著者
沖田 実 中居 和代 片岡 英樹 豊田 紀香 中野 治郎 折口 智樹 吉村 俊朗
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.63-69, 2004-02-20
被引用文献数
9

本研究の目的は,温熱負荷ならびに温熱負荷と持続的筋伸張運動を併用した場合の廃用性筋萎縮の進行抑制効果を明らかにすることである。実験動物は,7週齢のWistar系雄ラットで,1週間の後肢懸垂によってヒラメ筋に廃用性筋萎縮を惹起させるとともに,その過程で約42この温熱ならびに持続的筋伸張運動,両者を併用した方法を負荷し,筋湿重量とタイプI・II線維の筋線維直径の変化,Heat shock protein 70(Hsp70)の発現状況を検索した。温熱負荷によってHsp70の発現が増加し,タイプI・II線維とも廃用性筋萎縮の進行抑制効果を認めた。そして,これはHsp70の作用によってタンパク質の合成低下と分解完遂が抑制されたことが影響していると考えられた。一方,持続的筋伸張運動でも廃肝吐筋萎縮の進行抑制効果を認めたが,温熱負荷と併用した方法がより効果的であり,これはHsp70の作用と機械的伸張刺激の作用の相乗効果によるものと推察された。
著者
田中 真由美 土田 泰子 大湊 佳宏 自見 壽史 占部 昌蔵 Tanaka Mayumi Tsuchida Yasuko Ominato Yoshihiro Jiken Hisashi Urabe Shozo
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
長岡工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:00277568)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.71-76, 2010-11

学生の英語力向上のため,平成21年度に英語多読用図書が長岡高専図書館に導入され,現在の多読用図書の蔵書数は約6千冊である.これらの図書は,主に英語の授業における多読活動の際に利用されている.長岡高専英語科では,地域住民の生涯学習,本校の広報,そして学生が学外でも積極的に多読を行える環境の整備のため,英語多読に関する地域貢献活動を行ってきた.本稿はこれまでに行った「ながおか市民大学」講座,長岡市国際交流センターとの連携,および,中学生対象の英語多読紹介の概要を報告する.
著者
竹越 美奈子
出版者
愛知東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、19世紀の西洋人資料、20世紀前半の日本資料、20世紀後半の香港資料を用いて、近代粤語を通時的に研究することである。その結果、19世紀粤語は口語の中に複数の文体が存在していたことがわかった。これは現在でも漢語(ここでは広く方言も含んだ意味での中国語を指す)に特徴的な現象であり、先行研究では、明清時代の口語にも書面語に近い優雅なスタイルと地方の方言をそのまま話す粗野なスタイル(場合によってはさらに両者の中間的なスタイル)が存在していたと報告されている。 本研究により、19世紀の広東でも口語の中にいくつかのスタイルがあり、同じ人が場に応じて使い分けていたということがわかった。
著者
糸井 江美
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.171-189, 2007-09-29

受講者が満足する語学コースを作るには適切なニーズ分析が欠かせない。大学と自治体の生涯学習課が開講する二つの英会話クラスの受講者を対象にニーズ分析を実施した。両グループ共に、最も伸ばしたいスキルはスピーキングの力であった。絵本を授業で使った自治体の生涯学習課グループでは、翌年度にも絵本を使用したい希望が多かった。大学の生涯学習課グループとは質問紙調査の結果について話し合いを行った。その結果、海外旅行の他にもさまざまな理由で英語を学んでいることや、スピーキングの力が伸びることは諦めている人や、リーディングの力は充分にあるのでそれ以上勉強する必要性を感じていない人などがいることが分かった。
著者
吉田 功 勝枝 嶺雄 大高 成雄 丸山 泰男 岡部 健明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.422-429, 1993-11-25
被引用文献数
13

移動無線用電力増幅器に使用可能な低電圧・高効率のSiパワーMOSFETを開発した.主要な特性改善点は,サブミクロン金属ゲート構造と自己整合ドレーンコンタクト構造との組合せによるオン電圧の低減,遮断周波数の向上,出力容量の低減である.その結果,従来に比べ10%以上の付加効率の向上が図れ,1.5GHzでは出力電力1Wで付加効率60%が得られた.またディジタル変調時の50kHz離調・隣接チャネル漏洩電力50dBc,出力電力0.8Wで付加効率は53%であった.これにより,SiパワーMOSFETがUHF帯において良好な線形電力増幅特性を有することを明らかにした.
著者
小山内 康人 中野 伸彦 大和田 正明 サティッシュクマール エム 河上 哲生 角替 敏昭 角替 敏昭 足立 達朗 SAJEEV Krishnan JARGALAN Sereenen
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では,アジア大陸の広範な地域で地質調査を展開し,大陸衝突帯深部地質について変成岩岩石学的・火成岩岩石学的解析を行うと同時に,最先端同位体年代測定を実施して,ユーラシア大陸極東部(アジア大陸)全域における衝突型造山帯形成に関わる大陸形成テクトニクスを明らかにした.また,アジア大陸形成過程と密接に関連するゴンドワナ超大陸の形成・分裂テクトニクスや,日本海形成以前のアジア大陸東縁部におけるテクトニクスについても考察した.5年間の研究成果は国内関連研究も含め51編の原著論文として学術誌に公表し,招待講演を含む多数の学会発表を行った.
著者
三浦展著
出版者
光文社
巻号頁・発行日
2010
著者
鈴木 薫
巻号頁・発行日
2010-03-25

本稿では、『就業構造基本調査』(1992年・1997年・2002年)の個票データを用いて、フリーターやニートの若年人口に対する割合が定義によりどのように異なるのか、同一のデータを用いた複数の集計により検証を試みた。また、フリーターやニートの割合の変化を世代間で見るために、生年階級・性別・学歴別のコーホートを作り、同一属性の中でフリーターやニートになる割合「フリーター率」「ニート率」が、年齢推移とともにどのように変化していくかを分析した。過去に厚生労働省や内閣府で行われた集計の定義を基にして定義した「厚生労働省定義」と「内閣府定義」では、フリーター・ニートもともに「内閣府定義」での割合が高く、それぞれ「厚生労働省定義」での割合の約1.5~1.25倍の値となった(2002年)。また、内閣府(2005)に準じてニートを類型化したところ、男女計では増加の見られなかった「非希望型」のニートが、女性では1992年から2002年にかけて若干増加していることもわかった。コーホート分析では、フリーターについては、(1)後に生まれた世代ほどフリーター率が高くなる、(2)高学歴者は比較的世代間のフリーター割合の上昇が小さくなる、という2つの傾向がわかり、中学校卒の1983~1987年生まれの世代では15~19歳時点でのフリーター率が男性で40%超、女性で約60%となっている。一方、ニートについては、ニート率の水準と世代間の格差は男女とも短大・高専卒と大学・大学院卒のグループと中学校卒と高校卒のグループで明らかに異なる。短大・高専卒と大学・大学院卒のグループではニート率はほとんど0%から推移していないが、他の学歴では後から生まれた世代ほど、ニート率が高くなる傾向があるのに加え、年齢に関わらず高止まりする可能性がある。1983~1987年生まれの世代は15~19歳時点で男女ともにニート率が15%近くにもなっている。 61p. Hokkaido University(北海道大学). 修士(経済学)
著者
斎藤 芳隆 山上 隆正 松坂 幸彦 並木 道義 鳥海 道彦 横田 力男 広沢 春任 松島 清穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-10, 2003-03

宇宙科学研究所気球部門では,1991年以来,10kg程度の観測器をより高高度に到達させる気球を開発してきた.1999年からは,厚み3.4μmの気球用ポリエチレンフィルムを用いた気球を製作し飛翔実験を重ね,順次気球の大型化を進めてきた.本年,2002年5月23日に体積60,000m^3の気球を製作し,飛翔実験を行った.気球は正常に上昇し,高度53.0kmという気球到達最高高度の世界記録を実に30年ぶりに塗り変えることに成功した.
著者
山上 隆正 斎藤 芳隆
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

平成15年度に開発した厚さ3.0μm、折径140cmの薄膜ポリエチレンフィルムを用いて容積3万立方米の気球を製作し、飛翔性能試験を行った。平成16年度は、さらに薄い厚さ2.8μm、折径140cmの薄膜ポリエチレンフィルムを開発し、容積5千立方米の気球を製作し、飛翔性能試験を行った。2機の薄膜型高高度気球は、それぞれ予測した高度まで正常に上昇した。また、厚さ2.8μmで容積6万立方米および容積30万立方米の気球を製作し、地上において頭部試験を行った。その結果、将来高度60kmまで飛翔できる目処をたてることができた。スーパープレッシャー気球の開発では、昨年度の地上試験結果を踏まえて、容積1万5千立方米のパンプキン型スーパープレッシャー気球を製作し飛翔性能試験を行った。気球は高度28kmで圧力のかかった状態で水平浮遊に入った。その結果、将来の大型スーパープレッシャー気球化への第一歩を踏み出すことができた。また、大重量観測器を高度40km以上に浮遊でき、気球本体の自重を最小限にするための気球の構造解析を行い、薄いフィルムで気球頭部にキャップを被せるタイプの気球の開発を行い、その有効性を試験するために容積50万立方米気球の頭部部分を製作し、地上において実際に2.6トンの浮力を付け、その性能評価試験を行った。その結果、われわれの構造解析が正しいことが実証された。
著者
大塚 智子
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コミュニケーション能力など態度・習慣における高い能力は、良好な医師-患者および他の医療スタッフ関係の構築に重要だと考えられているが、現在の医学生においてはこうした能力の低下が危ぶまれている。高知大学医学部医学科では、態度・習慣領域を評価指標とした入試選抜(AO入試)を行っている。入学後の追跡調査により、同選抜で入学した学生の態度・習慣における高い能力が評価され、同選抜の有効性が示唆された。
著者
伊藤 昭彦
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最近、酵素処理によりIgA腎症の糖鎖不全IgA1を検出する方法が開発され用いられている。そこで、我々は血清タンパクからシアル酸を取り除くために酸処理を行った。これを用いると、血清での異常IgA1の感度がおよそ100倍に上昇した。扁桃では異常IgA1の割合が多く、血清中のaIgAの供給源になっている可能性があると考えられる。シアル酸の除去が反応性を上げるのではなく、異常IgAの複合体が異常IgAの感度上昇に最も関わっていると考えられる。