著者
大山 智子 (五輪 智子)
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

レジストを用いた軟X線顕微鏡の開発を実現するため、「(1)レジストの放射線化学反応の解明と高感度レジストの選定」及び「(2)撮像試験」を行った。(1)これまでの研究で有力候補となったZEPレジスト(日本ゼオン)について電子線照射後の生成物分析を行った。また、文部科学省の「物質・デバイス領域共同研究拠点共同研究」の支援を受けて大阪大学産業科学研究所のL-band Linacにてパルスラジオリシス実験を行い、塩素含有レジストが複数の経路で高効率に主鎖切断反応を起こすことが分かった。さらに、大型放射光施設SPring8の分光単色X線を用い、各種レジストの感度を測定した。感度は照射波長に依存し大きく変化したが、感度に相当する吸収線量は照射波長に依らずほぼ一定であった。さらに、この値は電子線照射時の吸収線量ともおおよそ一致した。この結果から、レジストの吸収係数とある一つの波長における感度が与えられれば、どの波長での感度も理論的に予測できる。実際に予測感度と実測感度はほぼ等しい値を示した。この感度予測法は、今後の高感度レジストの選択や新規開発に有益な情報を与えるものである。(2)ZEPレジストを用いて、SPring8の分光単色X線で撮像試験を行った。窒化ケイ素ナノ粒子の撮像に成功し、粒子が凝集している様子が100nm以下の高分解能でレジスト上に記録された。さらに、窒素のK殻吸収端前後での像を比較したところ、窒素の吸収が大きい波長のX線を用いた場合、より高コントラストな撮像ができていることが分かった。この結果は近く論文等で発表する予定である。今後撮像条件の最適化などを行い、実用化に向けた検討を引き続き行っていきたい。以上の結果より、レジストの放射線化学反応を利用した高分解能X線撮像と元素マッピングの原理実証に成功し、本研究の目標は達成されたと考えている。本研究の成果は論文や国際学会において社会に還元し、評価を得た。
著者
赤澤 史朗
出版者
立命館大学法学会
雑誌
立命館法學 (ISSN:04831330)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.6, pp.2607-2633, 2000
著者
日本科学史学会編集
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1962
著者
高浦 康有
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.183-189, 2009

In recent years some big companies like Toyota, Toshiba and McDonald's have faced with worker-related lawsuits such as death from overwork (karoshi) and unpaid overtime work. So far, Japanese companies have not taken sufficient social responsibilities for workers rights, compared to other stakeholders such as consumers and communities, as workers have been given less hierarchical status. In this paper, on the base of the concept of the "right to seek moral approval," the relationship between workers and companies will be reviewed where goodwill and loyalty to their organization are kept, while they want to raise some objection to their organization from a sense of justice. In this paper seeking the approval of their moral identity means to make the organization admit their own existence, including a moral dimension at the premise of overwhelming inequalities of power. And unlike the conventional labor movement, this approach has a personal political orientation in the sense that it is laid on the base of the individual and eventually it may be developed with the possibility to challenge the existing system and order. It is also important to understand that this act for moral approval will be exercised as rights in a legal struggle.
著者
近藤 文代
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は重大事件ニュースがPOSデータに表れる消費者の行動に与える影響を測定することである。消費者の行動の記録を重大事件に関連した商品の売り上げと捉え、それと報道との関係についてPOSデータを使用してARIMAモデルによる干渉分析を行い、統計的に有意なBSE問題のニュースの影響を確認することができた。さらに、地域差をモデル化するために、階層ベイズ手法によるBayesian Sampling-based ARMA モデルを構築し、モデル間でのPOSデータ分析の比較を行った。
著者
権田 幸祐
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

がん転移は脈管(リンパ管、血管)を通して起こるが、リンパ行性転移は、血行性転移よりも病初期段階において進行が観測されるために、がん転移早期診断の格好の指標となる。本研究では、(1)独自担がんマウスを使ったリンパ節転移機構の解析、(2)異なるイメージングモダリティを利用した転移リンパ節検出法の開発、(3)手術で摘出したがん組織(原発巣や転移リンパ節)の高精度病理診断法の開発、以上の研究を主に行い、がんリンパ行性転移メカニズムの解明とその概念に基づく新たながん転移診断法の開発を目指した。
著者
比嘉 邦彦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

分散環境下でのグループ学習を支援するためのツールであるGroup Memory Support System (GMSS)の活用よる効果的支援方法を調査・提案し、その有効性を検証することを目的として実施し、次のような検証結果を得た:①GMSSログをソーシャルプレゼンスの代理指標として検証した結果、GMSSの機能と代理指標との間には十分な相関が見られなかったが、代理指標と学習移転には中程度の相関が見られた。②GMSSの活用度合と学習に対する満足度の間に相関関係が確認された。③新たに提案した「参加型ファシリテーター」の存在が、発言数や発言階層などから見て議論を活性化させることが確認された。
著者
相田 満
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.460-464, 2011-11-01

多くの古典籍を擁する国文学研究資料館において,分類・主題検索の実現は,長い間の課題となっている。特に,極めて早い時期にコンピュータを実現した当館において,汎用機時代から取り組まれてきたユニオンカタログとも称するべき『日本古典籍総合目録』データベースの存在は,分類に対する関心を,常に喚起する存在でもあった。その分類・主題検索を実現する道のりは遠いが,その実現のためのインフラと取り組みは少しずつ進んではいる。本稿では,どのような取り組みが行われているか,その一端を紹介する。
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.447-452, 2011
参考文献数
46
被引用文献数
1

様々な学術情報がWeb上に展開されるようになって以来,著者に対する典拠の重要性は,昨今増しているように思われる。少なくとも著者や機関の識別子が重要視され,様々なデータベースを背景としたそれら識別子がWeb上に展開されるようになってきている。本稿では,こういった著者のデータベースと識別子に焦点を当て,どのようなデータベースと識別子がWeb上に公開されているのかを整理して概観する。まず,著者データベースの類型について述べる。そして,それらのデータベースからWeb上に著者識別子が公開され,Web上の著者識別子のリンケージをとり,コミュニティ形成によってリンケージ精度を向上していく展開となることを述べる。さらに,様々な人名検索サービスを眺めながら,著者データベースの位置づけを明確化する。最後に学術情報基盤としての重要性を指摘する。