著者
加藤 綾 佐伯 博行 藤澤 順 松川 博史 利野 靖 益田 宗孝
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1096-1100, 2015 (Released:2016-12-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は49歳男性で,22歳時に十二指腸潰瘍に対し幽門側胃切除術,BillrothⅡ法再建の既往がある.9カ月前に吻合部潰瘍のため他院で保存的治療を行った.同時期より下痢,低アルブミン血症を認めていたが,2カ月前より下腿浮腫,全身倦怠感が生じ,精査目的で入院となった.下部消化管内視鏡検査,上部消化管内視鏡検査,上部消化管造影検査で胃空腸吻合部と横行結腸との交通が確認され,吻合部潰瘍による胃空腸結腸瘻と診断し,瘻孔部を含む胃空腸部分切除,横行結腸部分切除,Roux-en-Y再建を行った.術後,吻合部潰瘍の再発を認めたが保存的治療で改善し,術後9カ月の現在,再発を認めていない.吻合部潰瘍による胃空腸結腸瘻は比較的稀であるが,胃切除後に下痢や低アルブミン血症を示す場合には本症も鑑別に挙げる必要がある.本症は再発のリスクも高く,術式選択や術直後からのプロトンポンプ阻害剤投与が重要である.
著者
鵜瀞 条 関 英一郎 権田 厚文
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.712-716, 2006-08-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
6

症例は57歳, 男性。食欲低下と立ちくらみを主訴に当院を受診した。来院時はHb値4.6g/dlであり, 上部消化管内視鏡にて胃切除後吻合部潰瘍が大腸に穿通し瘻孔形成している所見を認めた。待期的に手術を行い, 胃切除Roux-en-Y再建後吻合部潰瘍の横行結腸穿通による瘻孔形成の所見であった。吻合部切除および横行結腸部分切除を行い, 再びRoux-en-Y法にて再建した。胃切除後吻合部潰瘍の横行結腸穿通による瘻孔形成は比較的稀ではあるが外科的な根治術を要することが多く, また吻合部潰瘍を繰り返すことも多い。自験例においても術後に吻合部潰瘍の再発をみたがproton pump inhibitor (PPI) 投与にて治癒しえた。胃切除後吻合部潰瘍の外科的治療においては慎重な術式の選択と術後PPIの投与を組み合わせることが重要と思われた。
著者
矢島 義昭 平沢 堯 佐伯 武頼
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.1682-1689, 1980-12-25 (Released:2010-01-19)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

血中アンモニアが規則的な日内変動を示す48歳の男性が,血清アミノ酸分析及び尿素サイクル酵素定量より成人型シトルリン血症と診断された.1日蛋白量を50g以下に制限し,lactulose 30ml~40mlを1週間に及んで投与したが,アンモニアの改善はみられなかった.次に従来,肝性昏睡治療薬として用いられてきた4種のアミノ酸製剤の効果を比較検討した.glutamateとarginineの合剤とglutamateの単剤がほぼ同等のアンモニア下降作用を示したことより,glutamateが有効であることが分った.一方,citrateの経口投与もglutamateの静注とほぼ同等の効果を表わした.citrate投与2時間後の血清アミノ酸分析ではglutamateが増加し,citrullineが低下していた.以上の事実より,citrate→α-ketoglutarate→glutamate→glutamineの反応系が血中遊離アンモニアの処理に有効に関与していることが示唆された.

2 0 0 0 将棋評論

出版者
將棋研究會
巻号頁・発行日
vol.5(1);新年特別號, 1951-01
著者
佐々木 洋成
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.225-236, 2003-06-13 (Released:2010-04-21)
参考文献数
39

The purpose of this essay is to reconsider by reviewing classic works the possibilities of the Interpretive Approach that attaches importance to the “actor” and to the “subjectivity”. Contemporary sociology has been devided into minute sub fields by the advent of mini-paradigms. While the Interpretive Approrch is seen as beefing opposition to the Stracture-Fanctional Theory that is called authentic sociology, classic works of the Interpretive Approach genre contain “stracture” and “objectivity”. The two approaches are mutually related. The Interpretive Approach can be developed in a constructive way that is not a criticism of either deconstructionism or of conventional sociology but which places the focuses on interpretation itself.
著者
奥村 貴裕 室原 豊明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.34-40, 2018-01-25 (Released:2018-03-05)
参考文献数
18

高齢社会の進行とともに,心不全患者は激増し,パンデミックと形容されるに至った.高齢者心不全の特徴のひとつは,拡張障害に病態の首座をもつ左室駆出率が保たれた心不全(Heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)である.残念ながら,これまでの大規模臨床試験の結果からは,HFpEFに対する有用な薬物治療は確立していない.HFpEFの病態はheterogeneousであることが推察されており,個々の症例の病態を明確にしたうえで,テーラーメイドな治療方針を立てることが望まれる.

2 0 0 0 OA 国史大辞典

著者
八代国治 等編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
vol.第3 さーと, 1926
著者
千菊 基司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.25-37, 2018 (Released:2020-01-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は,発話過程の形式化の速度向上を図る指導がもたらす,発話の質の向上を検証することを目的として行った。高校2年生の1クラス(スピーキング群)を対象に,複数の絵によって示されたストーリーテリングの活動を一定期間行い,その前後の発話の質の変容を,同様の指導を受けていない別クラス(対照群)と比較した結果,複雑さと流暢さに向上が見られた。特に,絵に付随して与えられた文字情報の発話への取り込み方を比べると,スピーキング群の発話の質が向上したことがわかった。スピーキング群の経験した活動では,概念化の段階で受ける認知的負荷を減らし,形式化の段階で既習語彙へのアクセスに必要な注意資源を確保して練習することが可能になり,複雑さ・正確さ・流暢さのそれぞれの観点から質の良い発話が練習時に達成され,指導後の調査での発話の質の向上につながったと考えられる。
著者
千菊 基司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.13-26, 2019 (Released:2021-02-03)
参考文献数
16

全国規模の英語力調査結果を踏まえ,「話すこと」,中でも「やり取り」に関わる力を高校生につける指導の高度化が提言されているが,その効果についての実証的研究論文は,ほとんど見られない。本研究は,スピーキング指導で交渉を行う言語活動を用い,英語発話の質が向上することを検証することを目的として行った。高校3年生の1クラス(実験群)を対象に,交渉を行う言語活動を用いた指導を一定期間行い,その前後にスピーキングテストで得られた発話の質の変容を,同様の指導を受けていない別生徒(対照群)の発話と,量的に比較した。実験群の生徒の発話には,流暢さに向上が見られた。また,相手の意見を引き出すことを意図した発言が増え,会話が行き詰まった時に主導権を取って,事態の解決に乗り出そうとする発言も見られた。実験群の受けた指導によって,概念化や形式化の段階で生徒が受ける認知的負荷が減り,対話の流れに自分の発言を嚙み合わせることに必要な注意資源を確保して練習することが可能になり,質の良い発話が練習時に達成され,発話の質の向上につながったと考えられる。
著者
酒井 英樹
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1554-1560, 2019 (Released:2019-11-25)
参考文献数
24

平面2自由度運動とロール運動から成る3自由度モデルを用いて,速度を変化させたときの根軌跡を考察した.そのパラメータスタディの結果,2つの根軌跡が重根になる場合があることを指摘した.重根が生じる車速よりも低速側では,ヨー共振周波数は,平面2自由度モデルのそれよりも30%程度大きくなった.そこで,この車速域のヨー共振周波数の近似式を提案した.

2 0 0 0 OA 選挙の心得

著者
内務省
巻号頁・発行日
1928