著者
森 あおい
出版者
広島女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、メインストリーム社会から無視され、沈黙を強いられてきた人々の社会・文化表象を考察し、再評価することで、権威主義に対抗するマイノリティ・ディスコースの理論を構築することを目的とし、社会的に周縁化されてきた人々の存在を回復し、多様な価値観の上に成り立つ、他者を受け入れる寛容な社会を実現する可能性を明らかにした。
著者
北 研二 肖 清梅
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-6, 2011-05-06

楽曲検索では,ノイズ等による楽曲の劣化や,検索質問曲の演奏開始位置が不明であることから,一般に膨大な検索空間を探索する必要がある.多くの楽曲検索システムでは,楽曲の音響的・知覚的な特性に基づくオーディオ指紋 (audio fingerprint) を特徴量として用いているが,本稿では,オーディオ指紋に適した高速検索手法を提案する.また,8,740 曲の楽曲データベースを用いた評価実験を行い,提案手法の有効性を示す.In music information retrieval, a huge search space has to be explored because a query audio clip can start at any position of any music in the database, and also a query is often corrupted by highly significant noise and distortion. Audio fingerprints have attracted much attention recently in music information retrieval, because they provide compact representation of the perceptually relevant parts of audio signals. In this paper, we propose an extremingly fast method for exploring a huge hamming space that is suitable for audio fingerprinting systems. The effectiveness of the proposed method has been confirmed by evaluation experiments using a database of 8,740 songs.
著者
川渕将太 宮島千代美 北岡教英 武田一哉
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.2, pp.1-6, 2013-03-08

楽曲検索に関して,楽曲の音響情報を用いて楽曲間の主観的類似度を推定する手法について検討する.本研究では,楽曲間の主観的類似度は楽曲間の音響的類似度と聴取者の個人性により決定されると考える.本研究はこのうち聴取者の個人性に焦点を当て,聴取者間にどのような差異があるかを明らかにし,主観的類似度推定のモデルに組み込むことを目的としている.聴取者の個人性に関する先行研究の結果より,楽曲が音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるかに大きな個人差が存在することが示唆された.本稿ではこの 「音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるか」 を聴取者の 「許容度」 と呼び,許容度を含んだ主観的類似判定のモデルを提案する.実験では,楽曲間類似度の主観評価データを用いて聴取者の許容度を推定すると共に,実用の場面においてこの許容度を少数の類似性評価の結果を用いて推定することが可能であるかを確認する.
著者
茂出木 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.496, pp.7-12, 2012-03-09
参考文献数
7
被引用文献数
4

音響信号の高域部に、コピー牽制の警告音声やコピー妨害雑音等の第2の音響信号を、スペクトルを周波数方向に反転させながら不可聴な形態で重畳させる。この音響信号に対して、所定のサンプリング周波数で再録音を施すと、埋め込まれた第2の音響信号の成分が低域に折り返され可聴化できる。しかし、通常はサンプラー前処理部の低域通過フィルターにより、折り返し成分は抑圧され可聴化されない。本稿では、埋め込まれた信号に対してマスキングの範囲内で事前に半折り返し処理を施し、折り返し時に原音成分を打ち消す作用を付加してマスキング作用を解除することにより、LPFで抑圧される第2音響信号の成分を可聴化させ、録音信号処理に対するロバスト性をもたせる手法を提案する。
著者
櫛田 達矢 中島 敦司 永田 洋
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.57-64, 1999-02-16
参考文献数
24
被引用文献数
3

アカマツの冬芽内の葉原基の形成経過と日長反応性の関連から, 土用芽の発生要因を検討した。1年生苗を2月20日, 3月7,22日の各日からガラス室で加温処理した後, 5月22日に野外に搬出し, 主軸の先端に形成された冬芽の土用芽の発生状況を調査した。その結果, 早い時期から加温した個体ほど, より早い時期に冬芽内の節間が伸長し始め, 土用芽の発生率も高く, 二次伸長量も大きくなった。また, 3月6日から6月4日まで加温した処理区(加温区)と無加温区の冬芽を定期的に採取し, 冬芽内に形成された葉原基の数を解剖学的な方法で調べたところ, 加温区では冬芽内の節間で急激な伸長の認められた8月中に, 90以上の葉原基の形成が確認された。一方, 無加温区で90以上の葉原基が確認されたのは9月上旬の短日条件になってからであり, 節間の急激な伸長はみられなかった。以上の結果, アカマツの土用芽とは, 90〜100程度まで葉原基を形成した冬芽において, その内部の節間が野外の14時間以上の長日条件で伸長成長したものと考えられた。
著者
篠田 孝祐 鳥海 不二夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

ソーシャルメディアを利用していると,特定の情報が届かない状況や誤情報の情報の訂正のみが届くこと経験する.この事象の存在を「デマの壁」仮説と呼ぶ.我々は,ソーシャルメディア内に情報伝達を阻害・修正するこの「壁」の存在の可能性をデータから得ている.しかしながら,その証明と工学的応用性は見出せていない.本論文では,この「デマの壁」の存在をシミュレーションと実データから構成論的手法により明らかにすることを検討する。
著者
松井 孝典 土屋 翔平 町村 尚
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

現在、シカの個体数増加に伴う植生被害が深刻であり、この管理においてシカの捕食者であるオオカミを再導入して食物連鎖を均衡させようという議論がある。米国イエローストーン国立公園などの少数の例を除いて実装例がなく、動物相の持つ種々の不確実性から困難が伴う。そこで本研究では、マルチエージェントシミュレーションによるオオカミーシカの個体群動態モデリングを行い、再導入の意味を議論する。
著者
岡田 正人 金盛 克俊 青木 伸 大和田 勇人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

がん創薬をターゲットとした化合物ライブラリから共通するパターン(構造と性質)を自動生成する機能と、定性的に記述されたパターンから化合物とタンパク質が結合するか否かを高速に判定する機能を併せ持つ、バーチャルランダムスクリーニング法を開発する。 本手法により、従来の定量的な力学計算を伴うドッキングシミュレーションを越えて、実験等で得られた知見を活用して薬剤候補を絞りこむことが可能となる。
著者
梶本 めぐみ 原田 直哉 延原 一郎 春田 典子
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.24-28, 2011

一般に変性が少ないとされる富細胞平滑筋腫が,嚢胞変性をきたし腫瘍マーカーの上昇をも伴ったため,卵巣癌などの悪性腫瘍との鑑別に苦慮した症例を経験した.症例は46歳の2回経産婦.全身の倦怠感および腹部膨満感を主訴に近医内科を受診.骨盤内の腫瘤およびCA125の高値(111 U/ml)を指摘され,婦人科疾患を疑われ当院へ紹介受診となった.骨盤内には子宮または付属器と思われる可動性のやや不良な超新生児頭大の腫瘤を触知し,両側子宮傍組織は軟であった.初診時の採血結果は,Hb 9.7g/dl,Ht 31.5%,plt 40.9×10<sup>4</sup>/μl,LDH 182IU/l,CA125 235.8U/ml,CA19-9 5.4U/ml,CEA 0.8ng/ml.MRIでは骨盤内を占拠する15cm大の多房性の嚢胞性腫瘤を認め,内容液はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号であった.腫瘤の1/3程度にT1強調像で低信号,T2強調像では一部高信号の混在も認めるものの不均一な低信号を呈する充実性の部分を認め,造影により著明に濃染され,拡散強調像では高信号を呈した.少量の腹水貯留も認めた.以上のことから卵巣原発の漿液性または粘液性腺癌を第一に疑い,子宮肉腫または変性した子宮筋腫などを鑑別疾患とした.開腹所見にて嚢胞変性を伴った子宮腫瘍であることが判明し,両側付属器は嚢胞変性した子宮体部に付着していたため,子宮とともに両側付属器も摘出した.病理所見では富細胞平滑筋腫と診断した.術後の経過は良好で,CA125も速やかに陰転化した.嚢胞変性を伴う富細胞平滑筋腫は悪性腫瘍との鑑別が困難なことがある.〔産婦の進歩63(1):24-28,2011(平成23年2月)〕
著者
林水月著
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
1911
著者
von Hermann Helmholtz
出版者
J.A. Barth
巻号頁・発行日
1882
著者
高橋 進
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.603-623, 2005-12-26
著者
片山 敦司 坪田 敏男 山田 文雄 喜多 功 千葉 敏郎
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.26-32, 1996-02
参考文献数
24
被引用文献数
8

1991年3月から1993年8月までの間に, 岐阜県および京都府で捕殺された雌ニホンツキノワグマ(Selenarctos thibetanus japonicus)19頭の生殖器の肉眼的および組織学的観察により, 性成熟年齢, 排卵数, 着床数, 一腹産子数および繁殖歴などを推定した。卵巣の重量および大きさは加齢に伴って増加の傾向を示した。その傾向は未成熟個体で顕著であり, 性成熟個体で緩やかであった。黄体および黄体退縮物の存在を性成熟の基準とした場合, 4歳以上の全ての個体は性成熟に達していると判定された。しかし, 4歳未満でも性成熟に達する例も存在することが示唆され, 性成熟に達する年齢には個体差があることがうかがわれた。黄体, 黄体退縮物および胎盤痕の観察と連れ子の数から平均排卵数は1.89, 平均着床数は2.00, および平均連れ子頭数は, 1.86と算定された。さらに, 黄体退縮物の組織学的観察により, 捕殺時点における過去の総排卵数の推定を試みた。その結果, 黄体および黄体退縮物の数と交尾期経過回数には正の相関が認められた。しかし, 黄体およびその退縮物の数にはばらつきがあり, 交尾期経過回数との間に大きな差が認められる例もあった。