著者
原口 耕一郎
出版者
名古屋市立大学
巻号頁・発行日
2018-03-26

平成29年度
著者
村上 祐一
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2013-03-25

レーザ加工では,レーザ光線をレンズで集光し,発生する熱によって材料を融解して加工するため,加工面には大きな熱影響が残る.また,レーザ切断では被加工材が急熱急冷されるため複雑な相変態が生じる.特に高張力鋼鈑などの炭素が含まれる材料において,マルテンサイト変態は体積膨張を伴い加工面付近での熱応力分布に強く影響を及ぼす.このため被加工母材には「ねじれ」や「反り」といった現象が生じ,生産加工分野において問題となっている.レーザ加工について,現在まで切断品質に及ぼすレーザ加工条件の影響について,数多くの研究が行われているが,レーザ切断における被加工母材の特性に注目した研究はあまり行われていない.そこで本研究では,これまで研究の対象であった薄板材(1.2mm)に対して,厚板材(3,6mm)を対象として,レーザ切断の影響が残留応力,温度分布に及ぼす影響を調査した.また,数値解析においても残留応力と温度分布の解析を行い熱影響の挙動把握を試みた.さらに,加工条件のみの変更では残留応力の低減に限界があるため,レベラ加工を用いずに残留応力を低減できるかを試みた.1.出力と速度が及ぼす熱影響切断速度が遅い場合は被加工母材への入熱量が増加し,熱影響が強くなってしまうため切断速度はなるべく速くするべきである.2.レーザ切断における数値解析切断速度が遅い場合,被加工母材に生じる熱分布の高温領域が広くなることにより引張応力の影響が強くなることが分かった.また,温度履歴に伴う相変態を考慮することでより正確な熱-塑性解析が行えることを示した.3.残留応力の抑制法の検討板材を圧延することによってレーザ切断後に近い残留応力を発生させることができた.残留応力を発生させた板を圧縮することによって,残留応力を低減させることができた.
著者
MORI Maryellen T.
出版者
International Research Center for Japanese Studies
雑誌
Nichibunken Japan review : bulletin of the International Research Center for Japanese Studies
巻号頁・発行日
vol.12, pp.231-246, 2000-01-01

This essey briefly examines three stories by Edogawa Rampo that treat the theme of "doll-love". Hitodenashi no koi, Osie to tabi suru otoko, and Mushi. The relationshio between doll-love and the desire for self-metamorphosis that prevades Ranpo's literature is considerd. The essey suggests that the doll functions as a fetish to both reveal and disguise a male characte's perverse desires, by elevating them to a quasi-religious form of love.
著者
樽野 博幸 石田 克 奥村 潔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.81-151, 2018-03-31

熊石洞は日本の代表的な後期更新世の哺乳類化石産地の一つで,29種が知られている.本稿 ではこれらの中で,ヒグマ Ursus arctos,トラ Panthera tigris,ナウマンゾウ Palaeoloxodon naumanni, カズサジカCervus(Nipponicervus)kazusensis,ニホンカモシカ近似種Capricornis sp., cf. C. crispusの 記載を行った.トラとカモシカ属の化石は,熊石洞からは初めての報告である.その中で,以下の 点について議論し見解を明らかにした.1ヒグマUrsus arctosとツキノワグマU. thibetanusとの上顎 第4小臼歯における識別点,2ナウマンゾウ Palaeoloxodon naumanni の第3・第4乳臼歯と第1大臼歯の 咬板数,3中型シカ類ではカズサジカ Cervus(Nipponicervus)kazusensis のみが産出し,ニホンジカ Cervus(Sika)nipponの産出は確認できない,4ニキチンカモシカNaemorhedus nikitiniはゴーラル属 Naemorhedus ではなくカモシカ属 Capricornis に属する,5日本の更新世のカモシカ属は,現生のニ ホンカモシカより大型である.
著者
高橋 大輔 鈴木 隆 加藤 良一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-20, 2010-02-15

要旨 : 植物性食品の抗菌性を簡便に調べることができる実験教材として、(A)YEB寒天培地又はPYG寒天培地の中央に直径10mmの穴を開け、腐葉土からの2倍希釈の上澄み液を培地表面に0.5ml塗布し、その中央の穴に抗菌性食品を約0.3g入れ、それらをシャーレで24時間培養する方法、(B)YEB寒天培地又はPYG寒天培地の中央に直径10mmの穴を開け、納豆からの5倍希釈の上澄み液を培地表面に0.5ml塗布し、その中央の穴に抗菌性食品を約0.3g入れ、それらをシャーレで24時間培養する方法、及び(C)6枚切り又は8枚切りの食パンの耳の部分を切り落とし、さらに1枚の食パンをほぼ均等に4つの四角形の切片にし、その切片の片面のみ腐葉土からの5倍希釈の濾液に浸し、その切片の中央に約0.3gの抗菌性食品を置き、それらを密封容器で5日間培養する方法の3つが簡便で分かりやすいものとして示された。
著者
小林 忠雄
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.295-332, 1991-11-11

江戸を中心とした近代科学のはじまりとしての合理的思考の脈絡について,近年は前近代論としてさまざまなかたちで論じられている。加賀の絡繰師大野弁吉については,これまでその実像は充分に分かってはいない。本論文はこの弁吉にまつわる伝承的世界の全貌とその構造について,弁吉が著した『一東視窮録』を通して検証し,幕末の都市伝説の解明を試みたものである。弁吉は江戸後期に京都に生まれ長崎に遊学し,あるオランダ人について西洋の医術や理化学を学んだという。その後加賀国に移り住み,絡繰の茶運人形やピストル,ライター,望遠鏡,懐中磁石や測量器具,歩度計などを製作した。『一東視窮録』の表紙にはシーボルトらしい西洋人の肖像画とアルファベットのAに似た不思議な記号が描かれている。しかし,この西洋人は不明であり,またA形記号は,18世紀のイギリスで始まったフリーメーソンリーの象徴的記号に似ている。この書物には舎密術(化学)・科学器具・医術・薬学・伝統技術等々が記録され,特に写真術についてはダゲレオタイプと呼ばれた銀板写真法の技術を示したものであった。こうしてみると,『一東視窮録』の記載はメモランダムであり,整合性のある記述ではない。いずれにしろ弁吉の伝説のように,その実態が茫洋としていること自体が,本格的な西洋窮理学の本道をいくものではなかった。そして,幕末期の金沢には蘭学や舎密学・窮理学あるいは開国論を議論しあう藩士たちの科学者サロンがあり,弁吉もその中の一員であったと考えられる。そして弁吉の所業は,小江戸と称された城下町金沢の近世都市から機械産業を基軸とした近代都市へと,その都市的性格を変貌するなかで,まったく都市伝説と化していった。それは柳田國男が表現した「都市は輸入文化の窓口である」という都市民俗の主要なテーマに沿ったものとして理解できる。
著者
桟敷 まゆみ
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要 人文科学・社会科学編 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Humanities and Social Sciences (ISSN:24339180)
巻号頁・発行日
no.2, pp.83-106, 2019-03-29

筆者は、留学生や外国につながる学生の自律的な日本語学習を支援することを企図し、担当授業において「学習記録レポート」を用いた取り組みを実施した。受講生は開講前に自ら学習目標を立て、学習を計画し、学期中はそれにもとづき日本語学習を進めた。学期終了時には自らの学習状況や学習姿勢等をふり返り、学習記録レポートを書いた。本稿の目的は、学習記録レポート執筆の取り組みが、受講生の日本語学習に関する内省を深め、自律学習に必要なメタ認知の力を鍛えることに貢献したかを検証することである。結果、自らの計画に基づく日本語学習が受講生に様々な気づきをもたらし、自律学習の遂行時に使用するメタ認知的知識が得られることがわかった。受講生が学習の目標と計画を立て、試行錯誤しながら学習を進め、最後に学習や自らをふり返るという一連の活動は、メタ認知的活動と言えるものである
著者
山田 貴子 Takako Yamada
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.129-142, 2019-02-28

高等教育のアウトカム重視傾向の高まりから、汎用的能力獲得における正課外の学習活動が果たす役割に注目が集まっている。そこで本研究では、ラーニングコモンズの活動に焦点をあて、学生スタッフの社会人基礎力1)への影響を検討することを目的とした。研究1では、学生スタッフの社会人基礎力に与える影響のうち、課外活動経験に注目し、学生スタッフ46名の社会人基礎力得点と、①アルバイト、②サークル活動(部活動を含む)、③教職課程履修、④SA経験、⑤一人暮らし経験の5つの課外活動経験の有無との関連を検討した結果、すべての項目に関して有意差は認められなかった。研究2では、学生スタッフ44名を対象にラーニングコモンズでの活動に関するアンケート調査を事前・事後の2回に分けて実施した。その結果、向上させたい力として【発信力】【働きかけ力】【主体性】を重要視する学生が多く、対人関係における社会的成長および人格的成長への志向性が確認できた。以上のことから、ラーニングコモンズにおける正課外活動実践は、社会人基礎力の発揮・向上の場となり得ることが示唆された。
著者
渡辺 千晶 浅本 紀子 桑名 杏奈
雑誌
研究報告アクセシビリティ(AAC) (ISSN:24322431)
巻号頁・発行日
vol.2017-AAC-3, no.15, pp.1-5, 2017-03-03

現在,日本には 393 万 7 千人もの多くの身体障害者がいる.しかし求職中の身体障害者数と実際の被雇用者数には不釣り合いが生じている.身体障害者の就労をもっと増やすためには,彼らの享受する教育をより良いものにすることが必要である.身体障害者の学習には,障害の特性に応じた機能を使用できる教材があれば良いと考える.本研究ではオンライン学習は身体障害者の中でも視覚障害者に対して特に有効であると考え,視覚障害者の学習を保障するアプリケーションを作成したいと考えた.そこで視覚障害者のスクリーンリーダーを利用した数式のオンライン学習を支援するため,数式の TeX コードをコンテンツ形式 MathML に変換するアプリケーションを考案した.
著者
中原 忠男 前田 一誠 山口 武志 岡崎 正和 影山 和也
出版者
環太平洋大学
雑誌
環太平洋大学研究紀要 = Bulletin of International Pacific University (ISSN:1882479X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.237-249, 2018-03-21

While division is one of the crucial concepts in elementary mathematics, it is hard to understand it. Thus, various research tasks have been tackled so far. We as a research team have investigated the following three tasks: 1) developing the survey which consists of a set of problems that enable to clarify the actual conditions of children’s construction of division concepts comprehensively and systematically, 2) revealing the actual conditions of children’s construction of division concepts based on the survey, and raising the research tasks on the teaching and learning of division, and 3) through examining those research tasks, proposing our alternatives for improving the teaching and learning of division concepts based on multi-world paradigm. In this paper we propose our final research findings by reflecting on our whole studies until now in a comprehensive way according to the following three steps. First, we give a general description of the perspective of multi-world paradigm as our theoretical background. Next, we overview our research results on the above 1) and 2) which have already been published. Finally we examine our alternatives for improving the teaching and learning based on the multi-world paradigm, which will become our final research findings, where we will emphasize the importance of meaningconstruction and tool-construction on division concepts.
著者
佐々木 哲也 ササキ テツヤ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.19, pp.187-196, 2019-03-31

静岡文化芸術大学(以下、本学と略記)は、開学以来、主に地震に重きを置いた防災対策に取り組み、東日本大震災以降は内容を拡充して継続している。この防災対策のうち、2018年に作成した教職員用の防災マニュアルは「いざという時、しっかりと役に立つこと」を目標とし、WEBでの公開も含めた情報共有の強化、災害発生時の閲覧のしやすさへの配慮、学内の防災訓練との一体的な運用等の特徴をもつものとなっている。本稿は、本学及び同様の境遇をもった他大学の防災対策の発展の一助となることを目的として、本学の防災対策を実務的な観点から整理して報告するものである。加えて、防災対策の現状を踏まえ、今後の本学の防災対策の課題として「防災の取り組み体制の全学化」と「他大学との広域的な連携」の2点を提示する。