著者
渡邊 幸樹 稲村 浩 中村 嘉隆
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.379-380, 2018-03-13

近年,BLEビーコンによる屋内の人流把握が注目され,特に滞留行動の把握は様々な効果が期待される.本稿では,試作したセンシングデバイスにて周囲の移動端末に搭載されたBLEの挙動を検知し,人流から滞留者の検知と働きかけの対象となる潜在顧客の判別を試みる.取得したRSSI値の変動に対してDTWを用いたテンプレートマッチングにて潜在顧客の行動特徴を示した滞留者の判別を行った.このセンシングデバイスは環境発電による間欠動作を想定している.しかし,人流のように連続的な計測が必要な場合には間欠動作では判別精度の低下が懸念される.ハードウェア最適化を考慮した上で判別に適切な動作間隔についても議論する.
著者
藤井 巧朗 濱上 知樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1668-1677, 2023-12-15

機械学習システムは訓練データとテストデータが同一の分布に従うものと仮定した状況下で動作する場合が多い.しかし,それらの分布は異なることが多く,ドメインシフトにより実用時に性能が低下してしまうという問題がある.本論文では,自然言語処理分野におけるドメインシフトの課題を解決するために,事前学習済み言語モデル(PLM)のFine-Tuningプロセスに着目した教師なしドメイン適応(UDA)に取り組んだ.本論文はPLMのFine-Tuningプロセスにおいて,正規分布に従う低次元の特徴量を獲得すると同時にノイズを付与するGaussian Layerを提案し,タスクヘッドに適用することでドメインシフトを軽減する.実験結果より,Gaussian Layerは特にソース・ターゲットドメイン距離が遠いより困難な設定で優位であることが確認された.また,分布整合分析より,Gaussian Layerは従来のUDA手法と比較してソース・ターゲットドメイン分布を整合することが確認でき,ドメイン不変な表現を獲得できることを示した.
著者
小松原 潤子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37, 2023-12-15

高校情報科教員向けサイト「キミのミライ発見」の2022年度感謝状受賞に対する謝辞.
著者
當山 日出夫
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.18(1992-CH-017), pp.13-18, 1993-03-05

すでに原著者の著作権の消滅した古典文学作品の電子化テキストの作成・公開・流通における著作権上の問題として考えるべきは、1.文化遺産としての古典文学作品は広く社会的に享受されねばならないことを前提にすべきである。2.校訂者(研究者)学問的業績は保証されねばならないが、それが、作品それ自体の複製権にまで及ぶものではない。
著者
前山 和喜
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.709-710, 2019-02-28

日本におけるコンピューティング史に関する資料保存は,情報処理学会や国立科学博物館による認定に留まっている.この取り組みにより重要な資料が散逸しないようになっているが,組織的に大規模な資料収集や保存をするまでには至っていない.その理由に,コンピューティング史の資料の形態が多様であるという問題が挙げられる.計算機本体や,入出力装置をはじめとする周辺機器のようなハードウェアだけでなく,プログラムライブラリなどのソフトウェア,写真や映像などのメディア資料,マニュアルや教科書,研究ノートなどの当時の技術を示す資料なども含まれる.これらの資料を,歴史研究の観点から考察することで,保存のための枠組みを提案する.
著者
藤江 匠汰 渡辺 知恵美
雑誌
研究報告アクセシビリティ(AAC) (ISSN:24322431)
巻号頁・発行日
vol.2023-AAC-23, no.7, pp.1-8, 2023-11-27

本研究では,アジャイルなソフトウェア開発の普及に伴い,チームメンバー間およびユーザーとの直接対話の重要性を探求し,特にろう・難聴者がこれらの対話に平等に参加するためのストラテジーに焦点を当てている.小規模でフレキシブルなチームが推奨されるアジャイル開発において,即席で発生する対話の中で情報を得ることの困難さを克服するためのアプローチを提案する.予備実験を通じて「対話の常時可視化」と「ろう・難聴者による可視化の主導権の保持」という二つのコミュニケーションストラテジーの仮説を立て,実験を通じてこれらが対話の理解に与える影響を検証した.実験では,聴者二人とろう・難聴者一人の小規模グループを対象に,指定したコミュニケーションストラテジーを用いて対話を行った.その結果,対話内容の可視化が時には理解を妨げる要因となり得ることが明らかになった.また,音声認識技術も場合によってはグループ対話への参加を妨げる可能性があると示された.これらのことから,単にツールや手段を使うだけではなく,チームでのコミュニケーションストラテジーを経験に基づいて構築することが,ろう・難聴者がチームの対話に積極的に参加するためには不可欠であると示唆された.
著者
武富 有香 松田 智裕 須田 永遠 宇野 毅明
雑誌
じんもんこん2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.213-220, 2022-12-02

#metoo 運動以降,ソーシャルメディア上にあらわれるようになった誹謗中傷のメカニズムとオンライン上の言説空間の全体像を理解するために,性暴力のトピックについて語る人々の書きぶりや言い回しにそって語りを類型化し,コメントにラベルをつけて分析を試みる.まず,性暴力の告白やその暴力の被害者に関するYahoo!Japan ニュース上の記事に対するコメントを読み,類型を作成する.この類型にしたがってコメントにアノテーションを行い結果を観察すると,得られた結果と社会学および哲学の既存研究の知見との対応が見出せると同時に,その既存研究に新たな仮説を付け加えることができる.本研究では質的に読まれていたコーパスを量的に扱えるようにする情報学的なアプローチをとる一方で,類型化とアノテーションの作業,すなわち精緻にテクストを読む技術が必要な部分は人手で行う.この手法を用いることで類型に質的な深みを与えることができ,この明確な解釈性を持った類型によってコーパスを”測る”ことが可能となる.
著者
名倉 丈雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.174-178, 2008-02-15
著者
中村 功
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.319-320, 2020-02-20

本研究は、デルタニュートラル戦略で利益をあげる投資手法を実現することを目的としている。将来のボラティリティの転換点を精度よく予測できれば、デルタニュートラル戦略で確実に収益をあげることができる。 本研究は、日経ボラティリティインデックスおよび、日経225先物出来高に離散ウェーブレット変換を施し解像度変換した後、LSTM-RNNモデルにより、将来のボラティリティの予測を行う手法を取る。予測結果から将来のボラティリティ転換点を求めた後、投資期間を設定し、デルタニュートラル戦略をあてはめ、投資収益を狙う。得られた投資収益と勝率により、手法の精度評価を行う。
著者
佐野 静代
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.133, pp.85-108, 2006-12-20

古代の御厨における漁撈活動の実態を解明するためには,「湖沼河海」の各々の御厨を取り巻く自然環境の分析が不可欠である。自然環境の分析には,地形・気候的条件とともに,その上に展開する「生態系」,特に魚類を中心とした生物相の考察が含まれる。魚類の生態と行動(生活史・食性・場所利用など)は,古代にも遡及しうるものであり,当時の地形と漁撈技術段階との照合によって,魚種ごとの捕獲原理や漁獲時期が推定可能となる。このようにして各御厨で行われた漁法が明らかになれば,「湖沼河海」の御厨ごとの漁撈活動と,贄人の生活形態の相違が浮かび上がってくるはずである。本稿では,古代の琵琶湖に設けられた筑摩御厨を対象として,当時の地形・生息魚種の生態・漁撈技術段階を照合し,その生活実態について検討した。筑摩御厨では,春の産卵期に接岸してくるフナと,春~初夏に琵琶湖から流入河川に遡上してくるアユを漁獲対象としており,贄人の漁撈活動は,地先水面での地引網漁+上り簗漁というきわめて定着的な漁法によっていたことがわかった。御厨現地での生活実態としては,水陸の移行帯において漁撈と農耕が分かちがたく結びついた「漁+農」複合型の生業形態であったと推定される。琵琶湖岸の古代の御厨においては,漁撈のみに尖鋭化した特権的専業漁民の姿は認めがたく,古代の贄人の生活実態は,網野善彦が提起した「船による移動・遍歴を生活の基本とする海民」像とは,異なるものといえる。生業を指標とする集団の考察には,現地の環境条件との照合が不可欠であり,網野の提起した「非農業民」概念もこのような視点から再検討されるべきと考える。
著者
安福 智明 茂木 祐紀 多田 将人
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.53-57, 2020-11-06

Numbers Game のゲームの長さは,アフィン・リー代数の理論を用いて,理論上計算可能であることが知られている.今回我々は,別のアプローチからこのゲームの長さについて考察し,頂点の個数が3つの場合のNumbers Game において,ゲームの長さの計算手法を考案した.
著者
浜元 信州 井田 寿朗 齋藤 貴英 小田切 貴志 綿貫 明広 横山 重俊
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-50, no.8, pp.1-8, 2020-07-03

群馬大学では,2020 年 4 月に全学無線 LAN システムの更新を行なった.本更新で無線 LAN アクセスポイントを全学的に増設したが,教室や会議室などの無線 LAN 導入の際には,アクセスポイント当たりの接続台数を算定することが必要となる.このため,本学の教育用端末を利用し,アクセスポイントに同時接続を行い評価試験を行なった.評価試験の結果,平均速度は,端末数 N の関数として,IEEE802.11n で 2.4GHz の場合には 60.261/N[Mbps],5GHz の場合には 148.26/N[Mbps],IEEE802.11ac の場合 181.64/N[Mbps] となった.また,1 アクセスポイントあたりの接続台数は,平均速度分布の歪度が正になることを条件とした結果,IEEE802.11n で 2.4GHz 接続で 12 台程度,5GHz の接続で端末数 30 台程度,IEEE802.11ac の場合は端末数 36 台程度と考えられることがわかった.
著者
佐藤 佑哉 松原 仁
雑誌
第84回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, no.1, pp.519-520, 2022-02-17

近年,VTuber(Virtual-YouTuber)業界が急成長している.VTuberとは二次元の姿を用いた動画投稿者のことである.VTuberは事務所所属の企業Vと呼ばれるVTuberと,個人活動の個人Vと呼ばれるVTuberに大きく分けられる.各々のチャンネル登録者を見ると,企業Vが上位で個人Vが下位に多い傾向にある.そこで,個人Vと企業Vが平等にお勧めされるようなシステムを模索していく.その手法として,まずVTuberの動画等のコメント欄からコメントを抽出し,形態素解析して単語に分解する.その後,その割合の類似などをもとにお勧めする手法を考えた.本研究では,この手法が同じ事務所内の企業Vに縛られないかの検証として,複数の事務所の企業Vを対象に試行し,検証した.
著者
英 繁雄 高月 裕二 東 大介
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.252-259, 2016-07-15

日本では,エンタープライズ型のシステム開発は,ITサービス企業へ委託する場合が多い.欧米で多く適用されている迅速な開発手法であるアジャイルプロセスは,委託開発が主流の日本では普及しづらいのが現状である.本稿では,エンタープライズ型のシステム開発にハイブリッドアジャイルを適用し,アジャイルプロセスで採用されるいくつかのプラクティスから適用効果を評価する.適用したプラクティスは,反復,イテレーション計画,テスト駆動開発,継続的インテグレーション,コードレビュー,イテレーションレビュー,バーンダウンチャートである.
著者
松村 幸輝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.457-475, 2008-01-15

本論文は,株式取引において適切な投資判断を行うトレーダモデルの構築を目指して,投資判断のための戦略木をテクニカル分析に基づいて設計し,進化計算手法で最適化する方法を提案した.そして,トレーダモデルが自律システムとして進化する過程を詳細に調べるとともにその有用性について検討した.その効果的な実現方法として,クラスタリングによる分類手法を用いて指標を系統的に整理し,そのセグメント化した指標の階層構造にヒューリスティックな手法である進化計算を適用した新しい戦略木生成方法を考案した.クラスタリングとしてはエントロピーおよび利得比基準によって指標を分類する2 種類の方法を用い,進化計算には遺伝的アルゴリズム(GA)と遺伝的プログラミング(GP)を用いた.これにより,本手法は,クラスタリングで指標を統計処理的に分類することによって戦略決定木を秩序立てて整然と構成することができ,また進化計算によって膨大な組合せの中から最適な終端子の組合せを見出すことを可能にするというハイブリッド型の性質を有することを特徴とする.これを用いて取引シミュレーションを実行した結果,GA 個体の次元数が多いにもかかわらず,比較的良好な運用成績を収めることができるなどの結果を得た.このことから,本提案手法は,クラスタリング手法によって探索空間を限定しロスを少なくしてシステマティックに,しかも進化計算手法による学習機能の高い生成過程を実現するという,両方の利点をあわせ持った優れた戦略木作成方法であると期待できた.また,戦略木の有効性を考察した結果,学習過程の株価トレンドなどの市場動向に敏感に影響を受けつつも,市場環境に応じた取引戦略を自律的に獲得する学習メカニズムを有することが分かった.
著者
大島聡史 金子勇 片桐孝洋
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2013-HPC-140, no.33, pp.1-8, 2013-07-24

本稿では最新のメニーコアプロセッサ Xeon Phi(以下,Phi) の疎行列ベクトル積演算性能について述べる.Phi は高い演算性能およびメモリ転送性能を備えたハードウェアであり,様々なアプリケーションへの適用について盛んに研究が行われている.また Phi はその性能を従来の CPU 同様のプログラミング手法によって活用できることが重要な特徴・利点としてあげられているものの,実際にはアーキテクチャの特性にあわせた最適化の余地が多く存在することが知られている.一方で Phi はアーキテクチャとしても製品としても新しいものであるため,性能を十分に引き出すための知識や技術のさらなる共有が必要である.本稿では疎行列ベクトル積を対象としてPhiの性能を測定し,他の並列計算ハードウェアと性能を比較して性能評価を行う.なお本稿では Phi として先行提供版の Preproduction Xeon Phi を用いている.
著者
佐藤 郁哉 Ikuya Sato
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = Doshisha Shogaku (The Doshisha Business Review) (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.27-63, 2018-07-20

本論文では、2000年前後から日本の高等教育セクターにおいて頻繁に使用されるようになったPDCAという用語の普及過程とその用法について検討を加えていく。また、その事例の分析を通して日本におけるニュー・パブリック・マネジメント(NPM:新公共経営)が陥りがちな落とし穴について明らかにしていくことを目指す。事例分析の結果は、業務の効率化を目指して導入されたPDCAの発想がその本来の意図とは正反対の極端な非効率と不経済をもたらす可能性があることを示している。