著者
虫賀 幹華
出版者
JAPANESE ASSOCIATION FOR SOUTH ASIAN STUDIES
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.26, pp.7-25, 2014

古代インドの祖先祭祀として理解されるシュラーッダおよび同儀礼で祀られるピトリたち<i>pitaraḥ</i>はそれぞれ「祖霊祭」「祖霊」と訳されてきたが、それらの概念が十分に考察されているとは言いがたい。本稿では、紀元前3世紀から後3世紀頃にかけて編纂されたスートラ文献およびその補遺文献のうち、シュラーッダに関する記述を収録している28のサンスクリット語文献を選び、祖霊という語で曖昧にされてきたシュラーッダの対象を具体的に提示した。時代が下るにつれ、「ピトリたち」すなわち〈父・父方の祖父・父方の曾祖父〉だけでなく、彼らの〈妻たち(母・父方の祖母・父方の曾祖母)〉、〈母方の祖父たちとその妻たち(母方の祖父母・母方の曾祖父母・母方の高祖父母)〉も祭祀対象として規定されたことが明らかとなった。本稿の後半では、母方親族への祭祀の発展過程を示し、それと「指定女の息子<i>putrikāputra</i>」の義務との関連性を仮説的に提示した。
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1997

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1935年04月10日, 1935-04-10

2 0 0 0 OA 語学捷径

著者
鈴木重胤 著
出版者
鹿田清七[ほか]
巻号頁・発行日
vol.上, 0000
著者
西川 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1265-1272, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
65

本研究は、これまで都市計画の不在と乱開発が指摘されてきた1960年代の熱海市を対象に、都市計画の展開を明らかにするものである。熱海市では、高山英華が手がけた総合開発計画構想案(通称「高山プラン」)が1960年代の都市計画の指針となった。計画はマスタープランとして位置付けられ、都市計画法を根拠とする内容と観光施設整備など法的根拠を持たない内容の両方を組み入れた総合的なもので、多くの事業や都市計画決定が実施された。住民による海岸景観保全運動や行政と住民との間で眺望地益権の保護契約締結など、海岸景観への意識も高かった。しかし、市街地については、美観地区や高度地区など高山プランで記されたものの、都市の建築が作り出す景観に対する規制は実現されなかった。
著者
山内 泰宏 星本 陽一 生越 專介
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.632-641, 2021-07-01 (Released:2021-07-07)
参考文献数
72

Practical methods have been established for the synthesis of multifunctional N-heterocyclic carbenes (NHCs) via the introduction of substituents on either the nitrogen atom(s) or the backbone of the NHCs. However, their use has been mainly limited to acting as multidentate ligands for metal complexes. Herein, results of our recent studies on the synthesis and application of N-phosphine oxide-substituted imidazolylidenes (PoxIms) as novel type of multifunctional NHCs are discussed. PoxIms were used not only as a mono-/bi-dentate ligand for mono-/bi-metallic complexes, but also as an external stimuli-responsive Lewis base for achievement of the frustration revival strategy as well as a reagent for the direct phosphinoylation of CO2 and carbonyl compounds. These results manifest the pioneering role of PoxIms as a multifunctional multipurpose NHC.
著者
山本 朋弘 野上 俊一 石田 靖弘 小柳 和喜雄 廣瀬 真琴
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.120-127, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究では,児童生徒一人1台の情報端末が整備された教室環境を想定した,教員養成課程の大学生に今後必要となるICT活用指導力に関する指標について検討した.海外のICTコンピテンシーを参考に検討した結果,教師の学びや新たな技術や方法への対応,授業のデザイン等,指標を定期的に更新する視点について整理した.また,授業でのICT活用や校務の情報化について,ICT活用指導力に関する具体的な場面と具体例を示す必要があるとともに,SNSやAI,VR・AR等の新たなテクノロジーや新たな方法への理解を加えることが必要であることを提案した.
著者
谷 浩明
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.119-125, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11

我々が研究を行う際には、仮説を検証するためにパラメータを吟味することから始まります。この吟味によって選択されたパラメータをある測定方法によって得るわけですが、このとき用いられた選択と測定方法が仮説にとって適したものであるかどうか、というのは研究全体にとって非常に重要なことです。信頼性と妥当性という概念はこういったデータを処理する以前の問題として存在します。信頼性は測定の一貫性として、妥当性はその構成概念に対する測定の合理性として定義されます。今回、Jules M.Rothsteinの話をもとに信頼性と妥当性の問題をとりあげ、その内容と研究における位置を述べてみました。
著者
清水 めぐみ
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
no.44, pp.37-56, 2020-03-19

2019年3月のベルリン・リサーチ・プロジェクトを通じて行われたホロコーストに関する論考である。ホロコーストについては,こわいこととして遠ざけられがちなことや,悲惨な出来事でそれが二度と起こらないようにともっぱら声高に宣伝されることが多い。しかし,本稿ではそれに関わっていくことの重要性を述べるとともに,そのためのひとつの心理学的な切り口として,よいものであろうとする人間の心のありようを概説する。悪を自分のものとして体験できずに投影し,また,よい/悪いに分裂してものごとをとらえて自らの安定のために理想化や否認といった原始的で未熟な防衛機制を用いてふるまうことがホロコーストにおいても,その後のホロコーストのとらえ方においても生じていることを例証した。特に,加害者とされる人々の叙述からうかがわれる否認と,現代にいたるまでの救助者に対する理想化について詳述し,自らの暴力性に無自覚になること,また生きのびていくことが重視されること,ひいては道徳的な善悪について考察した。
著者
柏原 正樹 河合 隆裕
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.161-163, 1985-05-17 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25
著者
福井 義一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.347-353, 2021 (Released:2021-05-01)
参考文献数
34

過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) の診療ガイドラインでは, 標準的治療が奏効しなかった第3段階で心理療法が推奨されており, エビデンスを有する心理療法の1つとして催眠療法が挙げられている. しかしながら, 本邦において, IBSに対する催眠療法の有効性は十分に周知されておらず, 患者からの催眠療法に対するアクセシビリティも低い. 本稿では, IBSに対する催眠療法の適用について, そのエビデンスと背景にあるメカニズムについて述べ, 介入研究でよく使用されてきた催眠療法プロトコルの構成要素を紹介した. また, 実際にIBSに対して催眠療法を適用する際の工夫について述べ, 今後のわが国におけるIBSに対する催眠療法の課題と展望についても論じた.
著者
安里 和晃
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.93-101, 2014

経済成長を背景とした女性の労働力化と高齢化の進行に対応すべく、家事・介護・看護の外部化が多くのアジア諸国で進んでいる。シンガポール、香港、台湾だけで70万人を超える外国人家事労働者が存在し、韓国や東南アジアの受け入れ諸国でもその数を増大させている。日本はやや例外的で性役割分業を前提とした家族モデルが相対的に強く、家事労働などの外部化はそれほど進展しなかった。しかし、幾度か外国人家事労働者や介護労働者、看護師などの受け入れが議論されたことがある。本稿では外国人労働者政策を振り返ることで、介護保険、ポイント制、経済連携協定が議論された際、外国の人材受け入れに関してどのような対応がされたか検討した。日本では労働需給にもとづき外国人労働者を導入するといった補完的論理に基づく外国人労働者政策を取ることができず、研修や日系人、留学生といった形で事実上の受け入れを行ってきた。EPAにおいても看護・介護部門の人材不足は認められないという前提に立ち「候補者」という形で受け入れが行われ、わかりにくい運用となっている。外国人の労働者性に対する懸念は国民主権の論理、治安の悪化や社会保障費用の増大といった社会的コストなどがあげられるが、人口構成の変化に対する新たな社会システムの構築は喫緊の課題であり、労働市場に応じた受け入れというある意味わかりやすい社会政策と関連付けた外国人労働者政策が取れるかどうか検討されるべきであろう。