著者
河野 啓子 工藤 安史 後藤 由紀 中神 克之 畑中 純子
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-7, 2019-10-02 (Released:2019-11-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

目的:本研究は,産業看護職のコンピテンシー尺度を開発し,信頼性・妥当性を検証することを目的とした.方法:産業看護職375 名に無記名自記式質問紙調査票を配布し,回収数211(回収率56.3%)を分析対象とした.まず,我々が事前の研究で明らかにした40 項目を基に項目分析, 因子分析を行い,尺度項目を決定した. 次に,これらの表面妥当性,構成概念妥当性,基準関連妥当性,信頼性を検証した.結果・考察:36 の項目が尺度項目として決定され,すべてで通過率が97%を超えていたことから表面妥当性が検証されたと考える.また,因子分析の結果抽出された「産業看護を遂行する力」「創出する力」「自己成長する力」はコンピテンシーの条件と一致したことから構成概念妥当性は担保され,尺度合計点数と産業看護経験年数との相関がr=0.318 であったことから基準関連妥当性も示唆されたと考える. クロンバックα係数は3 つの因子すべてが0.9 以上だったことから信頼性が検証されたと考える.結論:我々が開発した産業看護職のコンピテンシー尺度は,信頼性・妥当性が検証された.
著者
綿田 辰吾 西田 究 関口 渉次 関口 渉二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2003年9月26日に発生した十勝沖地震時に江ノ島津波観測所(宮城県)、地震研究所の筑波地震観測所(茨城県)と、鋸山地殻変動観測所(千葉県)、霧島火山観測所(宮崎県)、海洋開発機構室戸ケーブル陸揚局(高知県)、防災科学技術研究所が管理する広帯域地震計観測点の菅野(山梨県)、中伊豆(静岡県)で地震動に伴う気圧変動を観測した。筑波観測所、中伊豆、菅野では微気圧と地動の同時観測により、地動と大気圧の音響結合データを取得することができた。地動は最大振幅5mm/secの15〜20秒のレイリー波が卓越している。群速度はほぼ3.2km/secであった。微気圧記録は50秒以下の短周期成分では最大振幅約2パスカルの変動が見られ、地動と同様の群速度で伝播している。50秒以下で大気圧変動と地動の周波数領域の応答特性が得られた。大気圧変動は地動面上下速度にほぼ比例し、位相も同一である(上向き速度で圧力増加)。比例定数は、(大気密度)(大気音速)をかけあわせた量である。また密度成層した大気中の長周期音波が地面の運動により発生する問題を解析的に扱い応答特性を理論的に導出した。理論応答特性は音波遮断周波数付近(約300秒)では音波は地動変位に比例し比例定数が約半分となることが示された。50秒以下でほぼ観測どおりの位相と振幅となることが確かめられた。微気圧・地動同時観測と理論予測の比較から、十勝沖地震から伝播した表面波がローカルに音波を発生させたことが明瞭に示すことができた。50秒より長周期側では大気圧ノイズが大きくなり地動と大気圧変動の明確な応答特性を得られなかった。このように放出された音波は大気中を伝播し高層にある電離層まで、エネルギー保存のため、振幅を増大させながら到達する。過去いくつかの研究で報告されている地震にともなう電離層擾乱もこのように地表で発生した圧力変動に起因していると推定される。
著者
深瀬 明子 寺崎 浩子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.629, 2014-05-15

症例は24歳,男性。右眼変視症を主訴に近医受診し,網膜前出血の診断,精査・加療目的に当院を受診した。初診時視力は右0.2(0.7×-1.75D),左0.4(1.5×-1.25D),眼圧は圧平眼圧計にて両眼とも14mmHg,眼底所見は右眼視神経乳頭上方に網膜前出血がニボーを形成しており,黄斑部にも網膜前出血を認めた。9か月前までボクシングをやっていたが最近の外傷や既往歴はなく,症状出現前に筋力トレーニングなどでいきんだというエピソードからValsalva網膜症と考えられた。撮影は初診時に行った。 内服加療を行い,2週間後に黄斑部の網膜前出血は消失,2か月後には視神経乳頭上方の出血も吸収され硝子体混濁をわずかに残すのみとなり,右視力(1.5)まで改善した。
著者
国武 貞克
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

旧石器時代の行動領域分析を行うために、主に石刃製の大形刺突具の石材を関東地方全体にわたって検討した。分析の方法は、2段階にわたっている。まず、関東地方北部から東北地方南部にかけての石器石材の産地の現地踏査を詳細に行った。前年度は栃木県北部の高原山周辺地域と会津盆地周縁地域で重要な石材産地を発見したが、今年度は新潟地域の珪質頁岩の調査を詳細に行った。その結果、従来判然としなかった信濃川流域の珪質頁岩の産地が判明した。これにより関東地方から東北地方南部の石器石材環境に関する基礎データが整備された。次に、後期旧石器時代初頭から後半期にかけて、9つの細分時期の資料を関東地方全体にわたって抽出し、その石刃石器に利用されている石材を調査した。関東地方全体の資料を対象としたが、主に東部関東の資料を中心に検討した。その石材を現地踏査による石材と照合して、主たる狩猟具を調達するための移動領域の範囲を検討した。その結果以下のような移動領域が判明した。東部関東に遺跡を残した集団の移動領域は、後期旧石器時代初頭には南北100キロメートル程度の比較的狭い範囲の往還領域が抽出された。具体的には、房総半島南部から宇都宮丘陵周辺を南北方向に往還移動していた。石刃生産が顕著に発達するIX層中部移行の時期になると、特定石材産地を結節するV字形の移動領域が成立している。具体的には利根川上流の三国山地と高原山周辺を両極端の石材産地に配置し、その中間に下総地域や下野地域を挟み込んだ領域が成立している。西武関東も特定石材産地を2〜3箇所結節した回廊領域が成立している。この回廊領域は、後期旧石器時代前半期を通じて維持され最終氷期まで継続している。この回廊領域が崩壊して新たな領域配置が見られるのが、後半期の両面体調整石器群の発生期である。この時期に、社会的な集団間の再編成が起きていると推定された。
著者
門 智
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1152, pp.142-152, 1984-02-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

Until the discoveries of huge pyrochlore deposits in Brazil and Canada in 1950's, both Nb and Ta had been extracted from Tantalite or Columbite using by solvent (MIBK) extraction technique.Using by the above pyrochlore resources, more than 95% of niobium products, such as Fe-Nb, various grade of oxides (technical, optical etc.) and Nb-metal are produced at present.The application of niobium to steels, optical glass, electronic component, superalloys, refractory metals, superconducting materials and catalysts are discussed in this paper. On the other hand, tantalum has no bright future even though Ta-condencer, cemented carbide and super-anti corrosive materials are stable and reliable markets, so that the total comsumption of Ta in the world to be remaining about 1, 600t in Ta205 during a few years. The consumption of niobium will increase in the field of electronics, superalloys, catalyst, however in true we cannot expect it too much in steel industry.
著者
加藤 明
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
pp.1-48, 2012-02-15

加藤 明, 現代に生きる北陸の紙郷 -加賀雁皮紙、加賀二俣和紙、越中和紙、越前和紙の産地と事業者のケース-, JAIST Press. 2012.
著者
脇村 義太郎
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.1-27,i, 1966-12-20 (Released:2009-11-11)
参考文献数
46

The Sumitomo Zaibatsu, one of the biggest business groups in Japan, has frown uninterruptedly since the Meiji Restoration. The key factor of its growth may be found in its unique leaders-recruitment policy.This paper introduces many of its leaders and analyzes the recruitment and personnel policy of the Zaibatsu.
著者
中村 芳久
出版者
金沢大学文学部
雑誌
金沢大学文学部論集. 言語・文学篇 (ISSN:13424289)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-23, 2001-03-18

金沢大学文学部
著者
吉岡 隆知 猪原 光
出版者
一般社団法人 日本歯内療法学会
雑誌
日本歯内療法学会雑誌 (ISSN:13478672)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.9-11, 2018 (Released:2018-02-15)
参考文献数
11

Abstract : The purpose of this study was to investigate the root canal morphology of extracted two-rooted second mandibular molars. Seventy-seven two-rooted mandibular second molars were used. Gutta-percha point was inserted into the root canal after root canal preparation by a standardized method. Transparent specimens were made from the test teeth and the root canal morphology was evaluated on images taken with a digital microscope. As for the mesial root, 70.1% were two-root canals, whereas for the distal root 88.3% were single-root canals. Although two-rooted mandibular second molars have a simple root canal configuration, in some cases the root canal system is complex, so careful root canal detection is necessary.
著者
金井 嘉宏 笹川 智子 陳 峻雲 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.97-110, 2007-09-30
被引用文献数
1

本研究の目的は、他者のあいまいな行動に対する解釈バイアスの観点から社会不安障害と対人恐怖症を比較することであった。実験参加者を抽出するために、592名の大学生が他者からの否定的評価に対する社会的不安測定尺度(FNE)と対人恐怖症尺度(TKS)に回答することを求められた。カットオフ得点を満たした大学生40名が解釈バイアスについて調べるためのスピーチ課題を行った。FNE得点とTKS得点が高い群は14名、 FNE得点は高いがTKS得点が低い群は7名、 FNE得点は低いがTKS得点が高い群は3名、FNE得点とTKS得点が低い群は13名であった。スピーチ課題中、聞き手は予備調査によって抽出されたあいまいな行動を行った。その結果、社会不安障害傾向と対人恐怖症傾向がともに高い者は低い者に比べて、あいまいな行動を否定的に解釈していたが、社会不安障害と対人恐怖症に違いはみられなかった。
著者
金 浩星
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.470-465, 2003-12-20
著者
高木 靖寛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.544, 2017-05-24

定義 泡沫細胞,すなわち黄色腫細胞の集簇による病変である.胃ではよく認められるが内視鏡検査による食道での頻度は0.46%とまれである1).病理組織学的に黄色腫細胞は扁平上皮間結合組織乳頭部に嵌り込むように存在するため2),この所見が内視鏡像にも反映される.すなわち,典型例では多数で点状の黄白色小顆粒の集簇として観察される(Fig. 1a).拡大観察では乳頭の配列に一致して黄白色顆粒がみられ,このなかに縮れて走行する微細血管が観察され特徴的である2)(Fig. 1b).黄色腫細胞の量が多く充満した場合は顆粒結節状となることもある.