著者
稲垣 真澄 米田 れい子
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.205-216, 2017-04-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
24

限局性学習症/学習障害(learning disorder/specific learning disorder; LD)は全般的知能が正常で, 学習意欲があるにもかかわらず, 「読字」「書字」や「算数」などの特定領域の獲得が障害され, 学業, 日常生活, あるいは職場で著しい支障をきたす発達障害の一つである。中枢神経系の機能異常によるとされ, 近年脳機能画像による解析も試みられている。本稿は, 代表的LDである「発達性読み書き障害」と, 「算数障害」について, それぞれの概念, 診断につながる臨床症状の診かた, わが国で使用可能な検査と診断手順について解説した。前者では問診におけるチェックリストの活用, ひらがな音読検査での読みの評価が, 後者では KABC-Ⅱの習得度評価が役にたつ。的確な教育的支援のために医療サイドができることは, 言語発達に関する詳細な問診, 神経学的診察, 知能評価, 読み書き・算数の基本的能力や子どものもつ認知特性の評価を行うことであると考えた。
著者
山田 順子 鬼頭 美江 結城 雅樹
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.18-27, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
40
被引用文献数
1 11

本研究の目的は,友人関係および恋人関係における親密性の文化差の原因の検討である.近年の国際比較研究は,北米人の方が東アジア人よりも,対人関係のパートナーに対して感じる親密性が高いことを示してきた.本研究は,社会生態学的視点に基づき,この文化差をもたらす原因を,北米社会における対人関係選択の自由度,すなわち関係流動性の高さに求めた.この仮説を検討するため,日本人とカナダ人参加者を対象に,親友・恋人および最も親しい家族に対する親密性,また参加者を取り巻く身近な社会環境における関係流動性の認知を尋ねた.その結果,まず先行研究と一貫して,日本人よりもカナダ人の方が,親友や恋人に対してより強い親密性を感じていた.さらに,理論仮説と一貫して,親友に対する親密性の日加差は,対人関係選択の自由度によって有意に媒介され,自由度が高いほど親密性が高いことが示された.
著者
八ッ塚 一郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.170-179, 2014

Changes in the usage of the verb "ijimeru" (to bully) and the noun "ijime" (bullying) in Japanese newspaper articles were investigated. Full-text searches and postpositional particle analysis were performed on issues of three major Japanese newspapers published between 1987 and 2011. The passive form of ijimeru (to bully) was used much more often than was the active form during the entire period investigated. During several specific years, the noun, ijime (bullying), appeared as a subject very frequently, but this trend was not consistent, and the number of articles containing this word decreased in most of the other years. Ijime (bullying) refers to an action that occurs independently of any particular actor. As such, it would be expected to appear frequently during any period of time. However, the word is construed to refer to suffering endured by an unlucky passive victim or to rare events such as natural disasters. The dissociation of the denotation from the actual usage of ijime (bullying) as well as the use of the term ijime (bullying) more generally are discussed from the perspective of social representations.

17 0 0 0 OA 法令全書

出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.明治23年, 1912
著者
平野 浩彦
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.249-254, 2014 (Released:2014-08-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

日本の認知症の数は465万人との報告(厚労省研究班2013年)がなされ,“身近な病気:common disease”の一つになっている.歯科医療従事者も認知症を理解し,予知性のある歯科治療,口腔衛生管理を継続的に認知症高齢者に提供することが,超高齢社会での歯科に求められている最も重要なミッションの一つと考える.以上を踏まえ,本稿では認知症高齢者の歯科治療立案プロセスに必要な視点を明確にする目的で,アルツハイマー型認知症に代表される変性性認知症を中心に,その進行とともに変遷する口腔の治療・ケアニーズについて調査知見等を中心に解説した.
著者
村田 ひろ子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.80-103, 2021 (Released:2021-07-20)

NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループISSPが、2020年に実施した調査「環境」の結果から、日本人が環境問題とどう向き合い、どう行動しているのかについて報告する。 「気候変動による世界的な気温の上昇」が危険だと思っている人は75%に上る。また、「原発」が危険だと思う人は、前回の2010年調査の36%から59%へと大きく増えた。 環境問題に関する政策への態度では、気候変動についての日本の取り組みが「進んでいない」と回答した人は62%で、「進んでいる」の37%よりかなり多い。 レジでレジ袋をもらっている人は、有料化前の94%から、有料化後は50%に減少した。レジ袋の有料化がプラスチックごみの削減に「つながる」と考える人は70%で、「つながらない」の28%を大きく上回った。 環境保護への姿勢や負担意向についてみると、「私だけが環境のために何かをしても、他の人も同じことをしなければ意味がないと思う」人は6割近くに上り、特に30代までの若い年代では7割前後を占める。この割合は、日本が36か国中3番目に多かった2010年調査と変わらず、「個人の取り組みだけでは限界がある」という考えを持つ人が日本では多い。また、環境を守るためでも今の生活水準を「落としたくない」人は44%で、「落とすつもりがある」人の32%を上回っている。「落としたくない」人は、30代以下では過半数を占め、若い年代ほど多くなっている。

17 0 0 0 OA 本草綱目

著者
(明)李時珍//撰, (明)李建中//図
出版者
胡承竜
巻号頁・発行日
vol.第2冊(附図巻之上,下), 1590
著者
西川 一二 雨宮 俊彦 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.21208, (Released:2022-08-30)
参考文献数
34

This study aimed to develop an Interpersonal Curiosity Scale. In Study 1, a questionnaire with a preliminary pool of 56 items was administered to undergraduates, and from these, 11items were selected. The main survey was administered to college students (n = 839) and as a web-based survey (n = 1,500). Factor analysis revealed three factors: curiosity about personal emotions, curiosity about privacy, and curiosity about personal attributes. Cronbachʼs alpha showed that these subscales had sufficient reliability. In Study 2, the validity of the Interpersonal Curiosity Scale was examined using the Five-Dimensional Curiosity Scale, the Sensation Seeking Scale, the Multidimensional Empathy Scale, and the Psychological Well-being Scale. The results of correlation analysis confirmed the validity of the three subscales. Implications about using the Interpersonal Curiosity Scale are further discussed.

17 0 0 0 OA 軍歌集

著者
吉村千太郎 編
出版者
吉村千太郎
巻号頁・発行日
1887

17 0 0 0 OA 愛知県統計書

著者
愛知県総務部統計調査課 [編]
出版者
愛知県
巻号頁・発行日
vol.昭和5年 第1編, 1932

17 0 0 0 OA 愛知県統計書

著者
愛知県総務部統計調査課 [編]
出版者
愛知県
巻号頁・発行日
vol.昭和6年 第1編, 1933
著者
淺野 良成
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.2_256-2_279, 2020 (Released:2021-12-15)
参考文献数
33

本論文では、日本の有権者が外交・安全保障イシューを重視する条件を、置かれた情報環境に注目して検討する。近年、選挙で外交・安全保障を重視する有権者が増加傾向にある。一方で、日常生活で実感し難い対外関係を重視する人たちの特徴について、投票行動研究は十分な説明を用意していない。また、マスメディア研究ではしばしば、有権者の関心はメディアの報道総量の多寡が規定するとされるが、その説明力は必ずしも高くない。しかし、外交問題が直接経験し難い分野である以上、その重視度と情報環境が無関係だとも考えにくい。そこで本論文では、報道総量の多寡とは異なる側面から情報環境を取り上げ、選挙で外交争点が重視される条件付けを検討する。具体的には、メディアが外交・防衛問題の報道で取り上げるアクターの党派的な偏りへ注目する。分析の結果、報道対象が与党へ偏った新聞に接触した場合、有権者は外交・安全保障に関わる主要政党の主張をより幅広いスケール中で認知し、選挙でも外交・安全保障問題を重視する傾向を確認した。
著者
矢崎 慶太郎
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.4, pp.137-148, 2014-03

本論では、芸術についての社会学理論を概観するために、基本的なアプローチを4つに区分して考察する。まず第一に芸術を道徳や経済などの「社会の反映」として示すコント、マルクス、第二に、芸術を社会と対立する関係にあるものと見なし、「社会の外側」にあるものとして扱うアドルノおよびゲーレン。第三に、芸術は社会的な反映ではないが、政治や経済と同様に、社会制度のひとつであり、「社会の内側」に属するものとして扱うベッカー(アート・ワールド)、ブルデュー(芸術場)、ルーマン(芸術システム)。第四に、芸術そのものを社会の原型として見るジンメル、および芸術がどのように他の社会領域に影響を与えているのか、という視点から芸術と経済との関係を研究するアプローチを取り上げる。これらの4つのアプローチを取り上げながら、芸術をどのように社会的な現象として扱うことができるのか、および芸術の社会学的研究にはどのような意義があるのかについて明らかにする。