著者
玉置 雅彦 江幡 守衛 田代 亨 石川 雅士
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.653-658, 1989-12-05
被引用文献数
3

穂揃期窒素追肥ならびに登熟温度が米質に及ぼす影響について, 米飯のテクスチャー, タンパク質, アミロース, 結合脂質 (fat-by-hydrolysis) 含有率の点から検討した。窒素追肥により, 白米タンパク質含有率は増加した。米飯のテクスチャーのうち, そしゃく性値は, タンパク質含有率の増加にともない増加した。粘着性および食味指数値は, タンパク質含有率が8.5%のときに最も高くなった。アミロースおよび結合脂質含有率は, タンパク質含有率と関係が見られなかった。以上から, アミロースおよび結合脂質含有率の変化が小さいときには, 米飯のテクスチャーは, タンパク質, 特に難溶性タンパク質に強く影響されることが示唆された。一方登熟温度処理により, うるち米は低温ではそしゃく性値が顕著に大きく, 粘着性および食味指数値は顕著に小さくなった。もち米では, これらの傾向はみられなかった。アミロースおよび結合脂質含有率は, うるち米では低温ほど高まったが, もち米では変化が見られなかった。タンパク質含有率は, うるち米, もち米とも低温では減少した。登熟温度がうるち米米飯のテクスチャーに及ぼす影響は, アミロースおよび結合脂質含有率の変化によるものであり, タンパク質含有率には影響されなかった。しかしながら, もち米米飯のテクスチャーは, 登熟温度に影響されなかった。
著者
Ichimura Takeshi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.419-432, 1955-12-10

(i) The Gassan Volcano rises up on the boundary between W. Murayama-gun and E. Tagawa-gun or Mogami-gun of Yamagata Prefecture. It is approachable by several courses from various sides. (ii) It is composed of the Ishihane-gawa mud flow, Gassan lavas and ejecta and Sasa-gawa mud flow which successively erupted on the eroded surface of granite (granodiorite), quartz diorite, diorite, liparite, felsophyre, dacite, propylite, basalt and Upper Miocene sediments elevated frequently to 1300m.-1400m. above the sea-level. (iii) The lavas and ejecta including mud flows erupted successively from pre-existing crater and also from the explosion crater. Of these, the pre-existing crater is now obscure, being covered by lavas and ejecta which erupted subsequently, whereas the explosion crater opened northwestwards with a horse-shoe-shaped hollow just beneath the present summit. (iv) Most predominant are the Gassan lavas and ejecta which consist of olivine two-pyroxene andesite, olivine-bearing or olivine-horn-blende-bearing two-pyroxene andesite and their fragments. One of characteristic features indicated by these rocks is the frequent occurrence of olivine phenocryst. This mineral is sometimes found in association with oxyhornblende. (v) The activities of this area began with the eruption of the Ishihane-gawa mud flow and ended with the formation of a big explosion crater which poured forth a large amount of the Sasa-gawa mud flow. (vi) By this enormous explosion, the Gassan Volcano lost its upper half of konide(?) and left behind a quite different from of volcanic body. It has a very gentle slope on the east and is highly cliffed on the west. (vii) The first activity of the Gassan Volcano is supposed to have taken place in the beginning of the Quaternary, but it will be confirmed later in connection with the activities that happened at the Ha-yama volcanic area. In conclusion, the writer's thanks are due to Mr. N. Jimbo and Mr. T. Konda for the valuable suggestions which they offered during his field and laboratory works. The expence of this research was partly defrayed from the fund for the Scientific Research of the Educational Ministry.月山は,山形県の東田川郡,最上郡及西村山郡に跨り,鳥海火山帯の中でも特異な形態を有する火山である.その東側は,アスピーテを思わせる緩傾斜をみせ,西側は,大きな爆裂火口のために物凄い断崖をなしている.この火山は,花崗岩(花崗閃緑岩)石英閃緑岩,閃緑岩,石英粗面岩,珪長斑岩,石英安山岩,変朽安山岩,玄武岩,新第三紀(上部中新世)堆積岩などよりなる基盤岩の侵蝕面上に盛上り,その活動は,石跳川泥流,月山熔岩及砕屑岩,笹川泥流,順次に噴出せしめている.大爆裂火口は,月山熔岩及砕屑岩の噴出後に生じ,これがために旧月山火山の上半部が噴き飛ばされるに至つた.月山の現形態は,この際に生じたものであり,笹川泥流は,爆発に伴つて噴出したものと思われる.月山火山の活動は,恐らく第四紀の初期に始まり,大爆裂火口の生成と笹川泥流の噴出を以て,その終りを告げている.
著者
野田 浩司
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.11, pp.13-16, 1975-10-30

沖縄県那覇市南部に分布する豊見城層のシルト岩より,特徴的なArcoscalpellumの峰板殼化石を採集し,これを検討した。降板は表面にV宇型の特徴ある彫刻とその側面とのなす横断面は屋根型状を呈している。近似種と比較したが,本邦最初の化石種として,これをArcoscalpellum okinawanumと命名した。
著者
増田 直紀
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.652-658, 2008-09-01
被引用文献数
1
著者
駒澤 寛士 松本 敏明 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.434, pp.25-29, 2008-01-17
被引用文献数
1

視知覚能力において重要な視覚と運動の協応の能力を鍛えるために、物体の動きを予測してスイッチを押すというゲーム形式の訓練ツールを開発した.協力者は松江清心養護学校に通う小学2年生の脳性麻痺児2名で,マウスを使う事ができない.そこでインターフェイスにワンボタンスイッチを用いた.訓練を行った結果,目標とするところとは明らかに異なっているタイミングでスイッチを押すことがあった.これは,"失敗"の時のアクションが楽しい,ゲームに飽きが生じて集中力が切れた,訓練に疲れたことによって起こると考えられる.このため,押すべき時だけ押してもらう工夫が必要であることがわかった.
著者
小川 博久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.4, pp.49-54, 2004-01-20

電子権利の安全な流通において,回数制限の実装は,重要な問題である.現在利用されている電子チケットでは,まとめ買いに対する利便性と安全性の問題が指摘されており,双方の要求を満たす技術が求められている.本稿では,(k n)しきい値分散法及び,(k L n)しきい値分散法を用いた権利回数制限の構成例を示し,実装及び評価について報告する.For a secure circulation of digital rights, it is an important issue to limit the number of use. It is often pointed out that digital tickets used nowadays have issues in convenience in regards to bulk buying and security. This article makes an illustration of limited rights of use applying (k, n) threshold scheme and (k, L, n) threshold scheme, reports implementation and evaluation.
著者
庄司 裕子
出版者
日本行動計量学会
雑誌
日本行動計量学会大会発表論文抄録集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.202-205, 2005-08-24

購買というと「必要なものを買いに行く」ことだと思われがちであるが、実際には、初めは曖昧なコンセプトしか持たない顧客が、商品を見たり店員とのコミュニケーションしながら考えているうちに考えがまとまって購買に至る事例がしばしば観察される。我々はこのような購買を「コンセプト精緻化型購買」と呼んでいる。コンセプト精緻化型購買の特徴を分析すると、購買のような日常行為においても、従来専門的な創作活動で観察されてきたのと同様な創造的思考プロセスが存在することがわかる。日常生活における創造的思考は科学的発明や発見などに比べると小さなものだが、この小さな創造を上手に行なったり、他者の小さな創造を支援できる人は、生活の質を向上させたりビジネスで優位に立つことができる。本稿では、購買コミュニケーションを例題として、情報技術を用いて「日常生活における創造的思考」を支援するための我々の取組みについて紹介する。また、このようなアプローチのビジネスにおける応用可能性について考察する。
著者
郭 艶娜 鈴木 雅久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.690, pp.21-26, 2000-03-14

全土にわたり活断層を50余りを持つ台湾にとって地震は重要な問題である。近年設置された台湾の耐震建築基準は、特別強震区、強震区、中震区、弱震区に分けて地震対策を立ててきたが、1999年9月21日に台湾中央部で発生した地震(通称:「921集集大地震」;マグニチュードMs7.3;深度=1.0km)は中震区で発生したため、甚大な被害をもたらした。また、地震の被害は、震源地から160km以上も離れた台北にも及んでおり、台湾の地震対策の弱点をつかれた結果となった。本論文では、この「921集集大地震」の特徴を再検証するとともに遠隔地における地震伝播のメカニズムについて検証した結果、地震多発地区だけでなく160km以上離れた遠隔地においても表面波や複数断層反射効果ないよい強震が伝わることが判明した。このことより、台湾の行政は、早急な耐震建築基準の見直しが必要とされることがわかった。
著者
関本 信博 西村 拓一 高橋 裕信 岡 隆一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.448, pp.181-188, 1999-11-18
被引用文献数
4

動画像や音声などの膨大な時系列データベースの中から、クエリー系列と類似した時系列区間を検出する新方式、「Rutic法」を提案する.従来、任意区間長クエリーを扱う方式としてRIFCDPやIPMがあったが、これらは比較的計算量を必要とし、検索対象のデータベースが大きくなった場合リアルタイム検索には不向きであった.本方式は逐次入力される時系列クエリーに対してフレーム入力毎に検索出力を可能とすることで、セグメンテーションをすることなくデータベースから検索する.本方式は計算量が非常に少ないため、いわゆるリアルタイム-スポッティング検索を実現する.本報告では、Rutic法のアルゴリズムを示し、映像検索に用いた実験を行い他方式と比較することでその有効性を検証する.
著者
平賀 督基 品川 嘉久
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.421-422, 1997-03-12

物体を認識する手法としては、曲率といった局所的特性の分布などによって物体を認識する方法があるが、そうした手法では測定誤差の影響を受けやすく、良い結果を得ることが困難となることがある。本研究ではそうした手法とは異なリ、物体の構造的特性を表し、また誤差の影響を受けにくい高さ関数のレーブグラフ (以下、レーブグラフと略記) を用いての物体認識を目標としている。本手法は主に2つの段階に分かれている。まず第一段階は、対象となる物体のレーブグラフをあらゆる角度から生成し、その角度に対応する球面上の点にレーブグラフをマッピングして、その物体の球面マップを作る段階である。物体の回転に関してレーブグラフは変化するため、この球面マップが必要となる。第二段階は、生成された複数の球面マップ間の相似性を計算する段階であり、この段階を行なうことによって物体認識が行なわれる。このマップ間の相似性の判定のためには、レーブグラフ間の類似性を計算しなければならない。本論文では、まずレーブグラフを紹介し、次にその類似性に関する定義を与える。最後に球面マッピングの手法を示して、どのように物体認識を行なうかを述べる。
著者
藤本 和則 湯川 高志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.51-52, 1995-03-15

質問を受けたとき、人間は適切な抽象度で回答する。例えば、「ワンワンとほえる動物は?」と聞かれたとき、「コリー」や「肉食動物」ではなく「犬」と答える。このように人間は、複数の抽象度の答から"適切な抽象度"の答を選び出して回答する。本稿では、意味的な階層をもつ確率モデル(以下、階層的確率モデルと呼ぶ)に基づく分類問題において、人間のように適切な抽象度の答を選び出して回答する方法を提案する。
著者
生形 貴男
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.149-160, 2004-01-31
参考文献数
26
被引用文献数
3

イタヤガイ科(二枚貝)の63種について,楕円フーリエ解析を用いて,殻の輪郭を族(tribe)及び生活型の間で比較した。その結果,足糸付着型のものと自由生活型のものとの間でも,また族の間でも,フーリエ係数やその主成分の分布に差異が検出された。祖先的な生活型と考えられる足糸付着型のもの同士で比較すると,イタヤガイ亜科に属するものの方が,カミオニシキ族やヒオウギ族のものよりも,丸くて対称性の高い輪郭成分の割合が大きい傾向にある。一方,自由生活型のものは,キンチャクガイ族の一部を除いて,従来言われていた通り,丸くて対称性の高い輪郭成分が卓越する。以上の結果は,カミオニシキ亜科よりもイタヤガイ亜科の方が,もともと自由生活に適した丸くて対称性の高い形態を獲得しやすかったことを示唆する。このことは,自由生活者がイタヤガイ亜科に多くカミオニシキ亜科に少ないことの理由のひとつであるかもしれない。また,本研究で扱った材料の中でカミオニシキ亜科唯一の自由生活者であるホタテガイ(カミオニシキ族)は,イタヤガイ亜科の自由生活者の多くのものよりも,高さ/長さ比がやや大きくて縦長である。これは,カミオニシキ族に顕著な縦長の輪郭要素が,自由生活型に進化したホタテガイにおいてもなお祖先形質として保存されているからだと考えられる。
著者
ポーンプロム トッサポン 松本 宏 臼井 健二 石塚 皓三
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.180-182, 1994-10-28
被引用文献数
3

The absorption and metabolism of oxyfluorfen were determined in oxyfluorfen-tolerant and non-tolerant (normal) soybean cell lines. The tolerant cells absorbed considerably less of the herbicide than the normal cells. Metabolism of oxyfluorfen did not differ between the two cell lines. These data suggest that lower absorption in the tolerant cells may contribute to the observed tolerance but that the tolerance is not metabolism-based.
著者
白樫 高洋 臼井 英治
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.39, no.464, pp.966-972, 1973-09-05
被引用文献数
32
著者
峰 弘子 増原 加津美 田村 咲江
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-29, 1992-01-15
被引用文献数
1

Spinach was stored in the dark at 5,20 or 30℃ with or without polyethylene wrapping in order to investigate the changes in fine structure of chloroplasts of stored spinach leaves. Samples were cut out from the same site of mature leaves, and fixed by glutaraldehyde and osmium tetroxide. The specimens were embedded in Epok 812 and then examined by means of a light microscope and a transmission clectron microscope. Chlorophyll contents of the same samples were also measured. After storage for 3 days, degradation was observed in the fine structure of chloroplasts of both wrapped and un-wrapped spinach. This degradation process took place almost in the same manner, though the speed of degradation varied from sample to sample. During the first stage, starch granules disappeared from the chloroplasts, and during the second stage the chloroplasts were globular in shape, in which grana and thylakoids were deviatorily gathered on the inner side of the cells. During the third stage, grana began to unstac, thylakoids assumed a random arrangement, chloroplasts dropped into a large vacuole after the disruption of the tonoplast, and finally, when the chloroplasts were punctured, the contents dispersed into the vacuole. Degradation of the chloroplasts was enhanced by storing without wrapping at higher temperatures. The residual rate of chlorophyll was higher when stored with wrapping at lower temperatures. The degradation features in the fine structure of chloroplasts closely corresponded to the degradation degrees of freshness of stored spinach.