著者
永田 晋治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.168-176, 2013-03-01 (Released:2014-03-01)
参考文献数
60

昆虫が,環境に適応し,正確に成長し,そして繁殖するためには,各成長段階においてライフイベントに関わる行動が規定されている必要がある.つまり,脱皮,摂食行動,生殖行動,社会行動などは,生命や種の維持のための重要なメカニズムなのである.現在,昆虫の内分泌学的な行動制御の仕組みが明らかになりつつある.ここでは,これまでに明らかにされた昆虫の行動を制御する一連のホルモンと,その作用のメカニズムを脱皮,摂食行動,生殖行動をメインに簡単に紹介した.
著者
伊藤 公雄 MIYAKE Toshio 三宅 俊夫
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究実施計画に基づき、まず、戦前から戦後にかけての日本社会におけるオクシデンタリズムについての文献収集と分析を、受け入れ教授の伊藤公雄のアドバイスを受けつつ進めました。前年度、特に消費文化とポピュラー文化のグローバル化について検討を加えることで、近年の日本におけるイタリアイメージの形成について、考察を進めました。その成果の一部は、5月にダートマス大学で開催された「イタリアン・カルチュラル・スタディーズ学会」で発表しました("ltaly Made in Japan : Occidentalism, Self-Orientalism and Italianism in Japan", Dartmouth College 2010. 05. 08)。また、日独伊3国同盟を擬人化した『ヘタリアAxis Powers』という人気マンガを分析し、その成果について、「カルチュラル・タイフーン2010学会」で報告を行いました("Revisiting Japanese Occidentalism via Hetalia Axis Powers : Nation Anthrapomorphism and Sexualized Parody in otaku/yaoi Subcultures,駒澤大学、2010.07.04~07)。さらに、日本において進めてきたオクシデンタリズムと自己オリエンタリズムの交錯について、収集した資料等を活用しつつ、これまでミヤケが発表してきた論文を対象に再検討を行い、論文の修正点や改正点を洗い出した上で、"L'Occidente e l'Italia in Giappone. Occidentalismo, italianismo e auto-orientalismo"(日本における「西洋」と「イタリア」:オクシデンタリズム、オリエンタリズム、自己オリエンタリズム)と題した著書の出版の準備を進め、ほぼ完成段階に至っています(2011年に刊行予定)。
著者
佐藤 文孝
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.397-403, 2006-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
32
被引用文献数
2
著者
田渕 理史 並木 重宏
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.100-111, 2019-08-06 (Released:2019-08-26)
参考文献数
128

脳は内発的に情報を生み出すことで自身の構造を創り上げることが出来るだけでなく,情報表現のために機能状態を自身で創り換えることも出来るシステムである。 最近の研究から,“神経細胞の自発活動パターン”が,この過程において重要な役割を担っている可能性が示唆されている。 しかしながら,自発神経活動パターンがどのような分子機構によって形成され,どのような情報を伝達しているのか,さらに神経回路の設計指針としてどのように使われているのかなど,まだよく分かっていないことが多い。本総説では,発達期神経系において観察される自発神経活動パターンの時間構造と,それらの形成を担っている分子機構に関して,筆者ら自身の研究も含めた最近の動向を紹介する。 さらに,神経系の発生ないし生後発達の過程において脳の神経回路の基本構造を創り上げる時だけでなく,成熟した脳がより最適化された情報表現を行うために神経回路の機能状態を創り換える時においても,特異的な時間構造パターンを有する自発神経活動が神経機能の再構築のために使われている可能性を議論したい。また,自発神経活動の時間構造の機能的意義の理解に向けた将来発展的な方法論の開発の必要性についても考察したい。
著者
孫 江
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.43-50, 2010

本稿では、近代知の生産と流通という角度からヨーロッパの中国文明西来説について考察する。 一八八〇年代から一八九〇年代にかけて、ラクーペリは一連の研究のなかで、黄帝は両河流域のバビロンから移住してきたのであり、ゆえに中国人(漢人)の祖先はバビロンのカルデア人であった、という仮説を提出した。ラクーペリは、ビクトリア時代のイギリス経験主義の学問的潮流のなかで注目されたアッシリア学研究から多くのヒントを得た。彼は中国語とカルデア語を比較し、文献と出土品をつき合わせて両者の共通点を見いだすという自らの方法を「言語科学」、「歴史科学」と見なしていた、その研究は当時のヨーロッパ一流の東洋学者から批判を受けた。 しかし、ラクーペリの「西来説」は明治期日本に伝わった後、日本の中国研究者たちの間で大きく注目された。反対派桑原隲藏と擁護派三宅米吉、白鳥庫吉の意見対立は、成立したばかりの日本の東洋学がヨーロッパの東洋学に出会った際に遭遇した一つの問題を照らし出している。白河次郎・国府種徳がラクーペリの「西来説」をその著『支那文明史』(一九〇〇年出版)のなかに取り入れたことは、後に「西来説」が中国で受容される直接的なきっかけとなった。 一九〇三年、『支那文明史』の四種の中国語訳は東京と上海でほぼ同時に刊行された。清朝打倒を目指す革命者や「国粋派」は、政治的目標の実現や漢族アイデンティティの確立という観点から「西来説」に関心を寄せた。しかし、その一方で、「西来説」が逆に漢族の外来性を際だたせてしまい、排満革命の政治目標に合致しないことに気づくと、彼らは躊躇なくそれを捨てた。 近代中国のナショナリズムに関するこれまでの研究は、ほとんどの場合、近代中国のナショナリズムを直線的な歴史叙述のなかに組み入れており、そのため、異なるテクスト同
著者
宇野 功一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.45-104, 2005-03-25

近世博多の祭礼祇園山笠を例に、祭礼費用の増加過程と、その結果として生じた祭礼費用徴収法の変更および祭礼費用負担者層の拡大の諸相について明らかにした。分析対象は行町と片土居町という二つの町である。祇園山笠には二つの当番、山笠当番と能当番があった。本稿ではおもに、より重要でより多額の費用を要する山笠当番について論じた。この当番は数年に一度または十数年に一度だけ各町に巡って来たので、各町はこの間に多額の当番費用を準備することができた。そのためこの祭礼は徐々に豪華になっていった。しかし江戸後期になると当番費用が高騰し、豊かでない町では当番費用の徴収法に工夫を凝らすことになった。分析した二町の例から、当番費用負担者層と当番運営者層が町内の表店に居住する全世帯に拡大していく過程が観察された。とりわけ幕末の片土居町ではこの拡大が極限にまで達していた。つまりこの町では居付地主・地借・店借の別なく町内の表店全世帯に同額の当番費用が割り振られており、当番運営においても原則的には表店の全世帯主が平等に参加していたようである。また、その内容は異なるものの、両町とも町中抱の家屋敷を利用することで当番費用の一部を捻出していた。特異な祭礼運営仕法によって祭礼費用が高くなりすぎた結果、祭礼費用にかんして徴収法の変更と負担者層の拡大がなされ、それに伴い祭礼運営者層も拡大した、という一例を示した。
著者
窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.607-612, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
20

2002年ホームレス自立支援法が成立した。自治体に実施計画が義務づけられるなか、東京都では自立構築システムのもとで緊急一時保護センターや自立支援センターなどが設けられた。センターの立地やデザイン、内容についてはまだお問題はあるし、ここまでの施策は就労を前提としていることがしばしば指摘されてきた。しかし民間借り上げ住宅も検討され、多様な選択肢が用意され初めている。新宿区では NPOや自治体のみならず地域住民や路上生活者自身が加わる検討協議会も立ち上げられた。事態は進展しつつある。今後は、予防まで含めた総合的な取り組みを進めること、路上生活者自身の主体的な取り組みの支援、居住の権利に基づきながら問題を政治化していくことが必要だ。
著者
陸軍築城部本部 編
出版者
[ ]
巻号頁・発行日
vol.第17冊, 1900
著者
小野田 教高 須田 俊宏 木野 紀
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.2513-2517, 2018-12-10 (Released:2019-12-10)
参考文献数
8

72歳,男性.軽微な打撲で上肢に皮下出血を来たし,赤ら顔,満月様顔貌を認め,Cushing症候群が疑われた.3年前より,ベタメタゾン含有製剤を点鼻で継続使用していたことから,外因性ステロイドが原因であることが判明した.被疑薬剤を中止,ヒドロコルチゾンの補充漸減療法にて症状は軽快した.副腎皮質ホルモン製剤は,投与経路にかかわらず,内因性の視床下部―下垂体―副腎系を抑制し得ることを認識する必要がある.

3 0 0 0 OA 漁船統計表

著者
農林省水産局 編
出版者
農林省水産局
巻号頁・発行日
vol.昭和9年, 1938
著者
村上 てるみ 西村 敏 舟塚 真 新宅 治夫 一瀬 宏 大澤 眞木子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.E663-665, 2013-07

瀬川病は14q22.1-q22.2に存在するGTPシクロヒドロラーゼI(GCH1)遺伝子異常に起因する常染色体優性遺伝性ジストニーである。典型例では6歳をピークに下肢姿勢ジストニアで発症し筋固縮の進行は10歳代後半までみられるが以後緩徐になり30歳代では定常状態となる疾患である。日内変動は小児期には著明であるが20歳代後半には徐々に消失することが知られている。多くの患者が症状の日内変動に気づかれず脳性麻痺などの診断を受けている。今回私たちも脳性麻痺と診断を受けていたが問診により症状に日内変動があることに気付き遺伝子検査にて瀬川病と確定診断しL-dopaが著効した1例を経験したので報告する。,症例は17歳女性で 家族歴, 既往歴, 発達歴に特に問題は認めなかった。6歳時に左足の尖足、歩行障害、 姿勢の異常出現、症状の増悪を認めたため当科を受診した。問診にて歩行障害、姿勢の異常には日内変動があることが判明した。 脊髄・頭部MRIでは異常を認めず、臨床症状と日内変動を認めるという問診より瀬川病を疑った。 髄液中のネオプテリン、バイオプテリンの低値と血球中のGTPシクロヒドラーゼI(GCH1)酵素活性低値、さらにGCH1遺伝子異常を認め瀬川病と確定診断した。 L-dopa内服で速やかに完全寛解し10年経過するが副作用なく持続している。診断のきっかけは朝夕での症状の違いを具体的な例をあげて母親に質問したことで症状に日内変動があることがわかった。具体例を挙げての詳細な問診は診断の一助となることを再認識した1例であった。,

3 0 0 0 OA 座談会

著者
青松 棟吉 大谷 尚 西城 卓也
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.249-274, 2014-08-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2
著者
八田 達夫
巻号頁・発行日
2014-03

本報告は,北九州市の発展のために最も必要とされている国の規制改革を選択する事を目的としている。このため,まず,北九州の飛躍的な発展のためには,北九州空港を活性化し,北九州市を支店都市として復活させることが鍵であることを示す。その上で,北九州空港を活性化するために必要な 3 項目の国の規制改革を明らかにする。高度成長期以降,全国の中枢都市のほとんどが人口を伸ばした。しかし鉄道時代から航空時代に転換した時点で,ジェット機対応空港を持っていなかった北九州市の人口は,例外的に縮小した。それに対して,ジェット機対応空港を持つ福岡市は,中枢都市としての自然な発展を遂げた。しかし福岡空港の混雑が限度に達している。滑走路 1 本当たりの発着数は,すでに日本一である。10 年後に発着数を約 30%増大する滑走路の増設工事が予定されているが,それ以上の増設は地形的に見込めない。ところが博多駅から小倉駅を経由して 25 分で到着できるようになる北九州空港を活用することによって,福岡市は今後も伸び続けていける。一方,北九州市はこの空港の発展によって,支店都市としての機能を回復できる。北九州空港の利用者数を大きく増加させるために必要な方法は,①24 時間空港である北九州空港の夜間使用の活性化のための夜間空港使用料の引き下げ,②北九州空港・福岡市間を直結する高速バス定期便導入語バス会社間の競争促進によるバス料金の抑制,③小倉駅・北九州空根間の新幹線建設と博多駅・小倉駅間の新幹線特急料金の引き下げである。次に,この観点から,北九州空港活用のために有用な規制改革を分析した。第 1 に,北九州空港を活性化するには,夜間の空港使用料を引き下げる必要がある。これは,十分な政策的根拠があるのならば,空港法に基づく空港管理規則第 11 条による国土交通大臣の告示に基づいて引き下げることが可能である,本稿では,北九州空港の場合,夜間空港使用料を引き下げることを正当化する政策的な根拠があることを示す。第 2 に,北九州空港・福岡市間に多くの高速バス会社の参入を促すためには,福岡の各バス会社が権益を持っている福岡市のバスターミナルが,認可された使用料の下で開放される必要がある。確かに,バスターミナルは,自動車ターミナル法によって開放が義務づけられてはいるが,使用料の決定方式は自動車ターミナル事業者の届出に任されている。送電線が開放されているように,あらかじめ認可された使用料でのオープンアクセスをバス会社に義務付ける法改正が必要である。第 3 に,近い将来,博多駅と北九州空港とを直接結ぶ新幹線で利用されることになる際,博多駅・小倉駅区間の新幹線の旅客運賃を下げる必要がある。十分な根拠があれば,鉄道事業法第 23 条に基づく旅客運賃に対する国土交通大臣の改善命令によってこの区間の運賃の引き下げが可能である。博多駅・小倉駅区間の場合には,これを正当化する根拠があることを明らかにする。
著者
大久保 利道
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.49, pp.167-169, 1998-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

北海道の札幌においてハマナスのゴールからハマナスメトゲコブタマバチ (Diplolepis fukudae) を確認した。ゴール内には複数の育房がみられ, 出現した蜂の性比は雌に偏っていた。タマバチの寄生蜂としてオナガコバチ, カタビロコバチ, ヒメバチそれぞれ1種が認められたが, 主体はオナガコバチGlypymrerus stigm (Fabricius) であった。