著者
関根 利守
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.139-146, 2011-06-25

衝突現象は,天体表面をはじめ至る所に衝突クレータとして,隕石中の組織や鉱物特性として,あるいは地球上の地層の中の衝突起源ガラス小球にもその痕跡を観察することが出来る.このような衝突によって生じる衝撃波の種々の効果を理解し,地球惑星物質に対して衝突現象として記録された痕跡から過去に遡ってその衝突プロセスを解明するには,衝突実験を通した再現実験が不可欠である.本稿では,これらの基礎的理解の為に,衝突実験を通して得られた結果や現状について述べ,問題点を指摘すると同時に衝撃変成度の定量化に向けた展望を試みる.特に衝撃プロセスでの温度履歴の重要性を指摘することに重点を置き,衝撃変成度の定量化に寄与することを目的にする.
著者
尾知 博 貴家 仁志 山田 洋士 高良 吉立 神林 紀嘉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.810-817, 1993-06-25
被引用文献数
14

最近,フィルタバンクを用いたサブバンド適応フィルタが研究されている.しかし,エリアジングをキャンセルして完全再構成を実現している通常のフィルタバンクを用いると,エリアジングやサブバンド間のクロス項の影響を回避できないという問題がある.この問題を回避するために,離散周波数点でエリアジングの影響を回避し,クロス成分をもたない周波数サンプリングフィルタ(FSF)バンクが提案されている.本論文では,最初にFSFバンクのDFT(discrete Fourier transform)による効率的な実現法を示す.次に提案した実現法によるフィルタバンクを用いた,周波数サンプリング定理に基づく適応フィルタを提案する.提案した適応フィルタは,サブバンド間のクロス成分およびエリアジングの影響を受けていない,離散周波数における周波数サンプル値による未知システムの同定を実現している.更に,周波数領域適応アルゴリズムと提案したアルゴリズムの比較を行い,離散周波数点における情報から未知システムを推定する本手法の有効性を示す.
著者
久保村 千明 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.418-428, 2003-03-01
被引用文献数
5

高度な情報検索システムは,文字表記の揺れ(異表記)に対応する能力を備えもつことが必要である.例えばキーワード「バイオリン」を検索した場合,情報検索システムはキーワードの異表記である「ヴァイオリン」をも検索できなければならない.しかしながら現在利用されている情報検索システムは,入力されたキーワードに対する異表記を十分に処理することは不可能である.また,1999年情報検索システムの評価プロジェクトの一環であるNTCIRワークショップにおいて,日本語検索における片仮名異表記の処理の必要性が指摘されている.このような状況にかんがみ,片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムを構築した.本論文では片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムに関して,片仮名異表記の分類・書換え規則,情報検索モデルとそれに基づく片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムの概要,システムの処理手順,最後にシステムの評価とその考察について述べる.
著者
緒方 規矩雄
出版者
新潟大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1983

二次元アクリルアミドゲルで分画し単離した動物のリボゾール蛋白から蛋白を抽出して微量のシクエンサーでN末端附近のアミノ酸配列を決定することを試みた。小亜粒子1.8mgを大型の二次元アクリルアミドゲル電気泳動装置で分画したものを、ギ酸で抽出Biogel P-2で精製した21μgを微量のシクエンサーでN末端から32アミノ酸配列を決定しえてS26に対するcDNAのクローンの確認を用いた。蛋白に特異のcDNAの確認に蛋白のアミノ酸組成も重要である。そこで二次元アクリルアミドゲル電気泳動法で分画したArtemia salinaのリボゾーム蛋白0.1μg-1μgについて水解後、ダブシル誘導体に加え、逆相の高速液体クロマトグラフィーを用いることによってアミノ酸を分離定量してアミノ酸組成を測定した。この際微量定量の為蛋白の試量に外からのアミノ酸の爽雑が問題になるが、蛋白分子篩高速液体クロマトグラフィーで目的を達することができた。この様にしてえたアミノ酸組成をチトクロームC、Artemia salinaのリボゾーム蛋白S6、S8について従来のアミノ酸自動分析計によるものと比較したが、チロシンを除いて極めて近い価をえて信頼できる分析法であることがわかった。従来のものが蛋白30-40μg必要なのに0.1-1μgあれば充分である。尚アミノ酸組成をリボゾーム蛋白に対するcDNAの同定に使ったものとしてS11、S26、S35aがある。合成ヌクレオチドをプローブにしてcDNAのクローニングは最近多く行われているが、私共は牛のオプシンについての一次構造かつ18塩基のプローブを作成しcDNAをえることができた。これを組み合わせて、(1)二次元アクリルアミドゲルでの蛋白の分離とN末端附近のアミノ酸配列の決定、(2)それを基にした合成ヌクレオチドプローブの作成、(3)蛋白に対するcDNAのクローン化、(4)(1)又はアミノ酸組成からのクローンの確認、(5)クローンのヌクレオチド配列からの蛋白質のアミノ酸配列の推定というシステム化が考えられた。
著者
つち山 明 上杉 健太朗 中野 司
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.845-858, 2000-12-01
被引用文献数
6 6

X-ray computerized tomography (CT) is a non-destructive method by which crosssectional images of rocks and minerals are obtained using X-ray attenuation. Threedimensional structures of samples can also be obtained by constructing a number of successive images. This review discusses high-resolution X-ray CT machines including an industrial machine in commercial use and that developed by our group at SPring-8, which is the largest synchrotron radiation facility in Japan. Spatial resolution of CT images, which is determined by X-ray detectors and X-ray beam size, is practically limited by sample size due to the limited numbers of X-ray detectors. A resolution of about 1 μm was realized at SPring-8. This resolution is the lower limit for imaging with simple optics. The contrast of an X-ray CT image is expressed as a two-dimensional distribution of CT values, which related to the X-ray linear attenuation coefficient (LAC), , μ. CT values of standard minerals were measured to compare with their values of μ. As μ is a function of X-ray photon energies, beamhardening occurs when we use polychromatic beams. Thus, we cannot compare CT and μ values directly with the industrial scanner, which aplies a polychromatic X-ray beam. If the CT and μ values are normalized by a standard mineral having similar size as samples for the photon energy or the accelerating voltage of an X-ray tube, both values agree well as long asμis less than about 2.5 × μ of Fo<SUB>92</SUB> olivine. We can compare CT and μ values directly in the SPring-8 machine, where monochromatic X-ray beams are available. In this case, normalized CT and μ values agree well in various materials havinga large μ at least including metallic iron. However, absolute CT values are slightly smaller than μ by about 10%, which is probably due to scattered X-ray beams, although the exact reason is not known at present. The high-resolution X-ray method was applied to three-dimensional structures of chondrules, which are characteristic constituents of primitive meteorites, named chondrites. It is known from external shapes and internal textures, which are related to distributions of voids and platy olivine crystals, that chondrules spin at high revolutions of about 50-500 rps during their formation in the primordial solar nebula. This greatly constrains the formation mechanism of chondrules.
著者
桜井 登世子 桜井 茂男
出版者
筑波大学発達臨床心理相談室
雑誌
筑波大学発達臨床心理学研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.45-50, 2002

本事例は,家では活発にしゃべるのに,幼稚園では一言もしゃべらない場面緘黙の女児のケースである。本児は年少組のときから幼稚園に通園しており,そのときは友達もできて幼稚園でよくしゃべっていた。年中組になってから,本児は幼稚園でまったくしゃべらなくなった。本児は絵 ...

1 0 0 0 青春の屈折

出版者
學藝書林
巻号頁・発行日
2005
著者
櫻井 啓一郎 谷光 透
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.11, pp.29-38, 2010

意思決定をテーマに心理学や経済学や経営学などを中心に様々な理論が生み出されてきた。経済学におけるように理想的な意思決定をすることができれば問題はないが、実際の意思決定は完全なものはありえない。ある状況下において最適な意思決定ができることが最も良い選択と言える。その選択については現代の言語理論を利用することにより、人間の脳から生み出される出力の過程を理論で分析すること、つまり認知科学、によって説明することができると考えられる。本稿では音韻論のひとつの理論である最適性理論を用いて、さらに心理学のヒューリスティックやバイアスなどの概念を取り入れることにより、意思決定についてより緻密な決定が可能であると提案する。ただし最適性理論で用いられる制約は普遍的なものでなければならず、心理学のヒューリスティックやバイアスについて普遍的な制約として新たに生み出さなければならない。To date, numerous theories about decision-making have been generated in fields such as psychology, economics, and management. It would be best if idealistic decision-making could be attained as in economics, but it is very difficult to identify the best decision to take. Achieving optimal decision-making under a particular circumstance can be said to be making the best choice. It is thought that the choice can be explained by utilizing modern theories of language, and analyzing the process of outputs generated through the human brain, that is, through cognitive science. In this paper, I propose that we can achieve more systematic decision-making by utilizing Optimality Theory, which is a theory associated with phonology, and by introducing the principle of heuristics and biases from psychology. The constraints used in Optimality Theory have to be universal, and it will be necessary to create new universal constraints on heuristics and biases.
著者
下出 新一 安部 登紀子 大内 勝文
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.369-376, 1988-05-01
被引用文献数
2

オフィスの労働環境を改善する観点から、低価格で低騒音のファクシミリに対する市場ニーズが高い。筆者らは、実験と理論にて感熱記録音の発生機構の解明と制御手法の開発を試みた。最初に、記録音が、紙搬送開始時に、はくり力によって発生すること、またこのはくり力が感熱ヘッドの表面温度に逆比例することを示す。次に記録音の大きさが最小となる紙送りタイミングが存在し、この場合の低減効果が極めて顕著であることを、実験によって明確にする。また、はくり力が感熱ヘッドと記録紙間の接着面積に比例すると仮定した理論により、この制御方法の妥当性を確かめ、併せて記録紙感熱層を変化しても記録音が低減できることを示す。
著者
西村 成弘
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.186, no.4, pp.1-18, 2002-10

外国技術の導入と技術開発はいかに結びついていたか。技術導入と技術開発に特許部門はどのような役割を果たしていたのか。芝浦製作所の特許部門はGEとの特許協定に関連して展開した。1909年協定で制度化された技術導入と技術開発の枠組 みを経営発展の中に位置付ける組織として特許部門は誕生した。しかし第一次大戦までは特許部門はまだ技術開発に対して消極的な役割しか果たしていなかった。特許部門が技術導入と技術開発に対して積極的な役割を果たすようになるのは,戦間期である。1919年協定は芝浦によるGE特許の「代理由出願」を規定していた。「代理出願」業務はGE特許の英文明細書を翻訳し,検討し,日本語明細書を作成し出願する業務である。特許部門の機能拡大によって芝浦は大規模に技術情報を獲得し,技術開発にそれを生かすことができるようになった。これが戦間期の技術導入と技術開発の枠組みであった。