著者
石原純 著
出版者
文明社
巻号頁・発行日
1943
著者
伊藤 拓
出版者
明治学院大学心理学会
雑誌
明治学院大学心理学紀要 = Meiji Gakuin University bulletin of psychology (ISSN:18802494)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.63-74, 2014-03-28

ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーには,よく用いられる4つの質問があり,それらはさらに「既にある解決」を尋ねる質問と「未来の解決」を尋ねる質問に分けられる。本研究の目的は,セラピストが(1)この4つの質問(ミラクル・クエスチョン,例外探しの質問,スケーリング・クエスチョン,コーピング・クエスチョン),(2)「既にある解決」を尋ねる質問(例外探しの質問,コーピング・クエスチョン,スケーリング・クエスチョン),および(3)「未来の解決」を尋ねる質問(ミラクル・クエスチョン,スケーリング・クエスチョン)を用いる際に,共通して注意している点を明らかにすることであった。8名の日本人セラピストへの面接調査を通して収集された伊藤(2012)のデータが用いられ,分析はKJ法によって行われた。まず,4つの質問を用いる際に,セラピストが注意している点の共通点は,これらの質問を尋ねる適切なタイミングを見定めることであり,それから,Clが回答した内容の具体化,詳細化,明確化に取り組むことであった。次に,「既にある解決」を尋ねる質問を用いる際に,セラピストが注意している点の共通点は,クライエントが回答した過去の経験を,成功したものとしてクライエントが認識するのを促進することであった。さらに,「未来の解決」を尋ねる質問を用いる際に,セラピストが注意している点の共通点は,この質問がクライエントに使用可能かを判断することであった。以上の結果をもとにソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーの質問を効果的に行うためのポイントが論じられた。
著者
岩下 倫子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.146, pp.18-33, 2010 (Released:2017-03-21)
参考文献数
50

本稿で報告する研究はMackey & Philp (1998) を基盤に2種の文法項目における集中言い直し訓練の効果を調査したものである。12週間にわたる母語話者との毎週1時間の会話練習に参加した5人の学習者が後半の6週間,会話練習前に15分言い直し集中訓練を受けた。訓練前後に行った算出テストの成績を比べた結果,先行研究の結果と同様に学習者の2種の文法項目の使用における正確度が向上した。しかし研究対象となった2種の文法項目が似通っているために,訓練前に正しく使用できた項目の正確度が訓練後一時的に後退したが,すぐに回復した。その後言い直し訓練の効果は六か月後に査定したテストの結果においても正確度は後退しなかった。本研究の結果は現場の教師の間違い訂正ストラテジーに応用することには無理があっても,フィードバックの効用性に新しい局面を展開する。

2 0 0 0 将棋月報

出版者
将棋月報社
巻号頁・発行日
no.241, 1943-02
著者
寺戸 淳子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.551-575, 2009

地縁的・職能的結合関係が解体された革命後のフランスでは、貧困層の出現という形で社会問題が発生した。人権に基づく公的扶助や連帯主義による解決を目指す共和派に対し、カトリック世界では労働組合運動を中心とする男性による社会的カトリシズムと、女性が行う伝統的慈善による対処が試みられた。そのような動きを背景に貧困層の社会統合を目指して始まったルルド巡礼の現場では、徐々に社会的カトリシズムがもつ討議的性格と慈善がもつ党派的性格が弱まり、「他者への配慮」を優先する「傷病者の現れの空間」が確立されていった。本稿では、「正義と権利」を重視する男性的倫理的態度のみを評価する道徳理論に対し、「配慮と責任」を重視する女性的倫理的態度の復権を唱えるギリガンの理論を参照しながら、ルルドの傷病者支援活動を通して生まれた「ディスポニーブル」という「他者に主導権を預けた行動規範」の、意義と可能性を考察する。

2 0 0 0 OA 世俗諺文

著者
源為憲 著
出版者
古典保存会
巻号頁・発行日
vol.上, 1931
著者
北海道 編
出版者
北海道庁
巻号頁・発行日
vol.第6卷, 1937
著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.

2 0 0 0 妖怪学講義

著者
井上円了 著
出版者
哲学館
巻号頁・発行日
vol.巻2 理学部門, 1894
著者
河原 利和 杉万 俊夫
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.101-119, 2003-03-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
26
被引用文献数
3 5

強い保守性, 閉鎖性を有し, かつ, 少数の有力者が集落運営を支配する体制を引きずる, ある過疎地域で進行している住民自治システム創造の試みを, アンケート調査によって検討した。その過疎地域にある89集落のうち, 住民自治システム創造のための運動に取り組んで4-5年が経過した14集落の全住民 (青少年を含む) を調査対象にした。その結果, これらの14集落は, 同運動に「積極的-中間-批判的」という軸にそって, 分類できることが見出された。また, 同運動に積極的な集落では, 同運動によって導入された新しい集落運営システムが, 古い伝統的な運営システムと対等の地位を獲得しつつあること, 同運動に批判的な集落では, 新しいシステムが古いシステムにのみこまれて, 古いシステムの下位システムに位置づけられていることが見出された。
著者
北見 由奈 茂木 俊彦 森 和代
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-50, 2009-09-30 (Released:2021-04-08)
被引用文献数
3

目的:本研究の目的は,1)就職活動経験の有無による精神的健康状態の相違を明らかにすることと,2)近年の就職活動状況を考慮した就職活動におけるストレスを測定する尺度を作成し,3)大学生の就職活動におけるストレスが精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることである。方法:調査対象者は,大学3・4年生1295人であった。なお,因子分析および就職活動におけるストレスと精神的健康に関する分析には,就職活動状況について,「現在,行なっている」もしくは「すでに終了した」と回答した608人を用いた。調査内容は,基本的属性(性別,年齢,学部),就職活動状況,精神的健康(GHQ-12項目短縮版),就職活動におけるストレスについてであった。結果:分析の結果,就職活動経験がある者の方が,経験がない者に比べ,有意に精神的健康状態が悪いことが示された。また,就職活動ストレス尺度について探索的因子分析およびステップワイズ因子分析を行なった結果,最終的に4因子各4項目の計16項目が抽出され,すべての因子において高い信頼性が得られた(α=0.715-0.870)。さらに,希望の企業からの内定がない者は,内定がある者に比べ,就職活動ストレスは高く,精神的健康へ及ぼす影響も強いことが明らかにされた。結論:本研究の結果から,学校現場において大学生の就職活動期の精神的負担の減少や学校生活の質の向上を目指した支援を行なう必要性が示唆された。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1928年03月28日, 1928-03-28
著者
一條 智康
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1143-1150, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20

ユマニチュード®はジネストとマレスコッティの2人によって創案された認知症ケアの技法である. 本稿では, ユマニチュードの語源をネグリチュードの歴史的意義にまで遡って解説し, 「ユマニチュード®」 の概略を紹介した. さらに, 治療的自己, マルチモダール, オキシトシンなどの観点から文献的考察を加えた.超高齢社会を迎えた日本にとって, ユマニチュード®の有用性は今後ますます広く受け入れられると思われる. その哲学を学び実践できれば, 人と人の 「絆」 という最も根本的に重要でありながら, 現代社会において希薄となっている大事な視点にわれわれが立ち返るきっかけをつかめるかもしれない. 「われわれがお互いに『人間としての尊厳』が保たれていることを再認識できる」 ユートピアが実現できることが期待される.

2 0 0 0 OA 鉄道統計年報

出版者
日本国有鉄道事務管理統計部
巻号頁・発行日
vol.昭和35年度 第1編 別冊, 1961
著者
中村 信隆
出版者
日本倫理学会
雑誌
倫理学年報 (ISSN:24344699)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.233-247, 2022 (Released:2022-07-11)

The idea of basic equality is the foundation of our society today. However, the claim that all humans are equal is a strange one, considering that there are many differences among humans in terms of age, appearance, birth, physical and intellectual abilities, economic power, and actual behavior and achievements. What exactly is the basis of human equality? This paper clarifies the basis of our equality as moral persons. Since the equality in question is equality as moral persons, it seems to be based on the equal capacity for moral personality. However, the problem arises that the capacity for moral personality admits differences of degree. There are people with high moral capacity and people with low moral capacity. This would mean that there are higher and lower moral persons among humans according to the difference in the degree of their abilities, and thus all humans are not equal. One innovative argument against this problem was presented by I. Carter. According to Carter, we must evaluate and treat each person equally, not in terms of scalar property, which each person possesses to different degrees, but in terms of range property, which each person possesses equally. We must respect the dignity of each person, and this means that we must conceal their scalar property and treat them as opaque, that is, show “opacity respect” toward them. However, Carter’s argument does not make it clear enough why we must treat each person as opaque. To clarify this point, this paper argues that it is we ourselves, not others, who conceal scalar property. We can flexibly form our self-respect according to our ideals and aspirations. This flexibility in self-respect allows us to have self-respect as equal moral persons with range property, so that we make ourselves opaque in order to protect our appearance as equal moral persons. Therefore, we should treat each person equally in terms of range property.