著者
望月 正道
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
人文 (ISSN:13410520)
巻号頁・発行日
no.36, pp.一-十, 2012-08-31
著者
加賀谷 みえ子 加藤 舞子
出版者
椙山女学園大学
雑誌
椙山女学園大学研究論集 : 人文科学篇・社会科学篇・自然科学篇 = Journal of Sugiyama Jogakuen University. Humanities, Social sciences, Natural sciences (ISSN:24369632)
巻号頁・発行日
no.54, pp.53-61, 2023-03-01

日本料理の四季折々の盛り付けの美しさや料理のおいしさは,調理過程における調理操作の良し悪しで決まる。世界に誇る日本の食文化を代表する日本料理は室町時代に成立したとされている。調理操作は,非加熱調理操作,加熱調理操作,調味操作に大別され,特に非加熱調理の切砕では包丁技術が料理の出来栄えに大きく影響する。野菜では不可食部分を除去するため,皮を剥き,次に切る操作によって,形を整え,大きさを切りそろえるなどの成形を行う。これは食品の表面積を大きくし,火の通りを速め,味の浸み込みを均一にすることができ煮崩れを防ぐこともできる。野菜や肉では繊維の方向を考えて切ることで食感に変化を与えることができる。繊維に対して直角に切ると軟らかい食感,繊維に対して平行に切ると硬さを残すことができる1)。さらに切り方の大小は食感,味に影響し,飾り切りは美しい仕上がりとなる外観の美しさに影響する。剥く・切る調理操作では包丁技術が料理の完成度に大きく関与する。日本料理を志す料理人が,まず初めに習う剥き方は「桂むき」である2)。大学での調理実習においても「桂むき」は初めに練習する包丁技術である。「桂むき」の語源は諸説あるが,京都の町へ行商に来た桂女が頭にかぶっていた白の布に似ている,また京都桂川のなだらかに流れている川面が大根など剥いたさまに似ているところからこの名が出たといわれている3)。「桂むき」は剥きものの最も基本となる包丁技術4)といわれ,剥く速さではなく,薄く均等に長く剥くことが求められる。「桂むき」は練習を繰り返すことで正確に剥く技術が身に付き,やがて様々な剥き方・切り方の習得へとつながっていく。しかし,専門的な剥き方の上達には熟練を要し,包丁技術の熟練者と非熟練者では 技術力に差がでるのは当然である。熟練者が剥き方のコツを伝授し,非熟練者の技術力の上達を図るためには,その違いを分析し解明する必要がある。 「切り方」に関連する先行研究において,包丁技能に関する研究5‒7),熟練者と非熟練者の比較研究 8, 9)や包丁技術の指導に関する研究10, 11), アンケート調査12)などはあるが「桂むき」を実測した研究は見当たらない。本研究は,「桂むき」に着目し,熟練者と非熟練者の技術力を客観的に把握し,非熟練者の改善点を見出し,「桂むき」の剥き方を具体的且つわかりやすい桂むき指導法の教材開発を行うことを目的に研究を行った。
著者
河村 英和
出版者
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部
雑誌
観光コミュニティ研究 = Tourism and Community Studies (ISSN:24369357)
巻号頁・発行日
no.2, pp.23-49, 2023-03

戦前の日本では、米国経由のスパニッシュ様式建築がファッショナブルな建築様式と捉えられ、1920年代以降、白壁とオレンジ色の洋瓦の個人住宅、ホテルなどの公共建築でこの様式を採用するものが増加した。戦後は、飲食店でもスパニッシュ様式が流行し、1970年代にはマンションでも好まれ、気候・地形的に地中海と親和性が高い地域だけでなく、南国のイメージと結びつきにくい内陸部にも南欧風意匠の建物が広がった。 1980~90年代は、バブル景気によって海外旅行がより身近になり、本物の南欧建築に接する機会が増え、オレンジ瓦と白壁のスペイン風建築がさらに流行する。1992年は、バルセロナ・オリンピックとセビリア万博の開催もあり、スペイン風でもとくにアンダルシア風建築への偏向が強まり、気候・地形的に地中海と親和性が高いところを中心に、アンダルシア風をイメージしたリゾート開発やまちづくり(伊王島、賢島、沖縄、宇和島、淡路島、南房総、宝塚、横浜本牧など)が行われた。 バブル崩壊後は、外国をテーマにしたテーマパークは廃れてしまったものの、スペイン風・南欧風の町並みを再現した商業施設(アウトレット、ショッピングモール、ホテル、結婚式場)を建設する流行は続き、近年はSNSで写真映えする関心から撮影スポットとなり、映画やドラマのロケ地としても注目されている。コロナ禍中の渡航制限や解除後も円安インフレで旅費が高騰し海外旅行がしづらくなると、国内にいながら外国気分に浸れる場所として、海外の建物や町並みを模した商業施設の人気が再燃している向きもあるが、バブル期に興隆したスペイン・南欧風の建物は、そろそろ過去の遺産の仲間入りをする準備段階に来ている。
著者
降簱 光太郎 Kotaro FURIHATA
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.103-128, 2023-03-01

現代の医療において、高度化・複雑化に伴う業務の増大による医療現場の疲弊が指摘されている一方、質が高く、安心・安全な医療の実現を求める患者・家族の声が高まるなど、医療の在り方が根本的に問われている。こうした現在の医療のあり方を大きく変え得る取組として「チーム医療」がある。チームとして「目的と情報」を共有した上で、各医療スタッフの専門性を踏まえ、信任するとともに、医療スタッフ間の連携および補完を十全に進める基本的な考え方は、様々な医療現場で通底性がある。実際に、様々な医療現場で「チーム医療」が実践されている。他方、「医師の働き方改革」における医師の業務負担軽減のため、医師と他の医療職間で行う「タスク・シフト(業務の移管)、タスク・シェア(業務の共同化)」を前提とした新しいチーム医療が求められている。その中で、タスク・シフト/シェアの受け入れ先である職能において、医師事務作業補助者が取り上げられている。診療情報管理士が行う診療情報の監査、医師事務作業補助者が行う診療録等の文書作成補助業務は、医師等の負担軽減、提供する医療の質の向上、医療安全の確保の点から非常に重要である。そこで、診療情報管理士学会が公開している「診療情報管理業務指針 2021」および日本医師事務作業補助者協会が公開している「医師事務作業補助者業務指針案件」をテキストマイニングし、両職種の連携について明示的なデータとして示すことができるかを試みた。結果、①文書に関する連携について、診療情報管理士と医師事務作業補助者は、文書の様式や運用手順の整備内容を院内ルールとして作成し、さらに、診療情報管理士は、文書や記録の整合性・適切性・妥当性等の点検・確認し、その結果を医師事務作業補助者にフィードバックし、改善・整備の支援を行う、②診療情報管理業務は、診療情報管理士だけで行われるものではなく、関連する医療従事者・関係者との分担・連携によって実施されるものであり、医師事務作業補助者は、診療録の代行入力を認められている唯一の職種として、診療録記載の質向上を介した連携を行う、③診療情報管理士は、標準的な退院時サマリーの作成指針を用いて、院内ルールにその内容を反映させるなど、医師事務作業補助者に対して標準的な退院時サマリー作成のサポートを行う。このことについて、両職種の連携に関する明示的なデータを示すことができた。さらに、両職種において、管理者との強い連携の必要性が示され、また、それぞれの職種の専門性が、それぞれの業務指針の特徴語に影響を与えていることが示唆された。このことについても、客観的なデータとして明示することができた。
著者
降簱 光太郎 Kotaro FURIHATA
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.61-86, 2022-09-30

現在、我が国では超高齢社会が進展する状況であり、健康・医療・介護分野の情報やICTを積極的に活用することで国民一人ひとりの健康寿命の延伸や国民の利便性向上を図るとともに、医療や介護現場において、サービスの質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上を図っていくことが求められている。このような医療・介護分野を取り巻く環境が変化する趨向において、日本診療情報管理学会は、今後の診療情報管理業務で留意すべき点を改訂した「診療情報管理士業務指針2021」を公開した。診療情報管理士業務指針の初版「診療情報管理士業務指針2011」の訂正版である「診療情報管理士業務指針2016」および最新版「診療情報管理士業務指針2021」をテキストマイニング手法を用いて統計的分析を行い、診療情報管理業務の経時的な変遷を客観的なデータとして示すことができるかを試みた。結果、診療情報管理士の業務が、①地域の医療介護情報連携の必要性の高まり、②診療記録に関する標準化、③日本政府・WHO・海外の関係団体の動向、④個人情報保護に関する社会情勢や患者・利用者等の意識の変化、⑤医療のDX・チーム医療・医療安全・医療の質向上の推進、⑥診療情報管理部門の組織的確立化、により、経時的に変遷していることを詳らかにすることができた。さらに、診療情報管理士は診療情報の専門家として、その業務の本来の趣旨・目的を理解し、標準化・共通化と相互の参照手順の整備に関与し、医療だけではなく、介護領域においても診療情報の共有を徹底することに努める必要があり、WHOや海外の関係団体の動向、介護の情報化に取り組む我が国の方針の下、診療情報管理士の業務は、急性期医療の質の向上に向けた、言わば縦方向への拡大と、急性期医療と在宅医療・介護の連携に伴う横方向へ拡大する趨勢であることを客観的なデータとして明示することができた。
著者
山本 雄也 平賀 譲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-124, no.9, pp.1-6, 2019-08-20

楽曲には歌いやすいものと歌いにくいものがあり,歌いやすさ ・歌いにくさで楽曲を検索できれば,歌唱者の技量に合った楽曲選択が可能になると考える.しかし歌いやすさ ・歌いにくさは主観的かつ定性的な指標であり,それを定量化しコンピュータによる分析を可能にする手法については知見が十分でない.本研究は歌いやすさ ・歌いにくさを,難易度として楽曲の楽譜情報を用いて数値化し推定する手法について検討することを目的とする.楽曲の歌いやすさ ・歌いにくさについてデータを得るため,実験では 12 名の実験参加者を対象に楽曲を実際に歌い質問に回答する歌唱実験を行った.質問調査では楽曲の歌いにくさとどのように難しいかを回答させた.歌いにくさと音楽特徴の関係を分析するため相関分析を行った結果,相関のある音楽特徴に個人差を確認したため,個人ごとに音楽特徴から難易度を算出する重回帰分析モデルを提案して性能を検証した.その結果,決定係数の値の良し悪しは個人により差がみられた.また,楽曲がどのように歌いにくいかを示すため,歌いにくさの性質についての回答データを用いて対応分析 ・クラスタ分析を行い要因を分類した.その結果要因は大きく 「跳躍」 「音域」 「複雑さ」 に大別できた.楽譜データから歌いにくさの性質を予測するための分析として,楽曲の音楽特徴量と回答データの相関分析を行った.これらの分析によって,楽曲がどの程度,どのように歌いにくいのかを楽譜データから自動評価ができることへの第一歩となった.
著者
寺町 晋哉 Shinya TERAMACHI 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.103-119, 2020-03-06

本稿は、女子の友人関係トラブルに対する教師の介入を検討することで、友人関係というインフォーマルな関係性が教師の介入に影響を受けること、そうした介入にジェンダー・バイアスが存在し、結果的に女子の関係性が劣位に置かれることを明らかにする。 先行研究は、ジェンダーの視点、インフォーマルな関係性、教師と児童生徒の再帰的関係のうち、いずれか一つが欠けている。これらの課題を克服するために、本稿では、女子の友人関係トラブルに対する教師の介入に着目する。分析に際して、Francis・Paechter(2015)が提示する三つの視点を用いている。 分析の結果、以下の三点が明らかになった。第一に、児童の関係性にかかわる教室秩序の形成にとって教師たちの理念や介入が重要であることである。第二に、児童間関係に対する教師たちの認識や介入に、ジェンダー・バイアスが歴然と存在し、女子たちは「関係性を重視する」という認識が、教師たちの介入を方向づけていたことである。また、教師たちは女子たちの関係を「ドロドロしたもの」と認識し、解決すべき課題にしているからこそ、何らかのトラブルが発生した場合、「トラブルの発端である関係性」そのものに焦点を当て、トラブルだけでなく女子たちの関係性にも介入していく。第三に、教師たちはケアの倫理が立ち現われやすい関係性に焦点化した介入を行いながら、その解決には自律的な主体であるという捻れた責任を女子に負わせていたことである。
著者
石川 明人
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 = St. Andrew's University journal of Christian studies (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.113-138, 2015-03-23

Ayako Miura, the Christian novelist, once recalled that in her younger days, she was a militarist teacher. Indeed, the period of her youth spent as an elementary school teacher overlaps with Japan's wartime period. However, when Miura's autobiographical writings are analyzed in detail, it seems more accurate to say that she was not a militarist. This is because she did not consciously support militarism on the basis of sufficient knowledge or opinions about politics and the military during her days as a teacher; rather, she simply complied with and was swept along by the belligerent social atmosphere of the time. Miura's period as a "militarist" teacher can certainly be considered as a dark phase of her life. However, this does not mean that Miura's efforts within the education system of the wartime military state were either malicious or negligent. Conversely, at the time, she strove to accomplish her duties as a teacher in good faith, in the broad sense, with dedication, integrity, and sincerity. That in doing so she consequently became complicit to the evils of the war can only be termed as a lamentable paradox. Though Miura later became an outspoken opponent of war, this opposition was neither based on social scientific knowledge nor grounded in mere humanism; fundamentally, it developed as a result of her Christian faith. Through her wartime experience, Miura had become keenly aware of the fundamental weaknesses, miseries and follies of humanity as well as her own and, in her despair, turned to Christianity. In basing her opposition to war on her Christian faith, Miura failed to consider the classic quandary that religion may also be used to justify war. Nevertheless, her opposition to war is surely worthy of our attention even today.
著者
吉田 ゆり 若本 純子
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-24, 2011-03-31

発達障害への注目が高まる中、反応性愛着障害(ADあるいはRAD)との鑑別診断の難しさが指摘されている。本稿では,先行研究1事例をとりあげ,発達障害の可能性を除外する鑑別的見立てと積極的に愛着障害を認める鑑別的見立ての二つのプロセスより,支援における鑑別診断の重要性を明らかにした。
著者
佐藤 悟 八木 正自 藤田 達生
出版者
実践女子大学
雑誌
年報 = Nenpo (ISSN:09100679)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.159-187, 2020-03-28

ページ他に口絵あり