著者
冨岡 典子 太田 暁子 志垣 瞳 福本 タミ子 藤田 賞子 水谷 令子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.120-130, 2010-04-05

日本においてエイの食習慣が形成された背景および地域性を明らかにすることを目的に,「平成15・16年度日本調理科学会特別研究-魚介類の調理」および『日本の食生活全集』を主な資料として検討した結果,以下のことが明らかになった。エイは,東北,近畿,中国地方の海から遠い内陸部や山間部地域の晴れ食には欠くことのできない食べ物として供されていた。エイの魚肉は尿素含量が高く,魚類としては腐敗しにくい特性を持ち,日持ちのする無塩もの(鮮魚)として調理できること,また,乾物にして保存し,利用できることなど,海から遠い地域でも利用できる条件を満たす海魚であった。エイは,肉,ひれ,骨のすべてが食用になり,軟骨特有のコリコリとした歯ごたえおよび煮もの調理によって形成されるゼラチン質の煮こごりなどの食感は,日本人の嗜好に合い,本草書に記されたエイの食品価値は,民間に伝わったアカエイの肝の薬効とともに高く評価されてエイの食習慣が定着した。
著者
松坂 ヒロシ
出版者
早稲田大学英語英文学会
雑誌
英語英文学叢誌 (ISSN:13476440)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.12-13, 2015-03-25
著者
池田 法子
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
no.63, pp.379-391, 2017

本論は、1920-30年代の日本社会で国民統合理念として掲げられた「公民」概念を、マイノリティ集団である聾唖者がいかに受容し、抵抗したか、その様相および葛藤を考察するものである。具体的には、当該時期の障害児教育の発展に貢献した川本宇之介の「公民」教育論と聾教育の関係を整理し、聾唖学校教員や農村部の女性等の様々な立場の聾唖者からの川本の議論に対する対応・反応を考察した。「公民」教育論は、自由や平等といった価値の拡張を理想とする「デモクラシー」を基調に行動する「公民」の育成を目的とし、教育の機会均等の観点から聾教育に連結した。聾学校卒業生・教員の立場では、その理念には共感が示されたが、実際の学校や日常生活場面での手話の合理性や心理的影響に関する反論があった。一方、経済的・精神的自立を重視する「公民」概念は、国家社会に有用な人材たるイデオロギーを含みつつも、労働・結婚の差別に直面した当事者に受容された。This paper examines how the concept of "Koumin – Public Citizen, " which was proposed as an idea of unity of the Japanese people in the 1920s – 30s, was accepted or resisted by a minority group, the deaf. Focusing on Unosuke Kawamoto, who contributed to the development of education for people with disabilities during this period, his idea of "Koumin" education was clarified. Then, the reactions of various deaf people, such as teachers and alumni of schools for deaf children, and a woman living in rural area ware examined. Idea of "Koumin" education aimed to educate people as citizens capable of acting based on "democracy, " which is an extension of the value of liberty and equality. In terms of equal educational opportunities, this concept was connected to the education of deaf children. Deaf alumni and teachers sympathized with the educational idea, but they objected that sign language was the rational and comfortable language for them. The concept of "Koumin" education stressed independence, and was accepted by deaf people who faced discrimination with regard to labor and marriage, involving the ideology of being useful to the Japanese nation.
著者
浅川 直輝
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.844, pp.76-83, 2013-10-03

CTF本戦では、主催者が各チームにサーバーを割り当てる。各チームは、サーバーで動作するサービスの脆弱性を見つけ、そこを突いて他チームのサーバーに侵入し、特定のファイルを奪取することを目指す。他チームのファイルを取得すればポイントが増え、自チー…
著者
小野 和幸 大河原 治平 阪本 敏久
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.64-68, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
12

現場での心肺蘇生拒否(do not attempt resuscitation,以下DNARと略す)の意向をもつ家族等に対応するための「救急隊員が行う応急処置に関する要望書」(以下,要望書と略す)について,その使用状況を調査した。平成18年から24年の間に現場でDNARの要望があった対象例を検討した。調査期間中のDNAR対象は12件あり,11件で要望書が提出された。年齢は72歳から100歳まで,性別は男7名,女5名,DNAR意思確認書類を事前に提出されたのは1名,心肺蘇生実施4名,搬送実施9名であった。要望書はDNARの搬送のほか,特定行為を拒否し一次救命処置のみでの搬送や不搬送とすべき傷病者で活用されていた。傷病者の医療拒否権について合意形成がない中でも現場でDNARに遭遇することがあり,要望書は現状の解決策の1つと思われる。解決策として救急業務実施基準等の改定が望まれる。
著者
坂下 晃祥 田中 秀和 Akiyoshi SAKASHITA TANAKA Hidekazu 花園大学社会福祉学部 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
出版者
花園大学社会福祉学部
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
no.19, pp.79-94, 2011-03

2007(平成19)年に社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、より時代のニーズに適合した社会福祉士の活躍が求められている。一方、福祉に関する専門職の資格として、社会福祉士より先に制度化された社会福祉主事については、議論の場に登場する機会が減少し、これまでにもその制度の形骸化が指摘されており、その存在意義が問われている。本稿においては、社会福祉主事任用資格の制定史を振り返り、改めてその意義と課題を探ることにより、今後の議論に活かそうとするものである。
著者
石井 雄隆 近藤 悠介
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.71-76, 2015-12-12

本研究では,文書分類の手法と一般化線形モデルを用いて英語ライティングにおける文法的誤りの影響について調査した.日本人英語学習者のスピーキングやライティングのパフォーマンスを自動採点する試みが近年注目を集めているが,どの特徴量がどれほど評価に寄与しているかについては,まだ十分に明らかにされていない.本研究では,パフォーマンスを測る一つの指標である文法的正確さに焦点を当てて,その影響を調査した.その結果,エッセイ評価に影響を与えている文法的誤りは,動詞の語彙に関するエラーと語順に関するエラーの二種類の文法的誤りであった.英語学習者のライティング評価においては,動詞に関する誤りは,他の文法的誤りに比べて,エッセイの全体的評価に大きな影響を与えていることを示唆する結果となった.
著者
勝良 健史
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.40-63, 2009 (Released:2011-12-21)
参考文献数
60
著者
石井 余史子 Bipin Indurkhya 野瀬 隆 乾 伸雄 小谷 善行 西村 恕彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.125, pp.31-38, 1997-12-19
参考文献数
5
被引用文献数
1

こどもが複数の絵からお話を作成できるように、絵を利用してこどもの作文作成を支援するシステム、STEP("Story TElling from Pictures") の改良を次の二点について行った。まず一つめは、こどもの日常生活場面の知識を調べるアンケートを行い、その結果から、こどもの日常生活を表現した絵を作成し、こどもの生活を反映するように、STEPの絵のデータベースの改良を行った。次に二つめとして、こどもがSTEPで遊べるように、お話作成支援の方法にジャンニ・ロダーリの提案する方法を利用した。改良後、作文の不得意な小学一年生の男女各一名にSTEPで遊んでもらった結果、こどもは複数の絵からひとつのお話を作ることができた。In this paper, we describe the modifications to our system, Story TElling from Pictures ("STEP") in which children practice their writing as a game. First, we changed pictures in STEP, from unfamiliar ones to the ones with which children are familiar. In order to do so, we asked 12 children to fill out a questionnaire, prepared pictures using the information from the questionnaire, and used these pictures in STEP. Then, we incorporated some techniques from Gianni Rodari's " The Grammar of Fantasy" into STEP to promote creative writinar in children. In our test, one girl and one bow (first graders) had fun making stories using STEP-we present that data here.
著者
北神 雄太
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.563-564, 2010-03-08
参考文献数
4
著者
江尻 愛美 河合 恒 藤原 佳典 井原 一成 平野 浩彦 小島 基永 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.125-133, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
25

目的 本研究は,都市部の地域在住高齢者における社会的孤立の予測要因を縦断的に明らかにし,その予防策を検討することを目的とした。方法 2012年10月1日時点で東京都板橋区の9町丁目に在住する65歳から85歳の高齢者7,015人を対象として,郵送法による質問紙調査を行った。回答が得られた3,696人に対し,2014年に再度質問紙を送付し,2,375人から回答を得た。孤立は,「別居家族や友人等との対面・非対面接触頻度が合計で月2,3回以下」と定義した。その他の調査項目は,2012年の性,年齢,健康度自己評価,現病歴,手段的日常生活動作(IADL),外出頻度,団体参加頻度,家族構成,主観的経済状況とした。孤立の予測要因を検討するため,上記の調査項目と,2014年の孤立の有無との関連を,t検定,カイ二乗検定およびロジスティック回帰分析で検討した。結果 孤立に関してデータが完備した1,791人中,2014年の孤立者は348人(19.4%),非孤立者は1,443人(80.6%)だった。多変量のロジスティック回帰分析の結果,男性(調整オッズ比,95%信頼区間:1.88,1.41-2.50),加齢(1歳増加)(1.03,1.01-1.06),団体参加頻度が週1回以上の者と比較して,月1~3回の者(1.62,1.04-2.53),主観的な経済状況が苦労していない者と比較して,苦労している者(1.67,1.20-2.32),2012年の非孤立者と比較して,孤立者(10.24,7.60-13.81)と,孤立状態不明者(8.15,3.76-17.67)は,孤立の発現率の高まりと有意に関連していた。また,ベースライン時に孤立していなかった者において,男性(2.39,1.57-3.64),健康度自己評価が非常に健康である者と比較して,健康でない者(3.99,1.33-11.94)は,2年後に新たに孤立する可能性が有意に高かった。結論 都市高齢者の孤立を予防するためには,社会活動への定期的な参加が有効である可能性があり,孤立の危険性の高い高齢男性に対して活動への参加促進を図っていくことが効果的であると考えられた。