著者
渡邉 守邦 鈴木 俊幸 岡 雅彦 大塚 英明 水上 文義 松永 知海
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1 前年度の総括第一回の打合会を3月21日に行った。これは今年が最終年度に当り、取りまとめを急ぐところから、前倒し的に開催したものである。2 調査活動(1)前年度までの実績を継続して「箪笥」「木箱」双方の活字につき配列を終え、新調した箪笥のレプリカを使って収納した。なお、この作業に要する補助者の謝金に関しては、寛永寺に要請して過分のご配慮を得た。(2)刷本の調査研究使用される活字の同定を中心に、台東区の護国山天王寺、杉並区の佼成図書館、港区の三縁山増上寺、京都市の五台山清涼寺、同市大谷大学図書館、奈良県の豊山長谷寺等の所蔵資料について実地調査を行った。このうち、天王寺と佼成図書館との分は、天保期の重彫活字の調査である。3 木質研究今年度から新たに京都大学木質科学研究所の伊東隆夫氏を研究分担者にお迎えして、活字の木質的特徴を中心に研究を行った。4 成果の公表研究分担者それぞれが関連する研究分野につき個別に成果を発表したほか、本研究の成果を報告書にまとめ、印刷刊行した。
著者
佐藤 正範
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.495-522, 1995-03

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
五野井 隆史
出版者
聖トマス大学
雑誌
サピエンチア : 英知大学論叢 (ISSN:02862204)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A1-A19, 2006-02-28

これは、日本イエズス会副管区長ジェロニモ・ロドリゲスが一六一八年一月一〇日付をもってマカオにおいて作成した、日本のキリスト教界の組ないしコンフラリア(信心会)に関するポルトガル語文文書からの日本語翻訳文である。同文書は、縦二二・四糎、横一七・〇糎の和紙一〇丁からなる。同文書の作成日は、表題の書かれた上書には上記の一六一八年一月一〇日となっているが、本文の末尾に一六一七年一二月二〇日とあるように、すでにこの時点で本文が完成していたことが知れる。本文書の作成者ジェロニモ・ロドリゲスは、江戸幕府が発令したキリスト教禁教令の施行によって、日本管区長ヴァレンチン・カルヴァリョが一六一四年一一月に日本からマカオに去ったのち、同管区副管区長として日本に残留潜伏した。彼は、大坂の陣で敗れて徳川方から追求されていた豊臣方の武将明石掃部全登の子内記パウロを匿うことを同会宣教師達に指図したが、これが発覚し、一六一六年宣教師の捜索が行なわれた。このため、同年一二月、突如長崎で捜索が行なわれ、イルマンの木村レオナルドが捕らえられ、ロドリゲスは翌年マカオに退去せざるをえなかった。従って、この文書は、禁制下におけるキリスト教界の活動に密接に関わっていたロドリゲス神父が、キリスト教徒達の最新の信仰活動について言及したものとして貴重な情報を提供してくれる。本文書は、三部から構成される。一部では、被昇天の聖母の組ないしコンフラリアの規則の要項であって、組の目的、組の構成と組織、組維持の方法、組の会員(組衆)達が守るべき義務(掟)と、それによってもたらされる霊的利益、役務者(役人)の名称と役務、組において許されない過失(科)などが、六章五六箇条にわたって言及されている。二部は、被昇天の聖母の組(コンフラリア)に関する戒めについて述べたもので、キリスト教徒達が日常行なっている信心に関する所作(業(ぎょう))、すなわち、慈悲の所作や、教皇に請願する贖宥(免償)に関する覚書、及び宥が許可されることによって可能となる有効な所作など一八箇条からなる。ここでは特に、ドミニコ会設立のロザリオのコンフラリアがすでに贖宥を獲得していたことに対し、イエズス会が設立した被昇天の聖母のコンフラリアの由緒とその自立性について言及して、同会指導によるコンフラリアの正当性と固有性が主張されている。三部では、教皇に請願される贖宥獲得のための条件である諸々の所作が二四項にわたって述べられている。本文書のコンフラリアに関する規則は、シュッテ師Joseph Schutte S.J.が指摘されているように、包括的なものであり、これを通じてイエズス会が設立し指導していた組(コンフラリア)の組織とその活動の全体像を容易に把握できる点で、極めて貴重な情報である。なお、ロドリゲスの同文書(一〜三部)の日本語訳文については、シュッテ稿、柳谷武夫訳「二つの古文書に現はれたる日本初期キリシタン時代に於ける「さんたまりやの御組」の組織に就いて」(『キリシタン研究』第二輯、九一〜一四八頁、東京堂、一九四四年)がある。訳文はドイツ語からの重訳と思われ、しかも日本語訳文はキリシタン時代に合わせて擬古文の体裁をとっているため、ポルトガル語原文と対照する時、意訳にかたよりがちで文意を損ねている箇所が少なくないことである。同文書の第一部については、ポルトガル語原文からの翻訳が、川村信三『キリシタン信徒組織の誕生と変容』(『キリシタン研究』第四〇輯、教文館、二〇〇三年)の第七章(「被昇天の聖母のこんふらりや」の規則抜粋、三五八〜三八三頁)において、丁寧な解説付きで紹介されている。著者は「抄訳を基本とし、必要なかぎり解説を加え」たとされる。しかし、その労は多とするものの、同翻訳が厳密性を要求される歴史史料としてその利用に供し得るものかと問えば、遺憾ながらと言わざるをえない。原文翻字の若干の誤りは利用者が少数であり原文と対照すれば解決できることであるが、翻訳文の場合には利用者が多く、その多数は訳文のみしか利用できないところから、翻訳史料の提供者はできる限り最善を尽した翻訳文を提供することが求められる。同訳文は必ずしも原文に忠実であると言い難く、また誤訳が多いように私には思われる。翻訳が困難と思われるならば、その箇所を空白にしておくほうが、利用者にとってはよほど良心的である。そのような次第で、私はここに敢えて拙訳を試みた次第である。(二〇〇五年二月八日)
著者
Di Wu Fuminori Kimura Akiko Takashima Yoshihiko Shimizu Akie Takebayashi Nobuyuki Kita GuangMei Zhang Takashi Murakami
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.230, no.1, pp.17-23, 2013 (Released:2013-05-11)
参考文献数
38
被引用文献数
7 12

Polycystic ovary syndrome (PCOS) is one of major causes of irregular menstruation. It is defined as a condition involving the combination of hyperandrogenism and chronic oligomenorrhea or anovulation, and is thought to have a variety of etiologies. Insulin resistance (impaired insulin sensitivity) has been suggested to be one of the etiologies of PCOS. PCOS patients often need to take medication to treat anovulation and infertility. Therefore, it would be beneficial to patients if simple non-pharmacological treatments can be developed. Recently the efficacy of vinegar to improve insulin resistance has been reported. To study the effect of vinegar on metabolic and hormonal indices and ovulatory function in PCOS, seven patients seeking a non-pharmacological treatment for PCOS took a beverage containing 15 g of apple vinegar daily for 90 to 110 days. Ovulation, the menstrual interval, fasting serum glucose level, fasting serum insulin level, luteinizing hormone (LH), follicle stimulating hormone (FSH), and testosterone were compared before and after intake of the vinegar beverage. Intake of the vinegar beverage resulted in a decrease of the homeostasis model assessment insulin resistance index (HOMA-R) in six patients, as well as a decrease of the LH/FSH ratio in five of seven patients. Ovulatory menstruation was observed within 40 day in four of seven patients. These findings suggest the possibility of vinegar to restore ovulatory function through improving insulin sensitivity in PCOS patients, thus, avoiding pharmacological treatment. Intake of vinegar might reduce medical cost and treatment time for insulin resistance, anovulation, and infertility in patients with PCOS.
著者
鹿熊 秀雄
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.59-65, 2018-04-15 (Released:2018-08-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1

OCTという装置が実現してから30年近く経過した.この間,特に眼科領域での研究が精力的に行われ多くの成功を収めてきた.これは,眼球などの眼組織が光学部品に似たものであり比較的チャレンジしやすかったこともその理由の一つであると思われる.ところが歯科分野で対象となる歯は眼科分野のものとは明らかに異なっており複雑な形をしている.近年歯科の分野でもOCTを使った研究が徐々に進み研究発表がなされてきたが,未だ製造認可を得て市販されている歯科用OCT装置は世界に存在しない.この状況を打破したいとの思いから,歯科用OCT装置の研究開発を始めた.このほど臨床に適した装置を開発したのでその機能と構造を紹介する.

4 0 0 0 OA 新著紹介

著者
秋月 康夫 亀谷 俊司
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.121-125, 1954-10-15 (Released:2008-12-25)
著者
樋口 亮介
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 = Keio law journal (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.40, pp.177-213, 2018-02

はじめに 1. 本稿の検討課題 2. 検討順序一 日本法の状況 1. 従来の議論 2. 量刑理論に基づく裁判例の分類 3. 検討を深めるための素材の選択二 アメリカの議論状況 1. 量刑実務の状況 2. 理論的検討を行う学説の紹介三 不遇な生育歴が責任非難に与える影響 1. 応報理念の基礎に遡った基礎づけ 2. 具体的な考慮方法 3. 死刑選択判断における考慮の必要性おわりに原田國男教授・三上威彦教授・六車明教授退職記念号
著者
國吉 康夫 寒川 新司 塚原 祐樹 鈴木 真介 森 裕紀
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.415-434, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
82
被引用文献数
4 4

Early human motor development has the nature of spontaneous exploration and boot-strap learning, leading to open-ended acquisition of versatile flexible motor skills. Since dexterous motor skills often exploit body-environment dynamics, we formulate the developmental principle as the spontaneous exploration of consistent dynamical patterns of the neural-body-environment system. We propose that partially ordered dynamical patterns emergent from chaotic oscillators coupled through embodiment serve as the core driving mechanism of such exploration. A model of neuro-musculo-skeletal system is constructed capturing essential features of biological systems. It consists of a skeleton, muscles, spindles, tendon organs, spinal circuits, medullar circuits, and a basic cortical model. Models of self-organizing cortical areas for primary somatosensory and motor areas are introduced. A human infant model is constructed and put through preliminary experiments. Some meaningful motor behavior emerged including rolling over and crawling-like motion. The results show the possibility that a rich variety of meaningful behavior can be discovered and acquired by the neural-body dynamics without pre-defined coordinated control circuits.