著者
赤間 啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.51, pp.1-8, 2001-05-25
参考文献数
5
被引用文献数
4

この論考は、情報検索学の手法を計量文体論に導入し、哲学的なコーパスから文脈の自動抽出を行うことを目的とする。具体的には高頻度名詞と共起する有意味単語データを因子分析することで、18世紀後半と19世紀初頭にかけて活躍したカバニスとメスメールという、二人の思想家の予想外な類似性を計算する。In this paper, it is our aim to abstract automatically the latent semantic context from philosophical corpora by introducing the IR method into the stylometrics. We apply the factor analysis to the exhaustive data of content?bearing words co-occurring with the highest frequency nouns. By way of example, the unexpected similarity between Cabanis and Mesmer, two great thinkers in the late 18th century and early in the 19th century is calculated.
著者
安岡 規貴
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.109-123, 2016 (Released:2017-02-06)

この研究は Google に対する我が国の DMCA テイクダウンノーティスの利用実態を Google 透明性レポートおよび Lumen の 2015 年上半期までのデータを利用することによって分析する。その結果、我が国において DMCA テイクダウンノーティスは、主にアダルトコンテンツと同人の著作権者が関わることによりかなり活発であることがわかった。さらに Google によって不正利用とされた削除リクエストおよび何らかの理由で対応されなかった削除リクエストが多いという問題点が明らかになった。これらの事実を基に、本稿は DMCA テイクダウンノーティスが適切に利用されているかどうかを社会全体で注意して見ることおよび申立者の DMCA テイクダウンノーティスの適切な発行を促すことを提案する。
著者
JIDAI
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.3-12, 2019-03-31 (Released:2019-05-18)

In “Art Mime,” as a theatrical performance, it is important to bodily experience emotions. When we see the relationship between body and emotions from the perspective of Art Mime, we understand that emotions, which are really personal, can exist as something separated from the person. Experiencing not egocentric but universal emotions gives us abundant emotions of mental energy, and helps us release ourselves and realize others.
著者
坂口 誠
出版者
鉄道史学会 ; 1984-
雑誌
鉄道史学 (ISSN:09139591)
巻号頁・発行日
no.34, pp.3-14, 2016-12
著者
高田 祐一 昌子 喜信 矢田 貴史
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.99-102, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
5

文化財調査の現場においては、デジタル技術が浸透しつつある。デジタル機器によるデータ取得時の必要精度やファイル形式など、デジタルならではの留意すべき点がある。一方、デジタル技術の活用によって文化財に関する情報発信という点においては、広く周知するということが可能となった。特に発行部数に限りがあることから、閲覧環境の確保に課題のあった発掘調査報告書について、電子公開する事業が全国展開され、活発な利用がなされている。これらの動向に対応するため、文化庁はデジタル技術活用について、『埋蔵文化財保護行政におけるデジタル技術の導入について』にて対応指針を報告している。本稿では、行政における文化財情報の電子化と発信という点において、近年の動向を整理したうえで、課題と見通しを考察する。
著者
川島 重成
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 : キリスト教と文化 : Christianity and culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.45, pp.1-25, 2014-03

ソポクレスの悲劇『オイディプス王』(前429 年頃)と『コロノスのオイディプス』(前406 年、ただし前401 年上演)において、オイディプスは<時>をどのように生きたか。 『オイディプス王』1213-1215 行を、筆者はKamerbeek の注解に示唆されて、岡道男訳を修正して、次のように訳する。望まぬあなたを見出した、すべてを見ている<時>が、生む者と生まれる者が等しい結婚ならぬ結婚を(<時>は)かねてより裁いてきたのだ。これはオイディプスが自らの真実を知って走り去った直後、コロスがうたう歌の一節である。オイディプスがこのドラマ以前(の<時>)に犯し、知らずしてその中に生きてきた穢れを、<時>がここで暴露した。一方<時>はオイディプスを、「かねてより」、つまり彼が「結婚ならぬ結婚」という無秩序に陥って以来、「裁いてきた」と解せる。ただオイディプスはそのことに気付いていなかった。それをこのドラマの中で気付かされたのである。この「発見」を、いわば<時>の行為として言い換えたのが、「[……]あなたを見出した、すべてを見ている<時>が」である。詩人はオイディプスの自己発見がそのまま<時>による発見でもあると見ている。ここに人間ドラマが同時に神的ドラマであるギリシア悲劇の真骨頂がある。 『コロノスのオイディプス』の冒頭、娘アンティゴネに手を引かれて登場する盲目の老オイディプスは、次のように言う。「わたしには、ひとつには度重なる苦労が、また長い伴侶の歳月が、それにさらに加えて/持って生れた貴い天性が、辛抱ということを教えてくれる」(引地正俊訳)。かつて<時>がオイディプスの真実を「見出した」。そのとき以来の彼の歩みは、その<時>=運命を伴侶とする新しい生であった。上の引用で「辛抱」と訳されているギリシア語(ステルゲイン)は「運命の甘受」を含意する。この老オイディプスは、その流浪の果てに、ついに彼の生涯の終りを託することのできる高貴な人物、アテナイ王テセウスに出会い、<時>と歩みをともにしてきた者の権威によって、「万物を征服する<時>」の法則を語り聞かせる(607-620)。そして彼の最期を知らせる雷鳴が轟くなか、人間の、とりわけ政治的世界の常である「ヒュブリス」(高慢)に陥らないようにとの誡めを語る。このソポクレスの遺作悲劇が創作されていたとき、アテナイはペロポネソス戦争の末期、スパルタの軍門に下る敗戦前夜にあった。ソポクレスがオイディプスとテセウスの美しい信頼関係によって象徴させたアテナイのあるべき姿とは、戦争の帰趨や政治的権力や富の離合集散とは別の世界で成立する、まさに「歳月によって害なわれることなく秘蔵されるべきもの」(1519)、すなわち人類の人文的理想としてのアテナイであった、と解せよう。 人文学の本来の道とは、いわばこのオイディプスの生涯が象徴するものを、私たちの経験として反復することによって獲ちとり、維持されていくべきものであろう。 オイディプスの生涯が象徴する古典ギリシア文化がその指導的役割を終えた紀元後一世紀、同じ地中海世界の片隅に、ヨーロッパ文化のもう一つの源泉となる精神が立ち現れた。本講演では新約聖書からただ一箇所ロマ書8 章18-25 節を取りあげる。そこで語られるパウロの神――万物を虚無に服せしめる神(20節)――は、人間、そして全被造物の視点から見る限り、オイディプスを理不尽にも外から操ったあの<時>=運命と代らないように見える。オイディプスはその<時>とともに歩むことによって、ある意味で彼の運命を克服した。しかしこれは限りなく厳しい道ではなかろうか。一方ロマ書8 章は、万物を虚無に服せしめた創造の神は、同時に万物の救いの希望であると語る(23-25 節)。思うに私たちが今日人文学の未来への希望を語りうるとすれば、パウロの「望みえないのに、なお望む」という、この希望の上に、あのギリシアの理想を生かす道しかないのではなかろうか。これはまた本研究所ICCの創設の理想とも密接に関わっている。
著者
Akio Tanikawa
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.23-30, 2005 (Released:2006-05-19)
参考文献数
24
被引用文献数
6 6

The Japanese spiders of the genus Agelena are revised. The occurrence of A. limbata Thorell 1897, A. opulenta Koch 1878, and A. labylinthica (Clerck 1757) are recomfirmed. A. donggukensis Kim 1996 is newly recorded from Japan and the male of the species is described for the first time. A new species, A. babai, is described based on the specimens collected from Amami-ôshima Is. of the Ryukyus.
著者
岩山 訓典
出版者
旭川医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

サンプル : アスピリン(ASA)腸溶錠100mgとテルミサルタン(TEL)錠40mgを1錠ずつ一包化した。保存条件 : 両薬剤が接触した状態で恒温恒湿器内に温度を30℃、湿度は75%RHまたは93%RHの条件下において1週間静置した。評価法 : 日本病院薬剤師会「錠剤・カプセル剤の無包装状態での安定性試験法について(答申)」に従った。結果 : 配合(形状)変化 : 両湿度条件でも変化が確認され、特に93%RH条件下では、TELの外観変化は著しく、以後の評価に影響を及ぼす可能性があるため、30℃/75%RH条件を採用した。・重量変化 : 保存前と比較して、両錠剤とも増加したことから吸湿の関与が示唆された。・硬度 : 両薬剤とも低下する傾向が見られたが、いずれも規格値内であった。・溶出試験 : ASA溶出率は40%であり、規格値外となった。また、ASAの分解物のサリチル酸は、増加した。TELでは大きな影響は見られず、規格値内であった。・含量試験 : ASA腸溶錠のみ実施した。ASA含量の低下が認められ、規格値外となった。・形状変化の原因探索 : ASA腸溶錠とTEL以外のアンギオテンシン受容体抗薬、ASA腸溶錠とTEL錠80mg (フィルムコーテング錠)との組み合わせでは、配合変化は観察されなかった。配合変化は、腸溶錠コーティング剤とTELとで反応している可能性が示唆された。・他の配合変化の組み合わせ : ラベプラゾール錠(腸溶錠)とTEL錠40mg (裸錠)との組み合わせでは、ASAと同様の配合変化が見られた。・配合変化の回避方法 : 一包化の薬剤を密閉容器に保管し、30℃/75%RH条件下で静置したところ、配合変化は見られなかった。以上のことから、配合変化したASA腸溶錠を患者が気付かず服用してしまうと、ASAの薬効に影響を及ぼす可能性が考えられる。配合変化は、腸溶製剤とTEL錠(裸錠)の組み合わせで高湿度状態により起こる可能性がある。そのため、乾燥剤存在下で保存するなどの湿度対策ができれば、配合変化を防止できると考えられる。本研究は、患者の一包化で服用できるベネフィットの低下を防ぐのに貢献するものである。
著者
Kunihiko Takahashi Hideto Takahashi Tomoki Nakaya Seiji Yasumura Tetsuya Ohira Hitoshi Ohto Akira Ohtsuru Sanae Midorikawa Shinichi Suzuki Hiroki Shimura Shunichi Yamashita Koichi Tanigawa Kenji Kamiya
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20180247, (Released:2019-06-15)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Background: After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, a preliminary ultrasound-based screening for thyroid cancer was conducted to establish a baseline for subsequent evaluations. In this survey, we assessed the relationship between the proportion of non-examinees and characteristics of the target populations.Methods: After summarizing a regional difference of non-examinees among the population of 359,200 (primary evaluation) and 2,246 (confirmatory testing) individuals who were living in the Fukushima prefecture on 11 March 2011, we estimated odds ratios (ORs) for each characteristic including age, sex, area of residence, and moving after the accident, based on the proportion of non-examinees for the primary examination and the confirmatory testing, using a multivariate logistic regression model.Results: The dataset included 64,117 non-examinees (primary evaluation) and 194 (confirmatory testing). The logistic regression result indicated that girls were not likely to be non-examinees compared to boys with adjusted OR of 0.80 (95% confidence interval[CI]:0.78-0.81) for the primary evaluation. OR was the lowest for children 6-10 years old (y/o) (OR=0.26, CI:0.25-0.27), and higher for those 11-15 y/o (OR=1.28, CI:1.25-1.32) and over 16 y/o (OR=5.30, CI:5.16-5.43) when compared to children 0-5 y/o. Individuals residing in the western part of the prefecture showed higher ORs. There was a higher proportion of non-examinees among those who moved after the accident compared to those who did not in the primary evaluation (OR=1.72, CI:1.64-1.79).Conclusions: In addition to the demographic characteristics, a change of residence could be a potential factor that influenced the proportion of non-examinees. Our results will help proper interpretation of reports and prospective management of the survey.
著者
Hanley Sharon
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

若い女性の子宮頸がんが増加しており、この多くの女性達は子宮頸癌検診を受けていない。本研究は、受診率向上へのHPV自己採取検査(SS)の有効性を検討した。検診受診者のSS道具の受入れや安全性に関する実現可能性の研究と、30歳未満の道具の受入れに関する質的研究を行った。職場健診で、医師による子宮頸癌検診とHPV検査の前に受けたSSは、痛みと恥ずかしさが有意に少なく、よりリラックスでき、指示も分りやすいと回答した。安全性への懸念は報告されていない。しかし、道具が注射器や台所用品のようだとの若い女性の感想があり、小さめの道具が好まれる傾向があった為、これからより小さい道具を用いた研究を行う予定である。