著者
佐藤 琢朗 雲財 寛 稲田 結美 角屋 重樹
出版者
日本体育大学大学院教育学研究科
雑誌
日本体育大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:24338656)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1-2, pp.123-130, 2018-03-31

本研究では,小学生を対象に,理科に対する深い興味(「知識獲得型興味」,「思考活性型興味」,「日常関連型興味」)を喚起させる指導法を実施し,その効果を検証することを目的とした。この目的を達成するため,「ふりこの運動」の単元において,熊本県内の町立小学校第5学年の児童35名を対象に,自由試行を学習活動の起点とした指導法を実施した。指導法の前後に実施した質問紙の分析の結果から,実施した指導法は,思考活性型興味と日常関連型興味を喚起させることが示唆された。
著者
李 致萬 Chiman Lee
出版者
基督教研究会
雑誌
基督教研究 = Kirisutokyo Kenkyu (Studies in Christianity) (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.91-111, 2006-03-15

初期大復興運動は、1907年に平壌(ピョンヤン)を中心に拡大した。大復興運動の背景には、内的側面と外的側面があるが、本論では内的側面を中心に考究する。すなわち、当時の歴史的状況と絡み合って、宣教の危機を感じた宣教師の特定の意図によって、大復興運動が行われたと思われる。大復興運動は確かに韓国キリスト教会を外形的に、また内面的に大きく変えた。外形的変化としては、急激な量的膨張、教会自治の成立、リーダーシップの交替などをあげることができる。内面的変化としては、新しい信仰様態の形成、韓国的教会文化の定着などである。これと共に初期大復興運動は、韓国キリスト教の非政治化を定着させるきっかけになった。一方、キリスト教社会運動の視座から見ると、初期大復興運動は、教職者中心の非政治的性格の「公的教会組織」と、一般信徒中心の社会運動に積極的な「包括的キリスト教団体」に二分化した。この二分化によって、韓国キリスト教社会運動は弱体化せざるを得なかった。もちろん、「包括的キリスト教団体」には、「公的教会」に属したキリスト者が多数参加していた。そこで、社会運動の実践方法は、「公的教会」の信仰的価値を損なわない範囲で行わざるを得なかった。このような面が韓国キリスト教社会運動の「人道的平和主義(非暴力主義)」を形成する一つの要因になった。また、以後の三・一運動における非暴力・無抵抗主義の路線は、三・一運動の主な勢力であった韓国キリスト教の「人道的平和主義」の路線に起因したのではないかと思われる。
著者
寺島 樹 川合 康央
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.84-86, 2021-08-23

本研究は、ユーザが特定のアクションを起こすことによって、自動ドアの開閉を促すシステムを開発したものである。現在、一般的に普及している自動ドアでは、センサーの前に人が立つことによってドアの開閉を促しているものであるが、本システムでは、ユーザの姿勢推定によってドアを開閉するものである。ユーザが特定のポーズをとることによって、自動ドアが反応するため、そのポーズを知っているユーザのみが開閉可能なものとなる、遊び心を持たせた緩やかなセキュリティドアを提案する。
著者
峯岸 佳
出版者
跡見学園女子大学附属心理教育相談所
雑誌
跡見学園女子大学附属心理教育相談所紀要 (ISSN:21867291)
巻号頁・発行日
no.16, pp.153-169, 2020-03

HSP(Highly Sensitive Person)とは,Aron(1997)が提唱した概念で,生得的な特性として,高度な感覚処理感受性を持つ人のことである。赤城ら(2017)の研究では,HSPの人たちは他者の感情刺激を敏感に受け止めているにも関わらず,自身の感情コントロールが困難なため,生きにくさを抱えていると述べられている。また,大塚ら(2018)による研究では,生きづらさの一カテゴリーとして過剰適応が分類されており,他者の感情刺激に敏感なHSPは,その分他者に気を遣いやすく,その結果として過剰適応になりやすい可能性が考えられる。しかし,HSPは近年提唱された概念のためまだ明らかになっていないことが多く,HSPの生きづらさの詳細やHSPと過剰適応との関連については未だ研究がなされていない。本研究では,「HSP特性と自尊感情が過剰適応傾向及び過剰適応行動に与える影響について明らかにすること」を目的1,また「HSPの“生きづらさ”の詳細を自由記述によって探索的に捉えること」を目的2とし私立X大学の大学生らに対し質問紙調査を行った。目的1に対して,分散分析・重回帰分析を行った。その結果,HSP特性は過剰適応傾向に関連があるが,その緩衝要因として想定した自尊感情に緩衝効果はなくそれぞれの主効果がともに有意であり,HSP特性・自尊感情がそれぞれ独立して過剰適応傾向に関連していることが分かった。また目的2で行ったKJ法に準じた内容分析では,HSP特性が高い群は,HSP特性が低い群よりも生きづらさを感じる状況が多岐にわたっており,したがって多くの,より繊細な生きづらさを抱えていると推測することができた。本研究の結果からは,HSPの生きづらさはそのまま自尊感情の低い者や過剰適応傾向の高い者の生きづらさであるともいえる。加えて,HSPの生きづらさが詳細に分かったことにより,この生きづらさを解消していくことで、HSPの自尊感情を高め,過剰適応を抑制する一助となるであろう。
著者
河内 春人
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.185-215, 2004-09

The official history of the Tang Dynasty is contained in two volumes, the Jiu-Tangshu 旧唐書 and Xin-Tangshu 新唐書, both of which are said to have original content. This article examines their value as source materials through an analysis of their content, focusing on the information they provide regarding Japan.Originally, the Chinese Dynasties acquired their information about foreign affairs through the Honglusi 鴻臚寺 office, which was in charge of entertaining foreign guests. Reports would be made to the emperor, then the information was transferred to the compilers of official histories. In the case of the Xin-Tangshu, compiled in 1060, information on Japan centers around the genealogy of the royal family, the Onendaiki 王年代紀, prepared by the Buddhist monk Chonen 奝然, who had visited China in 984. What appeared in the compilation was an account of the genealogy with its Buddhist information replaced by facts about Japanese emissaries paying tribute. For this reason, the Xin-Tangshu contains no new information about Japan, relying mainly on what was contained in the Jiu-Tangshu and supplementing it with accounts from the Tanghuiyao 唐会要, etc.Moreover, from the mid-Tang through the first half of the Song 宋 period, a confusion existed about Japan in the form of distinguishing between the kingdoms of Wo 倭 and Nippon 日本, which was the name adopted under the Ritsuryo 律令 system. However, the Xin-Tangshu contains only a section dealing with Nippon, having combined the information on the two kingdoms. This is how the Onendaiki functioned to consolidate the information about Japan in China from the mid-eleventh century on.
著者
朱 春日 Chunri Zhu
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.89-106, 2009-03-19

日本語の語彙的複合動詞の組み合わせは、他動性調和の原則、主語一致の原則などにより制約されているが、語彙的複合動詞の中には、このような諸制約から外れた不規則な組み合わせの複合動詞が存在する(例:打ち上がる、舞い上げる)。これらの不規則な複合動詞は、自・他対応する複合動詞から派生されたと指摘されてはいるものの、具体的にどのような場合に派生されやすいのかについては考察されていない。本稿では、主に「上げる」「上がる」を後項とする語彙的複合動詞を取り上げ、「他動詞+非対格自動詞」と「非対格自動詞+他動詞」型の不規則な複合動詞が派生されやすい場合と派生されにくい場合について探った。その結果、「他動詞+非対格自動詞」型の不規則な複合動詞が派生されやすいのは、」後項動詞が実質的な意味を持つか持たないかに関わらず、前項動詞が実質的な意味を持たない場合と」前項が抽象的な意味を、後項が実質的な意味を持つ場合で、派生されにくいのは、(1)後項動詞が実質的な意味を持つか持たないかに関わらず、前項動詞が物理的な意味を表す場合と(2)前項が抽象的な意味を、後項が実質的な意味を持たない場合であることが分かった。「非対格自動詞+他動詞」型の複合動詞の派生においては、「他動詞+非対格自動詞」型の複合動詞に比べ、その数が限られており、「自動詞+自動詞」型の複合動詞と自・他対応しているのも少ないことが明らかとなった。
著者
毛利 豊史
出版者
専修大学学会
雑誌
専修人文論集 (ISSN:03864367)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.101-133, 2019-11-30
著者
久保田 裕次
出版者
国士舘大学史学会
雑誌
国士舘史学 = Kokushikan shigaku
巻号頁・発行日
vol.26, pp.47-88, 2022-03-20