簡便な無機ガラス表面修飾法を見出し発表した。また2官能性ニトリルオキシドを用いる高分子連結法をこれまでに報告しているが、その分子連結点に蛍光性素子であるボロンエナミノケトネートを導入する方法論を開発し発表した。さらに(ii)については、糖鎖の剛直な片巻きらせん構造の有用性に着目した研究を推進し、天然由来の1,2-beta-グルコピラナンやアミロースの構造に化学的に手を加えることで、元素ブロックの集積に対し有用な土台となることを明らかとした。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年05月04日, 1918-05-04
著者
三谷種吉 著
出版者
福音普及会
巻号頁・発行日
1919
著者
大木 章 中島 常憲
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

火山灰中に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)濃度を正確に測定する方法を確立した。桜島が噴火したときに得られた降灰を採取し、PAH濃度を測定したが、10種の3-4環PAH合計濃度は1.6-5.1 ng/gであり、微粒分ほどPAH濃度が高い傾向であった。また、降灰量が多い場合ほど、降灰中の水銀濃度は低くなった。火山降灰は、自由対流圏を含む大気中のエアロゾル捕集材として機能し、この中に含まれるPAHや水銀などの有害成分を吸着することが明かとなり、大気エアロゾル成分の年次変動を反映することがわかった。しかしながら、これらの成分において、越境大気汚染の割合を特定するまでには至らなかった。
著者
薮野 孝 増村 修 加藤 信博 松村 俊也 関 均 伴 伸次
出版者
札幌社会保険総合病院
巻号頁・発行日
2002-12-01

平成12年に当放射線部にCRが導入され、導入後の経済的効果について検証したので報告する。それによると、デジタル加算料による収益が32,000,000円、薬品関係の削減が6,100,000円で、年間でおよそ38,000,000円の増収を得ることができた。またCR化にしたため、フイルム使用枚数に対する雑損も平均で1.82%~1.52%となり年平均で0.3%の減少となった。導入前に予想していた数字にほぼ一致し満足することができ、病院の経営に貢献することができた。
著者
原口 清
出版者
明治維新史学会
雑誌
明治維新史学会報 (ISSN:13463209)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-17, 2000-10-01
著者
野上 健治 吉田 稔 小坂 丈予
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.71-77, 1993-08-15
参考文献数
10
被引用文献数
6

薩摩硫黄島東温泉沿岸では温泉水と海水とが様々な比率で混合した結果,極微細なSiO_2-Al_2O_3-Fe_2O_3-H_2O系の低結晶質沈殿物が生成しており,海面が様々な色調を呈している.これらの変色海水について,母液及び沈殿物のSi-Fe-Al_3成分の化学組成及び生成条件,特にpHとの関係について検討を行った.その結果,沈殿物の化学組成は温泉水と海水との混合溶液のpHに強く依存し,pHが2前後では沈殿物中のFeの割合は低いが,pHが3〜5の範囲ではFeの割合が相対的に高くなる.更にpHが上昇するとAlの割合が相対的に高くなる.また変色海水の色調はpHが2前後の時は透明から乳白色であるが,pHが3〜5の時には黄褐色である.更にpHが上昇すると色調は再び白色系になり,沈殿物中のFeの割合によって色調が変化する.これらに対して,各採取地点における沈殿物と母液との混合物の化学組成は東温泉から湧出している温泉水のそれと殆ど同じであり,見かけ上沈殿の生成過程においてSi,Fe,Alの3成分は分別していない.
著者
井口 正人
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.49-67, 1994-05-20
参考文献数
27
被引用文献数
10

代表的な安山岩質火山である桜島の高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震を,波動の特性,震源位置およびモーメント加速度・テンソルについてA型地震と比較検討することにより,火山性地震の発生機構を論じ,それを火山特有の構造である火道と関連させて考察した.高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震は,火口直下の半径約200mの円筒状の領域に分布し,上下方向のダイポール成分が卓越する体積膨張型の力源をもつことから,マグマに満たされた火道内において発生していると推定され,その原因として,火道に沿ったガス相の膨張が考えられる.A型地震は,これら3種類の地震の震源域の周囲に分布し,ダブル・カップル成分が大きいことから,火道周辺の岩石のせん断破壊によって発生すると推定される.高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震のスペクトルの相違は,震源過程の違いによるものと考えられる.これらの地震発生に伴う地盤変動,表面現象および地震発生の時系列から考えると,震源過程の相違は火道上部の閉塞状態やマグマの物性の違いに起因していると推定される.
著者
森 俊哉
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では、係留気球を用いた火山噴煙の観測手法の開発めざし、特に、噴煙中の火山ガス組成の測定をターゲットにした開発研究を実施した。気球に搭載できるよう、二酸化硫黄と硫化水素濃度を測定できる装置を小型軽量化し、噴火活動中の阿蘇中岳の噴煙中の火山ガス濃度比を係留気球を用いて観測を行い、観測手法の確立を行った。本研究で得られた知見や技術は、係留気球を用いた観測だけでなく、近年急速に進化した無人飛行機を使用した噴煙測定にも応用できると期待される。