著者
後藤 千織 Goto Chiori
出版者
青山学院大学コミュニティ人間科学部
雑誌
青山学院大学コミュニティ人間科学部紀要・コミュニティ活動研究所報 (ISSN:24354686)
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-35, 2021-03-19

本稿は、1840年代初頭のアメリカ合衆国で禁酒運動に参入した労働者階級の女性が、「真の女性らしさ」のイデオロギーをいかに解釈したのかを考察する。1840年代初頭に、大酒飲みの男性職人や男性労働者が率いる絶対禁酒運動であるワシントニアン運動が発達すると、 労働者階級や下層中流階級の女性たちも、マーサ・ワシントン協会を設立し、ワシントニアン運動を支えた。ワシントニアン運動に参加した女性たちは、女性は道徳的に優れているため飲酒癖に陥らないというイメージを否定し、女性も飲酒癖に陥ること、そして、そのよう な女性たちが救済可能であることを証明しようとした。また、ワシントニアン女性は、既存の慈善活動が飲酒癖に陥った人々を救済してこなかった現状を批判し、慈善が堕落を生み出すのではなく、むしろ更生のためには慈善が必要であることを訴えた。ワシントニアン女性は、限られた資源で慈善活動を展開し、経済的に豊かな女性だけが良心や同情心を持つという階級限定的な「真の女性らしさ」の概念に挑戦した。
著者
大貫 隆
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.24-43, 2021

生前のイエスによるエルサレム神殿倒壊の予言(マルコ14, 58)は,復活信仰成立後間もない原始エルサレム教会の中で再び活性化された.それは使徒言行録と全書6–7章に記されたステファノ殉教事件から読み取られるように,復活のイエスが天上から再び到来するという待望と結びついていた(第I節).その待望は満たされずに終わり,ステファノを含むギリシア語を話すユダヤ人キリスト教徒はエルサレムから離散した.しかし,アラム語を話すユダヤ人キリスト教徒は残留した.やがてペトロに代わって「義人」(主の兄弟)ヤコブが指導権を掌握した.以後その系譜に連なりながら後二世紀までさまざまな分派として存続したパレスチナのユダヤ人キリスト教のことを「ユダヤ主義キリスト教」と呼ぶ.第II節で取り上げる『ヘブル人福音書』の断片は,ユダヤ主義キリスト教のキリスト論が初期の「人の子」キリスト論であったことを推測させる.それは義人ヤコブに顕現する復活のイエスを「人の子」と明示している.第III節では,義人ヤコブの最期に関するヘゲシッポスの報告から,ヤコブとその仲間が「人の子」イエスの再臨を待望していたことが論証される.そこでは,生前のイエスが織り上げていた「神の国」についてのイメージ・ネットワークが,原始エルサレム教会の復活信仰によって補正された上で,継承されていることが証明される.同時に,ヤコブが時の大祭司によって「律法を犯したかどで」処刑されたというユダヤ人歴史家ヨセフスの証言から,ヤコブがモーセ律法の中の「供儀」条項を拒否していたと推定される(仮説1).第IV節では,AD 70年のローマ軍によるエルサレム神殿の陥落直前に,原始エルサレム教会がヨルダン川東岸のペラ(Pella)へ脱出したこと,その根拠となったのがキリストによる「天啓」あるいは「命令」であったという証言が取り上げられる.その証言はヘゲシッポス,エウセビオス,エピファニオスという教父たちの他,後二世紀のユダヤ主義キリスト教に属する外典文書『ペテロの宣教集』の中に見出される.そこでも,イエスは「人の子」とされ,二回にわたる到来が語られる.一回目は生前のイエスのことで,彼は「真の預言者」として「供儀の廃止」を予言したと言う.二回目は差し迫った再臨のことで,その時初めて「供儀の廃止」が実現されると言われる.おそらく,ローマ軍によるエルサレム陥落の直前には,生前のイエスによる神殿陥落予言(マルコ14, 58)がまたもや活性化され,それがキリストによる「天啓」あるいは「命令」と解釈されたものと推定される(仮説2).第V節では,皇帝ドミティアヌスがイエスの親族(ひ孫)を直接尋問して,その終末待望について問い質したという,またもやヘゲシッポスの報告が分析される.イエスの親族が語る「神の国」は,「人の子」イエスの再臨によって実現されるという点で,原始教会の復活信仰による補正を経ているが,生前のイエスの「神の国」のイメージ・ネットワークをよく留めている.
著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.一-四七, 2021-06-01

筆者は近世における俗聖、特に空也聖の実態について、京都市空也堂の史料を中心に分析してきた。そうした中、なぜ俗聖が空也堂と本末を結んだのかがポイントとしてきた。本論は、六歳念仏講と末流(茶筅・鉢屋)を中心に、空也聖の近世から近代への変容を考えてみたい。 特に空也堂配下が一堂に会した歴代天皇の焼香式については、その記録を詳細に分析したいと考えている。そのうえで空也堂と六斎念仏講及び末流が本末を結ぶことのメリットは何であったのかを考察するものである。言い換えれば、空也堂はなぜ歴代天皇の焼香式を行ったのか、六斎念仏講や末流がこれに供奉することでどのような特典があったのかを分析してみたい。
著者
加藤 春恵子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
新聞学評論 (ISSN:04886550)
巻号頁・発行日
no.38, pp.74-88, 264, 1989-04-30

This essay raises the question as to how women's sexuality, personality and role are, should be, and could depicted in the mass media. The issue is raised by the introduction of an American active feminist lawyer's theory and practice concerngng pornography. Discussion of the concept, theory and practice of the "freedom of the press" or "freedom of expression" should become more fruitful through realization of the overwhelming power of the "Invisible viewpoint" of the "Japanese WASP man"-highly educated males who do not identify with any discriminaetd against group. This discussion should also be of more value through active listening to the criticism of those people whose viewpoing has been neglected.
著者
Ryohei Ikejiri Ryota Yamamoto Seiko Nakano Kenzo Yoneda Yuhei Yamauchi
出版者
Japan Society for Educational Technology/Japanese Society for Information and Systems in Education
雑誌
Information and Technology in Education and Learning (ISSN:24361712)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.Pra-p001, 2021 (Released:2021-09-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

This study designed and evaluated a project-based learning (PjBL) technique that promotes the social construction of knowledge by overcoming dissonance using G Suite for Education. The core aspects of the design include controlling the discussion process by setting a task with the same directionality in terms of its solution while including two conflicting positions and using a synchronous system to provide real-time feedback from a teacher to control the discussion process. A four-part model of PjBL was presented to overcome dissonance. To evaluate the effects of this model, PjBL lessons were conducted with high-school students in which the topic led them to consider ideas to support people living in shelters for 3 months following an earthquake. Consequently, the effects of the core aspects of the design were partially confirmed.

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著者
中馬庚 著
出版者
前川文榮堂
巻号頁・発行日
1901
著者
宮本 由紀子
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
no.34, pp.p182-212, 1986-01