著者
横手 逸男 ヨコテ イツオ Itsuo Yokote
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.39, pp.127-144, 2008-07

「皇室典範に関する有識者会議」は、皇位継承資格を「男系の男子」だけでなく「女子や女系の皇族に拡大することが必要である」との報告を平成17(2005)年11月24日に行った。これについては、当該報告を支持する意見がある一方で、125代にわたって男系により継承されてきた皇室の歴史や伝統を無視するものであるとの反対意見がさまざまな識者により表明された。その後、悠仁親王のご誕生という新たな動きにより、女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案の国会提出は見送られた形になった。悠仁親王のご誕生により、男系男子の皇位継承者がいなくなる事態はひとまず解消されたが、皇太子の次の世代に男子が1人という現在の状況においては「安定的な皇位継承」が確保されているわけではない。皇位継承問題や皇室典範の改正については十分な検討が必要である。Stability of the Imperial succession is an important issue that affects the country's foundation. Under the current Imperial House Law, sooner or later, a situation may arise in which there is no eligible candidate for the Imperial Throne. The prompt establishment of a system that will ensure the stability of the Imperial succession is therefore an important for Japan.
著者
國井 泰人 池本 桂子 和田 明 楊 巧会 志賀 哲也 松本 純弥 丹羽 真一
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.105-112, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
5

我々は,精神疾患死後脳集積システムの構築とそれに並行した精神疾患の啓発活動を 1997 年より行ってきた。本稿では,福島精神疾患死後脳バンクのシステム及び,発足して以来現在までの歩みと実績を紹介するとともに,財政的問題や専属スタッフの不足,臨床医と基礎医学研究者との連携の必要性,全国規模でのバンクネットワークの必要性など,バンクの運営に従事する中で直面している課題について報告する。
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.111-131, 2005-03

1947年以降、アメリカ占領軍はその「逆コース」によって、当初の目的であった日本社会の非武装化・民主化を徐々に放棄し反共的復興に方針を転換した。その中、学生主導の反米主義は力を増し、「教育復興闘争」のイデオロギー化、全学連の結成へと結びついていった。日本共産党は全学連の反米的「反帝闘争」に対して否定的な立場をとり、党本部と学生細胞は対立していった。1951年の4全協をきっかけに共産党はより過激な反米主義を軍事闘争というかたちで唱えるようになるわけだが、それに至るまでの全学連と共産党における反米主義について考察する。
著者
多田 治
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2003

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1722号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2003/2/12 ; 早大学位記番号:新3475
出版者
酒井藤兵衛
巻号頁・発行日
vol.下, 1800
著者
和田 穣隆 南川 実咲
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.281-291, 2021-12-31 (Released:2022-02-22)
参考文献数
23

Surface structures of magmatic dikes reflect dike emplacement processes. Excellent exposures of the Miocene Hashigui-iwa dike (Wakayama, SW Japan) exhibit well-preserved surface structures including drag folds, scour marks, extension fractures, and cusps. Scour marks are evident on the drag-folded surface, and are in turn cut by extension fractures. Inside the cusps, which are clefts formed by adjacent convex margin irregularities, the drag-folded margins enclose mudstone lenses. Based on our field observations, we infer an emplacement mechanism whereby magma fingers ascended through moderately consolidated host sediments, forming scour marks on chilled margins and causing repeated drag folding. Continued magma flux allowed the fingers to expand, generating extension fractures on the chilled margins. Ultimately, the fingers coalesced, forming the now-preserved cusp structures.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1917年03月31日, 1917-03-31
著者
武部 玲央 古市 徹 石井 一英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.II_301-II_312, 2013

本研究は,稚内市及び離島を含む計5地域からなる宗谷地域の生ごみとそれ以外の可燃ごみ中の紙・プラ・布・木くず(燃料ごみ)の両方を対象とし,(1)既設バイオガス施設利用とごみ燃料(RDF)化施設の新設による地域循環圏シナリオを構築し,(2)コスト,リサイクル率,最終処分量を評価軸とし,現状の焼却施設更新シナリオと比較した場合の改善効果を解析し,実行可能な地域循環の構築例を示すことを目的とした.生ごみについては利尻・礼文島からコンテナ–フェリー輸送で稚内市の既設バイオガス化施設に運搬し,燃料ごみについては全ての地域からコンテナ輸送(またはコンテナ–フェリー輸送)し,稚内市で集中的にRDF化し,旭川市の既設製紙工場で利用するシナリオの改善効果が高いことを示した.
著者
佐藤 美樹 荒木田 美香子 金子 仁子 三輪 眞知子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.121-133, 2020-02-15 (Released:2020-02-22)
参考文献数
32

目的 本研究の目的は,幼児を持つ親の家族エンパワメント尺度(Family Empowerment Scale for Parents with Toddlers,以下FES-P)を開発し,妥当性と信頼性を検討することである。方法 まず,先行文献の検討と専門家への面接調査に基づき,尺度原案を作成した。次いで,全国の1~3歳児を持つ親800人(男性400人,女性400人)を目標回答数とし,インターネットを活用した構成的質問調査を実施し,FES-Pの妥当性と信頼性を検証した。さらに,再テスト法による再現性と安定性を検討した。結果 回答の得られた825人(男性412人,女性413人)を分析対象とした。因子分析の結果,5因子26項目で各因子の解釈が可能な最適解を得た。5つの下位因子は「家族との関係性」,「育児の効力感」,「地域とのつながり」,「親役割達成感」,「サービスの認知と活用」からなることが確認された。モデルの適合度は,GFI = .878,AGFI = .852,CFI = .943,RMSEA = .044と良好な適合値が得られ,構成概念妥当性が確認された。Cronbach's α係数は尺度全体で.96,下位因子では.85~.92であり,十分な内的整合性をもつと判断された。また,FES-P総得点とFamily APGER Score(r = .562, P<.001),育児感情尺度の肯定感(r = .620 P<.001),特性的自己効力感尺度(r = .318 P<.001)との間には正の相関が認められた。再テスト法による級内相関係数は,尺度全体でr = .876,下位因子ではr = .794~.876であり,安定性と再現性が確保できた。結論 本研究では,26項目,5つの下位因子からなる一定の妥当性および信頼性を有するFES-Pが開発された。5つの下位因子は相互に関連する構成概念であり,「育児の効力感」と「親役割達成感」は個人的なエンパワメントに関する項目,「家族との関係性」と「地域とのつながり」は他者との関係性に関する項目,「サービスの認知と活用」は社会資源に関する項目で構成されていた。