著者
串崎 正輝 李 強
出版者
大阪物療大学
雑誌
大阪物療大学紀要 (ISSN:21876517)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-51, 2014

本研究は、示指環指比(Digit Ratio(2D:4D))が生理人類学における性差調査の際に表した簡便さに注目し、身体体表指標(Biomarker)として多用されているBMI(Body Mass Index,体格指数)との関連性を検証することを目的とした。被検者は、心身(指に外傷歴や障害歴がない)ともに健康な医療系専門学校学生95名(男子75名、21.87±3.32yrs;女子20名、21.50±5.22yrs)とした。測定方法は、被検者全員の右手の示指と環指の長さに対して、ファイバーノギスを用い、それぞれの中手指節間関節の横紋から指端までの距離を計測した。また、被検者の身長と体重からBMIを求め、Digit Ratio=2D/4Dという計算式から2D:4Dを算出した。得た結果に対して統計処理を行い、2D:4DとBMIとの相関関係を解析した。2D:4Dについて、男性群には有意差がみられた(p<0.01)が、女性群には認められなかった。男性群も女性群も2D:4Dの平均値とBMI平均値との相関関係は見られなかったものの、BMIの値が20以下のグループには2D:4DとBMIとの間にやや強い負相関がみられ、両者間に顕著な有意差が認められた(r=-0.5076,p=0.0005406(Two-tailed))。示指環指比とBMIとの関連性に関する研究を行う際に、BMI値の多寡を軸に被検者を細分すべきことが示唆された。
著者
Dong-Hwan Oh Ji-Su Park Won-Jin Kim
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.1974-1975, 2017 (Released:2017-11-22)
参考文献数
8
被引用文献数
13

[Purpose] This study aimed to investigate the effect of neuromuscular electrical stimulation (NMES) on lip strength and closure function of patients with dysphagia after stroke. [Subjects and Methods] Eight patients with dysphagia were recruited. NMES was applied to the orbicularis oris muscle. All the participants received NMES for 30 min/d, 5 d/wk, for 4 weeks. Lip strength was measured using the Iowa Oral Performance Instrument. To assess lip closure, the lip closure subitem of the videofluoroscopic dysphagia scale was used. [Results] Lip strength showed significant improvement and lip closure function showed a significant decrease. [Conclusion] This study demonstrates that NMES is useful for improving lip strength and closure function.
著者
谷沢 智史 中川 晋吾 金指 文明 西村 一彦 長久 勝 横山 重俊 吉岡 信和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.492, pp.161-165, 2014-03-13

国立情報学研究所では仮想マシン貸し出し型のプライベートクラウドedubase Cloudや,物理マシン貸し出し型のプラィベートクラウドの開発,運用を行なっており,さらに,新たにインタークラウド基盤プロトタイプの開発を行い,試験運用を開始している.我々はクラウド運用を効率化するため,編集可能な広大な「マップ」アプローチを提案し,実運用に適用した.この適用事例について報告し,よりよいマップを作るための支援機構について提案する.
著者
中村 美奈子 芝野 耕司 佐多 達枝 門 行人
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本を代表する創作バレエ作家(振付家)の一人である佐多達枝の作品と関連資料(舞踊譜等)について、再演を目的としたドキュメンテーションおよびアーカイブ化を行い、そのアーカイブ化の過程を論文として、イリノイ大学(米国)のサイト上に公開されている電子ジャーナル「身体運動の人類学的研究」(JASHM)に投稿し、日本の創作バレエ史における佐多氏の功績を海外に発表した。
著者
光本 滋
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.151-162, 2018-03-30

国立大学における生涯学習部門は,理念的には大学開放と大学改革をつなげることを 使命としながら,現実には生涯学習政策を推進するものとして整備されてきた。法人化後,生涯 学習部門の多くは地域連携部門に吸収され,雇用創出や人材育成の面から大学の地域機能を高 めようとする政策の展開に伴い,役割を打ち出すことが困難になっている。このような中で,生 涯学習部門には,原点に立ち返ることにより存在意義を発揮することが期待される。国立大学 生涯学習系センター研究協議会の近年の活動にも同様の問題意識を確認することができる。生 涯学習の視点から大学組織のあり方を探究することは高等継続教育論の課題である。

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著者
アンリ・ドゥ・レニエ 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1926
著者
佐久間 秀範
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1112-1120, 2007

<b>ねらい (目的)</b>: 五姓格別というと唯識教学の旗印のように日本では考えられてきたが, 吉村誠氏, 橘川智昭氏などの研究から法相宗の事実上の創始者窺基に由来することが判った. 窺基はそれ以前の中国唯識思想が如来蔵思想に歪められていたことへの猛反発から玄奘がもたらした正統インド唯識思想を宣揚しようとし, 一乗思想の対局の五姓格別を持ち出したと考えられる. それならば五姓格別思想も, その起源をインドに辿れるはずである. これまでインドの文献資料の中にその起源を位置づける研究が見あたらなかったので, これを明らかにすることを目的としたのが当論文である.<br><b>方法 (資料):</b> 全体を導く指標として遁倫の『瑜伽論記』の記述を用い, 法相宗が五姓格別のインド起源の根拠と位置づける『瑜伽論』『仏地経論』『楞伽経』『大乗荘厳経論』(偈文, 世親釈, 無性釈, 安慧釈) と補足的資料として『勝鬘経』『般若経』に登場する当思想に関連するテキスト部分を逐一分析し, その歴史的道筋を辿った.<br><b>本論の成果等</b>: 諸文献のテキスト部分を分析した結果, 五姓格別思想は三乗思想と無因子の無種姓とが合成されたものであることが判った. その過程を辿れるのが『大乗荘厳経論』第三章種性品であり, 無種姓という項目が声聞, 独覚, 菩薩, 不定種性と並列された第五番目に位置づけられるようになったのは, 最終的には安慧釈になってからであることが歴史的な発展過程とともに明らかになった. その場合玄奘のもたらした瑜伽行派文献の中国語訳に基づく五姓格別思想は, 玄奘が主として学んだナーランダーの戒賢等の思想と云うよりも, ヴァラヴィーの安慧系の思想を受け継ぐものと考えられる. これは智と識の対応関係などにもいえることであるが, 法相宗の思想の基盤が従来考えられたようなナーランダーにあると云うよりも, ヴァラヴィーなど他の地域に依拠しているケースが認められたと云うことであり, これまでの常識とされていた中国法相教学の思想の位置づけを含めて, 教理の内容を吟味してゆくことを要求する内容となった.