著者
西津 伸一郎
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 = The Quarterly journal of Rissho Economics Society (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.75-96, 2019-10-30

統計分布は有意性の検定など統計的検定に用いられるが一般的であるが,本稿は統計分布の形状自体から多くの示唆が得られることを示すのが目的である.事例として用いたのが,大学の偏差値と志願者数,パレートの法則そしてロングテールの法則である.パレートの法則に対しロングテールの法則は,一見するとパレートの法則に対するアンチテーゼのように見える.ところが,この2 つの法則はどちらも同一のパレート分布とよばれる統計分布から導かれている.なぜ異なる結論に至るのかを明らかにする.
著者
大桃 道幸
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.29-35, 1998-03

ロイ・モレルはFar from the Madding Crowdの主人公Gabriel Oakの生き方を例に挙げて,幾多の苦難を乗り越えて人生の勝利者となるOakこそハーディが称揚する人物像であるとし,夢想家や夢想的な生き方をハーディは非難しているのだと論じている。モレルの立場はハーディの小説の悲劇性を登場人物たちの非現実的で夢想的な生き方に求めるもので,宿命論に立脚した従来のハーディ観を打破するという点で高く評価されるべきだが,ハーディの小説を単なる人生訓,処世訓のレベルで捉えている点に不満が残るし,ハーディがその後Oakのような人物ではなく,むしろ自己破滅型の夢想家を執拗に描き続けた理由を明らかにはしない。ハーディの小説,とりわけ後期の小説に登場する主人公たちの多くは芸術家ないしは芸術家肌の人物であるが,夢想性は彼らの生来の気質であって,それはしばしば人を破滅に導くものの,彼らにとっては創造力の源泉であり,彼らの存在そのものの基盤であると言ってよい。また彼らにとって,理想の恋人像が生身の人間よりも現実的であるのと同じように,想像の世界のほうが実際の世界よりも一層現実的なのである。従って,芸術家ないしは同様の気質を備えた人物が実社会で生きてゆくことそれ自体が多くの矛盾をはらみ,必然的に悲劇が生じることになる。厳しい現実の中で幸福を獲得するOakを称える一方で,自分自身苦悩の人生を歩んだハーディは,虚しく夢を追い求め破滅してゆく人々を,大いなる共感を持って描き続けざるを得なかったのである。

2 0 0 0 OA 静岡県統計書

著者
静岡県 編
出版者
静岡県
巻号頁・発行日
vol.大正10年 第3編, 1923
著者
中村 隆文
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.229-242,258, 2007

Locke's theory as a contractarian has a great influence on the debates about social justice between &ldquo;liberalism&rdquo; and &ldquo;libertarianism&rdquo; yet. Even have many differences of opinions in those, they almost depend on the &ldquo;natural law&rdquo; and &ldquo;natural right&rdquo; elaborated by Locke when he tried to defend the &ldquo;liberty&rdquo; against an authority of the king. This reason is that they believe Locke's natural jurisprudence and ideas of &ldquo;liberty&rdquo; and &ldquo;right&rdquo; are set in the Declaration of Independence. It's nothing to be surprised at this, so now I intend not to doubt this fact, and that, not to convict their debates as pointless.<br> I suggest that &ldquo;liberty&rdquo;, &ldquo;right&rdquo; and &ldquo;justice&rdquo; can be also defended philosophically by a school of thought in the eighteenth century other than Locke's, no matter how we estimate his influence on the then America. Directly and frankly professing, I regard the Scottish Enlightenment as functioning that role in the century, and its significance has still lived under the debate about the idea of social justice.<br> I place a special emphasis on the point that Scottish thinkers, especially David Hume and Adam Smith, had defended the America outside the theory of contractarianism involved with liberalism and Libertarianism. It shows that &ldquo;justice&rdquo; intrinsically exists in a relationship, in other words &ldquo;convention&rdquo; and it can not be discovered in the contractual lawmaking way but in the judiciary way reflecting sense of justice, or moral sense, because law of justice will be expanding over the domain of human rationality of economical worldview.
著者
阿部 憲太 姥浦 道生
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.421-428, 2017

近年、風営法の届出を出していないが、外見上・用途上は所謂'ラブホテル'として認識される、いわゆる'疑似'ラブホテル等が発生してきている。これら擬似ラブホテル等を自治体が問題視する中で、ラブホテル建築規制条例(以下、条例)を定めることで擬似ラブホテル等を規制する動きが出てきた。本研究では、条例によるラブホテル等に対する立地規制に関する規制内容を把握すると共に、その立地規制の効果と課題を明らかにすることで、今後同様の立地規制を検討する際の有用な知見を得ることを目的としてる。研究の結果として、条例により条例ラブホテル等に対してどの程度立地規制をかけようとも、条例の適用外となる条例外ラブホテル等が発生し、結局はラブホテル等の需要がある、若しくは需要を生み出したいと事業者が考える場所にラブホテル等が立地してしまうという実態が明らかになった。一方、条例の対象施設として該当すればその立地のコントロールは可能であるので、条例ラブホテル等を適当に規定することが重要である。以上より、条例外ラブホテル等が発生する要因を明らかにすることが必要である。
著者
田中 一成
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.87-108, 2005-03

ヨハネ福音書8 章24 節、28 節、58 節、13 章19 節の「エゴー・エイミ」の訳語と引照に関しては、出エジプト記3 章14 節を用いるものと、イザヤ書43 章10 節を用いるものに大別される。本論文では、近年の研究論文とキーワードτυφλοζ(tuflos)の分析により、全ての箇所に第二イザヤからの影響が強いことを明らかにするが、58 節のみ「存在」の意味に解釈して、出エジプト記とも結び付ける可能性が残ることを示す。さらに58 節に含まれる「子の先在」の概念が、ヨハネ福音書に前後する文献にも見られることを確認し、第二イザヤとヨハネ福音書に共通する歴史的背景を考察して、新たな神的権威の実在化の過程が、「エゴー・エイミ」の思想的背景として、存在したことを明らかにする。
著者
矢口 竜太郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.248, pp.50-57, 2013-12

アドバンスト・アプリケーションの服部さんは「世代によって反応に差が出やすい話題がある。それを意識するようにしている」と話す。服部さんは世代ごとの話題の特徴をおおまかに把握して雑談している。 典型的なのが、野球の話題だ。
著者
吉田 元子 Motoko Yoshida
雑誌
法と政治 = The journal of law & politics (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.149(149)-181(181), 2020-05-30
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.233, pp.122-124, 2004-02

那覇市に本社を置く沖縄教育出版は、社名に出版と掲げながら、健康食品の通信販売が主力事業という変わった会社だ。1977年の設立当初は純粋な出版社だったが、93年にウコンを主体にした健康食品の通販に進出。今では通販分野が全体の9割以上を占めるまでになった。 実は同社は現在、沖縄を代表する急成長企業として注目を集めている。

2 0 0 0 OA 西遊記物語

著者
邱長春 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1931
著者
和田 充弘 Mitsuhiro Wada
出版者
同志社大学日本語・日本文化教育センター
雑誌
同志社大学日本語・日本文化研究 = Bulletin of Center for Japanese Language and Culture (ISSN:21868816)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-20, 2021-03

享保期においては、吉宗の教化政策だけでなく、民間でも生活防衛の観点から教化活動が行われ、石田梅岩の『都鄙問答』『倹約斉家論』や佚斎樗山の『田舎荘子』といった教訓書が作られた。そのうち『田舎荘子』は談義本の初期の段階に位置づけられ、これに類似する作品がその後数多く登場した。こうした系譜に属するのが、大坂の町人学者であると思われる田中友水子である。友水子の作品の一つに、寛保二年(一七四二)頃の成立が推定できる『世間銭神論』がある。本書は中国西晋の『銭神論』の存在を念頭に置き、金銭というきわめて現実的な話題をテーマに掲げている点で、特異な性格を有している。その内容をみてゆくと、梅岩からは儒教的な仁愛の社会的な実現と利得を追求する過程との両立が、樗山からは老荘的な天地の造化に従う生き方が引き継がれるが、両者が異なる形で重視した強固な心の自覚が欠けている。『銭神論』が銭の万能を説きながら、拝金主義の世相と共に金銭の存在を否定的に捉えていた点もみられない。金銭の流通と仁愛との一致を大きな柱とした上で、倹約、勤勉といった道徳、それに知恵や才覚を用いながら、人々が自力で生活を維持しさらに向上させてゆく可能性を説くところに『世間銭神論』の特徴が見いだせる。またその内容は『商売往来』と共通するところも多く、そうしたことが庶民教育と戯作文学や町人文化との間における、接点の所在を示唆しているのではないか。研究論文(Article)