著者
桶川 泰
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.6, pp.93-104, 2007-05-26

恋愛を礼賛する声は明治初期において芽生え、大正期においてより一層勢いを持ち、花が開くようになった。ただよく知られているように、大正期では個人の自由な配偶者選択すら認められていない現実が存在していた。それでは、当時の社会において恋愛は如何にして既存の秩序に訓化させられていたのだろうか。本稿では、恋愛が礼賛されると同時に、既存の秩序との調和を取るのに適した恋愛観・結婚観が大正期、もしくはその次の時代の昭和初期に如何なる形で存在していたのかを分析することでそれらの「問い」を解き明かそうとした。分析の結果、恋愛の情熱的な側面を盲目的なものとして批判し、危険視していく「情熱=衝動的恋愛観」言説を中心にして、恋愛が既存の秩序に訓化させられていた。そうした恋愛観は、まず恋愛には理性が必要であることを強調し、そしてその理性的判断のためには両親の意見や承認が必要であるという論理を生み出していった。またその一方で、そうした恋愛観は一時的な情緒的満足や快楽によって成り立つ恋愛を否定し、恋愛は子孫、民族のために費やさなければならないという論理を生み出すことで「優生結婚」とも結びつきを見せるようになった。
著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005-05-01
被引用文献数
2 6

【目的】患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである.【方法】外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した.【結果】看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった.異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた.【結語】看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
武者 晶子
出版者
東京女子大学
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.81-95, 1988-03-15
著者
千野 美和子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要 (ISSN:13477765)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-35, 2006-03-31

心理療法において,夢や,遊び,箱庭表現の中に,水のイメージが現れることがある.その水のイメージに注目して,心理療法のプロセスをみると,意味深い展開が生じていることが多い.イメージは,多義性を持つものであり,水のイメージといっても,多様である.しかし,その中に,筆者はこころを治癒する治療的イメージが存在するのではないかと考える.本論文では,水の創世神話と,Eliadeの水のシンボル,Bachelardの物質的想像力としての水を概観し,次に,心理療法に関わって述べられる水のイメージについて,Jungを中心に,治療的イメージを探る.
著者
加藤 慶
出版者
横浜国立大学
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.55-65, 2006

性同一性障害の表象はいかなるものであるのか。本稿は性同一性障害の表象を、新聞メディアを通じて明らかにすることに主題を置いている。分析対象とした時期は埼玉医科大学によって、性同一性障害に社会からの注目が集まった時期から、戸籍の性別訂正が可能となるまでである。
著者
南部 さおり
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.96-111, 2004-10-18
被引用文献数
2

「代理人によるミュンヒハウゼン症候群」(MSBP)は,「(1)親あるいは親代わりの人物によって偽装された児童の疾患,(2)その児童は医学的検査や治療に差し出され,それは通常,絶え間なく,しばしば複合的な医療手続をもたらしている,(3)その加害者は自分が子どもの病気の原因であることを否認する,(4)子どもが加害者から分離されると,急性症状や病気のサインは消失する」の4つの基準を満たす用語として広く一般的に用いられている医学的概念である(Meadow 1995).しかし,提唱者であるメードゥ自身が認めるように,この基準は特異性に欠け,医師やソーシャル・ワーカー,司法関係者たちに混乱を生み出した.本稿は,医学的「症候群」としてのMSBP概念の特性と意義,同証拠が事実認定に与える影響を考察し,MSBPの概念がいかなる意義を持つべきかを明らかにする.MSBP概念は,発見が困難な虐待を発見するためのツールとして用いられることに最大の意義が存する.刑事事実認定においてMSBP証拠は,不可解に見える現象に対する医学的アプローチとして参照可能であるが,それはあくまでも「症候群」証拠にすぎず,その性質上,犯罪事実の認定に際しての「決定的証拠」とはなし難いものである.
著者
木村 弘志
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2020

審査委員会委員 : (主査)東京大学准教授 両角 亜希子, 東京大学教授 福留 東土, 東京大学教授 牧野 篤, 東京大学准教授 小方 直幸, 東京大学准教授 中島 英博
著者
児玉 圭司
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.1-57,en3, 2015

<p> 本稿は、明治前期における監獄制度の展開を、受刑者に対する規律という観点から捉えようと試みるものである。<br> 本稿ではまず、日本における死刑の不可視化と、身体刑から自由刑への完全な切り替えが、いずれも一八八二年の旧刑法施行によって達成されたことを明らかにした。<br> 監獄の規律に関する最初の変化は、一八七三年以降にあらわれる。その内容は、以前と比べて、受刑者の生活や行動に関するルールが厳格化されるというものであった。これは、自由刑の採用によって受刑者が急増したこと、およびそれにともなって彼らを管理・統制する必要が生じたことによるものである。<br> 一八七六年以降、東京警視庁や内務省による主導のもと、各地の監獄において、受刑者をその習熟度に合わせて教育し、あるいは服役態度を評価するといった統治技術が新たに導入されている。その背景には、西洋の法制度に関する知識の流入と、これによって生じた改革機運があった。<br> その後、一八八二年になると、監獄制度の設計者は、監獄の目的は受刑者を「良民」に作りかえることにあると理解するようになる。そして彼らは、規律への順応に応じた優遇措置など、受刑者の内面に働きかけるさまざまな統治技術を、法制度の中に組み込んだのである。<br> しかし、少なくとも一八八七年にいたるまで、監獄行政の現場では、過酷な労働を科すなど、肉体的苦痛を与えて懲ら しめることによってこそ受刑者の改善がもたらされるとの主張が根強く、先に記した統治技術は十分に活用されるにはいたらなかった。その背景には、国家が受刑者の労働力を求めていたという実情や、当時流行していた、刑罰に対する復古的な思潮が影響を与えていたものと考えられる。</p>
著者
丹羽 啓子 / 久世 淳子 / 武田 啓子 / 水谷 なおみ / 藤原 秀子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.141, pp.95-102, 2019-09-30

著者らはこれまで介護職員が抱く「介護観」に着目し,「介護観」が介護実践に及ぼす影響について研究に取り組んできた.「介護観」に類似する概念として,ソーシャルワーク(社会福祉)の領域では「援助観」という語が用いられており,「援助観」は専門職としての判断の基盤となるものとされている(日和(2012);34). 本稿では,CiNii を用いて文献検索を行い,該当する文献6 件から福祉専門職の援助観にみられる共通項を整理した.その結果,福祉専門職の援助観に通底するものとして,「クライエントを尊重すること」,多職種・クライエントとの「連帯・協働・共有」,「内性的・反省的実践」,「生活者としての視点」が抽出された. 今回の文献検討の結果をふまえ,今後は介護職員を含めた福祉専門職の「援助観」(または「介護観」)の形成過程について検討していきたい.
著者
木下 勝之 石原 理
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.734-743, 1999-08-01
参考文献数
25