著者
清野 陽平 山西 良典 辻野 雄大 松村 耕平
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-69, no.7, pp.1-6, 2023-10-19

日常会話における発話は,コンテクストや感情などによって異なる.意味を含まない「はぁ」という一言を発話する場合でも,発話者自身が伝えたいコンテクストによって発話は異なり,その差異によって聞き手も発話者が意図したコンテクストをおおよそ理解する事ができる.本研究では,多様な意味を持つ同一発話からの意図の推定を目標とし,コンテクストごとの発話特徴量の究明を目指す.この発話分析の端緒として,「はあ」データセットの構築と音声に対する基礎分析を行う.データセット構築のために遊びながらデータ収集が可能なフレームワークを設計し,「はぁ」の発話データを収集した.各コンテクストの発話に対して,音声全体から抽出される音響特徴と音量の変化を分析した.
著者
田所 拓人 山西 良典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-69, no.8, pp.1-6, 2023-10-19

歌詞にはテーマごとに特徴的な単語やコロケーションが用いられる.作詞支援には,歌詞のテーマ特有の単語やコロケーションの慣習や用例を把握することが重要であると考えた.本稿では,歌詞のテーマごとに用いられる単語やコロケーションを共起語に基づいて構成されたネットワーク図によって可視化する.ネットワークの構造を分析することで異なるテーマで同一単語に共起する単語の差集合を提示する.異なるテーマの歌詞間での同一単語に対するコロケーションを明らかにした.
著者
田中 雄一郎 高橋 篤司
雑誌
DAシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.221-226, 2014-08-21

本稿では,平面基板上の集積回路設計における配線問題と親和性の高いペンシルパズルである,ナンバーリンクの特性について考察し,その解法について述べる.ナンバーリンクは,縦横斜めの周囲 8 マスで隣り合う数字を一塊にして島とすることで,空洞内島配線問題として解くことが可能である.外部配線問題において,CHORD-LAST 法は全ネットが配線可能である時,平面性を失わないネットの配線順序を与える.提案アルゴリズムでは,この順序を利用してナンバーリンクの解を生成する.また,対となる数字が共に外側のマスに位置する時,その数字を結ぶ配線で配線領域を分割することが可能であり,他の数字の組は共に片側の領域に位置する.領域の分割を用いた枝刈りを組み合わせることにより,計算量を削減したアルゴリズムを提案する.
著者
佐藤 健二
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.13-45, 2011-03-31

本稿は近代日本における「民俗学史」を構築するための基礎作業である。学史の構築は、それ自体が「比較」の実践であり、その学問の現在のありようを相対化して再考し、いわば「総体化」ともいうべき立場を模索する契機となる。先行するいくつかの学史記述の歴史認識を対象に、雑誌を含む「刊行物・著作物」や、研究団体への注目が、理念的・実証的にどのように押さえられてきたかを批判的に検討し、「柳田国男中心主義」からの脱却を掲げる試みにおいてもまた、地方雑誌の果たした固有の役割がじつは軽視され、抽象的な「日本民俗学史」に止められてきた事実を明らかにする。そこから、近代日本のそれぞれの地域における、いわゆる「民俗学」「郷土研究」「郷土教育」の受容や成長のしかたの違いという主題を取り出す。糸魚川の郷土研究の歴史は、相馬御風のような文学者の関与を改めて考察すべき論点として加え、また『青木重孝著作集』(現在一五冊刊行)のような、地方で活躍した民俗学者のテクスト共有の地道で貴重な試みがもつ可能性を浮かびあがらせる。また、澤田四郎作を中心とした「大阪民俗談話会」の活動記録は、「場としての民俗学」の分析が、近代日本の民俗学史の研究において必要であることを暗示する。民俗学に対する複数の興味関心が交錯し、多様な特質をもつ研究主体が交流した「場」の分析はまた、理論史としての学史とは異なる、方法史・実践史としての学史認識の重要性という理論的課題をも開くだろう。最後に、歴史記述の一般的な技術としての「年表」の功罪の自覚から、柳田と同時代の歴史家でもあったマルク・ブロックの「起源の問題」をとりあげて、安易な「比較民俗学」への同調のもつ危うさとともに、探索・博捜・蓄積につとめる「博物学」的なアプローチと相補いあう、変数としてのカテゴリーの構成を追究する「代数学」的なアプローチが、民俗学史の研究において求められているという現状認識を掲げる。
著者
水野 佑基 金子 伸幸 中元 秀明 小川 義明 山本 晋一郎 阿草 清滋
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.35(2006-SE-151), pp.121-128, 2006-03-24

本稿では,GUI抽象化規則を用いて実装言語とGUIツールキットに対して柔軟に抽象GUI記述を生成するする手法を提案する.ウィジットと直接操作を表現するGUIプログラミングモデルと,共通GUIツールキットを定義する.抽象GUI記述はGUIプログラミングモデルに従い,共通GUIツールキットを用いて記述される.実装言語やGUIツールキットごとに異なるGUIコードと抽象GUI記述の対応付けをGUI 抽象化規則として定義する.GUI抽象化規則に基づきGUIコードから抽象GUI記述を生成するシステムを提案し,異なる実装言語とGUIツールキットで実装された同一のGUIアプリケーションを同じ抽象GUI記述へと変換できることを確認した.
著者
前田 健太朗
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-171, no.4, pp.1-7, 2023-10-14

令和 7 年度大学入学共通テストで「情報 I」の出題が決まり,令和 4 年度以降に高校へ入学した生徒に対しては大学入学共通テストを受験する可能性があることを踏まえた「情報 I」の指導が必要となっている.東京書籍株式会社が行った調査によると,それまでは授業において実習の割合が多かったが,現在では座学の割合が多いという結果が報告されている.しかし,重要な用語などを暗記させるのではなく実体験を通して知識や思考力を身に付けることが科学的な理解につながると考え,筆者が勤務する高校では従来通り実習を中心に授業を行い,大学入試センターが公表した問題の一部を生徒に取り組ませた.その結果,大学入試センターが公表した問題を解くために必要な知識や思考力などを多くの生徒が身に付いていると推測できた.
著者
青木 美土里
巻号頁・発行日
2021-03

歴史人口学と歴史社会学の視点で、人の移動に関する先行研究の一部を整理した上で、現状の課題を明らかにし、自らの研究の立ち位置を確認する。順序としては、まず研究のきっかけとなった極私的体験について紹介し、修士課程での研究について説明。その上で現在、博士課程において進めている研究のテーマとその背景である明治近代以降の家族形態の変化と人の移動について述べた。また、2020年、地球規模で直面しているCOVID-19のもたらす社会変化についても僅かながら言及した。先行研究は、主に鬼頭宏の著作を用いて、歴史人口学の視点から人口と文明の関連性、産業化に起因する人口増加と、明治近代以降、日本で起きた農村から都市部への人口移動を整理。次に、佐藤香の著作に従って、歴史社会学の視点から、世界における人の移動プロセスにかかわる学史の流れ、現在の日本における同テーマの研究するにあたっての限界と課題について整理した。最後に、筆者の家系を研究の対象とすることで、その課題に対する新たな突破口を見出そうとした。
著者
古門 良介 池上 雅人 住田 裕輔 木谷 浩 白石 善明 森井 昌克
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
pp.926-931, 2020-10-19

コンピュータウイルスとかつて呼ばれたマルウェアの登場とその被害発生からほぼ半世紀,インターネットの隆盛とともマルウェアの被害はさらに深刻に,そして広範囲に渡るようになった.現在でもマルウェアへの対策はサイバー社会の安全安心に対して不可欠かつ最重要な課題なのである.ここ数年,ランサムウェアと呼ばれる,サーバやパソコンを含む端末デバイス上のデータを暗号化し,その復号鍵を質に,対価(身代金)を要求するマルウェアが流行している.<br>ランサムウェアは暗号化に際して,安全性が証明された外部の暗号ライブラリ等を利用して,公開鍵暗号方式と共通鍵暗号を組み合わせたハイブリット暗号方式で強固にデータを暗号化する.そのため,ランサムウェア感染後に暗号化されたデータを復号するのは困難である.<br>本研究では,ランサムウェアの感染時,その暗号化プロセスに対してDLLインジェクションすることで暗号化に用いられる暗号鍵を意図的に任意の秘匿鍵にすり替え,暗号化データの復号を容易にする手法について紹介する.さらに前述の機能実装とその評価についておこなった.
著者
岩崎 英哉
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.e41-e54, 2023-10-15
著者
稲垣 俊介
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.599, 2023-10-15

高等学校の情報教育は1970年代に専門教育において情報処理教育が行われるようになったことに端を発し,1989年には複数の教科で情報に関する内容が取り入れられ,1999年には「情報A」「情報B」「情報C」が新設され,2009年に「社会と情報」「情報の科学」へ再編された.そして,2018年には「情報I」が共通必履修と示され,全高校生が共通の科目を学ぶことになった.令和7年度大学入学共通テストに「情報I」が導入されることで情報の位置づけが大きく変わった.これは情報教育の大きな進展の契機となるが,受験科目となる前の「生徒が興味を持つような授業」の重要性を忘れてはならない.受験のためだけでなく,興味から情報を学ぶ授業作りが望まれる.
著者
小原 格
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.596-598, 2023-10-15

本書は,クラウドシステム全般に関する,情報技術者に対する総合的な解説書である.特定システムの製品紹介的な解説が氾濫しているなか,基礎概念の説明に限り,クラウドシステムの全側面をカバーすする総合的な解説書をめざしている.基本的な仕組みの解説から始まり,既存システムからの移行導入,運用,IoTや人工知能応用,法制度との関係など,クラウドについて知るべきことを網羅している.
著者
ドゥラゴ 英理花
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.590-595, 2023-10-15

本稿では,企業におけるAIアプリケーションの開発事例を活用し,教科・情報Iが目指す資質と能力(コンピテンシー)育成のための授業実践を行う.AIアプリケーション開発過程の中でも,特にデータ分析の手法に焦点を当てたカリキュラムにより,生徒がデータが持つ「文脈を読解する力」を習得することを目標としている.また,授業後の振り返りアンケートの回答をテキストマイニング分析によって評価し,コンピテンシーの向上に貢献する授業のアプローチ方法についても検討していく.
著者
飯坂 正樹 五十嵐 智生 兼宗 進 中村 めぐみ 内田 卓
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.d92-d105, 2023-10-15

日本におけるIT人材の不足と国際競争力の低下はIT教育の遅れに起因している.この課題を受けて学校におけるプログラミング・情報教育の必修化がなされたが,プログラミング能力の客観的評価・可視化が困難であることから教育現場では適切な指導を行うことが難しい.そこで本稿では子どもたちのプログラミング能力の定着度実地検証を行った結果から,プログラミング教育の量や質の差によるプログラミング能力定着度の違いについて述べるとともに,今後学校や大学,プログラミングスクール等で効果的な指導を行う上での汎用的かつ有用な情報を提供する.
著者
荻野 慎太郎 原 章 長尾 智晴
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1516-1526, 2005-06-15

本研究では長期記憶性の面から,よりリアルな人工市場の構築について考察する.投資エージェントによって構成される人工株式市場が現実の市場に似た変動をするとき,市場を構成する投資戦略とその構成比がどのようなものになっているかを検証し,現実の市場における株価変動メカニズムを解析することを目的としている.市場を構成するエージェント群のとる戦略を木構造プログラムで表し,それらのエージェント取引によって生じる株価変動の統計量が実際の市場変動に類似するようにエージェント群の効率的な最適化と解析を行うため,先に筆者らが提案した進化の過程でエージェントのグループ分けと各グループのプログラム最適化を同時に行う手法である自動グループ構成手法ADGを用いた.現実市場の複雑でカオティックな動態が,提案された人工市場において現れているかを,より確からしい市場構築をするという観点から実験的に示し,その解析結果を基にカオス成分を加味してより現実に即した人工市場構築を行った.
著者
岡本 一輝 河本 敬子
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.373-374, 2019-02-28

近年、メガネのデザイン性が向上しており、ファッションアイテムとしても用いられている。しかし、ユーザ好みのメガネ選択のためには、多くの時間を要することが多い。 対話型進化計算(IEC)とは、人間の感性を最適化系に組み込み、ユーザの評価に基づいて最適解を得ることができる。そしてIECに差分進化(DE)を取り入れると、ユーザの操作時間と収束世代数を減少させることができる。 本研究では、このIECにDEを取り入れたメガネデザインシステムを提案する。DEは、スケーリングパラメータによって計算結果が異なってくる。今回は、この値を7つ用意し、最もユーザの評価を得られ、操作時間と収束世代数が削減できる値を検討することを目的とする。
著者
佐藤 郁哉 Ikuya Sato
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = Doshisha Shogaku (The Doshisha Business Review) (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.341-417, 2017-01-30

本論文では、英国において1980年代半ばいらい数年おきに実施されてきた研究評価事業を主たる事例として取り上げて、研究評価事業及びその結果にもとづく研究予算の選択的資源配分が大学等における研究と教育に対して与える意図せざる結果について検討していく。特に焦点を置くのは、商学・経営学分野における「論文化」の動向であり、本論では、これを「ゲーミング」の一種としてとらえる。
著者
坂東 宏和
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.396-400, 2023-07-15

本稿では,第85回情報処理学会全国大会において併催された第5回中高生情報学研究コンテストの受賞作品上位5件(中高生研究賞最優秀賞,中高生研究賞優秀賞(2件),初等中等教育委員会委員長賞,情報処理教育委員会委員長賞)について,そのポスター・概要・受賞後の感想を紹介する.