著者
石田 淳
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 = NUIS Journal of International Studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.101-107, 2020-04-01

国際政治学分野に教科書は数多あれどもリーディングスは滅多に見かけない。なぜなら、そもそも論争らしき論争がないからである。そしてこの論争の不在は、専門領域ごとの研究者の棲み分けに由来する。この状況は研究の持続的発展を触発するものではない。とは言え、論争がなかった訳ではない。ただし、その意味が正確に理解されなければ、学知の蓄積はない。その論争とは、冷戦期日本の防衛姿勢の「意図せざる結果」をめぐる議論である。高坂正堯の「現実主義者の平和論」は、坂本義和の「中立日本の防衛構想」を、西太平洋におけるアメリカを基軸としたハブ・アンド・スポークスの同盟構造に起因する《同盟のディレンマ》を直視するものではないため、所期の安全保障効果をもたないと評価した。しかし坂本は、同時代のシェリングのコミットメント論を意識しつつ、《安全保障のディレンマ》を直視しない防衛構想は、所期の安全保障効果をもたないと論じていたのである。
著者
刀剣春秋編集部監修
出版者
ナツメ社
巻号頁・発行日
2016

4 0 0 0 OA 俳諧歳時記

著者
滝沢馬琴 編
出版者
柳原喜兵衛等
巻号頁・発行日
vol.冬之部, 1882
著者
岩田 奈織子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

重症急性呼吸器症候群 (SARS) コロナウイルス(SARS-CoV)は重症呼吸器疾患を引き起こす新興ウイルスである。ワクチンや治療薬はまだ開発されていない。UV不活化SARS-CoV全粒子(UV-V)は多くのエピトープやタンパクを含んでおり、SARSのワクチン候補とされている。しかしながら、ヌクレオカプシドタンパクを含む不活化SARSワクチンはウイルス感染後マウスの肺に好酸球浸潤を示すことが報告されている。今回、Toll-like receptor (TLR) アゴニストがUV-Vワクチンの副反応を軽減するか半年齢のBALB/cマウスで調べた。UV-V、水酸化アルミニウム(Alum)添加UV-Vで免疫した半年齢マウスは、マウス馴化SARS-CoVの感染に対して一部防御を示し、組織学的に肺で肺胞傷害像は見られなかったが、血管周囲に広汎な好酸球浸潤が見られた。一方、リポポリサッカライド、Poly(I:C)、PolyUを含むTLRアゴニストを添加したUV-V(UV-V+TLR)で免疫したマウスでは、肺での好酸球浸潤が著しく減少した。そして肺のサイトカイン量の測定で好酸球誘導に関わるIL-4およびIL-13の値がUV-V免疫マウスよりも低いことが示された。加えて、マイクロアレイ解析でUV-V免疫マウスでは好酸球誘導に関わる遺伝子の発現が高くなっていたのに対し、UV-V+TLR免疫マウスではそれらは低く、むしろTLR3および4の下流に位置する遺伝子の発現が高くなっていることが分かった。これらの結果から、SARS-CoV感染により引き起こされる肺のワクチン誘発性好酸球浸潤はTLRアゴニストをアジュバントにすることにより、回避できると示唆された。
著者
中野 敬介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.282-292, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
54
被引用文献数
1

従来の移動通信システムとは異なり,インフラを使用しない移動通信ネットワークとしてマルチホップ無線ネットワークがある.マルチホップ無線ネットワークでは送信元ノードと宛先ノードの間の連結なマルチホップ無線経路で通信を行う.それを更に柔軟にしたものとして,移動ノード間の直接無線通信と移動ノードの移動により情報を空間的に拡散し情報を伝えるというエピデミック通信や,直接無線通信を特定領域だけで許可することにより無秩序な情報拡散を防ぎながら特定の領域の不特定のノードに情報を伝えるという情報フローティングがある.これらのように,移動体同士の情報交換と移動により情報を伝えることができるという性質を生かした手法が注目されている.本論文ではエピデミック通信,情報フローティングとその安全・安心への応用について,安全・安心への応用における移動ノードの特徴的な移動との関係に着目しながら解説する.また,情報フローティングによる情報配信がノードの行動変化を促し,この行動変化により情報フローティング自体も影響を受けること等に着目して,新たな観点から行われている情報フローティングの研究について解説する.
著者
Eri Toda Kato Shinya Goto
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.563-572, 2021-06-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1

Atherosclerotic cardiovascular disease (ASCVD) is the leading cause of morbidity and mortality across the world, warranting continuous research in this field. The elucidation of the atherogenesis mechanism is considered one of the most relevant scientific accomplishments of the last century. This has led to the clinical development of various novel therapeutic interventions for patients with or at risk of ASCVD, in which randomized clinical trials played a crucial role.The Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) Study Group was initially established to conduct a clinical trial studying thrombolysis for treatment of myocardial infarction. However, over the years, the TIMI Study Group has expanded their research interests to include antithrombotic therapy, lipid lowering, anti-diabetes, anti-obesity, and even heart failure. By leading large-scale, international, randomized, controlled trials of novel therapeutics, the TIMI Study Group has helped shape the very practice of cardiovascular medicine for over a quarter of a century, and decades of research continue to provide future promise for further advancement. Through a mutual goal to improve the care of ASCVD patients, the Japanese scientific community has become one of the important contributors to the TIMI Study Group’s clinical research.In this review article, the authors aim to summarize major research lead by the TIMI Study Group in the ASCVD field.
著者
降幡賢一著
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1998
著者
逢見 憲一
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.236-247, 2009-09

目的:"スペインかぜ"を含む19世紀後半から現代に至るインフルエンザ流行の歴史を追い,その健康被害について可能な限り定量的に把握したうえで,公衆衛生の観点からみたインフルエンザ対策と社会防衛について検討する.方法:内務省衛生局編「流行性感冒」の他,各種資料,研究をもとに各時期におけるインフルエンザのパンデミック(世界的流行)あるいは非パンデミックの流行について記述した.インフルエンザの健康被害については,「超過死亡」の推計と検討を中心に把握した.その上で,各時期のインフルエンザ流行に対してどのような医療的あるいは公衆衛生的対策が行われたかを記述し,その役割と今日的意義について検討した.結果:"お染風"と恐れられた1889─91年パンデミックによる東京,神奈川の超過死亡は,1918─20年の"スペインかぜ"パンデミックに匹敵するものであった."スペインかぜ"以前の時期に比べて,"スペインかぜ"以後は年平均で約10倍の超過死亡がみられた."スペインかぜ"以後の1921年から1938年の超過死亡数の合計は,"スペインかぜ"流行期の超過死亡数の合計に匹敵するものであった.1952年から1974年までの間,アジアかぜと香港かぜのパンデミックを除いた非パンデミック期の超過死亡の総数は,両パンデミック期を合わせた超過死亡数の35. 倍以上であった.超過死亡年あたりの平均超過死亡数は,パンデミック期と非パンデミック期とでほとんど同規模であった.超過死亡に対するインフルエンザを直接の死因とする死亡の比は,パンデミック期には高く,非パンデミック期に入ると低下しており,非パンデミック期にはインフルエンザが"忘れられ"る傾向がみられた.わが国において学童への予防接種が実施されていた1970年代から80年代にはインフルエンザによる超過死亡は低く,1990年代の集団接種中止以降超過死亡が増加していたことに加えて,2000年代の高齢者への接種開始後はふたたび超過死亡が減少していた.インフルエンザへの対策は,1889─91年パンデミックの際には,迷信を非難し,滋養や医師の受診を勧める程度であったが,1918─20年の"スペインかぜ"パンデミックの際には,検疫,隔離,学校閉鎖,集会の禁止などの"公衆衛生的介入(Non-pharmaceutical Interventions)"が確立した.マスクや予防接種などは,その後個人防衛への遷移が進んだ.結論:インフルエンザ対策に関しては,非パンデミック期の対策を"忘れる"べきではない."公衆衛生的介入"については,"スペインかぜ"の経験に学ぶべきである.予防接種を含む"社会防衛"も再検討すべき時期である.
著者
松尾 豊 安田 雪
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.531-541, 2007 (Released:2007-07-17)
参考文献数
22
被引用文献数
10 12 28

Our purpose here is to (1) investigate the structure of the personal networks developed on mixi, a Japanese social networking service (SNS), and (2) to consider the governing mechanism which guides participants of a SNS to form an aggregate network. Our findings are as follows:the clustering coefficient of the network is as high as 0.33 while the characteristic path lenght is as low as 5.5. A network among central users (over 300 edges) consist of two cliques, which seems to be very fragile. Community-affiliation network suggests there are several easy-entry communities which later lead users to more high-entry, unique-theme communities. The analysis on connectedness within a community reveals the importance of real-world interaction. Lastly, we depict a probable image of the entire ecology on {\\em mixi} among users and communities, which contributes broadly to social systems on the Web.

4 0 0 0 OA 迷信の日本

著者
八浜督郎 編
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1899
著者
木元 栄子
出版者
佛教大学社会学研究会
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
no.43, pp.63-68, 2019-03-20

この小論の目的は,精神障害・発達障害者(以下精神障害者とする)の「キャリアの自立」を促進する方法について「ジェンダー」の視点から明らかにするために,関連する文献を概観することにある。結果,女性障害者において「女性」と「障害者」の「複合差別」について当事者自身が差別に気づいていないこと,また障害者に対する女性差別は男性差別にもつながるとまとめた。精神障害者発達障害者ジェンダーキャリア自立
著者
北海道大学北キャンパス図書室
巻号頁・発行日
pp.1-26, 2019-04

北キャンパス図書室 オンデマンドガイダンス. 2019年4月22日(月). 北海道大学北キャンパス図書室, 札幌市.