著者
宮腰 靖之
出版者
北海道立水産孵化場
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-64, 2006 (Released:2011-03-05)

北海道におけるサクラマスOncorhynchus masouの放流効果を評価し、望ましい増殖方法について指針を示すことを目的に、市場での水揚げ尾数、沿岸での遊漁船による釣獲尾数、河川内でのサクラマスの生残率を調べた。これらの調査では、サンプリング理論に基づく調査方法や標識再捕による個体数の推定方法を応用し、サクラマスの生態を考慮した放流効果および資源の評価方法を検討した。得られた調査結果から、種苗放流を含むサクラマスの資源増殖の問題点と今後の展望を述べる。
著者
小崎 道雄
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.139-146, 2002 (Released:2011-03-05)
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001 (Released:2011-03-05)

イネ(Oryza sativa L.)品種コシヒカリの受精卵に,メチルニトロソウレア(MNU)突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った.ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも,コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した.従って,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった.また,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は,コシヒカリ型とミルキークイーン型が3:1に分離し,さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が,野生型と低アミロース型が1:1に分離したことから,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた.次に,イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子,wx並びにdu1,2,3,4及び5との対立性を検定した結果,ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は,wxの対立遺伝子であることが示唆された.
著者
舘山 元春 坂井 真 須藤 充
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
pp.1-7, 2005 (Released:2011-03-05)

複数の低アミロース性母本に由来する系統を供試し、イネの食味に大きく影響する胚乳アミロース含有率の登熟気温による変動を調査した。日本の寒冷地域で作付けされている、「ミルキークイーン」(wx-mq保有)、「彩」(du()保有)、および「スノーパール」の低アミロース性母本に由来する育成系統と、「山形84号」(wx-y保有)、「探系2031」、対照としてうるち品種の「つがるロマン」(Wx-b保有)を供試した。人工気象室、ガラス温室および自然条件を組み合わせ、低、中、高温の3つの温度条件で登熟させた時の胚乳アミロース含有率を測定した。「つがるロマン」のアミロース含有率の変動幅は12-23%(高温区-低温区)であり、登熟気温変動1℃当たりのアミロース含有率の変動幅(ΔAM/℃)は0.8-1.1%であった。これに対し「ミルキークイーン」由来の系統、ならびに「山形84号」のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より小さかった。一方、「スノーパール」の母本で「ミルキークイーン」や「山形84号」とは異なるWx座の突然変異による「74wx2N-1」に由来する系統のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より大きく、ΔAM/℃は「つがるロマン」の1.4-1.9倍であった。「探系2031」のアミロース含有率は、「つがるロマン」と他の低アミロース系統の中間であり、ΔAM/℃は「つがるロマン」とほぼ等しかった。「ミルキークイーン」由来の系統あるいは「山形84号」と、「74wx2N-1」に由来する系統間に見られるアミロース含有率の温度による変動幅の差は、その保有する低アミロース性遺伝子の違いによる可能性が示唆された。
著者
坂本 彬 井上 博之 中川 致之
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.326-330, 2012 (Released:2013-10-08)

(1)日本国内で市販されている世界各地で生産された紅茶12銘柄を購入し,その化学成分などを分析,測定した。12銘柄はスリランカ4,インド3,中国2,日本1である。(2)タンニン,カテキン類8項目,没食子酸,テアフラビン類4項目,L-グルタミン酸,L-テアニン,γ-アミノ酪酸,遊離糖類3項目の含有量は変動が極めて大きかった。グルタミン酸,テアニン,また総アミノ酸については並級煎茶に匹敵する量を含む銘柄もあった。またγ-アミノ酪酸を60mg%以上含む銘柄もあったが発酵過程で増加したものであるかは判別できなかった。(3)4種のテアフラビンを個別に定量した結果,テアフラビン-3,3'-di-0-ガレートが最も多く,ついでテアフラビン-3-0-ガレート,次ぎに遊離のテアフラビンでテアフラビン-3'-0-ガレートが最も少なかった。また,テアフラビン合計値と赤色彩度を示す表色値aの間に相関が認められた。(4)遊離の糖類のうち,蔗糖,ブドウ糖,果糖,麦芽糖を分析したが麦芽糖は含まれず,検出された3種のうち蔗糖,ブドウ糖が多く,糖類合計として平均1.6%であった。(5)紅茶に含まれる有機酸のうち,シュウ酸を分析した。12銘柄平均含有量は0.54%であったが,シュウ酸特有のエグ味として影響する量ではないように思われた。(6)pHは緑茶同様にほぼ一定範囲に収まり,ほぼ5.00~5.4の範囲であった。
著者
大西 茂彦
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.17, pp.63-64, 2017 (Released:2018-03-23)

香川県らしい特徴を持つ清酒を開発するために,香川県の特産農産物であるオリーブの果実表面から清酒醸造に利用可能な酵母を探索した。多数のオリーブ果実の表面を綿棒でふき取り集積培養し,トリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC)染色法および二酸化炭素産生能による選抜を行った結果、Saccharomyces cerevisiae 2株(OY-04,05株)が得られた。これらの株をBrix 18の麹汁培地,15℃で培養したところ7%前後のエタノールを生産することが確認された。
著者
長澤 栄史 中西 玉子
出版者
日本きのこセンター菌蕈研究所
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-6, 2017 (Released:2019-04-11)

京都府船井郡京丹波町のスギ林内で採集された標本(4月~5月にかけて林内の落枝および腐植上に発生)に基づいて,Plectania melastoma(Sowerby:Fr.)Fuckel(チャワンタケ目,クロチャワンタケ科)の日本における発生を報告した。本菌は,小型(径1-1.5cm位)でお椀状の,比較的丈夫な肉質の子嚢盤を落枝および腐植上に群生するが,子実層面が黒色であるのに対して子嚢盤の外表面が鮮やかな赤橙色~赤褐色を帯び,粉状を呈するのを著しい特徴とする。また,紡錘状楕円形の比較的大きな胞子(19.2-25.8×9.6-12.6μm,長さ/幅値(Q)=1.8-2.4)をもち,子嚢盤外表面の菌糸をKOH水溶液で処理するとワイン色の色素を溶出する特徴をもつ。日本では外観的特徴におい類似するKorfiella karnika D. C. Pant and V. P. Tewari(コフキクロチャワンタケ)と混同され易いが,同菌は子嚢盤が1側面で基部付近まで裂けることや竹の古い切り株に発生することなどで区別される。P. melastomaはPlectania属の基準種で,文献によれば世界,主に北半球に広く分布するが,発生はまれで局地的のようである。日本においては従来本学名における報告はないが,アメリカの北太平洋探検調査隊(1853-1856)によって日本(徳之島、1855年4月30日,根上)で採集され,英国のM. J. Berkeley and M. A. Curtisによって1860年に新種記載されたPeziza japonica Berk. and M. A. Cutis(=Plectania japonica(Berk. and M. A. Cutis)Sacc.)は,そのタイプを調査したPfister(1997)によれば,P. melastomaと同一種であるといわれている。本種にはまだ和名が無いので新たにアカサビクロチャワンタケと命名した。
著者
原田 茜 吉田 俊也 Resco de Dios V. 野口 麻穂子 河原 輝彦
出版者
日本森林学会
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.397-403, 2008 (Released:2011-04-05)

北海道北部の森林では、ササ地を森林化させるために掻き起こし施業が広く行われてきた。施業から6〜8年が経過した樹冠下の掻き起こし地を対象に、9種の高木性樹種を対象として樹高成長量と生存率を調べ、それらに影響する要因(植生間の競争・促進効果)を明らかにした。成長量と生存率が高かったのはキハダとナナカマド、ともに低かったのはアカエゾマツであった。多くの樹種の成長は、周囲の広葉樹または稚樹以外の下層植生の量から促進効果を受けていた。ただし、シラカンバについては、施業後3〜5年目の時点では促進効果が認められていたものの、今回の結果では競争効果に転じていた。一方、生存率については、多くの樹種について周囲の針葉樹による負の影響のみが認められた。密度または生存率の低かった多くの樹種に対して、周囲のシラカンバやササの回復が負の要因として働いていないことから、多様な樹種の定着を図るうえで、除伐や下刈りの実行は、少なくともこの段階では有効ではないと考えられた。
著者
滝川勉
出版者
農林省農業綜合研究所
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.203-220, 1954 (Released:2011-09-30)
著者
加藤 和弘
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.805-808, 2009 (Released:2011-02-03)
著者
三田 育雄
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-47, 1984 (Released:2011-03-05)
著者
白木 信彦 植木 陽介
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.8, pp.59-64, 2010 (Released:2014-08-18)
著者
吉本 亮子 末松 智子 三野 幸人
出版者
徳島県立工業技術センター企画情報課
巻号頁・発行日
pp.21-25, 2017 (Released:2017-09-04)

タチウオを原料とする魚醤油製造において,酵素剤を用いることによる呈味性への影響について評価を行った。その結果,数種の酵素剤を使用することにより,アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,グリシンといった旨味や甘味を呈する遊離アミノ酸が増加し,さらに麹を使用することにより糖や有機酸の増加も確認された。味に関して他社製品との比較を行った結果,魚醤油の欠点として敬遠されがちなトリメチルアミン含有量が非常に少ないこと,旨味の先味が強いこと,国外産より旨味コクが弱いことが明らかとなり,あっさりとした旨味のある魚醤油として差別化できることを確認した。